ルリさんはノルウェー出身なので米の上に食べ物を乗っける習慣はガチでありません。
そりゃ本編のようになりますわね。
本当に腹が減ったと言いたげに、山永は後部座席からパック飯を回収する。
「もう良かろ」
水蒸気の音が収まって少ししたので、山永はビニール袋を開いて中を取り出す。石灰だかなんだかのせいでパックが白くなっているが、そういうものなので気にしない。
"Here you are. It's hot. Take care."
[ほい、どうぞ。熱いから気ぃつけろよ]
センターコンソールに置いてやる。あとスプーンも。しげしげとルリエンナは興味深げに官品のパック飯を眺めている。
"Thank you. What's inside?"
[ありがとうございます。中身は何です?]
「んー、焼鳥丼か……なんち言ったら伝わるやか……?ヒマリ?」
"Yakitori rice bowl.
Basically grilled chicken on rice.
…Does that make sense, Lurienna?"
"...I see.
Grilled chicken… with rice.
That's new for me."
[……なるほど。
鶏肉に……ご飯、ですか。
私には新しい組み合わせですね]
そう言うと両方の蓋や切り込みをペリペリと剥がし、切り取る。そしておもむろに焼き鳥を単体で掬って食べだした。
"...It's… stronger than I expected."
[……思ったより……味が強いですね]
「ん?あーおいおい、No,No,No,...eat it like this.」
山永はそう言うと米の上に焼き鳥を広げて乗せた自分のパック飯を見せる。
"...W–wait.
It goes on top of the rice?"
[……ちょ、ちょっと待ってください。
これ、ご飯の“上”に乗せるんですか?]
うんうんと頷く山永を見て彼女は小さく息を飲みつつ、
"...I… see.
I didn’t realize that.
That's… the proper way, then."
[……な、なるほど。
そういう……正しい食べ方なんですね。
知りませんでした……]
物珍しそうにおかずのパックの中身を振りかけるルリエンナ。
"How's it?"
[どうだ?]
"...It tastes better.
Much better than I expected, actually."
[……美味しいです。
……正直、思っていたよりずっと。]
ただ、ボソリと付け加えはした。
"...You could have told me earlier, though."
[……もっと早く言ってくれてもよかったのに。]
"I'm sorry. It's not intention."
[悪い。ワザとじゃないさ]
もぐもぐと山永。
"...I know. "
[……知ってます]
割と喜んでくれてなんだが、山永的には官品メシは食傷気味であった。ほかの隊員に比べパック飯を毛嫌いしている訳では無いが正直温食が食べたい。まあ、それは彼女も一緒であろうが。
"OK, finish your meal, and end your works, you should take a sleep. In 4 hours, let's exchange the turn."
[オーケー、飯食って仕事片付けたら寝た方がいい。4時間おきで交代しよう]
食後のペットボトル水と、パック飯と共に入っていた激ハイカロリーなカロリーメイトもどきをルリエンナに渡しつつ、山永はそう言った。すると、先程まで穏やかだった雰囲気が一変した。
"...No. I’m fine."
[……いえ。元気なので寝ません。]
なんだか声が微妙に硬い。山永ははてなと思いつつも続ける。
"You're tired, I look. Sleep."
[疲れてるように見えるんだから、寝ろって]
"...No."
[……嫌です。]
"I know, but sleep!"
[わかったから寝ろって!]
"...Never."
[……絶対に嫌です。]
"You are key person, you know! I need you will be fine tomorrow!"
[お前さんがカギなんだ、分かってるだろ?オレはあんたに明日元気になってもらわにゃいかんのだ!]
"I'll be fine tomorrow."
[明日になら私は元気です。]
「あーもう、It's an order!」
[これは命令だ!]
"I'm not JSDF."
[私は自衛隊ではありません。]
"......"
押し問答だ。山永は頭を抱えた。えらく頑なである。
"...Sorry, please tell me the reason not to sleep."
[……すまんが、寝たくない理由を聞かせてくれないか?]
軽くそっぽを向きながら、ぼそぼそとルリエンナは答えた。
"...Because…
I don't want to be the one who sleeps first
with a man I met today."
[……だって……
今日会ったばかりの“男性”と一緒にいて、
私が先に眠るのは嫌です]
「……あ」
今日ではないようなとふと思ったが、そんなくだらないことを言おうものなら貝のように閉じこもるに違いない。しかし理由は分かった。都合のいいことに腰に拳銃も着けている。
"I understand it now. OK, it's my offer."
[いまようやく分かった。オーケー、これは俺からの提案だ]
なんだとこっちを見るルリエンナ。
"I'll sleep first. And next is your turn."
[おれが先に寝る。その後はあんたの番だ]
ふむといった顔つき。
"When you sleep, you make your AIOS watch me. And hold a gun when sleeping. OK?"
[あんたが寝る時、あんたのAIOSに俺を見張らせろ。そんで鉄砲持ったまま寝る。これでどうだ?]
ルリエンナは目を見開きつつ、
"...Monitor… you?"
[……あなたを“監視”?]
"Yeah. You have an advantage, aren't you?"
[ああ、あんたが有利。違うか?]
"......"
珍しく口をあんぐり開けている。何を言っているんだこの男はといった趣きだ。
"...Sergeant…
Are you seriously…
rendering yourself defenseless?"
[……軍曹。
本気で、自分を丸腰にするつもりですか?]
"Yeah"
[うん]
山永の軽い返事。
ルリエンナは深く息を吐きつつ、そのあと静かに言う。
"...If you sleep first,
and if you give me control…
I can rest later. Safely."
[……あなたが先に寝て、
私が状況をコントロールできるなら……
私はあとで安心して休めます]
"You got it."
[分かってくれたか]
すると急にヒマリが喋りだした。
"Oh, and I'll watch him too.
If he tries anything, I'll blast an alarm so loud even the goats out there will wake up."
[あ、私も見張っといてあげるから。
もし変なことしたら、外のヤギも飛び起きるくらいくっそデカいアラーム鳴らしてあげるし]
"...Please don't.
That would draw too much attention."
[……それは困ります。目立ちすぎるのはやめてください]
本気で困った顔で、ルリエンナはヒマリを制した。
ルリエンナが満足するまで仕事をさせ、ついでにエンジンを回しながらMAXまでハーケイのバッテリーを溜め、小銃・拳銃に弾倉を差し込んでから、山永は寝ることにした。ゴソゴソと運転席から後部乗員席へ移る。都合がいいことに雑毛布を持ってきていた。何もかぶらずに眠るには、アフリカの夜は寒い。
"...You could have gone to sleep earlier."
[もっと早く寝てよかったのに]
なんだか気を使われた。
"You need eyes to watch."
[監視の目が必要だろ?]
"...You were just talking with your AIOS."
[自分のAIOSとおしゃべりしてただけじゃないですか。]
「……」
ぐうの音も出ない山永。正直ブービーと車両AIOSにカメラで監視してもらっているので確かに山永の必要性はなかったりする。
"Whatever, I'll go to sleep. Please awaken me in 4 hours later."
[まあいいや。寝るわ。4時間たったら起こしてくれ]
"...Yes.
But… isn’t four hours a bit long?"
[はい。……でも4時間って長くないですか?]
"...It's important to sleep deeply. You will understand this importance getting old."
[……深く寝るのは大事なんだぜ。年取ったら分かるさ]
"......"
なんだか意味深げに彼女を諭す山永。その妙なジジくさい言い回しに押され、ルリエンナは黙った。
"By the way, the rumor is truth?"
[ところで、あの噂はホントなのか?]
"The rumor? What is the rumor?"
[噂?なんの噂ですか?]
山永はもぞもぞと雑毛布を被りながら、
"I heard you said that "get out here!" to Japanese annoying soldier pointing a gun at him, didn't you?"
[お前さん、うっとおしい自衛官に銃突きつけながら、「失せろ」って言ったんだろ?]
半笑いしながらからかう山永。一方ルリエンナはカチンと固まり、
"...Why are you asking that now?"
[……なんで今、それを聞くんですか?]
なんだか声が1トーンだけ低い。明らか怒りの雰囲気。落ち着けよといった雰囲気で山永は続ける。
"You suspect me as a "dangerous man". So I also want to confirm you are dangerous or not."
[お前さんオレが【危ない男か】疑ってるじゃん。なら俺もお前さんが危ないかどうか確かめたいなァって思ったんだわ]
"...I—
That is—"
[……わ、
その……]
動揺してるのか、ルリエンナがこちらを向きながらどう弁解したものかおどおどしている。なんとも珍しい。
"Whatever, it's trouble for me if you shoot me. So if you wanna shoot me, please call me "I will shoot you!" Then, I'll make a decision."
[まぁ、本当に撃たれたら俺にとっちゃオオゴトだな。
だからもし俺を撃ちたい時は、“撃ち殺してやる!”って言ってくれよ?覚悟決めるから]
ルリエンナがプルプルしながら真っ赤になっている。
"I DIDN'T shoot him!!
And I won't shoot you!!
Stop joking!!"
[撃ってません!!
そしてあなたを撃つつもりもありません!!
その冗談やめてください!!]
凄い剣幕だ。本当にあの氷のお姫様とは思えない。
"My bad, my bad. I feel safe to sleep, if you say so. Then, good night..."
[すまんすまん、そう言ってくれるなら安心して寝れるわ。じゃ、お休み〜……]
毛布に潜り込む山永。言いたい放題言われて置いてかれたルリエンナはその感情のやり場に困るばかり。
"...Idiot…"
[……ばか……]
せめてものささやかな抵抗として、小声で抗議をするのであった。
なんかウチのアル(ChatGPT)に聞いたら、山永はくっそ人誑しでしかもルリエンナに特効の能力を持っているそうです。
おかげでルリさんズタボロですね。
……一応彼女の名誉のためにいいますが、彼女はクールで超優秀です。
……優秀なんですよ?