生きて帰れたァァァァッッ!!
でも、全然嬉しくねェェェェッッ!!
……筆者でもこんな状況になったらガン萎えです。
絶対みんな追い詰められるし早くしてくれってソワソワするよね。
実際のところ戦力回復と言われても、梯隊警護に参加したものたちは休む気にはならなかった。仲間があの攻撃地点に残っているからだ。山永も、帰った日はほぼ一睡もしていなかった。脳が摩耗している感じがするのに、全く眠れない。あの被攻撃地点の絵が、西やヴィーグル職員の死体が、脳裏にこびりついて離れない。いや、現地にいた人間だけでは無い。警衛中隊全体が、一刻も早く彼らを救助したい、救助すべきといきり立っている。しかしながら指揮系統で本国から来る指示は、【いつでも救助へ前進できる体勢を取れ。時期は別示とする】だけだった。見る間に基地内に暗い雰囲気が漂っていく。
一方、日本では、ちょうど臨時国会会期中だったため急遽、参議院・安全保障委員会で質疑が行われていた。【ソマリランドにおける陸上自衛隊の被害事案について】という題目だ。
佐藤議員(野党)が質疑に立っている。
「まず、防衛大臣に伺います。今回の護衛任務において、13名の自衛官、警護役務が死亡し、車両も複数失われた。これは明らかに “想定不足”ではないか。なぜ先行偵察は行われなかったのか?なぜテロリストの動向を事前に把握できなかったのか?」
「水島大臣」
「お答えいたします。まず、隊員の安否に関しまして議員のご指摘に誤りがございます。現地の状況が未だ不明のため、隊員の安否は不明でございます。これに関しましては確定情報が判明し次第速やかに発表致しますので、軽率なご発言はぜひ、お控え頂きたいと存じます。また、議員のご指摘に関しましては、現地では常時UAVによる索敵を実施しておりますが、今回の伏撃は地形を加工した高度なものであり、事前の察知は極めて困難でありました。また、一般的な総論となりますが各武装集団は近年武力を急速に拡大しており、米・EUの分析機関からも“軍隊経験者を含む高度な組織が増加中”と評価されております。想定の甘さというよりは、非国家組織の軍事的高度化が背景にございます。」
「委員長」
「佐藤くん」
「しかし、落とし穴、地雷原、重火器、ドローンまで使っている。これは明らかに 戦争行為 であり、自衛隊は十分な装備を持っていたとは言えないのでは?」
「水島大臣」
「今回現地に派遣された車両は、最新のAMI対応LAV・キソーユニット等であり、
装備は現行法の下で許される範囲で最大限のものです。ただ、委員ご指摘の通り、相手方が予想以上に重火器化・組織化していることは事実であり、今後装備体系の見直しを検討する必要があると考えております。」
ここで現統幕長の楢島空将が委員長に呼ばれた。
「参考人楢島統合幕僚長、お願い致します。」
楢島統幕長が静かに立つ。
「楢島参考人。あなたは現場で何が起きていたと認識していますか。正直にお答えください。」
「伏撃は、正規軍レベルの攻撃と報告を受けております。前方は落とし穴、左右はRPGと機関銃、上空はドローンスウォーム、後方は重火器。加えて迫撃砲による効果射が正確で、完全に“袋小路”を形成する意図が見て取れたと報告を受けております。前述を踏まえ、当該武装組織は単なるゲリラではないと思料します。」
明らかに委員会会場ざわつく。
「ゲリラじゃない……?」
「どういう意味だ?」
ざわ、ざわ、ざわ。
「佐藤くん」
「つまり日本は未知の敵と交戦したということですか?」
「いいえ。しかし現状判明している情報では明確な事実をお答えできません。未確認情報として紅海解放戦線と呼ばれる現地武装組織が現在活発であると報告は受けておりますが、確たる情報は今のところございません。しかしながら今回の精密な軍事行動を勘案いたしますと、その内部に軍務経験を持つ戦術参謀が存在すると考えられます。」
佐藤議員は食い下がる。
「委員長」
「佐藤くん」
「それでもなお、死者13名というのは大きすぎる。これは指揮系統の不備では?」
「楢島参考人」
「報告を踏まえますと、警護隊はよく戦ったと認識しております。今回、更なる損害を防いだのは、部隊の練度と現地判断の賜物です。正直に申し上げれば、確認された状況であれば、“部隊が壊滅していても全くおかしくありませんでした”。」
会場がまたざわつく。
「佐藤くん」
「楢島参考人、確認します。あなたは本作戦における隊員の行動を高く評価しているということでよろしいか?」
「楢島参考人」
「はい。特に後方陣地を新型誘導弾で破壊し、退路を確保した判断は、部隊の生存を決定付けました。」
「佐藤くん」
「なるほど。では、これは“部隊の勇戦”であり、政府の怠慢とは違う、と理解してよいですね?」
「楢島参考人」
「報告を受け、率直に隊員たちは勇敢に戦ったと認識しております。」
「佐藤くん」
「楢島参考人。あなたは撤退のために新型ミサイルを使用したと報告している。これは本来 “国家間戦争” のレベルで使う兵器です。なぜ非国家主体に対し、そのような兵器を使ったのですか?」
「楢島参考人」
「使用を決断したのは、隊員を全滅させないためです。後方の火点が残存している限り退路は開けませんでした。HGV以外の手段では、部隊の生存は不可能だったと判断します。」
「議長」
「佐藤くん」
「しかし、この判断は国際社会に“日本はゲリラに正規戦用のミサイルを撃つ国” という危険な印象を与えませんか?」
「議長」
「待ってください、楢島さんに聞いてるんです!」
「桐原外務大臣」
「失礼。委員、現場では隊員の生命が脅かされていた。自衛隊の判断は妥当であり、
国際法にも抵触しません。なお、米国・EUともすでに緊急協議を行い、“正当防衛として妥当”との評価を得ています。」
「しかし――」
紛糾、紛糾、紛糾。
「時間です。休憩に入ります。続きは午後に。」
「議長、あとひとつ……!」
ざわざわとどよめき。議会はただ、踊った。
「会議は踊る、されど進まず」
これを地でやってますよねぇ。
日本なら40年後でも絶対こうなるッッ!( ー`дー´)キリッ
……くそじゃねぇか……。
早く助けに行ってやれよ!!!