【完結】俺は死んだはずだよな?   作:破れ綴じ

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毎度のことながら遅れてしまって申し訳ありません……。

昨日も寝落ちしてました。急いで書き上げましたが依然として眠いです。
どうしてこんなに眠いのでしょうか……(´・ω・`)


隠れ家での話題と明日の予定

「え、えと……その……んん!」

 

 ……なんだでよ。なんで俺が指さした書類見つめたまま、考え込んでんだよ。

 俺としてはルシアの名前を見た瞬間に出てきた色んな感情を必死に抑え込んで、あくまで冷静な、それこそ国を憂う王子サマの顔を張り付けて推薦したつもりだったんだが。あまり上手くできてなかったか? 

 

「──却下だ、兄上。少なくとも、即時採用は認められない」

 

 お、おっと。

 そんな。

 

「なんでだ。実績は足りてるだろ。こんな短期間でこれだけやってる兵士なんて、そうはいねえはずだ。お前は実力主義なんじゃなかったのか?」

 

「だからこそだ、兄上。出来すぎているのだ」

 

 ……あ? 

 ん? できすぎ……てる? 

 

「仮に本物の実力者だとしても、兄上がそこまで強く推す人物を、私の寝首を掻ける立場に置くわけにはいかない」

 

 ……いやまあ、そりゃそうか。

 ついさっきまで腹の探り合いをしてた政敵の兄貴が、急に「この兵士はすげえから側に置け」なんて言い出したら、普通は自分の手駒を送り込んで監視させようとしてるって疑うのが定石だ。俺だって逆の立場なら絶対にそう思うし、なんなら裏で金が動いてるんじゃないかと勘繰るだろう。

 それに、ここで「兄上の推薦なら!」なんて手放しで喜ばれる方が、この国の行く末を案じちまうってもんだよな。たった一年足らずでここまでの実績を積み上げたってんなら、その裏に何かあると疑うのは、上に立つ者として至極真っ当な判断だろう。

 

「我々は腐敗の浄化という点では手を組んだが、王位を争うライバルであることに変わりはないのだからな」

 

「ごもっとも……」

 

 ぐうの音も出ねえ。

 俺は王位なんざどうでもいいんだが、向こうはそうは思ってねえし、俺もその誤解を解く気はねえから、この警戒心は甘んじて受け入れるしかねえか。むしろ、ルシアの実力を認めた上で、政治的なリスクを天秤にかけられる冷静さがあるなら、この国を任せても大丈夫だって安心感があるし。

 

「……分かった。お前の言い分は正しい。無理強いはしねえよ」

 

「理解してくれて助かる。だが、候補から外すわけではない。兄上の目はある程度信用しているつもりだ。徹底的な裏取りを行い、潔白が証明されれば採用を検討しよう」

 

「ああ、それで構わねえ……念入りにな」

 

 むしろその方がありがたい。

 念入りに調べてくれればくれるほど、俺の知りたい情報も集まってくるはずだ。

 

 ノエリスの窓で一度だけ見た時、ルシアはベラと何か話し合ってた。信者の時に見たあの険悪な雰囲気からどうしてこうなったのか。ルシアを推薦してる所属がバラバラの支援者たちは何者で、何が目的なのか──その辺りのこともしっかり把握しておく必要がある。

 俺はルシアとベラのどっちにも問題が起こってほしくないし、この支援者たちがルシアを騙してないって確証もねえ。裏取りしてくれるってんならこっちから頼みたいくらいだ。

 

「では、今日はこれで」

 

 エリザベトが手元のベルを鳴らしたら、控えていた侍従が書類を片付けてった。

 じゃあ、今日の会談はこれでお開きってことか。

 

 ルシア、悪いがもうしばらく待っててくれ。お前が立派になった姿を早く見てえ気持ちはあるが、今は焦ってボロを出すわけにはいかねえんだ。お前との再会は、俺がもっと自由に動けるようになってから果たしてやるからな。それまでは、せいぜいこの慎重な妹様に実力を認めさせてやってくれ。

 

「ああ……そうだ兄上」

 

「んあ? なんだ?」

 

 あとちょっとで部屋出るとこだったんだが……。

 ……なんだ、その悪戯っぽい顔は。何を言い出すつもりなんだ。

 

「兄上がそこまで他人の評価に熱くなるとは意外だったよ。まるで、昔からの友人の話をしているようだった」

 

「……!」

 

 おお、心臓が止まるかと思ったぞ。俺の顔に何が書いてあったってんだ。

 頬が引きつりそうになっちまった。無理やり押さえ込まなきゃ、咳き込むとこだったぞ。

 

「……っ、さあな。優秀な人材を見ると、つい肩入れしたくなる性分なだけ……なのかもな」

 

 やっぱり、王城での腹の探り合いってのは、戦場とはまた違った意味で寿命が縮んでる気がする。

 早く、気の置けない皆の待つ隠れ家へ行きてえなあ……。

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 

「──ということで、エリザベトとの交渉は成立した。王女は俺たちに協力してくれるそうだ」

 

「おおっ!」

 

 よしよし、皆の反応も上出来だ。

 俺の言葉でタリエの表情は一気に華やいだし、カルもペンの手を止めて、小さく拳を握っているのが見える。ロエマもパチパチ拍手してるし、レミは……ノーリアクションだ。ブレねえな、おい。

 

 まあ無理もねえ、相手はこの国の王女だ。俺たちみたいな寄せ集めの反逆者予備軍にとっちゃ、雲の上の存在を引き入れたようなもんだからな。これでようやく、俺たちの計画がただの妄想じゃなくて、実現可能な作戦として動き出したって実感が湧いてきたんだろう。

 なんか全員の距離がやけに近いことが気になるが、まあそんなもん気にしてたらキリがねえしな。なんか常に俺の手誰かに握られてるし。

 

「よかった……本当によかったです、先輩! あの聡明と名高い王女殿下を味方につけるなんて!」

 

「ああ。少なくとも腐敗を暴くって目的じゃ一致した。これからは王女側の情報も入ってくるようになるはずだ」

 

「流石だな……俺には、どうして王女相手にそこまで言えるのか、まるで分からないが……」

 

「いや、俺だって緊張したぜ。ここまで上手くいったのは運が良かったのもあるさ」

 

「まあ~、アシェルちゃんホントに凄いわよ~! ほら、よ~しよ~し」

 

「あっ、その、ロエマさん、撫でないで……恥ずかし……」

 

「流石ですご主人様。私もよしよ──」

 

「おいてめえは撫でんじゃねえよ」

 

「何故私だけ……」

 

 怖えからだよ。

 お前が手え伸ばすだけで、撫でられるんじゃなくて首締められる予感がすんだよ。

 

「でも本当、タリエのおかげでもあるんだぞ。お前が政務を回してくれてるおかげで、俺は自由に動けてるんだからな」

 

「いえ、僕たちは大丈夫です! 先輩がこうして道を作ってくれているんですから、これくらい……!」

 

 タリエの声は弾んでるし、やる気も十分って感じだ。

 まあ、こいつは昔から真面目で責任感が強い。事務処理の量が増えたくらいで音を上げるようなヤワな根性はしてねえだろう。俺が余計な心配をするまでもなく、自分のペースで上手くやってくれてるはずだ。頼もしい後輩を持ったもんだぜ。

 

「ねえ、アシェルちゃん? ほら、こっちこっち」

 

「ん? なんすか?」

 

 あれ、ロエマが手招きしてる。

 なんだなんだ。

 

「タリエ君のことなんだけど~……」

 

「タリエのこと……?」

 

「そうなの。あの子、ちょっと根を詰めすぎじゃないかしら?」

 

 ん? え、そうなのか? 

 ……言われてみりゃ、さっきまではやる気満々に見えたが、よく見りゃ眉間に深い皺が刻まれてるような。ペンの動きも妙に力が入ってるというか、余裕がないようにも見えるな。

 

「あの子、この四人の中だと、一番政治仕事に詳しいし、現場の意見もよく分かってるんだけれど……ものすご~く頭を使う書類とか、上層部の政治的な駆け引きとかには詳しくないから、ちょっと困ってるみたいで~……」

 

 ああ……なるほど。予算の配分だの、条約の改定だの、正解のない書類の内容に答え続けるのは、俺が思ってる以上に精神を削る作業ってことだよな。こいつは俺の前じゃ弱音を吐かねえから気づかなかったが、ロエマの目にはそう映ってるのか。

 

「あー……タリエ。無理はすんなよ。分からねえやつは後回しにしていい。最悪、俺が適当にサイコロ振って決めたってことにすりゃいいんだから」

 

「そ、そんな恐ろしいこと、できるわけないじゃないですか!」

 

 おお、冗談のつもりだったんだが。本気で青ざめられちまった。

 まあ、それだけ真剣にやってくれてるってことなんだから、感謝しねえとな。

 

 

 

「──とにかく、表向きの協力体制は整った」

 

 エリザベトとの協力は大きな一歩だが、それはあくまで「表向き」の政治の話だ。

 上層部の腐敗の根っこは、もっと深く、ドブのような臭いのする裏社会にまで食い込んでるはず。怪しい組織の残党や、ガルトンみたいな貴族の裏家業、そういう汚い部分の繋がりを断ち切らねえ限り、タリエやカルを狙う脅威はなくならねえ。そして、そういう情報は、王城の会議室で綺麗な書類を眺めてても絶対に出てこねえんだ。

 

 と、なれば。俺が動くしかねえ。

 俺には政治の書類を眺めたところでどうこうする案なんて思い浮かばねえし、会議に出たところで何かできる訳じゃねえし。その辺はできるヤツに任せて、俺は情報収集に徹するべきだ。

 

 ただ、それをどうやって実現するかって話だが……。

 

「……レミ。分かってるよな。誰が来ようがコイツらに指一本触れさせるなよ」

 

「当然です。ご主人様」

 

 ……こわ。

 

 レミの笑みは毎回凶悪な雰囲気感じてビビるんだよ。

 お前の実力は信頼してるからいいが……そうじゃなきゃ絶対についてきてほしくねえ。

 

 ……ん? 

 レミが……ついてくる……? 

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 

 そうだそうだ! 

 

 執事長の時に、「レミ」に「連れられて」行ってた──「情報屋」だ! 

 あれを巡っていけば、エリザベトの潔白も、ルシアの支援者についても、ベラの現在についても分かるかもしれねえぞ! 

 

 あの頃、俺は執事長として仕事を思い出すために、レミに王都中の裏社会を引きずり回されたもんだ。行く先々で脅したり透かしたり色々やらされたが……そのおかげで、情報屋の場所も、顔役の特徴も、入るための合言葉も、全部頭ん中に叩き込まれてる。

 あのスパルタ教育が、まさかこんな形で役に立つとはな。人生、何が無駄になるか分からねえもんだ。

 

「殿下。長時間の外出は政務への影響は勿論、身の安全にも──」

 

「分かってる分かってる。いくつか回ったらすぐだから」

 

 そうと決まれば善は急げだ。

 王族が外出する時は毎回護衛を連れなきゃいけねえって規則があるのが面倒だが……今の俺には「王子」という最強の盾と、これまでの人生で培った逃走スキルがある。正直、どういう状況になっても顔さえ隠せればなんとかなる気がする。

 

 ああ、とか言ってたら一軒目が見えてきた。

 西区画の地下にある情報屋だ。あそこは貴族のスキャンダル専門で、ガルトンもよく使ってたはず。人気のない路地を抜け、目立たない地下への階段を下りて……かつての俺なら目を瞑ってても歩けた道だが、今はちょっと感覚が違うな。この体はまだ、裏路地の歩き方に慣れてねえらしい……。

 

 ……ん? 

 

 

 

「……扉が、開いてる? なんだ、こりゃ」

 

 いや、開いてるってレベルじゃねえ。蝶番ごとひしゃげて外れかけてやがる。

 合言葉を言うまでもねえというか、言う相手がそもそもいねえ。

 

 酷え有様だ。中は嵐が過ぎ去った後みたいに荒れ果ててるし。机はひっくり返されて、書類は床にぶちまけられ、壁には何かが激突したような亀裂が入ってる。

 しかも、いつもここにいたはずの旦那はどこにもいねえし。

 

「……次だ次! ここじゃなくても情報屋はいくらでもいる!」

 

 

 

「おい、生きてるか?」

 

 声をかけて揺すってみるが、反応はねえ。脈はあるから死んじゃいねえが、こりゃ当分起きそうにねえ。おいおいおいおい、二軒目までこうなのかよ。これじゃ一番初めに行った場所と何も変わらねえじゃねえか。

 誰がこんな真似をしたんだ? 上層部の口封じか? いや、それにしては手口が雑すぎる。プロの仕事なら、もっと静かに、確実に始末するはずだ。まるで、力任せに暴れ回ったような……。

 

「……まさかとは思うが」

 

 三軒目、南区画の賭博場の裏。ここは金の流れに詳しい顔役がいるはずだ──だが、結果は同じだった。

 賭博場の裏口は破壊され、中はもぬけの殻。顔役の姿はなく、残されたのは怯えきった下っ端たちだけだ。聞き込みをしようにも、俺の顔を見るなり「ひっ! 勘弁してくれ! もう何も知らねえよ!」と叫んで逃げ出しちまう始末。どうやら、直前にここを訪れた「誰か」に相当絞られたらしい。

 

 

 

「……四軒目も、五軒目も、か」

 

 結局、俺が知ってる情報屋は、悉く潰されてた。

 調べる情報が情報だから、できるだけ後ろ暗い情報にも対応できる、それなりに後ろ暗い場所だけを選んだつもりだったんだが。王族が護衛引き連れてきてるってなったから警戒してどっか隠れてたのか……いやでも、それじゃ荒らされてる理由にならねえよな。

 どの場所も、荒らされ方は似たり寄ったりだ。金目のものには手を付けず、特定の情報を求めて暴れ回ったような形跡。そして、目撃者の怯え方。これは、ただの口封じじゃねえ。「何か」を探してる奴が、手当たり次第に情報を吐かせて回ってるんだ。

 

「誰だ? 俺以外に、この街の裏を探ってる奴がいるのか?」

 

 誰にしてもやり方が派手すぎる。その癖して潰し方がバラバラだ。訳分からねえ。

 こんなことをすれば、すぐに衛兵が飛んでくるし、警戒されて情報なんて集まらなくなる。まるで、後先考えずに感情任せで動いてるような感じだぞ……? 

 

「はあ……」

 

 結局誰がこれをやりやがったんだ。

 一日丸ごと潰して、護衛に怪しまれてまで、情報屋を巡っていったってのに。これじゃただ骨折って、周りから疑われる目を増やしただけじゃねえか。

 

 あー……思いついたときは良い案だと思ったんだがなー……。

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 

 はあ、最悪だ……。

 結局、成果はゼロだ。何の成果も得られずに城へ戻ってくる羽目になっちまった。

 

 歩き回って靴底を減らしただけで、得られた情報は何一つねえ。分かったことと言えば、王都の裏社会に謎の暴れん坊が出没してるってことと、今の俺の体力じゃ一晩中の徘徊はキツイってことぐらいか。

 護衛の連中も、俺が無駄足を踏んでるのを後ろで見てて、内心呆れてたに違いねえ。「殿下は何がしたかったんですか?」なんて顔で見られるのが痛てえのなんのって。

 

 結果として、エリザベトの潔白も、ルシアの支援者の正体も、何一つ掴めなかった。

 情報屋が全滅だなんて、一体どこのどいつが暴れ回ってやがるんだ? 手口が荒っぽいってことはプロの暗殺者じゃなさそうだが……だからこそ厄介だ。こちらの動きを読ませねえ予測不能な「第三勢力」がいるってことになっちまう。

 

 ……今日はもういいか。細けえことは明日になってから考えよう。

 明日も政務は全部サボり、書類だけあの隠れ家に持って行って、残りは自由に調査に使える時間だ。その時になったら、今度はちょっと遠くの方の情報屋に当たることにしよう……。

 

「──殿下。夜分遅くに恐縮ですが、急ぎ決裁を仰ぎたい案件がございます」

 

「……ん? ……側近か?」

 

 幻聴か? 

 いや、違う。この声は確かに側近のもんだ。やけに切羽詰まった感じで。

 おいおい、勘弁してくれよ。何があったんだ、今は夜更けだぞ? 鶏だってまだ寝てるんじゃねえか。

 

「なんだ。明日じゃダメなのか」

 

「いえ、これ以上は引き伸ばせません。先日より殿下が『体調不良』を理由に先送りにされてきた、謁見希望者の再申請リストでございます。これ以上の先延ばしは、流石に問題になってしまわれます」

 

 えっ。

 

「あ、ああ。そうか、そりゃ悪かった」

 

 そういや、ここ数日ずっとこんな感じで隠れ家に入り浸ったり、こうして調査に出かけたりしてたせいで、政務を全部すっぽかしてたんだったか。

 ……しまったな。体調不良でずっと時間を稼ぐつもりだったんだが、その王子が昼間城下町に繰り出してちゃ説得力ねえか。で、いい加減元の仕事もやってくれと。

 

「分かった、分かったから。そこに置いてけ。後で見る」

 

「失礼ながら、今ここでご確認を。明日の朝一番から、このリストの順に謁見を行っていただきます。スケジュールの調整は既に済ませておりますので」

 

 お、おお。有無を言わせねえ。嘘ついたのは悪かったって。

 まあ、謁見ってだけならなんかお偉いさんとかと話すだけだろ。軍議で意見を発表しなきゃいけねえって訳でもねえだろうし、まだ政務の中では専門性の低い内容なんじゃねえだろうか。できることなら、明日この謁見とやらをさっさと終わらせたいな。それで調査に戻れれば完璧だ。

 

 

 

「……で、この紙の束はなんだ? 中にレンガでも詰め込んでんのか?」

 

「いえ、これら全て謁見の予定です。明日以降、処理して頂きます」

 

「これ……全部?」

 

「はい」

 

 え、ええ……? 

 いや、嘘ついて書類仕事以外の政務サボってたのは認めるし、謝るよ。王子だってそういう気分になっちまうことがあるんだって。

 

 でも──この量は……ちょっと逆に問題じゃないか? これを全部、明日の朝から捌けって言うのか? 一番上のとこ見てみろよ。「領地の境界線についての陳情」とか、「商会の専売権に関する嘆願」とか、「子息の騎士団入団への口添え依頼」とか……。

 これ俺いるか? 俺じゃないヤツでもいいんじゃないか? 王族ってこういうこともやらなきゃならねえの? 

 

 何をそんな王子に言いたい、聞きたいんだろうな。

 そんな順番待ちになるぐらいならエリザベトの方にでも行けばいいのに……。

 

「……ちなみに、謁見に来たいヤツらは全部で何組いやがるんだ。まさか、二十組とか三十組って話じゃねえだろうな」

 

 

 

「百四十五組になります」

 

「──っ!!?」

 

「あ、つい先ほど百四十六組になりました」

 

「は、はあっ!?」

 

 なんで!? 

 

 何をそんな王子に言いてえ、聞きてえんだよ! 

 そんな順番待ちになるぐらいならエリザベトの方にでも行ってこいよ!




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