スネークとモモイセミナー管理区域への潜入に成功。
スネーク「…美味かった。じゃ、そろそろ俺は…」
C「待ってください先生〜!」
B「論文ならたくさんありますし、コケちゃんやシダちゃんたちも…」
スネーク「…すまないな。文句があればシャーレに言ってくれ。」
スネークは、腕や足にしがみつく部員たちを引き剥がしながら部屋を出た。
スネーク「……。 」
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[CALL]
PUSH SELECT
モモイ「ん〜、先生?」ムニャ
スネーク「…美味かったぞ、例の料理。」
モモイ「へぇ〜、私はあんまり分からないけど、大人ウケする味なのかな?」
スネーク「かもな。…それで。」
モモイ「?」
スネーク「お前はセミナー棟の手前にいるんだったか。」
モモイ「そうだよ、早く来て!寝ちゃうじゃん!」
スネーク「悪いな。すぐに向かう。」
スネーク「(……巡回ロボットが2基。武装は…45口径とスタンガン。)」
スネークはマップを見直すと、ため息をつく。
スネーク「(他に道はない、か。)」
ロボット相手では、人間のように気絶させることはできない。そしてあいにく、スネークはチャフ・グレネードの類いも持ち合わせていない。
となれば手段は1つ。物音で注意を逸らすことだ。
周りにあるのは観葉植物、鉄製のゴミ箱、そして吸気口。その吸気口の中にモモイがいるが、監視カメラとロボットがいるせいで出られない。
ロボットさえどうにかできれば……あとはモモイが進むまでやり過ごすだけだ。
カン、カンッ
コンクリートの硬い音が響く。
ロボットは一歩、一歩と歩みを進め、スネークの隠れる曲がり角へ迫る。
ガチャガチャ、ガタン!!
スネーク「!?」
通気孔の蓋と……その上に何か、比較的重い物が落ちたような音と衝撃が伝わってくる。
スネーク「(モモイ、しくじったか!?)」
遮蔽があり目視はできないものの、事態を察したスネークはロボットの前へ躍り出た。
スネーク「行け!」
それほど切羽詰まった声色ではなく、冷静な指示だ。
自分以外に侵入者がいるのバレてはマズいため、あえて指示の対象は濁す。
傍から見れば、警備ロボット達を撒くための言葉に取れるため、賢明な判断だろう。
スネークはIDカードをロボットに見せた。
ロボットA「不審者をデータ照合……
スネーク「すまない、道に迷ったんでな。」
ロボットA「こちらはセミナーの生徒以外立ち入り禁止のエリアです。……向かわれている場所は、本当にこちらで合っていますか?」
スネーク「ああ、合っている。そろそろいいか?」
ロボットA「失礼いたしました。それでは……。」
ロボットAは巡回ルートへ戻った。
スネーク「……。」
スマホを取り出し、モモイへ連絡する。
SEND……MOMOI
モモイ『先生?さっきはどうもありがとう。』
スネーク「次はあの程度じゃ済まないだろうな。気をつけろ。」
モモイ『うぐ……まあ……できるだけね。』
モモイ『あっ、それでさ、』
スネーク「どうした?」
モモイ『棟の間の連絡橋まで来たんだけど、……セキュリティが全部OFFになってるんだよね。』
スネーク「……原因は分かるか?」
モモイ『なんでだろ?分からないや。停電とか?』
スネーク「照明に影響が出ていないな、完全に停電したわけでもなさそうだ。」
モモイ『見た感じ、向こうの棟も同じだね。』
スネーク「すぐに向かう。」
スネークは通話を切り、モモイの待つ連絡橋へ足を運んだ。
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モモイ「うーん……隠れてても何にも起きない……」
モモイ「オタコン先生に連絡してみようかな?」
モモイがスマホで電話を掛けた。
『……(呼出中)』
オタコン『───アリス、コントローラーの向きが逆……ああ、もしもしモモイ?』
モモイ「そっちは大丈夫?ミドリの声がずっと聞こえるんだけど……」
オタコン『……大体、問題はないよ。』
モモイ「…本題入るね。今、私たちのいる棟と、データルームのある棟のセキュリティが動いてないっぽいんだよね。」
モモイ「電気はついてるし……停電じゃなさそう。先生、何か分かったりしない?」
オタコン『セキュリティだけが落ちてるのか……妙だね。システムの誤作動っていうのは違うかい?』
モモイ「わかんないなー……あと今、連絡橋のドアのロックが外れて開きっぱなしになっててね?行ってもいいかな?」
オタコン『セキュリティが落ちてる分には問題ないだろうけど、急に再起動でもしたら閉じ込められちゃうんじゃ?ロボットだって───』
そこに、もう1人が通話に割り込んできた。
スネーク『こちらデイブ、報告がある。監視ロボットが急に動かなくなった。電源が落ちたらしい。』
オタコン『それなら、ロボットの方は心配なさそうだ。』
オタコン『……連絡橋は15~16メートルくらいだね?これならもう駆け抜けるしか無いかな……。』
モモイ「そっかぁ……デイブ先生は今どこ?」
スネーク『突き当たりにゴミ箱がある丁字路だ。』
モモイ「すぐそこだね!待ってるよ!」
スネーク『合流していいのか?』
モモイ「じゃあ、ここから先生は私の護衛ってことで……強そうだし。」
ノイズと共に、オタコンの声が割り込む。
オタコン『ん?ちょっと待ってアリス、僕はゲーム機じゃない───あっ、ディスプレイをこじ開けないで──アリス───』
モモイ「……あれ?」
スネーク『……すぐに向かう。』
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5分後 ミレニアム 第二連絡橋
スネーク「……行くぞ。」
モモイ「……うん!」
2人が姿勢を下げながら、連絡橋を走る。
あと10メートル。
あと5メートル。
あと1メートル……
二人は無事、連絡橋を駆け抜けた。
モモイ「ひゅぅ……」
スネーク「ここからは?」
モモイ「先生は緊張……しないか、先生なら。」
モモイ「この先を右に曲がってそのまましばらく行ったら、データルームだよ。」
スネーク「ついにか……やけに長かった。」
ヌッヌッ……ヌッヌッ……
モモイ「この音は!」
スネーク「何だ!?」
モモイ「ユウカだよ!隠れないと……」
何か隠れられる物や場所は……
この殺風景な廊下には、ゴミ箱と小さな観葉植物、そしてダンボール箱があった。
彼に電流走る。
スネーク「丁度いいものがあるな。……」
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ユウカ「どうしてロボットが動いてないの!?それに、コユキはどこに行ったの!?」ヌッヌッヌッヌッ
ユウカ「…痛っ……!?どうしてここにダンボールが?置き忘れかしら……」
不自然なダンボールに、ユウカが手を伸ばす。
ユウカ「……」
ユウカ「……」
ユウカ「…………」
ユウカ「こんなことやってる場合じゃないわね。」ヌッヌッヌッ
……
少し大きいダンボールの中から、大人の男と子供が出てくる。
スネーク「……どうだ、うまくいったろ?」
モモイ「ダンボールは凄いね……」
スネーク「ダンボールは隠れる上で最高の手段だ。覚えておけ。」
モモイ「……うん。」
モモイ「それと先生、あそこがデータルームだよ。」
指し示す先には、電気がつき、自動ドアは止まったままの部屋があった。
技術の最先端を行くミレニアムではありえないはずであるし、学園の機密情報を扱う部屋ともなれば尚更だ。
スネーク「……侵入者か?」
モモイ「えっ……?」
スネーク「それにしては随分雑だ。あからさまに痕跡が残っている。」
モモイ「……私は準備できたよ。」
モモイが愛銃を構える。スネークはソーコムに手を掛ける。
?「にっはっは……まずいですね……」
モモイが一歩、歩み寄る。
スネーク「(あいつは……ここの生徒か?)」
ソーコムを仕舞い、念の為に麻酔銃を取り出す。そして二歩、歩み寄る。
モモイ「動かないで!」
モモイが少女の後頭部に銃口を突きつける。
?「はっちゃ!?そ、その声は……」
モモイ「私の指示を聞いてね。まず、銃を置いて。」
?「背後を取られちゃったら……仕方ないですね。」
桃色の長いツインテールの少女が、銃を置く。
モモイ「コユキだよね……?」
その少女こそがミレニアムの問題児の一人
スネーク「……」
モモイ「じゃ、目隠しとこれで目と耳を塞いで?」
近くにあったヘッドフォンとモモイが持っていたタオルが、コユキに差し出された。
コユキ「えっ……何する気ですか!?誰かに連れて行かれたりしませんよね!?」
モモイ「用心深いなぁ……それだけしてもらえればいいから、お願い!」
コユキ「えっ、まだいいって言ってな……モゴモゴ!」
モモイ「あ、そういえばセキュリティが落ちてることで何か知らない?」
コユキ「私がシステムを解除したので……にはは。」
モモイ「そういうことかぁ。コユキ?いいものあげるから、おとなしくしてね?」ニヤニヤ
モモイは紙幣を7枚ほど、コユキに渡した。
コユキ「には……?これお金ですか!?」
モモイ「そうだよ〜、それも万札7枚だよ〜」ニヤニヤ
……実際はおもちゃの紙幣である。
スネーク「(こんな手段まで使うとはな。恐ろしい……)」
コユキをオフィスチェアに座らせ、壁側に向ける。
まだ紙幣を触り、ご満悦のようだ。
モモイ「あ、目隠し外したら没収だよ?」
コユキ「には……5、6、7枚……」
スネーク「(まだやってるのか?)」
スネークは足音を立てずに、ディスプレイの前に立った。
スネーク「モモイ、学籍はどうする?」
囁き声での質問に、同じく囁き声が返ってくる。
モモイ「貸して。えーっと、まず写真は……こうかな?」
モモイ「それで、うーん……苗字は……」
モモイ「
エンターキーが押される。
モモイ「発行は……こうかな?」ポチポチ
学生証の発行が受け付けられた。発行が終わったら取りに行けばいいらしい。
モモイ「よーし!これで……」
スネーク「任務完了だ。戻るぞ。」
スネーク「……コユキはどうする?」
モモイ「……協力……してもらえないかな?」
スネーク「報酬さえ支払えば、協力はするかもな。」
モモイがコユキにつけたヘッドフォンを取る。
直後、スネークがそれとなくコユキを椅子ごと動かす。
そして、ディスプレイの置かれたデスクの前に移動させた。現場だけ見れば、学籍偽造の一連の操作はコユキがしたようにも見える。
これならバレても問題ないだろう。
……スネークの、デイビッド個人としての、盗みへの仕返しだった。
ユウカのことだから、大事にはしないだろう、と踏んでの行動だった。
スネーク「さて、セキュリティが復旧しないうちに逃げるぞ。」
モモイ「うん!」
……
コユキ「……?そろそろいいですかね……」
目隠しを取る。
コユキ「!?偽札じゃないですかぁ!!!」
コユキ「騙されたーーー!!!!」
泣き顔でフリーズしている。
大声に気づいたのか、独特な音と共に大きな足音が聞こえてくる。
ヌッヌッヌッヌッヌッ……
ヌッヌッヌッヌッヌッ!!!
ユウカ「コ〜〜ユ〜〜キ〜〜〜?」
コユキ「あっ……」
コユキ「はっちゃ……こ、これは偶然で……」
ユウカとは対照的に、もう一人が静かに部屋へ入ってきた。
ノア「コユキちゃん?質問をしてもいいですか?」
コユキ「」
コユキは死を覚悟した。そして、持っていた偽札を落とした。
ひらひらと宙を舞って、床へ落ちた。
ノア「先生のお財布から、お金が抜き取られていた件なですが……」
ユウカの青筋が数本増えた。
コユキ「いや、それはその……後から倍々にして増やそうと……」
ユウカ「……」
青筋を立て、腕を震わせながらも、ユウカは笑顔である。
……目は笑っていない。
コユキ「は、はっちゃ──────」
その日、ミレニアムの第6データルームに雷が落ちたという。
前に掲示板で言っていたよりも間が空いてしまってすみません。
前・中・後編の構成にしようと思っていましたが、ボリュームの問題で1つになりました。
山場の1つであるエデン条約編に向けて頑張ります。