アルゴノームⅠ   作:Type-Yasenbunko

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マジでAIの挿絵が気に入りませんッッ!!
……まあ、手前で描けないくせに文句言うなって話ですが。
なんにせよ今話はルリさん単独回ですな。
あの甘々のあとにこれ持ってきて読者さん逃げるんじゃなかろーか。
読んでもらいたいのは、まあ自己顕示欲なければこんなとこにアップしませんからね!正直そうだよね!(笑)
てかアップが遅くなりすみませんでした。
なにせ時期的に確定申告……
まだ終わってないんだけどねッッ!



第46話

ソマリランド中西部シェイフ、その町外れ。ルリたちヴィーグルは華盛基建材料集団有限公司(HIMG)、張偉民(Zhang Weimin)の護衛任務についていた。この会社は資源開発を主体とする中国国務院系の国有持株会社傘下にある。シェイフには石灰岩丘陵が多く点在しており、ソマリランド内でセメント生産力強化のためにHIMGがこの丘陵地帯に目を付けて測量を行っていた。

"......"

時間は昼過ぎ。ヴィーグルはプリンシパル(張氏)を含め三台編成で護衛を行っている。張氏は測量を実施している現地を視察するため丘陵を走っているところであった。ルリは3台目にエグゾスケルトンを装備した状態で乗車している。ジブチと違い、ガバイレにはAMI(ユーリディス)は必要性が薄いために配備されていないのである。

"ETA ten minutes."

[10分で目的地]

ヴェリティが通知してきた。今回ルリの装備はAccuracy InternationalのAXMC狙撃銃とM240だ。

"...Fuu..."

[……ふぅ]

嫌な予感がする。ありがたいような迷惑なような話だが、ルリの勘はよく当たる。ボラマの時も、実は良くない感覚を覚えていたのである。本国や、ベルベラの支社の情報提供でRLF(紅海解放戦線)や黒旗戦線の活動が活発という情報が入っている。ソマリランド内で中国系の外資も特にRLFから目につけられている空気感はある。この前もUAE系ではあるが、現地法人の要人が襲撃、殺害され、大きなニュースになった。そのため、ヴィーグルが雇われたのである。

"......"

間もなく、左巻きのヘアピンカーブが来る。ルリが怪しいと睨んだポイントの一つだ。前回のボラマへの警護の際もこれほどでは無いがカーブを狙われた。有り得る話である。ジブチへの核攻撃から、ソマリランドも当然だが情勢が劇的に変動しているのである。無論国際情勢にも怒涛が及んでいる。アメリカはつい先日再びテロとの戦いが始まったと声明を発表し、名指しで黒旗戦線を批判、軍事オプションを明確に表明した。ヴィーグル内でもソマリランド内で米軍の軍事作戦が行われるのは必定という雰囲気が流れている。

ルリは運転席の後ろの座席に座り、車窓から目を皿にして周囲を索敵している。

"......!?"

反射光が見えた、車両進行方向から2時の方向。ヘアピンカーブの外側に面した山の斜面、その2合目付近だ。

"Stop the convoy! Now!"

[停車、停車!!!]

ルリが無線で叫ぶ。3両とも急ブレーキ。その次の瞬間、

――ドガァァァァンッッ!!!――

1両目の目の前の地面が大爆発を起こした。辛うじて1両目は巻き込まれずに済んだのは幸いだ。そして先程見咎めた斜面からいくつかマズルフラッシュが見える。

"Break contact! Move out!"

[離脱、離脱ッッ!!]

ヴィーグル側のリーダーが無線を飛ばす。路外機動を取りつつ張氏のセダンが反転し始めた。事前の打ち合わせどおりだ。ルリはルーフに改造して取り付けたハッチを跳ね上げ、狙撃銃《AXMC》と共にドローンを持ち出す。

"Verity, launch!"

[ヴェリティ、ランチ!]

ヴェリティに指示し、スポッター用ドローンを飛ばす。そのままルーフの上で山側を目掛け裸眼で索敵。確認できた敵散兵位置、目測で300m。風向は吹き上げ2.5m/s。撃ち上げ20ミル。ドローンの測距より素早く、一目で全ての射撃環境を把握する彼女。遅れて彼女のアイセイフティ右上に目標方向の風向、風速、気温、湿度が表示された。ルリの目の良さは異常である。リムにより網膜の解像度・両眼間の同期精度・微小視差の判別能力など眼球系強化、視覚野・頭頂葉などの脳機能強化、そして視神経伝達の強化。様々な視覚能力を向上させる改造が導入されている。1両目もルーフのハッチを跳ね上げ、機関銃《M240》を射撃し始めていた。

"Direction?!"

[どこからだ?!]

"Two o'clock!"

[2時の方向ッ!]

無線が飛び交う。

ルリは狙撃手を優先で探すが見当たらない。いないのか。

【挿絵表示】

 

"Coming through!"

[通るぞ!]

ハッチに上がったルリの下を、ロレンツォ、イタリア系の隊員がルリの下をくぐって敵方の窓に取り付く。窓を開けて撃ち返すつもりだ。

ひとまず目に付いたPKM(機関銃)の射手を狙う。

"...Fuuu...!"

どだんっ!と一射目。制圧。ボルトアクション、次弾装填。次は……

(AKばかり……。他に潜むとしたら……)

ちゅぃんっ!と張氏の車両に命中弾。

(……ヘアピンカーブの内側!)

ルリは発砲炎が多数見える山側に背を向け、カーブの内側をスコープを覗かずに睥睨する。

"Gunfire detected. Eight o'clock from current vehicle heading."

[車両進行方向8時の方向より発砲音]

ヴェリティも素早くルリの判断と同じ方向からの発砲音を報告する。彼女も自らの勘が確信に近いと判断した。

(……見えた!)

発砲炎。なだらかな丘の中腹に、2名。狙撃銃のようだ。ギリーは着ていないし、銃にカムフラージュが施されていない。スコープを覗き込み確認できた。

"...Fuuu...!"

迷わず引き金を引く。ドダンッ!2射目。ボルトアクション、次弾装填。射手制圧。ドダンッ!3射目。次弾装填。敵狙撃組制圧。

【挿絵表示】

 

(……よし、次!)

ヴィーグル車両2両とも、窓越しに射撃を開始している。狙撃手があくまで目標《張氏》に拘ってくれたお陰で狙撃合戦にならずにルリが敵スナイパーを仕留められた。

"......!"

また元の斜面に射向を戻す。こちらは距離が近い。彼女からすれば釣瓶打ちだ。

――ドダンッ!ガシャ、ドダンッ!ガシャ、ドダンッ!――

瞬く間に射向を変えつつAKの射手たちを仕留めていく。その間に、張氏の乗ったセダンがUターンを終え、来た道を戻っていった。それに続く1号車。

"Fall back! Fall back!"

[下がるぞ!]

3号車も動き出した。ルリは狙撃銃に安全装置を掛け、座席に置いた機関銃と素早く交換する。停車していなければ、弾幕を張れない狙撃銃は役に立たない。殿として少しでも弾をばら撒き、相手の頭を下げさせるのだ。

――ダダダッ、ダダダダッ!!――

鉛弾を散らしつつ、大きな損害なく離脱する3両だった。

 

ルリ達が襲撃される前日、山永は1号倉庫、ホライズンマネージャーのラースの執務室にやってきていた。流石ここホライズンの長、小綺麗に部屋は片付いている。その部屋の備え付けのソファーセットで、ラースと山永は話していた。

”Thank you for taking the time."

[時間を取らせてすまない]

"No need to worry. What can I do for you?"

[気にする必要はない。どうしたんだ?]

"Ah, I want to work with you."

[あー、あんた達と一緒に働きたい]

"That's rather sudden. Why?"

[急だな。どうして?]

少し不思議そうにラースが尋ねる。

"I want a mission. My mission. And you offer me meals and a room. So, I'd like to return something."

[任務が欲しいんだ。自分の任務が。それに食事も部屋ももらってる。なにかお返しがしたい]

真っ直ぐな山永の目。ただ惰性で生きたくないという、目。

"You’re earnest. I suppose that’s typical of the Japanese."

[真面目だな。本当に日本人というのはそういうタイプなんだな]

ラースは軽く笑っている。

"...I'm not earnest, I think."

[……自分ではそう思ってないんだが。]

"Very well, we’ll leave it at that. Now then — what can you do?"

[なら、そういうことにしておこう。さて、君は何ができる?]

そう言われて、顎をさすりつつ山永は、

"Ah, Loading burdens, supporting supply, and cleaning?......Oh, I never can engage combat missions."

[あー、荷物の積載、補給支援、あと清掃か?あ、戦闘任務にだけは従事できない。]

"That sounds like work anyone could do."

[なんだか君でなくてもよい仕事ばかりだ]

ラース自身が山永と自分に出したマグカップのコーヒーを口にしつつ、少し皮肉げに感想を述べる。

"I'm a JGSDF soldier. I'm sorry but, I can't accept engaging PMC's combat. And so, Don't give me paycheck. I'm a volunteer. If I get paycheck from you, I'm maybe going to be fired."

[俺は自衛官だ。申し訳ないがPMCの戦闘には参加出来ない。あ、それと給料は渡さないでくれ。俺はボランティアだ。給料をもらうと俺は多分クビだ]

山永は一息でここまで述べるとラースに習ってコーヒーを飲む。またしても美味い。ただコーヒーメーカーで落としただけなのだろうが、今どきのコーヒーメーカーは侮れない。プロのバリスタの抽出要領でAIがお湯を落としてくれる。もちろんバリスタ並みの味はムリだがここまで行くと素人にはわからないレベルだ。恐らく、豆の質もあるのだろう。そしてどうでもいいが気付いたら随分英語も長く喋れるようになっている。文意が合ってたり適切だったり等は横に置いてだが。あとルリのときに比べ、一応丁寧に話しているつもりである。

"Still, I’d like to give you something that actually makes use of your skills."

[それにしてももう少し、君の専門性を活かせる仕事を任せたいな]

そう言うと少し考え、ラースは山永に任務を告げるのだった。




ルリさん相変わらず射撃させたらバケモン(freak)ですねぇ。
描写がなかったように別にナノマシンのバフは付いてません。
それであんなパンパカ当てられたら敵さんも堪りませぬなァ。
そして山永は山永でなんかやってるみたいですね。
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