アルゴノームⅠ   作:Type-Yasenbunko

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せっせと事後。
ルリは被った猫を何処かに投げ捨てたようです。
もともと仲の良い友人にキャラを出してはいたようですが、
男に見せるのは初ですねぇ。


第55話

ハーケイの後部座席。山永がルリの肩に左手を回し、抱き寄せている。ルリは山永の肩に頭をもたれかからせ、幸せそうな顔をしていた。

“...It’s strange.”

[……不思議]

"What's it?"

[何が?]

手を絡め、恋人繋ぎをしていたが、軽くルリの側が握りしめる。彼の肩に乗せていた頭を頬ずりに変え、甘えるように目を瞑った。

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“...When I came to your room, I felt like everything was already over.”

[……貴方の部屋に来た時は、もう、何もかもお終いみたいに思ってたのに]

"Yes."

[うん]

“But now I feel so... at peace.”

[今は、すごく……晴れやかなんだもの]

ゆっくりつぶった目を開き、穏やかで嬉しそうな顔。山永はそれを眺めると、優しく左手で頭を撫でてやる。

"......"

幸せそうにまた目を瞑るルリ。それを見て、山永が彼女のおでこにキスをする。

“...Mm... you kiss me too much.”

[……んもう……キスしすぎ]

"You don't want it?"

[いらねえの?]

“...I do.”

[……いる]

なんとも素直になったもんだと山永は思った。これがルリの素かと思うとなんだか年甲斐もなく胸が高鳴る彼。

"......Though, you are also childish like me."

[……てか、俺と一緒で子供っぽいじゃん]

咎められたルリは少しジト目で、顔を向け、

“...And whose fault you think that is?”

[……誰のせいだと思ってるの?]

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"It's me?"

“...Yes. Yours.”

[……そう。貴方]

口答えを黙らせるべく唇にキスを仕掛ける山永。唇を離すと、

“...See?”

[……ほら]

全くもって嬉しそうな表情で、ルリが抗議してくる。そのまま髪を梳くように頭を撫でると、穏やかに目を瞑る彼女。

"......You had same dreams as me, though."

[……てか、俺と同じ夢見てたとはな]

“...What?”

[……えっ?]

"I also had the same dreams you had."

[俺もお前さんが見た夢と同じもん見てたぜ]

頭を撫でるのは止めずに、呑気に話す山永。自分が死ぬ話なのにどこか能天気である。

“...Why didn’t you tell me sooner?”

[……なんで先に言わないの?]

ややムッとした顔で不満を述べるルリ。

「あれ?Didn't I said that?」

[言ってなかったっけ?]

“...No, you didn’t!”

[言ってない!]

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"I see. Sorry, Luri."

[そっか、すまんルリ]

むくれながら肩に寄りかかり、頭を擦り付ける。

“...I was so worried, and I couldn’t bring myself to say anything because I thought you’d think I was crazy...!”

[……あんなに心配してたのに、変だって思われるかもって、言い出せなかったのに……!]

"I'm sorry, Luri! Forgive me."

[ごめんてルリ、許してくれよー]

またしてもおでこにキスしながら許しを乞う彼。

“...Well, fine. ...But what are we going to do? If we believe that voice, then in Berbera, you’re going to...”

[……まあ、いいけど。……でもどうするの?あの声を信じるなら、貴方はベルベラで、その……]

幸せそうだった彼女の顔が陰る。

「……うーん」

(こげなことのあるもんかね?)

オカルトは信じないものの、ここまで一致すると何かあるに違いないと思ってしまう。

“...What if we run?”

[……逃げるのは?]

"No. No way."

[いや、それはない]

“...I thought you’d say that. But still...”

[……そう言うと思った。でも……]

真剣な顔になるルリ。

“You are not dying. You said you’d marry me, didn’t you? Then figure out how to survive.”

[死ぬのはダメ。結婚してくれるって言ったでしょ? なら、生き残る方法を考えて]

そう言われ、うーんと唸る山永。一応夢を信じるのならさまざまな関門は突破して、あと残っているのはベルベラの核攻撃だ。これは確かに陸幕の定期連絡や現地ニュース、AI分析でも話が出てはいる。もちろん核攻撃が大前提では無いが。しかし黒旗の連中が一発しか持っていないとも限らないとどの情報源も言及しているし、あの夢を見せられた彼はもはや確定事項の様に思えてくる。

"No one believes us if we tell them that dream. How we talk about it......"

[だれも俺らが夢の話をしたって信じやしないし、どうしたもんか……]

“...Why not just present it as information from the JSDF? I think Lars would believe us.”

[自衛隊からの情報提供でいいんじゃない?ラースは信じると思うけど]

そうか、と山永。そもそも自衛隊はそんな機微な情報を末端の3曹なぞに教えてくれないので思いつきもしかなかった。しかし外部の人間からすれば自衛隊独自の情報であれ、米軍経由であれ、真っ当な軍事機関からの情報と分かればその情報の精度が高いと認識されるのは納得である。

"Good. It makes Vigle believe our opinion. And, next......"

[いいな。これでヴィーグルを信じさせることはできるな。あとは……]

どう対策を取るかという話である。あの夢を信じるなら、核攻撃を仕掛けてくる黒旗のAMI、ドローン、UGVをどうにかしなければならない。一番上手くいって、無理矢理核爆弾を引きちぎったケースがある訳だが、結局山永が撃ち殺されるのだろう。しかしそこでふと、山永は思いつく。

"......If I tell Lars this story, he will change the plan? I think He won't be involved with the nuclear attack."

[……てかもし、ラースにこの話したら計画変更するか?核攻撃には巻き込まれたくないだろうし]

“That’s true. I think he’d take some kind of precaution, like changing the shipment schedule or making other adjustments.”

[それは確かに。便を変えるとか、何かしらの対策は取ると思う]

"...I see."

[だよな]

ただ、そういう風に動きが変わるのなら、ヴィーグルを巻き込むのは山永は気が引けた。フロントガラスの向こうの、倉庫のシャッターをぼーっと見ながら、どうしたもんかと思案する。するとルリはすぐ彼のその心情を察し、

“...Then we just don’t tell them.”

[黙ってればいい。]

「……?!」

私情丸出しだ。ルリがこんなことを言うのを初めて見て、山永がびっくりしている。

“...I don’t care anymore. I’ve been used enough. For once, it’s my turn to use them.”

[もういいの。散々利用されてきたから、たまには利用しないと]

開き直っている。しかもなんならスッキリした顔になっていた。彼女は猫を被っているだろうと山永も思っていたが、ここまで変わるとは思っていなかったわけである。まあ、彼女も親しい友人にはこの調子で話していたりはする訳だが。

"I feel your character changes, though."

[なんか、性格変わってね?]

“...Did it?”

[そう?]

ニコッと笑う彼女。それにどきりとする山永。

"......OK. I guess, if we want to break through the black banner's attack, we must neutralize a nuclear bomb. So, we must neutralize the nuclear bomb itself, also other activaters, these personnel and AIs.

[……まあいいや。思うに、黒旗の攻撃を切り抜けるには俺らは核爆弾を無力化しなきゃならん。だとしたら、俺らは核爆弾自体、起動装置、黒旗の人員、それと連中のAIを制圧しなきゃならんよな]

“I think so. For now, it would help if we could at least disable the triggering part, but we’d still have to stop them from using it as a dirty bomb, which means we’d need to take the bomb itself away from them too.”

[そうだと思う。とりあえず起動部分だけでも無力化出来ればいいけど、ダーティボム(汚い爆弾)としての利用も制圧しなきゃならないから、連中から爆弾自体も回収しなきゃね]

"......Therefore, we have to suppress them all at last."

[……つーことは、俺らは連中全部を制圧しなきゃならんわけだ、結局]

ルリの頭を撫でながら、溜息を吐く。これは一大事だ。

“...Should we run after all?”

[……やっぱり逃げる?]

撫でられながら見上げるルリ。ここでうんと彼が言うとは欠片も思っていなさそうな顔で。山永は笑いながら、

"......No way."

[……ないわ。]

“...I figured. Then we’ll have to make it work.”

[……そ。じゃあ、頑張らないとね]

そう言いながら、ルリはまた、彼の胸に埋まろうとし、山永は彼女を優しく抱きしめるのだった。




一周回って悪巧みなルリさん。
良識人と思いきや、最早使えるものは何でも使ってやろうというストロングスタイル。
言うて彼女も欲しいものを手に入れる時はいかなる手段も使うタイプですね。
ま、軍人なんぞみんなそんなものか!(笑)
それにしたって二人生存ルートクリアに必要な突破条件、ゲキムズじゃね?!!
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