アトラスお姉ちゃんの日々   作:メリルメリルメリル

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彼氏ができました

 

 彼氏ができました☆

 お付き合いしたてのアツアツカップルだよ!

 まあその彼氏をほっといて一人でサテライトに行くんだけどさ〜。

 

 結果的に恋人関係になったけど最初ツトムの事も考えてお断りする前提で話し合いをしたんだよ。

 話し合いの殆どが私の身の上話になっちゃったけれど話さないわけにもいかないし。

 

 元々はシティの上流階級側の人間だったけれどゼロ・リバース事件でサテライトへ避難のために送られた事、サテライトで育ちその環境でどのように弟達を守りながら生きてきたかという部分から話した。

 

 ツトムは受取り手だった訳だし私が指名手配犯の捕獲をして賞金稼ぎみたいな事をしていたのを当然知っている訳だけどおばちゃんは驚いていたね。

 乱暴されなかったか心配してくれた。

 そういった場面を見たこともあるけれど基本的に毟り取る側だったと伝えて身体能力の高さの証明として逆立ちし片手の力だけでジャンプして両足でビタッと直立着地して見せたらなんとも言えない表情されちゃったよ。

 

 育った環境の説明で自然と弟達の説明もして弟が元キングと現キングという部分で物凄く時間がかかった。

 弟達にデュエルを教えられる実力と喧嘩の強さと運の良さが無ければサテライトで弱小グループが堂々とするなんてできない。

 

 次に現状の話をした。

 治安維持局のイェーガー様との関わりをこれまで受けた依頼内容と一緒に説明し、治安維持局に入らないかとスカウトも受けているけれどお断りしていること。

 お断りしているけれどお互いの為に引き続き依頼は受ける事にしていること。

 これらの関係でお付き合いをしても2〜3年は治安維持局や弟達を優先する事になるので恋人っぽい事はあまりさせてあげられないといった内容。

 

 サテライトへと繋がる橋が架かってからが本番だろうから2〜3年という見立てだよ。

 イェーガー様ならそれで必ずやってくれると信じている。

 本人はゴマすりだけで出世したとか自称してるけどイェーガー様を知れば知るほどそれは有り得ないって評価になるって。あの人は本当に凄いよ。

 

 最後に話したのは起こり得るデメリットについて。

 サテライトの住人と付き合う事でどうなるかという、どこまで行っても予想の範疇は超えないけれどもどれも起こり得る事で危険があると話した。

 

 話し合いを終え日を改めて答えを聞く事となりこの日は解散した。

 

 その次の日。

 

「〜〜♪……ん?…………はっや」

 

 豚肉だけどビーフなシチューを作っている途中着信音が鳴りメールを確認するとツトムからの返事だった。

 最初の方をチョロっとだけ読んで『今からそっち行く』と送り返した。

 

 お夕飯作りは当番制にしていて弟達が自炊できるようにするためにそうしている(ジャックは不要だが知識付ける為に見せるようにしてる)。

 この日の当番はクロウなのだけどクロウは仕事が忙しく残業で日が変わる事もあるので19時を回った時点で私がお夕飯を作り始めて完成間近だったけどツトムを優先する事にした。

 

「お〜い、ジャック〜」

「なんだ?」

「用事できちゃったから悪いけど変わってくれない?

 あとはシチュー煮込むだけだから焦げないよう見てるだけで良いから」

「わかった。任せてお……多くないかこれ?」

「明日の朝食も兼ねてるから。じゃあお願い、勝手にアレンジしちゃダメだからね?……遊星〜」

 

 パソコンで作業している遊星に声をかけるが返事が無い。

 

「遊〜星〜」

「ん……」

「ゆぅ〜せぇ〜?」

「ん〜……」

「駄目だ、届いてない」

「いつも通り引っ叩けばよかろう」

「引っ叩く程の内容じゃないし私の頼み事してくれてるからいいよ。

 それじゃ私は外行ってくるしついでに何か買ってほしいものとかある?」

「そうだな……よく冷えたコーラ。あと氷」

「りょ〜かい。……あっ!シチュー見てるだけで良いって言ったけど適当なタイミングで回したりして焦がさないようにしなきゃダメだよ!」

「!?……わかった」

「……大丈夫?」

「任せろ。何の問題も無い」

「そっかぁ〜…………お姉ちゃんなるべく早めに帰ってくるね」

「余計なお世話だ!ゆっくりでいい!」

「そう?なら信じるからね?」

「とっとと行け!」

 

 


 

 

 そのまま駄菓子屋に行って簡単なやり取りの後、無事にお付き合いする事に決まった。

 

 メールにも告白の文面は書いてあったようだけどそこはあえて読んでない。

 ツトムもメールとは別で後日改めて言うつもりだったようだけれどすぐに伝えたかったと言ってくれて、そのまま直接言葉で告白を受けたのだけど、自分が思っていたよりも嬉しく感じた。

 

「それでサテライトに戻るのは考え直してくれないか?」

「え〜っと……何で〜?2・3日、長くても1週間くらいで戻るつもりだけどそれが駄目ってなったら残念だけどお断りしないといけなくなっちゃうんだけど………」

「……………1週間?ずっとじゃなくて?」

「え?何であんな場所にずっといなきゃいけないの?嫌だよあんな場所。いいとこ何も無いじゃん。どうしてそう思ったのさ?」

「えっと……」

 

 なんかシティはサテライトと比べて窮屈だから帰ったらそれっきり戻ってこないんじゃないかって思ったらしい。

 サテライトは無法で自由かもしれないけど自由である事と責任が生じない事は全くの別物なんだけど……

 

 確かにサテライトじゃ10を越える異名を勝手に付けられたくらいにはブイブイ言わせてたけどさ、そういうの放置してたのって無駄な争いを避けるためで舐められたらブチのめすしかないから仕方なくだよ?って感じに説明したら納得してくれた。

 

 異名の中でもサテライトの生きる伝説、サテライトの環境が生んだ怪物っていうこの2つからしてサテライトの方が肌に合うんじゃと考えたんだってさ。

 それで焦って告白するってクロウより身長大きいのに可愛いな私の彼氏。

 

 それはそうとこの2つの異名を付けたどっかの誰かは特定したら絶対ブチのめす事に決めました。

 もちろんデュエルでね。

 

 


 

 

「ただいま〜」

「お帰り」

「遅かったな」

「遠くも近くもない距離だったけどちょっと話し込んじゃったんだよね〜。シチューだし食パンとフランスパンも買ってきたけよ〜」

「ふむ、なら早速焼くとしよう」

「あとお姉ちゃん彼氏ができました」

「………?セイラ、いくらコンビニだろうと売ってないぞ?」

「?いや、スーパーで買ってきたんだけど?おっきいサイズ3本纏めて買うと値下がるやつで安かったよ?あとフランスパンもバラより1本のが安い。ほらジャック、氷とコーラ」

「おい、ポテチはどうした?」

「え?……うえぇ〜?お姉ちゃんそれは初耳だな〜……」

「しまった。……まあいい。シチューと合わせるか」

「……セイラ。どう考えてもスーパーにも売ってるわけがないだろ?」

「売ってない?でも買ったよ?」

「売ってるわけないだろ?」

「………?」

「………?」

「「?????」」

 

 話が噛み合わないでいるとプシュウッ!!とコーラの蓋を開けると濁りの無い贅沢な氷にコーラを豪快に流し込んむとあっという間に1杯目を飲み干して次を注ぐ。

 

「馬鹿な話をしとらんでさっさと食え。この俺が作ったのだから冷ますなど許さんぞ」

「あ!ジャックがよそってくれてるじゃん優しい!ありがとうジャック!」

「そうだな。頂きます。………ん?今日はクロウが当番だったと思うが何故ジャックが作っているんだ?」

「クロウが遅かったから変わりに作ることにしたんだよね」

「まったく、アイツは何時に帰ってくるだろうか……」

「もうすぐ22時になるね。

 一応社会勉強って事で放置してるけど悪化するようならカチコミでもしちゃおっかな〜?」

「ここはサテライトじゃない。そんな事をしては駄目だ」

「ただのジョークでそんな真剣に返されるとお姉ちゃん困っちゃうな〜……あ、パン焼けた。取ってくるね」

 

 オーブントースターから食パンを取ってテーブルに置くと一瞬で消えたのでとんぼ返りする。

 

 というかフランスパン買ったのに何で食パン焼いてんのさジャック。

 さては切るの面倒くさがったな?

 あとお腹空いてたのかも?

 お腹空いたからすぐ焼き上がる食パン選ぶ食いしん坊なところとか変わんなくて可愛いね。

 いっぱい食べるんだぞ。

 

「よし、セット完了♪

 作業してないって事はもう終わったの?それとも引っ叩かれた?」

「動画撮影の機材の作成と設定の調整、その両方とも終わったぞ。

 小型のピン留め型カメラと自撮り棒、音量の調整。

 慣れない作業で少し時間がかかってしまった」

「完璧だよ遊星!本当にありがとうね!」

「そんなもの作らせていたのか?動画撮影などしてどうするつもりだ?」

「サテライトに戻ってサテライトの紹介でもしよっかな〜って。

 サテライトには確かに犯罪者ばかりだけど、しなきゃ生きられない人がいるのも事実じゃない?

 そういう光景を説明込みで伝えていけば分かってもらえてさ、橋を架けるのを受け入れてもらいやすくなると思うんだ」

「なるほど。……ただ繋がれば自然と馴染むものだと考えていたが、繋がる前に出来ることも多いわけか」

「あれ?遊星気にしてる?

 私がしたくてしてる事だから気にしなくて良いんだよ?」

「セイラ」

「うん?」

「ありがとう」

「どういたしまして」

 

 現状遊星達は繋がってから開催されるワールド・ライディングデュエル・グランプリ、通称WRGPに向けてD-ホイールの改造や資金集めを自分達の力でどうにかしようと頑張っている。

 ほんの僅かだけどWRGPとは関係無い部分でサポートしてるのが私で、自分がしたいから遊星達が気掛かりになりそうな事をできる限り解決させたりする。

 

「そうだ、これ依頼料。食事中だけど今渡しとくね」

「依頼料?セイラから貰うわけには「貰っときなさい」だ、だが……」

「受け取りなさい。私は初めから遊星に依頼して依頼通りの仕事をしてくれたのだからその報酬はしっかりと受け取るべきよ。家族とかでなく仕事としての当然の対価で社会で生きるっていうのはこういう事よ」

「だが、それにしたって多くないか?」

「システムの作成まで依頼したんだから少ないくらいよ。

 それでも多いと感じたならさ。それは客が高く評価してくれて、また依頼したいと考えているんだってその気持ちと一緒に受け取りなさい」

「………わかった。その気持ち、感謝する」

「逆にテメーからの依頼なんて二度と受けてたまるか!って思ったら状況にもよるけど一銭も受け取らずたたき返してやんなよ?」

「フ……そんな依頼が来な「おっ!パン焼けた!」……………」

 

 チーン!と良い音が鳴ったから次の焼くパンと入れ替えてから持って行く事でようやくパンを口にできた。

 

「う~ん。美味しいね~」

「……………ちょっと待て、サテライトに行くと言ったな?」

「ん?そうだけど?」

「俺達の家事はどうなる?」

「何のために当番制なんて作ったと思ってるの?

 そのうち私はここから出ていくって話だったんだから練習とでも思って頑張りなさいよ」

 

 そんな顔しないでよ。ジャックはそのままで良いんだから。

 確かに自分達の力だけで出場して優勝したいってやり方は立派かも知れないけれど、そういうのは自分の衣食住を自分の力でできている事が前提な訳でジャックは近いうちにナンバーワンの稼ぎ頭にならざるを得なくなる。

 

 だってジャックって不敗神話の国民的なキングだよ?

 今は元キングだけどキングってワードだけで話しを広げるとジャックの話しである事が前提なくらいの国民的キングなんだよ?

 

 そんなキングが私達の生活水準に何時までも合わせてられるわけがないし、強要なんてしたらそれ普通に拷問だから。

 サテライトで配信活動する事には複数の狙いがあるけど何パーセントかはジャックに配信活動させる為の知識というか下地作りみたいな側面もあるからね。

 

 


 

 

 0時13分

 

「ちっくしょ~……や~っと帰れたぜ~……」

「お疲れ様。お帰りなさいクロウ」

「ようやく戻ったか」

「お帰り」

 

 外から聞き覚えのあるエンジン音が聞こえたので火を入れシチューを温め直していると予想通りクロウが戻ってきた。

 

「おぉ……ただいま。夕飯作ってくれてる………俺の当番なのに、ありがてぇ、本当に……」

「えっ、ちょっとなに泣きそうになってんのさ」

「泣いてねーよ!でもマジでありがとう!」

「……よしよし、よく頑張りました」

「止めろって!ていうか遊星はともかく何で全員起きてんだよ!?」

「見たらわかるだろ。ゲームをしているのだ」

「これはスゴロクのパーティーゲームだけど他にも彼氏からいろいろと借りたんだ~」

「へー、そーなのか。……彼氏?」

「あぁ。セイラ曰くスーパーで買ったそうだ」

「何言ってんだ???」

「買ってないし駄菓子屋だよ?」

「駄菓子屋にも売ってないだろ?」

「駄菓子屋って……また猫に惚れ込んだとかそういう話しか?あんま浮気すんなよ」

「違うってば!」

「猫ならそこで寝ているだろ。それより再開するぞ」

「疲れているだろうしゲームはクロウがシャワーとか食事終わる「ちょっと待て!」まで……どうしたの?」

「明日休みだから俺も混ぜろ!オールすっぞ!!!」

「Yeaaaaah!!!」

 

 立ち上がり両手を大きく挙げてバンザーイ!状態からハイタッチ仕掛けるとクロウとの身長差からちょっとバンザイになってないバンザイハイタッチで返してくれる。

 

「よ~し!クロウはそんな長くないし普段通りシャワー浴びといで。

 私はこのままパン焼いたりとかするから、ジャックと遊星は……これくらいかな?これでポテチとか好きなの買ってきて!」

「任せろ!」

「セイラのお酒は?俺達だけじゃ買えないぞ?」

「お酒はあるから良いかな〜。というかサテライト行くしヨーグルトとか私の冷蔵庫に溜め込んだやつ無くさないと。

 あ、飲み物いらないけどお姉ちゃんミックスナッツが欲しいな~。あとチョコ系!」

「先にナッツが出るとは、おっさんみたいだな」

「おじさん」

「うるさい!美味しい物は美味しいの!そんないうならジャック達にはあげないよ!?」

 

 このあと思い付きでソファーの後ろに適当にカメラを設置しプレイしてる様子と実際のプレイ画面の様子が映るようにこれまた適当に設定して生放送したらメチャクチャバズった。

 最初視聴者0人だったのに2時間くらいしたら深夜なのにバカみたいに人数増えてたらしくて、バズった事に気が付いたのは太陽が昇り皆で寝て起きてから機材出しっぱなしなのに気付いた後だった。

 

 タイトルは『テスト。弟達とマ〇パとかする』でサムネ含めて全部が超手抜きだったのに。

 一応警戒してたけどさ。それでもまだジャックの知名度を甘く見ていたよ……

 遊星も少し話題になったけどジャックで溢れてた。

 現キングより元キングか。ジャック凄いな~。

 





セイラ
「一応報告したしツトムの精神状態じゃ分かれる事も有り得るからこれでいいでしょ」
ジャック
「彼氏? 知らん、貴様の道は貴様の物だ。勝手にしていろ」
遊星
「これまで苦労してきた分幸せになってくれ。セイラの選んだ相手なのだから祝福するが……なんかはぐらかされている?(セイラの中で終了した話題ってだけ)」
クロウ
「悪い大人が泣いて命乞いするリトルゲヘナに?ナイスジョーク」

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