それはいいところでもあり悪いところでもあり……
だからこそ、正々堂々にこだわるんですよね。
そこは傲慢でもあります。相手がチート使っても正々堂々やってそのマウント取ってからねじ伏せたいというね(笑)。だからこそ今回の結末は、最終話にかかわらず不満げ。
シュウから言わせれば、「勝ちは勝ちだ」でしょうが。
でもいいんです。
だからこそあなたにも伝えたい。
どんな形であれ、勝ちは、価値だ。
そして何をもって勝ちと決めるのかも、あなたですから。
予定通り、ホライズンがチャーターしたRORO船の甲板。山永とルリが手摺に寄りかかりながら海を並んで眺めている。
あの地獄のような戦闘の後、ソマリランド軍が集まる前にホライズンともども、山永は船に飛び乗った。出航前にゴタゴタはあったが核攻撃という混乱に乗じて船は上手いこと出航出来たのである。
"...What's wrong?"
[……どうしたの?]
山永がなにかにつっかえているように遠くを見ているのに気づいて、ルリが尋ねる。
「……あー」
唸りつつ、どう言ったもんかと山永はさらに悩む。
"You've been like this ever since things settled down. What's eating you?"
[落ち着いてからずっと、こんな感じなんだよね。一体どしたん?]
ヒマリも相乗りしてくる。バレバレかと山永は思った。美しいエメラルドグリーンのアデン湾の照り返しに目をすぼめながら、
"......It's cheating, I think."
[……ズル、だと思ってな。]
"Cheating?"
[ズル?]
"Yeah."
[ああ。]
くるりと身を翻して背中を手摺に寄りかけ船の天井を仰ぎながら、
"I don't like, ...that someone leads me with whispering."
[誰かに横でこそこそ入れ知恵されんのは、嫌いなんだよ]
"......"
ルリがそういう事か、という顔をした。
"...You mean the dream?"
[……あの夢のこと?]
"That's right."
[ああ]
今度はヒマリが口を開く。
"Why? If everything worked out in the end, what's the problem?"
[なんでよ?結局全部上手くいったんならいいじゃん!]
そう言われても、山永は納得出来なげである。
"......What to say......, I wanna make my choice with myself. Do your business."
[……どう言ったもんかね、……俺は自分で決めたいんだ。余計なお世話ってやつだ]
人様の意志で自分を決めたくない。それが例えリッパな神様の意志であっても。とはいえその『カミサマ』とやらのお陰で今回上手くいったのは間違いない。
"......Then choose what you do with it."
[……なら、それをどう受け取るかは、あなたが決めればいい]
ルリは海を見ていた顔を回し、優しげに山永を見つめる。
"......At least, I'm grateful.
Because I get to be with you."
[……少なくとも私は、感謝してる。
貴方と一緒にいられるから]
無垢な笑顔で、ルリは言葉を滑らせた。それは彼女の本心と言って差し支えない。
"I see."
[そうか]
それでも気に入らなげに、
「余計なお世話やった。が、あんがとさん」
またくるりと海を向くと、煮え切らない感謝をどこかの誰かに彼は投げるのだった。
宇宙の果て。いや宇宙そのもの。
そこに満願を成就させた『それ』がいる。
『それ』はいたずらっぽく笑い、答えた。
《ばーか》
《我々はアルゴノーム。
我々は、個にして全、全にして個。
我々は、時空を超えて語り合うもの。》
"We are Argonome.
We are the one in many, the many in one.
We are those who speak across time and space."
これは、とある自衛官の、世界の"真理"と語らう物語。
とあるPMCオペレーターの、ガール・ミーツ・ボーイ。
我らは脆くて儚い動的平衡体。しかしその薄皮を幾重にも重ねて、きっと宇宙の果てへとたどり着く。