「さて、今度こそ自己紹介だね。私の名前はステラだよ。よろしくね」
「堂々と嘘をつくなよ嬢ちゃん」
「う~ん……偽名なのは確かだけど、お店での名前だから嘘でも無いような~……遊星的にどう思う?」
「ニックネームみたいなものだろう?」
「お姉ちゃんのはそれとはちょっと違う気がするな〜。
じゃあなんだよって言われたら上手く説明できないけどさ……」
こんな感じにダラダラとわざと伸ばすようなやり方で自己紹介をしていった。
こうでもしないと遊星達含めた私の身の上話しは重くなっちゃうんだから仕方ないじゃん。
自己紹介の内容を纏めると、
ジャックに迷惑をかけたくないので遊星も含め私をステラというニックネームで呼んでほしい。
遊星は弟のジャックの親友で赤ん坊同然の頃から面倒見ていたので実質弟でクロウって弟もいる。
サテライトで沢山の二つ名を付けられていて、最近知った事だけど治安維持局やセキュリティからは『サテライトの環境が生んだ怪物』って呼ばれているらしい。
といった感じ。
「遊星とキングの姉ねぇ……気に入らねえなあ。
お前、さっきのやり取りはどっちの味方のつもりなんだよ?」
そう言ってガン飛ばしてくるのは氷室さん。
私の身の上話を多少したのだけど氷室さんと矢薙のお爺ちゃんの2人は名前だけの自己紹介だった。
矢薙のお爺ちゃんは両手に自慢のカードを持っていろいろ話そうとしていたけど氷室さんの気に入らない発言に遮られて少しションボリしててちょっと可愛い。
「両方の味方だよ」
「なんだよそりゃ」
「どっちかと言われれば遊星の味方かな。心情的には両方だけど。
治安維持局を筆頭に多くの関係者がキングを勝たせようと結束している筈だし、焼け石に水かもしれないけど遊星の味方をするのは当然じゃん」
「なるほどねぇ……」
う~ん……どうやらこんな話しをしていても氷室さんは納得してくれなさそうね。
ならこちらも感情をさらけ出していくしかないか……
「……って言うのが理屈。けど今は感情の話だよね?だからあえて感情で話すけど、2人とも大好きで、大切な可愛い弟なんだよ?
もう喧嘩は止められないけど、派手に喧嘩をして、その後仲直りしてまた笑い合ってほしいって考えて落とし所を模索するのって、そんなに変かな?」
「そりゃ、そうかもだが………」
「ならさ……ここはデュエルで決着をつけよう」
……ちょっと。デュエルディスク構えた瞬間ビビって一歩引かないでよ。普通に傷つくって。
たぶん無意識だったのもしれないけどさ、スタンディングデュエルじゃなくてリアルファイトをしかけられるかもとか思ったんでしょ?
「おいおい、俺は元プロデュエリストだぞ?」
「知ってるよ。どこかで見た事ある気がしていたけど名前聞いて思い出したけど氷室さんって以前ジャックとデュエルしてたでしょ?
その試合ちゃんと観てたよ。確か……牛鬼っていうモンスターを使っていたよね?」
「知ってやがるのか……手加減するつもりは無えが負けたらどうするつもりだ?」
「流石に追い出されたら身分的にマトモな生活ができなくなるから一緒に住むのはやめないけど、基本外で過ごすようにして大事な事を聞かないし見ないようにするよ」
「そうかい。んじゃ、やるとするか」
「「デュエル!」」
氷室LP4000
セイラLP4000
「先攻は俺だ。ドロー!魔法カード《召喚師のスキル》を発動!この効果により牛鬼を手札に加える!」
「コストダウンが来る?」
「……本当に知っているみたいだな。
コストダウンからのコンボは氷室がエースを出すための鉄板コンボだが《召喚師のスキル》が発動したからといって必ずしもそう来る訳じゃない」
「安心しろ、雑賀の言うとおり今はまだ出ねーからな。
《
《暴鬼》☆4
ATK1700/DEF1100
「カードを2枚セットしターンエンド。さ、どう来るんだ?」
巨大な金棒を持った赤鬼。攻撃力1700って、それ私のデッキの……なんか悲しくなってきちゃうな。
シティから来た人は下級モンスターでも高い攻撃力を出してくる傾向にあるけど……いやはや、どうしよっか。
手札を確認し直せば攻撃力100のモンスター1体しか居ないしちょっと事故起こしてるね。
……ま、引いてから考えよっかな。
「私のターン、ドロー!ふむ、リバースカードを4枚セットし、手札より魔法カード《闇の誘惑》を発動するよ!」
「カードをセットしてから《闇の誘惑》?おいおいまさか手札に闇属性モンスターが無いんじゃねーか?大丈夫かよ?」
「安心しろ。俺にデュエルを教えてくれたのはあの人だ」
お、遊星が信頼してくれている。お姉ちゃん頑張るからね!
「カードを2枚ドロー!《闇の誘惑》の効果で《D.D.クロウ》を手札から除外し、リバースカードオープン!魔法カード《手札抹殺》」
「《手札抹殺》だと!?」
「私は手札を2枚を捨て2枚ドローする」
悪くない。相手の伏せが怖いけれど十分リカバリーが効く。
「さ、牛鬼と他のカードも全部墓地に送ろっか?」
「俺は手札を3枚捨て、3枚ドローする」
「《
《悪魔の鏡》☆2
ATK700/DEF600
「2枚目のリバースカード、《強制転移》を発動!私は《悪魔の鏡》を選ぶ。
さ、そっちも自分フィールドからモンスターを選んで。互いは選んだモンスターのコントロールを入れ替える事になるよ」
「俺は《暴鬼》を選ぶ」
「いっくよ~!《暴鬼》で《悪魔の鏡》を攻撃!」
「甘いな!罠発動《
「あらら」
赤鬼が巨大な金棒をフルスイングで鏡をたたき割ろうとするが、その鏡に当たった瞬間赤鬼の方が木っ端みじんに爆発した。
《炸裂装甲》を使わせたのは大きいけど欲を言えば《聖なるバリア-ミラーフォース》を使ってほしかったな。ジャックとの試合で使ってたし。
まあ結果は対して変わらないしじっくりと進めていこ。いつも通りにね。
「カードを1枚セットしターンエンド」
氷室LP4000、手札3、モンスター1、伏せ1
セイラLP4000、手札0、モンスター0、伏せ3
「……弱いとは思ってなかったが予想以上に巧いな」
「じゃが、キングの姉なんじゃろ?もっと力強いデュエルをすると思っておったのじゃがのう……」
それを耳にし腕を組み胸を張り自信満々にとっておきを語る。
「ふっふっふ……お爺ちゃん。ココだけのとっておきのお話しを聞かせてあげる。
なんとデュエルは《悪魔の鏡》で6回ダイレクトアタックすれば回復とかされなきゃ勝てるんだよッ!!!」
「なっ………」
「おいおい無茶苦茶言ってやがんぞ」
刺激が強すぎたのか矢薙のお爺ちゃんは顎が外れそうなくらいポカンと口を開き、雑賀さんは衝撃の真実が信じられないと言いたげに頭をかいている。
「おい、ふざけてんのか?」
「……本当にそう思う?コレは、このデッキは私が選択した結果の形。
これまで歩んできた私の人生そのものだよ」
私は自分の選択に悔いは無い。
『もう守られてばかりは嫌なんだ!俺達も強くなってセイラを守りたい!』
本当……いつの間にか見上げなきゃ顔も見えないくらい大きくなっちゃって。
「……いや、今言った事は謝罪しよう。
一見ひょうひょうとした態度をしているがお前の眼は絶対に勝つという闘志を隠しきれちゃいねえ」
ん~……バレてるね~。流石元プロデュエリスト。
確かに気付いてもらおうとはしていた。けど眼を見て気付いたって凄いよ。
「だがそっちにモンスターは1体もいねーぜ!俺のターン!ドロー!」
このデュエルは勝敗以上に私の想いの強さが試されるデュエル。
弟達の為なら魂をも引き裂けるお姉ちゃんの強さってモノを知ってもらうデュエル。
「《地雷蜘蛛》を攻撃表示で召喚!」
「罠カードオープン《おジャマトリオ》!おジャマトークン3体をそっちのフィールドに守備表示で特殊召喚するよ!」
《地雷蜘蛛》☆4
ATK2200/DEF100
《おジャマトークン》☆2
ATK0/DEF1000
「お嬢ちゃんモンスターあげてどうすんだい!?」
「いや、これでフィールドが雑魚モンスターで埋まった」
「それだけじゃない。おジャマトークンはリリースできない効果を持っている。チューナーが居れば話しが変わってくるがフィールドが完全に埋められている」
「そんな効果が……だとしたら氷室は《悪魔の鏡》をリリースできるモンスターが来るまでシンクロすら封じられ《地雷蜘蛛》で戦うしか無い訳か……」
「チッ、面倒な。装備魔法《ビッグバン・シュート》を《地雷蜘蛛》に装備!《地雷蜘蛛》の攻撃力を400ポイントアップ!」
ATK2400→2600
「こんなもんじゃねーぞ!バトル!
《地雷蜘蛛》でダイレクトアタック!手札から速攻魔法《禁じられた聖杯》を発動!この効果により《地雷蜘蛛》の効果は無効化され攻撃力が更に400ポイントアップする!これで《地雷蜘蛛》の効果は発動しない」
ATK2600→3000
「罠カード《トゥルース・リインフォース》!デッキより《悪シノビ》を特殊召喚!」
《悪シノビ》☆2
ATK400/DEF800
「ソイツは確か、攻撃対象にされたら1枚ドローする効果があったな……」
「その通り。シティの人なのによく知ってたね」
「そこいらの奴らと一緒にすんなよ(おそらく守るカードがある。ドローをさせたくないが、この相手に時間を与える方が厄介そうだ)
《地雷蜘蛛》!《悪シノビ》を破壊しろ!」
「この瞬間《悪シノビ》の効果が発動!更に墓地の《ネクロ・ガードナー》の効果を発動させる!」
出現した《ネクロ・ガードナー》が《悪シノビ》を守り、私は手札を補充する。
「《ネクロ・ガードナー》だって?いつの間に……」
「たった一度だけ捨てるタイミングがあった」
「……なるほど《手札抹殺》の時か。つまり《闇の誘惑》の時《D.D.クロウ》を除外していたが《ネクロ・ガードナー》を除外する選択肢もあったわけだ。だが手札抹殺があったから……」
「《悪魔の鏡》を守備表示に変えターンエンド」
氷室LP4000、手札1、モンスター5、伏せ1、装備1
セイラLP4000、手札1、モンスター1、伏せ1
「私のターン、ドロー。カードを1枚セットしターンエンド」
氷室LP4000、手札1、モンスター5、伏せ1、装備1
セイラLP4000、手札1、モンスター1、伏せ2
「おいおい、お嬢ちゃんあんなんで本当に大丈夫なのかい!?」
「じいさんの言うとおりチューナーが引けなくて守り一辺倒になってるじゃねーか」
「心配してくれてありがとう。でも、遊星が信じてくれているから勝つのは私よ。
なんせお姉ちゃんは守るべき弟の為なら何でもできるんだから」
対戦相手である氷室さんへ何も問題無いと笑顔でピースをしてみたけれど、それでも侮りは無い。
ちょっとは舐めてくれた方が助かるんだけどな~……
「ふ、そうかよ。俺のターン!ドロー!
……来たか。手札1枚をコストに《死者転生》を発動する!手札に加えるのはコイツだ!」
「来る……」
「残念ながら《大牛鬼》にはできねーがよ!《悪魔の鏡》をリリースし《牛鬼》をアドバンス召喚!
バトル!《地雷蜘蛛》で《悪シノビ》に攻撃!」
「《悪シノビ》の効果に合わせ、罠カード発動!」
「来るのはわかってたぜ。
だがどうせ防御の一手……」
「《つり天井》!」
「なにぃッ!?」
「まだだよ!2枚目の罠カード《闇霊術-「欲」》を発動!《悪シノビ》をリリースし、そちらの手札は無いから《闇霊術-「欲」》の効果が適用され《悪シノビ》の効果も加えカードを3枚ドロー!
そして《つり天井》の効果でフィールドのモンスターを全て破壊する!」
《地雷蜘蛛》の鎌が迫る中、《悪シノビ》が印を結ぶと魔法陣が出現しリリース特有の光で消滅し、同時に虚空から落ちてきた石畳のような天井に全てが押し潰される。
「《おジャマトークン》の効果!破壊された事で300ポイントのダメージ、合計で900ポイントのダメージを受けてもらうよ!」
「ぐううううう!」
氷室LP4000→3100
「……チッ、そんなカードは無えと警戒を怠っちまった。ターンエンドだ」
氷室LP3100、手札0、モンスター0、伏せ1
セイラLP4000、手札4、モンスター0、伏せ0
「私のターン、ドロー。《悪シノビ》を召喚」
「またソイツか!」
「いくよ、《悪シノビ》でダイレクトアタック!」
「ぐう!」
氷室LP3100→2700
「カードを3枚セットしターンエンド」
氷室LP2700、手札0、モンスター0、伏せ1
セイラLP4000、手札1、モンスター1、伏せ3
「俺のターン、ドロー……ぐ、ターンエンドだ」
「流石の氷室も今は耐えるしかねーか」
「まさかあんな一瞬でこうも逆転しちまうなんて、ヒヤヒヤさせられるがあのお嬢ちゃん強いな~」
「相手が勝ちを確信した時に全部ひっくり返すのはステラの十八番だからな」
「私のターン、ドロー。ん、良いカード《
《白い忍者》
ATK1500/DEF800
「ソイツは通さんな!罠カード《落とし穴》!」
「んん!?……なるほど、ずっと伏せてたのは《落とし穴》だったんだ」
「ったく、このカードがこんなにも発動できないなんざ初めてだぞ?」
「私のデッキ、攻撃力1000以上なんて3枚しか入ってないからね~。
それじゃバトルいくよ。《悪シノビ》でダイレクトアタック!」
「くっ!」
氷室LP2700→2300
「ターンエンド」
氷室LP2300、手札1、モンスター0、伏せ0
セイラLP4000、手札1、モンスター1、伏せ3
「俺のターン、ドロー!……引いたぜ!ライフを800払い《早すぎた埋葬》を発動!《牛鬼》を特殊召喚!」
氷室LP2300→1500
「コイツは自分フィールド上に存在する《牛鬼》をリリースし、 手札から特殊召喚する事ができる。《大牛鬼》!!!」
《大牛鬼》☆8
ATK2600/DEF2100
「バトル!《悪シノビ》を破壊しろ《大牛鬼》!」
「《悪シノビ》の効果でカードを1枚ドローする!」
「関係ねえ!そのまま攻撃を続けろ!スペクターズ・バイト!」
「くっ!」
セイラLP4000→1800
「《大牛鬼》が戦闘で相手モンスターを破壊した時もう一度だけ攻撃する事ができる!」
「罠カード《ダメージ・ゲート》。この効果で受けたダメージよりも低い攻撃力のモンスター《悪シノビ》を墓地から特殊召喚する!」
「ならそのまま《悪シノビ》に攻撃だ!」
「1枚ドローし速攻魔法《月の書》を発動!」
「っ……ターンエンド」
氷室LP1500、手札0、モンスター1、伏せ0
セイラLP1800、手札3、モンスター1、伏せ1
「私のターン、ドロー」
私の伏せカードは《地獄の扉越し銃》。そして手札には《火炎地獄》があるからこれで確実に終わる。
下手に攻撃した場合《手札抹殺》の時に墓地に送られ温存していた何かによって止められるかもしれないし、次のターンを渡し《大嵐》なんかを引かれたら目も当てられない。
「いくよ!《悪シノビ》をリリースし!」
けど、そうじゃないでしょ。
相手が魂のカードを出しているのだからそれを乗り越え勝利する姿を魅せなければ……
どれだけ不格好でも魂をぶつけなければ認めてもらうことなんてできやしない!
「《アサシン》をアドバンス召喚!」
《アサシン》☆5
ATK1700/DEF1200
「来たか、セイ「ステラね」……ステラの最強モンスター」
「さ、最強モンスター?コレが?……マジで?」
うん。まあ言いたいことはわかる。
そして遊星。そんなどっちでもいいだろって顔でこっちを見ないで。
「忍者とは耐え忍ぶモノで……忍者じゃないけどお姉ちゃんは愛する弟達の為になら案外何だってできちゃうモノだよ。
例え己の魂を、デッキを3つに引き裂く事くらい容易くできちゃうくらいにね」
「……は?」
「もう8……いえ、9年前かな。
遊星達が私の戦い方を十分学んで自分達も戦えるようになりたい、お姉ちゃんを守れるようになりたいって………本当に嬉しかったんだ。
私のしてきたことは無駄なんかじゃ無いって本気で思えてさ。
だから弟3人それぞれに私の力を引き裂いて渡すことにしたんだ。
その後もそれぞれのデッキに合いそうなカードを拾ったら渡すようにしていたけど、5年前に急に受け取り拒否されるようになって、もう独り立ちしちゃうんだなって少し寂しく思った。
……かと思えば感傷に浸る暇も無くチームサティスファクションなんて結成してくれて、制圧ばかりで維持は殆ど考えてなかったからさ、保護者同然のお姉ちゃんが他の組と協力して維持のために奔走する姿は傍から見たら引きずり回されるのと同然だったろうしその結果残ってた4大派閥が空白の土地を得るのに……」
そして狂乱の宴へ……
鬼柳……ごめんね、あの時異変に気付ける場所に居てあげられなくて。
助けられなくてごめん。
せめて骨の1つでも見つけて埋葬してあげられたらどれだけ良かったか……
「ごめん、かなり話しが逸れた。この辺は今は関係無いよね。
このデッキは5年前から少しずつ強化を繰り返していったお姉ちゃんの覚悟と歩んできた人生そのもの!
カードを2枚セットしターンエンド!」
氷室LP1500、手札0、モンスター1、伏せ0
セイラLP1800、手札1、モンスター1、伏せ3
「……それがそのデッキという訳か。
だがな!守るだけじゃ勝てないぜ!俺のターン、ドロー!
《大牛鬼》を反転召喚!そして……」
今引いたカードをデュエルディスクへとセットしようと腕を振り上げた氷室さんの動きが止まり、腕を降ろす。
「(コイツ、今までも勝つっつう強い意志を感じる眼をしていやがったが……)
おいステラよぉ。お前、このターンで俺を確実に倒すっつうくらいの眼をしてるの気付いてるか?」
「もちろん」
「………少し意外だな。てっきりはぐらかすかと思ったが」
「なにせこのデュエルはお互いのプライドのぶつかり合いだもの。
だからこそ《大牛鬼》を戦闘破壊する以外の勝利なんて存在しない」
「(コイツ…本気で……)は、面白え!できるもんならしてみやがれ!
俺は装備魔法《デーモンの斧》を《大牛鬼》に装備する!」
ATK2600→3600
「攻撃力3600じゃって!?」
「《アサシン》の攻撃力の倍以上だな。どうする」
「やれ《大牛鬼》!ヤツのモンスターを粉砕しろ!!!」
「速攻魔法《死角からの一撃》!この効果により《アサシン》の攻撃力は《大牛鬼》の守備力分、2100ポイントアップする!」
ATK1700→3800
お互いのモンスターが持つ小太刀と斧がぶつけ合い、一瞬の均衡の末に《アサシン》が《大牛鬼》に弾き飛ばされる。
しかし弾き飛ばされた《アサシン》の姿は煙のように消え、懐から現れ小刀による一閃で両断し《大牛鬼》が爆発する。
「ぐうううう!」
氷室LP1500→1300
「私のターン!バトル!《アサシン》でダイレクトアタック!アサシネイト!」
「うおおおおおおおっ!!!」
氷室LP1300→0
「ぐうぅ………ふ、ふはは、強いな。認めるしかねえ!アンタのことをよ!」
「ありがとう。でも、アンタじゃなくてステラって呼んでほしいかな~」
「そうだな。よろしく頼むぜ。ステラ」
私が手を差し出せば大きな手で握手に応じてくれた。
「さて、次は遊星の番だね。お姉ちゃんと氷室さんどっちとデュエルしたい?」
「ちょっと待てよ。俺が先にデュエルしようとしていたところでキングに続いてステラが乱入して来たんだぞ?」
「え?そうだったの?あの子、空気読めるけど読んだうえで無視するから……うちの子が申し訳有りませんでした」
「いや、セイラは何も悪くねえだろ」
「それでも私はお姉ちゃんで成人済みの大人だから」
「あ〜………2人とも、遊星入れたら3人か」
どちらがデュエルするかでワイワイ話してると雑賀さんが申し訳無さそうに間に入ってくる。
「これ以上してると遅くなっちまう。
サテライトの情報を得る為の事なんだが、できれば今日の内に行っておきたい場所があるからそろそろ移動したい」
「あれ?そういうルートとかはあまり知られたくない職業だと思ってたんだけど付いてっても良いの?」
「良いに決まっているだろ。それに……サテライトの生きる伝説の顔どころか性別が女性だって事すら知らずに喧嘩売る馬鹿が現れないようにする為にもな」
「あぁ、それは絶対に必要だ。最悪死人が出る」
「遊ぅ〜星ぃ〜?」
「?……何かおかしな事を言ったか?」
もう!遊星がそんな事言うから「こ、コイツ。本気で言ってやがる!?」って顔を遊星から流れるように私にまで視線向けてるじゃん皆してさ!まだ殺しはしてないって!
でも……殺しや麻薬、臓器や人身売買以外はあらかたコンプリートした気もするのは否定できないな。
実入りが良くて腕っぷし強けりゃリスクなんて殆ど無いようなモノだったし、遊星達が成長期だったから仕方ないじゃん。お腹いっぱい食べさせてあげないと可愛そうじゃない。
ただでさえ成長痛が酷くて涙を流すジャックの姿とか軽いトラウマで未だに覚えてるくらいなんだよ?
空腹で飢える姿なんて絶対に見たくないもん!
「……っもういい!わかった!ちょっと荷物置いて着替えてくるね!あとジャック連れて来る!」
「は?キングを連れて来る?」
「キングじゃなくて猫のジャック!!!」
このあとジャックはデブ猫呼ばわりされ腹を滅茶苦茶ワチャワチャされた。
そうだよね。本当に太っちょちゃんのワガママボディーだよね。痩せろジャック。
車に乗り込みすぐのこと、お爺ちゃんが何かを思い出し「あぁ!」と大声を上げる。
後部座席で私、遊星、お爺ちゃんってポジションだったから被害が小さかったけどジャックがバタバタし始めたのでギュッと抱くとすぐに大人しくなった。
「そういやアンちゃん!龍ってことはアンタやっぱりシグナーだったんだろ!?なあ!《スターダスト・ドラゴン》っての見せてくれ!」
「良いぞ」
「そういやキングの奴、あの時の赤き龍は始まりに過ぎないとか言っていたな」
「……シグナー???」
この時になって初めて遊星の口からジャックと戦った事とかシグナーの事とか教えてもらった。
ジャックと遊星がシグナーっていうのならクロウもシグナーだったりしてとか色々思った事はあったけど……
「ねえ遊星。お姉ちゃんもしかしたらジャックに依怙贔屓し過ぎちゃってたかもしれない。
さっきジャックに話したのと同じように遊星にも沢山聞きたいし言いたいことあるから今度しよっか?」
話す機会なんて山ほどあったよね?なんで話さないのさ???
聞かれなかったからとか言い出したらアイアンクローかけるからね???
「……………………あぁ」
「……ねえ、ちょっと。そんなに嫌?泣くぞ?泣いちゃうよ?」
「あ~……お嬢ちゃん、年頃の男は親からそういう話しをされるのはむず痒すぎるから止めてやってくれないかい?」
「いや、セイラは姉だ。親ではない」
「ん~?………あぁ、そういう。そっかそっか。お姉ちゃん女子だからその辺ちょっと察しが悪かったみたい。今言った話し合いは無しで。
ところで雑賀さん、ここからけっこう時間かかるんだよね?」
「あぁ、かかるな」
「それじゃちょっとだけ仮眠取るね。最近警戒しないといけないことが多すぎてさ~……」
『お母さんちょっと一眠りするね~』と言うか一瞬悩んだけど流石に24歳でお母さんと名乗る勇気はお姉ちゃんには無かったよ。
………24歳って十分結婚して子供産んでいても不思議じゃない年齢じゃ?いや、駄目だ止めよう寝よ寝よ。