アルゴノームⅠ   作:Type-Yasenbunko

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良かったな山永。
戦士になれるぞ。お前の望んだ戦士に。


第50話

"I am just a man, not superhuman."

[俺はしょうもないただの男なんだ、スーパーマンじゃない。]

 

"I need a hero to save me now."

[だれかヒーローが要るんだ、今すぐ助けてくれるヒーローが。]

 

"A hero will save me just in time."

[きっとだれかヒーローがギリギリで助けてくれるんだ。]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何のために戦士になったんだ。

 

何のためにクソみたいな自衛官続けてるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"Who's gonna fight for the weak, Who's gonna make them believe?"

[誰が弱い者のために戦ってくれるんだ?誰があいつらを信じさせるんだ?]

 

"I've got a hero.

I've got a hero,

living in me."

[ヒーローを見つけた。

ヒーローを見つけたんだ、

俺の中に]

 

"A hero's not afraid to give his life."

[ヒーローは命を捧げることを恐れない]

"A hero's gonna save me just in time."

[ヒーローがギリギリで俺を助けてくれる]

 

"I need a hero."

[俺にはヒーローが必要なんだ]

 

 

 

 

――彼の戦いが始まった。

 

ナノが俺の思考を透き通らせていく。こちらの目標はなんだ?連中の撃滅?それは望成目標だ。逆に連中の目標はなんだ?恐らくまた核攻撃だ。なら、必成は核攻撃の阻止。攻撃すべきはAMIよりも、車両。自分の思考が見る間に加速していく感覚。

――どんどんどんどんどんどんッッ!!――

黒とグレーのハイラックスが突進して来ている。まずは左のハイラックスのボンネットに6連射。すぐに煙を上げフラついて横転。周囲に味方がいるからか爆発はしなかった。場所が悪い。掩蔽物がほしい。検問の車止め土嚢を借りよう。

「……うおっ!??」

ジャンプで一息で行こうとして、思った以上のバネが出た。ハーケイを飛び越え、さらに狙った掩体を大きく飛び越え、路面に着地。

【挿絵表示】

 

「なんじゃこら!?」

『アクチュエータの過大トルクです。注意を』

「調整できんか?!」

『ご自身で』

「ああもッ!」

バタバタと土嚢に隠れつつ、敵方をチラッと見やると右のAMIがその場に片膝を突き、背部の背負子からRPGを取り出している。

――やらせんて――

さらに時間が引き伸ばされる感覚。集中力が加速し、世界がゆっくりと流れる。銃身を黒いAMIに振り向けながら気づく。

――無理に力で止めて照準せんと、このまま撃ってしまえ――

逆に力を抜く。アイセイフティのレティクルが奴を捉える前に、押金を落とす。

――ドンドンッ!!――

二発出た。ルリのように簡単に指切り単射はできんな。初弾が胴体を貫く。仰け反って1機目のAMIが倒れた。12.7mmはいかな装甲服でも耐えられまい。

【挿絵表示】

 

――ああ、ルリはこげんして射ちよったとやな――

自分がどんな状態か理解していく。周囲の認知、身体操作、重心移動。今までにないほど自分の全身の機能を理解・掌握していく。流石にもう1機がこっちを無視できなくなったらしく、こちらに機関銃を向けてきた。遅かなァ。照準を振り戻し撃発。

――ドンッ!――

ダウン。次、本命の車両だ。グレーのハイラックス。

――どんどんどんどんどんどんッ!!――

またしてもボンネットが蜂の巣。フラフラすると、そのまま路外へ飛び出し止まった。

「次!どっかおるか?!」

連中がこれっぱかしの戦力で攻撃してくるとは思えない。あのジブチ攻撃を行った連中だ。絶対にまだ後詰がいる。

『上空から見たけど、ここ以外4カ所攻撃されてる!』

『前方より3台、不審な車輌接近』

……マジか。全部潰して回ったら、絶対取りこぼす。考えろ。連中はどこを狙って核爆発起こしたい?

「……アイツらの狙いは港ぞ!港の近く、連中が集まってくる道路まで下がっぞ!誘導せェ!」

『分かった!』

『了解』

申し訳ないが、ここは地元の人間に頼むとしよう。しっかり頼むで、ソマリランド軍。装弾盤を解放し、弾抜け、箱型弾倉にリンクを押し込む。バレルをぶつけないよう器用に素早くハーケイのサイドドアから飛び乗って閉め、ガナーハッチを解放。

「場所選定したか?!」

『決まったよ!』

『前進可能です』

ピッとアイセイフティに簡易マップで候補地点が出る。アルファベットで表示までしてあった。指示通り港近くの十字路等だ。なんだか分からんが、ヒマリとブービーの息がぴったりである。

「よしきた!地点Dから行くぞ!ドローン戻せ!」

素早くドローン達が解放された後部ハッチから戻っていく。

「ハーケイ前進!」

『前進します』

ハッチを閉じつつ、ハーケイが急発進。ソマリランド軍は新しい車輌への対応、射撃で手一杯で山永たちの相手ができていない。検問をジグザグと走り抜け突破する。

――おら、ワイたい(お前ら)ばっかい狩る側にゃならんぞ。こっちの狩る番じゃ、ボケ――

 

ホライズンの後方車列の1台、その後部座席にルリはエグゾを装着し、AXMCを抱えながら座っていた。すでに方々で爆音と銃撃音が聞こえる。

"......"

アイセイフティのマップ画面に、Sgt. Yamanaga , Hawkei Engagingのポインティング。恐らく山永のAIOSからのデータリンクだろう。ラースの指示でホライズン側のドローンも上がっている。北東側ではジャミングも確認された。電子戦にまで発展しているのだ。

"......"

窓から外を見やる。黒煙が上がっているのが見えた。とりあえずの方針は港湾部分にたどり着き、必要なら迎撃するという話である。果たしてそれで済むのか。黒旗戦線は核を持っているかもしれないのに。

"......"

ルリは祈るだけだ。彼が無事に帰ってくることを。

 

 

――彼の戦いは続く。

 

D地点に向かう途中、突如ベルベラ市内広域の最新情報がリンクされた。ヒマリによるとホライズンからの提供らしい。東部の検問所ではジャミングも確認されている。

「いいねェ!進路変更、地点A!」

『了解』

『なんで?!』

ブービーは直ちに了承、ヒマリは疑問の声。

「わざわざ電子戦まで仕掛けよっとぞ?!本命激アツたい!!」

全方面でジャミングが起きているなら判断つかないが、1箇所となれば余程そこを守りたいのが透けて見える。ほぼ確信に近い。

『左前方に不審車両5台』

ピピッとアイセフに表示。こちらに合流してくる。プロボックス2台にハイラックス3台編成で、2両のハイラックスの荷台には黒マントのAMIが乗っている。山永はガナーハッチを解放し、M-2とともに上半身を乗り出す。左前方に車両。距離350。連中は敵味方の識別がしやすくて助かる。しかも射方が海で開けていて人・物もなく撃ち放題だ。見敵必殺。

――どんどんどんどんどんどんッッ!!――

鈍く低い射撃音。偏差射撃で進行方向から3台目に叩き込む。初弾をマント野郎狙いでそのまま車体へ向け横射。AMIには当たらなかったがボンネットが炎上しそのまま減速して4台目と接触、路外に飛び出し横転。あら痛かろうな。間髪入れずもう一人のAMIが乗る4台目に6連射。接触したせいでふらついているところに駄目押しの射弾でコントロールを失いスピンしてコースアウト。

「目ェ出しとらんけやらるっさね!(やられんだよ)

向こうは一切こちらに気づいていなかった。並行よりやや後方でハーケイが走っていたからもあったが、恐らく全周警戒できる機材がないのだろう。こちらにはハーケイの全周カメラのおかげで俺、ブービー、ハーケイの3人の監視がある。

少し先で車両爆弾たちと合流してしまいそうである。撃ってはならぬ物が射界に入る前にとっと仕留めねば。

――どんどんどんどんどんどんッッ!!……どんどんどんどんどんどんッッ!!――

残り3台も釣瓶撃ちだ。

『やるじゃん!!』

「走っとるだけの車なぞただん的よ!!」

誉めるヒマリ答える俺。しかし、ここからが本番だ。こいつらも従攻であって主攻では無い。あとどれ位戦力があるのか。

「相手の戦力分かるか?!」

『現状車両約20台、AMI約7機、ドローン約20機が確認』

「前回よりこじんまりやなァ!」

『まだ来るでしょ!』

「やろうな!!ハーケイ、A地点急げ!」

『了解』

指示に従い法定速度など何のそのの速度で、土煙をさらに高く巻き上げハーケイが加速していった。




実は戦闘終了まで一気に書き上げておりますたが、あまりの長さに分割しました。
すんませぬ……。
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