【完結】俺は死んだはずだよな?   作:破れ綴じ

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おかげで毎日更新が不可能な状態となっておりました。

今日2話投稿するのでどうか許してください(´;ω;`)


予想通りの実態と偶然の発見

 おお、ちょっとぶるっときた。冷えてきたな。そろそろ季節も変わるし、当たり前か。

 ソラナが帰ってきたら暖かい服を準備してもらうよう頼んでみるか。なんかソラナに服を工面してもらうのも慣れてきちまったな。こんなこと慣れたくなかったな。

 

 ただ、今はソラナの部屋に俺一人だ。勿論ここで色々やることはソラナから事前に許可を取ってある。

 本棚の前にはずらっと、呪いの種類、発動条件、解除方法とか分厚い本が並んでやがる。こういうのも俺にとっては重要ではあるが……生憎今はどうでもいい。

 俺が今欲しいのは本の間に挟まってる書類か、そういう記録をまとめた資料そのものだ。前に見つけた献金の横領記録とか洗脳手法のマニュアルとか不要な信者リストとか、あの中に幹部の情報も書いてあったはずだ。

 ここは幹部の部屋だから、教会被害者に雇われた探偵が涎を流しながら飛びつきそうな情報の山が簡単に手に入っちまう。それを生かさない手はねえ。

 

「どれだ、どの本に挟まってたんだっけ……」

 

 ああ、これだ。幹部のリスト。

 名前に担当区域に活動内容に成果──細かく記録が残ってる。

 ええと、「長老」ことヴェインの担当区域は……王都南部、ね。

 活動内容は勧誘に洗脳に情報売買。成果は勧誘成功率八割で献金総額が──

 

 ……なんだこの数字。文字通り、桁が一つ二つ違うぞ。

 他の幹部と比べてみるとよく分かるというか。次のページにあった別の幹部の名前は、勧誘成功率五割、献金総額はヴェインの半分以下。その次の幹部はもっと低い──いや、ヴェインだけが飛び抜けて高いんだ。

 

 こいつは相当やり手ってことか。

 いや、やり手っていうか──悪質ってことか。

 

 次のページをめくると……他国との取引記録でもヴェインの名前が何度も出てきやがる。売ってる情報の内容も書いてあんな。王国の軍事情報に、貴族の醜聞に、商人の取引記録。情報を売って金を稼いで他の国にも信者を作って……国を超えても悪事を働いてるってことかよ。

 ……こんなもんをどうやって手に入れてやがんだ? 考えられるのは、「大量の信者から情報を集めさせてる」か「情報屋を脅してる」か「お偉いさんの中にもヴェインと裏で手を組んでるヤツがいる」とか、そんなとこか? 

 むしろ全部かもしれねえな。あの胡散臭さなら、王城にいる政務官とニコニコしながら汚い悪手してても違和感がねえ。賄賂の記録だって色々あるし。

 

「逆に言えば──コイツは教会の『心臓部』って訳だが」

 

 俺は教会を倒さなきゃいけねえ。

 今でこそ協力的とはいえ、ソラナは教会を信じ込んでる状態。カルも精神的に弱ってて、いつ教会の手が忍び寄ってくるか分からない。ロエマだってレミがいなきゃ教会に取り込まれてたかもしれねえ。レミが気を抜いた瞬間が終わりと言っても過言じゃねえんだ。

 他にも弱った人間が、教会に狙われ優しい言葉をかけられ居場所を与えられ献金を巻き上げられて──そんなヤツらがこの王都にどれだけいるのか分からねえ。

 となりゃ、このまま無視って訳にはいかねえよな。

 

 ただ、教会の規模は思ってたより強大だ。ただ単純にやってくる勧誘をお断りしてればなんとかなるって感じでもない、中には『洗脳の呪い』とかいう圧力をかけてくるヤツらもいるんだ。よくこんな脅威が息を潜めてられたなおい。

 とはいえ、教会の信者は日常に紛れ込んでるから、商人も兵士も貴族の使用人も、誰が信者なのか分からねえ。下手なとこに声をかけて、それで企みがバレるって可能性も決して少なくはない。

 実に厄介だな。敵の数が分からねえし誰が信者で誰が違うのか見分けがつかねえ。何百人いるのか何千人いるのかそれすら分からねえ。教会を倒すってのはそういうことだ。目に見えねえ敵と戦うってことだ。

 

 じゃあ、どうやって? 

 

 ソラナが言うには、教祖ってヤツがいるらしくてそいつが一番上。で、その下に幹部がいる。

 王都だけじゃなくて他の国にまで手を伸ばしてやがる。信者は日常に紛れ込んでて誰が敵なのか分からねえ。そんな組織を俺一人で潰せる訳がねえ。

 

 顔も知ってるソラナなら、遠隔から教祖を呪い殺しでもしてくれるかもしれない。教会自体はハリボテで、呪いのことなんてソラナしか分からねえんだから証拠は残らねえし、警戒もなく頭を潰すことができる。ただ、ソラナに人殺しなんて真似はさせたくねえ。ソラナを守るために、ソラナに罪を背負わせるなんて本末転倒もいいとこだ。

 レミに頼めば、「ご主人様のためなら喜んで」とか言ってあっという間にヴェインを始末してくれるはずだ。ただ、早いだろうが……その間、ロエマを守るヤツがいなくなる。教会は一瞬の隙も逃さず狙うだろうし、そうともなればソラナの権限でも止められるかどうか怪しい。個人的な都合だが、頼ったらまた「ご主人様」呼びが加速しそうで嫌ってのもある。

 ルシアを見つけてこの証拠を突き付けるって手もあるが、多分無理だな。お偉いさんが腐敗してるならルシアが動いたところで上に揉み消されるか、捕まってもすぐ出てくるかのどっちかだ。逆に、ルシアの立場を危うくさせることに繋がるかも。それじゃ何の意味もない。

 

 結局俺が自分でやるしかねえ。

 かといって俺が直接教祖を狙うのは無理だ。そもそもどこにいるのかすら分からねえし。だから、先に潰すなら──

 

「手足から……教会の幹部からだな」

 

 幹部を潰して教会を弱らせる。一人ずつ確実に潰していけばいつかは教会全体が崩れるかもしれねえ。少なくともこの王都の勢力は弱まるだろう。

 狙うなら──このヴェインになるだろうな。影響力が飛び抜けて強いし、勧誘の成功率が高くて献金も一番多くて他国にまで手を出してやがるとなれば、こいつを潰すことで教会は大きく弱らせられる。

 

「ヴェインの次の予定は……」

 

 ああ、あった。年間の予定表。

 んなもん配ってんのか。ソラナの年間予定表もあんのかな。緊急を要する時のために一応俺も確保しておきたい。

 

 ヴェインはというと……定期的に教会を訪れて報告をして会議に出て──へえ、幹部専用の屋敷もあると。

 ええと? 三日後。ヴェインは王都の南部にあるその屋敷で信者向けの集会を開く。時間は夕方。参加者は信者と新しく勧誘したい人間。なるほど、ごそっと新規信者を抱え込もうってか。見た感じ何回もやってるらしい。

 

 じゃあ、そこに俺が潜り込めばいいな。

 信者のフリをして会場に入る。実際今の俺は信者なんだし。で、ヴェインに近づく。

 手段は携帯式とか、隠しやすい刃物にしておくか。

 失敗した時は素知らぬ信者のフリして無関係を装い、次の集会の時に再チャレンジする。

 

 よし、これでいこう。

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 

「なあ、ソラナ。前に言ってたよな。ヴェインの『洗脳の呪い』って、ただ会話が上手いだけじゃないかって」

 

「あ……は、はい……そ、そう思います……」

 

「他の幹部も、呪いを使ってるの見たことないって言ってたよな」

 

「は、はい……わ、私以外、誰も……使ってる、ところを、み、見たこと、ないです……」

 

 ソラナは自分でも、他の幹部が誰も呪いを使ってない、使えないってことに気づいてる。ヴェインの「洗脳の呪い」だって、ただ話が上手いだけだってこと。

 ただ、ソラナの中じゃ、呪いは実際に存在したんだから教会の教義は本物だって認識になってるし。そもそも呪いってのはあくまでそういうもんで、使えないのが普通って思ってるから教会のあり方に疑問を抱いてない。

 だから、あからさまな詐欺組織だって見りゃ分かるのにソラナの頭の中で勝手に善行に変換されて、教会は正しい組織だって思い込んでることになってる。

 ソラナの誤解を解くためには、「その考えが破綻している」ってことに自分から気づかせなきゃいけない。

 

「じゃあさ──その教義を作ったヤツは、呪いが使えるのか?」

 

「……?」

 

「光明の教会を作った──教祖は、呪いが使えるのか?」

 

「ど、どうなんでしょう……? 私、見たこと、ないですし……」

 

 ソラナが首を傾げる。考えたこともなかったって顔だ。

 

「教会の教義って『呪いで人を救う』『呪いは神からの力』『呪いで悪を正す』だろ? 全部、呪いを使えることが前提になってる」

 

「そ、そうですね」

 

「じゃあよ。教義を作った人間は呪いを使ってねえとおかしいだろ。使えねえヤツがなんで教義を書けるんだ」

 

「た、確かに……!」

 

 表情が変わる。何かに気づき始めてる。

 そうだ、そこに気づけ。呪いを使えねえヤツが、呪いを前提とした教義を作るってのはおかしいんだ。

 

「で、教祖は呪いを使ってるのか? お前、見たことあるか?」

 

「い、いえ……お、お会いしたことは、あるんですけど……つ、使ってるところは……」

 

「使ってねえってことだろ」

 

「……も、もしかしたら、わ、私が見てないだけかも……?」

 

 ああ、そう簡単にはいかねえか。ソラナはまだ教祖を信じてる。

 そりゃそうだ。教会に拾われて、居場所を与えられて。一時期、仮初とはいえソラナにとって教会は心の支えだったんだから。俺の言ってることと、自分が信じてきたことが、噛み合わなくなってきてる。そうポンと崩せるなら初めからそうしてたさ。

 ただ、黙ったまま、俺の言葉を否定するでもない。頭の中で何かを整理してるみたいだ。

 

 俺としちゃ、なんとか少しでもいいから、教会について何か不信感を持ってほしい。一度気になれば最後だ、ソラナはそういったことだって調べられる立場にあるんだから。

 ソラナには自分で考えて、自分から教会を抜ける意思を持ってもらわないといけねえんだ。ここで自分から気づけないままだと、俺が諭しても、もう一回勧誘された時とか、上から第二第三の理由を提示された時に二の足を踏むことになっちまう。

 

「お前は呪いが使えるよな。それって、教会のおかげか?」

 

「は、はい。教会が呪いの存在を教えてくれたから……」

 

「そうか? アイツらの教えたやり方は間違ってるんだろ?」

 

「あっ……」

 

 ソラナの目が泳いでやがる。何かがおかしいって気づき始めてる。

 教会は呪いを教えてくれた訳じゃねえ。ソラナが呪いを使えるのはソラナ本人の努力によるものだ。教会は何も関係しちゃいない。

 拒絶はしてねえが、自分の中で何かが噛み合わなくなってきてるみたいだ。

 教義を作った人間が呪いを使えなかったのに、呪いを前提とした教義を作る。それって、最初から嘘っぱちって可能性に思い至り始めたんだ。

 

「わ、私……ちょ、ちょっと……こ、混乱、してきました……」

 

「そうか。まあ、ゆっくり考えたらいい」

 

 今これ以上言っても逆効果だな。ソラナが自分で考える時間が必要だ。俺が一方的に答えを押し付けたって、自分で納得できなきゃ意味がねえんだし。

 よーし、俺も打倒ヴェインの準備するかあ。

 

 

 

「(アシェルさんの言ってることって……教会は間違ってるってこと……?)」

 

「(何か、他に意味があるのかな……じゃなきゃ、普通に言ってくるよね……)」

 

「(アシェルさんの言葉なら……私は何だって信じるし、納得するのに……)」

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 

 ふーん……あれか。

 

 湖畔のすぐ側の崖の上にそびえ立ってる、あの屋敷。

 偏見だが、ああいう辺鄙なとこに自分の屋敷を建てるヤツは総じて趣味が悪い気がする。

 ……なんか、若干息が白く見えてるような。

 あの建物の中はあったけえんだろうな。

 

「あーさむ……」

 

 今日の夜、ヴェインが自分の屋敷で信者を集めた集会をする。

 てことはつまり、そこにヴェインが来るってこと。これはチャンスだ。

 

 とりあえず、集会っていうんだから服装は信者のローブで。持ち物はナイフを二本忍ばせてきた。盗賊の頃に使ってたヤツじゃねえが似たようなもんで、市場で適当に買った。刃渡りは短いが人を殺すには十分だろ。こんなもんを買うのも久しぶりだったが、予想してた手に馴染む感じがしない。盗賊の血ってのは案外簡単に抜けちまうもんだな。

 パッと見護衛の数もだいぶ多い。人が少なけりゃ色々やりようはあったんだが……まあ、この有様だ。この状況に対する具体的な手段なんて考えられてねえし、半ば衝動的にここまで来ちまったのは認めざるを得ない。もし狙うなら集会が終わって、護衛の数が減ったタイミングかね。

 

 ──『参加者の方は、こちらへお並びください』

 

 ご丁寧に看板立てて案内されてる。親切だな。

 それとも、初めて来るヤツが迷わないようにしたいのか。新規の勧誘対象も混ざってるんだろうし、そりゃ案内が必要か。

 ま、あの列に並ぶしかねえな。他に入り口もなさそうだし。皆ローブ着てて、おとなしく順番待ちしてやがる。真面目だな。俺もその一人に見えてんだろうが。

 

 建物は石造りで装飾が凝ってやがる。窓はステンドグラスで扉には彫刻が施されてて屋根には金色の十字架が輝いて。こんな豪華な建物を建てる金があるなら信者に還元しろよって思うが──まあ幹部ってのはどいつもそんなもんなんだろうな。見栄を張るために金を使って弱い人間から搾り取った献金で豪華な建物を建てる、と。反吐が出るような話だ。

 崖の上ってことは、もし何かあった時に逃げ道が限られるってことでもある。正面の門から入って正面の門から出る。それ以外の道がねえ。崖を降りるなんて無理だし湖に飛び込むのもよっぽどのことがねえと現実的じゃねえし。まあ今はそんなこと考えてる場合じゃねえが。

 

 ──お、やっと順番か。

 

「ようこそ、お越しくださいました」

 

「信者の方ですね。歓迎します」

 

「ああ」

 

「──あ、その前に。武器になりそうなものをお持ちでしたらこちらでお預かりします」

 

 おっと。

 来たか。

 

 予想はしてたが、やっぱりか。

 目の前の門番が木箱を指してる。中には既に短剣やらナイフやらが何本も入ってて……信者の種類も多種多様だからな。仕事柄、武器になりそうなものを持ってるヤツもいるってことなんだろう。

 で、当然会場で暴れられる訳にもいかねえし、出入口のところでそういったものを事前に回収してるってことだな。

 

「……これでいいか」

 

 懐からナイフを一本取り出して渡す。

 門番は受け取って木箱に入れた。

 

「ありがとうございます。お帰りの際にお返しします」

 

「ああ」

 

 門番は疑ってねえ。

 まあ、一本渡したんだから当然か。素直に武器を預けた真面目な信者ってとこだ。

 ローブの奥、腰の後ろに隠してるもう一本には気づいてねえ。盗賊の頃の癖で、念のため二本持ってきたのが正解だったな。一本は見つかる前提で渡す用、もう一本は本命。こういう時のために二つ持ち込んでおくってのは基本中の基本だ。この人数で、いちいち全員を真面目に見てたらキリがねえからな。一本預けた後にもう一本探すなんて真似はしねえだろ。

 

 これで中に入れる。武器も確保できてる。

 あとは、ヴェインにどうやって接触するか、だな。

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 

 中に入ると──思ってたより明るいな。

 広い部屋だ。天井が高くて窓も大きい。蝋燭がいくつも灯されてて、暖炉まである。暖けえ訳だ。外とは全然違う。

 既に何十人もの信者が集まってる。皆ローブを着て、あちこちで談笑してて、和やかな雰囲気だ。歓迎ムードってやつか。笑い声も聞こえるし、握手してる連中もいる。初対面同士が仲良くなってるのか、それとも元から知り合いなのか。どっちにしろ、緊張感のかけらもねえ。

 

 いや、緊張するようなことこれからするのは俺だけか。

 

 部屋の奥には長いテーブルが置いてあって、食べ物や飲み物が並んでる。パンに果物に肉料理。酒もある。結構豪華だな。信者を歓迎するための準備ってことか。ヴェインも気前がいいもんだ。いや、気前がいいんじゃなくて、こうやって信者を油断させて取り込むための手口か。あくまで普通の会だって思わせられれば、警戒心だって解かせるからな。信者を増やすための常套手段ってところか。

 ホストがヴェインである以上、何が仕込まれてるか分からねえし、食べ物や飲み物には手をつけねえ方がいいな。毒とは言わねえが、何か妙なもんが入ってる可能性だってある。信者を従順にさせるための薬とか、判断力を鈍らせるための何かとか。それに、今は食ってる場合じゃねえし。

 

「ヴェインは……まだ来てねえか」

 

 演台の前には誰もいねえ。

 集会の開始時間までまだ余裕があるってことか。それとも、わざと遅れて登場するつもりか。信者を待たせて、期待を高めてから現れる。そういう演出をするタイプかもしれねえ。『洗脳の呪い』がどうのって言うぐらいなんだから、そういうところには凝るのかも。

 

 ……人混みは避けたいな。あっちの窓際なら人が少ない。そっち行くか。

 ──ああそうそう。こことかならちょうどいいな。ここなら周りを気にせずに外を確認できる。

 

 窓の外──崖の下には湖が広がってる。とはいっても、低いところにある窓なのか、水面まではそこまで距離がある印象は受けない。少なくとも、写本師の時に転落死したあの橋の上に比べれば──まあ多分、死ぬことはないんじゃねえかってぐらいの高さ。

 逃げるときの通路も確認しておかねえと。崖の上ってことは、結局どこから逃げようと正面の門を通るしかねえ。裏口があったとしても、そこから出たら崖だ。降りられる訳がねえ。つまり、追われた時の選択肢は限られてる。正面から堂々と逃げるか、それとも建物の中で隠れるか。正面の門から出るのが一番確実だが、もし追われたらそこから上手く撒かなきゃならない。ここからなら出入口まではっきり見えるし、その後どうやって抜けるのかってシミュレーションもできるし、今の内に確認しておいても損はねえし……。

 

「……ん?」

 

 あれ。

 

 今の、出入口の列の先頭にいる、門番と話してるヤツ。

 なんか見覚えがあるような……。

 

 

 

『失礼。こちらの瓶は一体?』

 

『薬瓶です。持病があって、食事の後には飲まないといけないんです』

 

『ああ、それでしたら……一応念のため、ここで飲んでもらうこともできますか?』

 

『まあ、構いませんよ。では……ふう、これでどうですか?』

 

『ありがとうございます。問題はありませんね。では、お入り下さい』

 

 

 

 ……あれ、タリエじゃねえか?




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