アトラスお姉ちゃんの日々   作:メリルメリルメリル

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楽しかった

 

「はい、できましたよ」

「わあ、龍亜可凄く可愛い!」

「そうかなあ……」

「よくお似合いですよお客様」

「うんうん、自信を持って。すごく可愛いよ龍亜可ちゃん」

 

 龍亜君に龍可ちゃんの服を着せデパートへ行きプロに教わりながら化粧してもらい使用した化粧品を購入。

 

「セイラさんオシャレ~」

「ありがとう。龍可ちゃんも龍亜可ちゃんも可愛いよ!」

「そ、そうかなあ……」

 

 3人で服を買ったり……

 

「わあ!見てこのカード!すっ……あっ。す、凄いねこれ」

「わぁ~お姉ちゃんお値段にビックリだよ」

「確かに。……なんでこんなに高いの?」

「そりゃ「ジャックの使用カーあ、ごめんね」

「ううん、セイラさんの言ったようにキングがデッキに入れてるカードだからだよ」

「あ~なるほど」

 

 カードコーナーのショーケースを眺めたり……

 

「うん、このクリームチーズ鯛焼き美味しい」

「鯛焼き自体が初めてだけどあんこってこんな味なんだね〜。ん〜美味しい」

「セイラさんあんこ食べたこと無かったの?」

「意外?私だけじゃなくて遊星も食べたこと無いんだよ」

「そうなの!?」

「向こうじゃ貴重だからね〜」

 

 デザートを食べて雑談して、楽しかったんだ。

 

 


 

 

 財布の中にしまっていたメモに書かれた電話番号を打ち込んでいき、数回のコールの後目的の人物に繋がる。

 

「お忙しい中申し訳ありません。サテライトの環境が生んだ怪物と呼ばれているセイラと申しますが、イェーガー様のお電話でお間違いございませんか?」

『……貴方でしたか。思っていたよりも早い連絡でしたね』

「その節はどうも。ところでイェーガー様にどうしてもお聞きしたい……いえ、お願いしたい事がございまして」

『ほうほう、貴方が私にお願い事ですか。

 ヒッヒッヒ、ですが我々は対等な協力関係。コチラに利が無ければ……「日払いで良さそうな仕事等そちらにございませんか?デュエルは当然、ステゴロにも自信があります」………はい?』

 

 3人でしたショッピング、本当に楽しかったんだよ。

 楽しかったけど……シティって何でもかんでも高くない!?

 いや、リサイクルショップの時は言うほど高くも無かった。

 

 つまりデパートとかオシャレなところはそれ相応に高い!

 

 ジャック(キング)に贅沢の仕方が下手くそすぎて借金してないか~的な事を不安で質問したくせにお姉ちゃんこの有様だよぉッ!?

 いや確かにまだ余裕あるけど余裕があるからこそ今の内に対策しないと!

 ごめんジャック!情けないお姉ちゃんで本当にごめんね!!!

 

 


 

 

「……と、言う事で本日のカチコミに協力させて頂くリトルゲヘナ、サテライトの環境が生んだ怪物等の異名を頂いておりますセイラと申します。素人故に本職セキュリティ様方には協調性においてご迷惑をお掛けするかと思いますが殲滅には自信があります。本日はよろしくお願い申し上げます。牛鬼様」

 

 頭を深く下げて礼儀を尽くす。雇い主へ様付けするのは金額次第だけど当然のこと。

 信頼が無い訳で時間とプライドとその他諸々をお金で買ってもらっている状態なのだから金額に見合った態度で接しなければならない。

 依頼を回数こなして信頼を積んだらプライドを売らなくても信頼で同じ金額払ってくれるだろうけど今は仕方ない。とにかく低姿勢で自分の価値を押しつけ理解してもらう。

 

「サテライトの環境が生んだ怪物………あの時の嬢ちゃんだよな?

 本当にこんな小さい嬢ちゃんが噂の怪物なんですかい?」

「ええ、えぇ……少し側に置くだけで嫌と言うほど理解すると思いますよ。

 この方ほど怪物の異名に相応しい人もそうそう居ないとね。ヒッヒッヒ………」

 

 何故かちょっと緊張した様子のヒッヒッヒに怪訝な顔をする牛鬼様。

 チビなのもあるけどつなぎ服っていうのも舐められてるんだろうね。

 この服色々収納できるし頑丈で便利なんだけどなぁ〜。

 

 日雇いどころか午前中、それも2時間かかるかどうか(イェーガー様達の見積もりでは半日以上って言ってたけど絶対かからないって)なバイトなのに成功報酬は破格。

 単身で突入しクリアリングしていくという簡単なお仕事で、何かモノを押さえるのが主目的らしいけれど私みたいなバイトが知る必要無いし気にしない気にしない。

 

「ここが例のビルです。それでセイラさん。現場に付いてから方法を絞るとの話でしたがどの様に突入する気なのでしょうか?」

「あの5階立てのビル全てが奴らのモノ、表から裏まで警備員でガチガチにしてやがるがどうにかできる自信があんのか?」

「ん〜?あの、侵入だけなら控えめに言っても余裕ではありませんか?」

「「は?」」

「見取り図良し、トランシーバー良し。では、リトルゲヘナ!これより侵入を開始します!

 屋上から侵入しますので上を見ていれば様子を見れますよ。それでは」

 

 セキュリティの敬礼を見様見真似でしてから行動に移る。

 

 地味で薄暗い場所にあって似たようなビルが何個も並んでいる。

 目的のビルは出っ張りが少ないから無理だけど、3つ程隣のビルは足場となる出っ張りが多く、そこをヒョイヒョイと流れるように飛んでいき屋上へ。

 屋上に着いたら助走をつけてビルからビルへと飛び移り目的地へと到着した。楽勝だね。

 

 下を覗くと唖然とした顔で2人がこっちを見ているので手を振り、それで正気に戻った2人が何か慌ただしげに部下に指示を出したりしていた。

 

「……………よし」

 

 ピッキングに用いた時間は6分38秒。久し振りにしたけど多少腕が落ちた程度だ。いや、手の怪我がある分で差し引きして腕はなまってないかな?

 

「こちらリトルゲヘナ。最終確認を終えたので室内のクリアリングを開始しますがよろしいでしょうか?」

 

 セキュリティの人が渡してくれた地図に目を通すのに2分程、それが済んだので報告し合図を待つ。

 

『わかりました。ご武運をお祈りします』

 

 突入を開始し十字路の監視カメラはカードの投擲で刺し壊し、破壊し人は一撃で気絶させ慎重に、そして素早く丁寧に進んでいく。

 十字路のカメラを集中して破壊する事で監視カメラで姿を見た奴が敵が何処にいるのか誤認させる。

 敵が侵入している中、十字路で肝心の中央部分の監視カメラを破壊され十字路から繋がる4つの通路、その1つの監視カメラに敵の姿が映ったとして緊急時に東、西、南、北方向どの監視カメラか考える必要が生じる。それが狙いであえて十字路以外は逃す。

 時間があれば全て破壊するのもアリだけど今回は建物が大きいから完全に破壊できたかどうか確認する時間も含めて勿体ないので省略して突き進み、時には引き返し別方向を通って場所を誤認させたり色々していくよ!

 

 


 

 

「いただきます」

 

 差し入れで出されたお弁当、バイトなのに最後じゃなくて一番最初に好きな物を選んで良いし給料から差し引く事も無いなんて太っ腹な事を言ってくれたので贅沢に焼肉弁当を選んで口にする。

 その美味しさについつい口元が綻んでしまう。

 サテライトに戻ったら大変な事になるとわかっていてもこの魔力から逃げる事ができないお姉ちゃんでごめんね。

 

「美味しいですか?」

「はい!とても美味しいです!ありがとうございますイェーガー様」

「いえいえ、本来なら最短でも半日以上かかる筈だった案件が1時間掛からなかったのですから、報酬も上乗せしておきますよ」

「イェーガー様、ありがとうございます!」

 

 立ち上がり深く頭を下げれば「あなた、私の部下になるつもりはありませんか?」と聞かれたので「お断りさせて頂きますわ!ただフォーチュンカップが終わるまでは良い関係でいたいと考えております!」と笑顔で断っておいた。 

 

「この礼儀正しい嬢ちゃんがリトルゲヘナねぇ……」

「信じられませんか?」

「いや、実力は間違いなく本物だろうな。むしろ噂以上だ。だがイメージ崩れるなと思ってよ」

「確かに私はサテライトの住人ですがゼロ・リバース事件が起こる前までは上流階級寄りの家系出身でしたので、こう見えて育ちは良い方……いえ、むしろ上流階級の中では下の下といったところでしたので見下されないためにも礼儀作法の教育は特に厳しかったと自負しておりますわ」

「………なあ、それ言っちまって良い内容だったのか?」

 

 牛尾様が驚いた様子で聞いてくる。

 イェーガー様の顔も驚いた様子で逆に知らなかったんだと私も驚いた。 

 てっきり調べ上げられているモノかと。

 

「私には沢山の血の繋がらない弟達がいますので、親の顔も知らない子達が居る中で両親の話しはしないと決めておりまして、むしろ話す機会があるなら沢山話したいと常日頃から思っている程ですわ。

 あ、ただ遊星には私が元々上流階級の人間であった事はご内密にお願いします。あの子にこの話はあと1・2年程早いですので」

 

 そんな話しをしながらお弁当を食べ、遊星のお昼ご飯を作りに帰宅、時間になったら龍亜君の演技とデュエルの特訓をしたりした。

 

 その後もしばしば臨時バイトとして牛尾リーダーとチーム組んでカチコミして制圧したり、早く終わりすぎるのも不味いとサボりでだべったりケーキ奢ってもらったりして仲良くなった。

 奢ってもらうとか凄く新鮮だった。

 財布を出す時はいつも私が最初だからねぇ~……

 

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