無能な悪役貴族、奴隷少女と共に貴族学園を征服する 作:メソポ・たみあ
ロージェルの下でシャンテという奴隷を買った俺。
気の向くままシュターク侯爵家の屋敷に彼女を連れ帰り、自室に戻ってきたワケなのだが……。
「……」
「おい、おいシャンテ」
「はい」
「何故ずっと、部屋の扉の前で突っ立っている?」
「ご主人様になにも命令されていないからです」
「なら楽にしろ」
「楽にしろ、とはどういう意味ですか?」
「……それくらい自分で考えたらどうだ」
「自分で考える奴隷を奴隷とは呼びません」
相変わらず俺と目を合わさず、愛嬌の欠片もない返事をするシャンテ。
――「退屈させてくれるなよ」なんてカッコつけたことを、早くも少し後悔している。
考えてみれば俺、奴隷との付き合い方とかなんにもわからん。
ゲームでは凌辱しかしてなかったし。
なんであんなこと言っちゃったんだろう、俺……。
ふと我に返って考えてみると、〝賢い女〟なんて意識の高い所望をしてしまったが、俺自身は別に頭なんてよくない。
俺自身、この世界において賢くて学があるかと問われたら、ぶっちゃけ可もなく不可もなくってくらいだろう。
少なくとも「俺って頭いいわ~」なんて言えるレベルでは全くない。
それでもゲーム内での
……〝賢い奴隷〟を買っておいて、買った本人は別に頭よくないとか、それなんて皮肉?
もしや俺って阿呆なのだろうか……?
――改めて感じるが、シャンテは所作に気品がある。
主人に媚びを売ろうとしないし、なんならちょっと生意気だが、同時に言葉の節々に知性が滲み出ている。
ロージェルが認めていた通り、少なくとも地頭がいいのは間違いないだろう。
……うっかり頭の悪い発言をしたりすれば、こちらのことを見下してくるかもしれん。
貴族なのに奴隷に舐められるとか、それはそれで勘弁……。
学園で「奴隷に舐められる貴族」なんてレッテルを貼られたら、別の意味で破滅してしまいそうだ。
時間が経って少し冷静になってみると、ゲーム内で
俺は「はあぁ」とため息を吐き、
「……シャンテ、こっちに来い」
俺の前まで来るよう、彼女に手招きする。
「はい」
彼女はようやく扉の前から移動し、俺のすぐ目の前までやってくる。
しかし――何故か俺の前にやってくるなり、いきなり衣服を脱ぎ始めた。
俺の、目の前で、思いっきり、少女の裸体が露わになる。
「ウワーッ!? な、なにをやっている!?」
「こっちに来いと申されましたので、奉仕をご所望かと思い」
「そんなこと一言も言ってないが!? どうしてそう思った!?」
「先程自分で考えろと申されましたので、自分で考えてみた結果です」
さらにと言ってのけるシャンテ。
え、なに?
こっちに来いって、奴隷にとっては
そういう合図なの?
怖えーよ。
こんなんじゃ、もう迂闊なことも言えねぇよ。
「と、とにかく服を着ろ!」
「かしこまりました」
命令されるがまま、シャンテは再びボロボロの服を着て素肌を隠す。
はぁ……貴族の俺が、奴隷相手に気疲れを起こしてどうするのやら……。
先が思いやられる……。