アトラスお姉ちゃんの日々   作:メリルメリルメリル

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娯楽にあふれた世界

 

 シティにはサテライトと違い様々な娯楽があり、当然私もそれらを楽しませてもらっている。

 

 例えば最近は音楽にハマってるしギターの練習なんかもしている。

 アコースティックギターは楽器の中でもよく使われている物でピアノという絶対王者を除いて知らない人はまずいない知名度で楽器の中でも特に人気の高い物だと言っても良いかもしれないね。

 

 このギターは彼氏が学生時代に挫折し埃を被っていたから借りて練習していて、昔ピアノを習っていただけあって上達が早いと彼氏に褒められたくらいだ。

 ……まあ私が上手いというよりツトムが不器用な気もするのだけど。

 

 とにかく沢山の娯楽に溢れているシティは大人となった事で勇気と無謀の違いを理解できるようになった私達には全てが未知で手を伸ばすにもそれなりに勇気が必要だったりする。

 

「ジャーン!今回はこれ!

 ドン・シャークザウルスVSグレートメカシャーク!」

「でたなシャークシリーズ」

「グラウンドシャークの時はセイラが爆笑して止まらなかったな」

「いやでもさぁ、海ならともかく人がリビングで溺れてバシャバシャしてたら……クッ」

「思い出し笑いしそうになってんじゃねーよ」

「セイラさんホラー映画観る度に笑いそうになるよね……」

「今回はしっかり怖いから!リベンジだからね!」

「龍亜、残念だけどシャークシリーズの時点で結果は見えているわ」

 

 映画という1つの娯楽が無限と感じてしまうほどの数あって一生かけても全部観るのは不可能だ。

 たかが映画と思うのが普通なのかもしれないけど、大人になって初めてそのコンテンツに触れる事になる私等からしたら規模がデカすぎて怖く感じるんだよ。

 

「今日オススメするのはもののけ〇だよ」

「ジ〇リね。やっぱり鉄板は外せないわよね」

「アキさんはジ〇リだと何が好き?」

「そうね……紅の〇かしら」

 

 だから皆の時間が合う時に3人からオススメの映画を紹介してもらい、その中から1〜2本視聴するというのを龍可ちゃんの提案で始めてみたらコレが良い感じにハマった。

 

 


 

 

 龍可ちゃんが試聴会を提案してくれる少し前の出来事。

 

 昔(年齢一桁の頃)の記憶を遡り自分が何をしていた、そもそもどういった事を覚えているかメモに書き殴っていたんだよね。

 

「(わ〜お……サテライト来てからお母さんはお稽古けっこうスパルタだったんだなって思ってはいたけれど凄い事になっちゃったぞ)」

 

 作法にピアノに新体操にダンスに勉学にデュエルって……いや、私に才能があった事は確かで苦じゃ無かったし楽しんでやっていたと思うよ?

 それにしても多くない?

 サテライトに落ちてから教えても全然できない様子を見て何でできないんだろう?私が同じ頃は簡単にできたのに……と、自分の才能と教育機関の大切さをしっかりと理解したのは10代頃だったかな?

 

「(体を使う事が得意とは言われてたけれど、まさか一番の才能が暴力だったなんて誰も思わなかっただろうなぁ……

 本来一生目覚めることの無い才能だよねぇ〜)」

 

 なんて苦笑したタイミングで暴力というワードが引っ掛かり、引っ掛かった原因がすぐに思い浮かぶ。

 

 以前私の暴力を見てアクション映画のようだったと評価してくれた龍亜君の言葉で、それを思い出し直ぐ様メモに走り書きをした流れでネットで検索する。

 

 そして動画サイトの一覧見た瞬間、件数が多すぎて思考が停止した。

 

「(いち、じゅう、ひゃく、せん…まん…………万???)

 えっ………えぇ~?」

 

 多い多いとは思っていたけどここまで多いものなの!?

 

 何から観るべきか悩みに悩んでスクロールしながら画面とにらめっこしていると、そういえば昔アン〇ンマン好きだったなと思い出して検索したら出るわ出るわ。

 せっかくだし第1作目の作品を見る事にして……

 

「……なあ、これ子供向けの映画じゃねーのか?」

「何処からどう見ても子供向けだろ」

「子供向けで悪かったわね。

 私が昔本気で憧れたヒーローがアン〇ンマンなのよ。

 弟達がお腹をすかせず幸せで居られますようにって」

「お腹をすかせず?クッキーでも持ってんのか?」

「違うわよ。アン〇ンマンは見ての通り顔がパンだから千切ってお腹をすかせた子に分け与えるのよ」

「……グロくねえか?」

「うっさい。少し黙って観てなさい」

 

 


 

 

「そうだ!いけぇ!!!」

「うおおおおおおお!!!」

「これが仲間との!勇気と結束の力だ!!!」

「………ぐす」

 

 なんか私、ダークシグナーとの戦いの後からものすっっっっごく涙もろくなったなぁ……

 

 複雑骨折しようが鬱で寝込もうが涙を流すなんて無かったのに。

 

 確かに子供向けの絵柄で内容もわかりやすいモノだったのだけれど、絶望をはね除ける本物のヒーローの力は大人でも……

 いや、大人になり、さらにダークシグナーとの戦いを乗り越えた後だからこそ強くの飲み込まれていき愛と希望のまぶしさに照らされて涙が溢れてくる。

 

 救いは……救いは確かにここにあった。

 

 昔確かに憧れたヒーローの輝きを大人になった私は忘れていた。

 そして何となく、本当にただの思い付きで見て大正解だった。

 昔大好きだったヒーローが、今になって再び胸の中で残るヒーローとして刻まれた。

 

「ヤベえな。子供向けってのはわかんだがメッチャ燃えちまったぜ」

「確かにこれは子供向けだった。だが……」

「凄かったね……彼は間違いなく私が憧れたヒーローだったよ」

「あぁ……」

 

 何度でも言うけど、アン○ンマンは年齢が低い子供向けのアニメ映画なんだよ。

 ならさ、ある程度大人になった子が楽しめる映画となると?

 

 


 

 

 そう期待するのは当然の話で下手に触れてハズレ引いてしまってそれから観なくなるっていうのは避けたいじゃない?

 だからどうした方が良いかグループの部屋で呟き、龍可ちゃん提案を即採用して開いた鑑賞会は大当たり。

 月に1、多い時は3回するくらいには好評だ。

 

 彼氏を完全放置でしかもこの頻度でやってるのはちょっとマズイ気もするけど弟達からはかなり好評なんだよ。

 

 いやさ、私もいつかはツトムも誘って一緒に観たいとは思うんだよ。

 けど今のツトムじゃガラの悪いの3人に囲まれたら可哀想過ぎて全然映画楽しめなさそうだよねぇ〜……

 私の弟、3人中2人マーカー付きって常識的に考えたら怖すぎでしょ。

 いくら私の認識だとマーカー付きはセキュリティに捕まった事のあるマヌケだとしても一般常識だと何らかの犯罪者な訳だしさ〜。

 

「最後は私ね。前回龍亜がシャークシリーズをホラーと紹介していたけれど、あれはホラーだけどホラーじゃないわ。シャークはシャークよ」

「まあそりゃな」

「だがシャーク以外も観ただろ?セイラが散々殺人鬼にダメ出ししたのが」

「えぇ、アレがあったからこそセイラさんの攻略法を理解できたわ」

「うえぇ~?攻略って趣旨が変わってるよ~?」

「私がオススメするのはエクソシストよ」

 

 リトルゲヘナ(笑)は地獄の悪魔に恐怖し黒薔薇の魔女に屈服した。

 

 


 

 

 今日は以前から龍亜が我が儘言っていたお泊まりで映画鑑賞したいというのが通っちゃってお泊まりで全ての映画を鑑賞する事になった。

 

「セイラさん?」

「……あ、ごめんね。怖くない?手、握る?」

 

 最後に観る事になったアキさん紹介のエクソシストは確かに怖いのだけれど怖がりすぎている人がいると逆に落ち着くというか、私まで怖がったら大変な事になりそうと思っちゃう。

 私の隣で物凄く怖がっているセイラさんの体がビクッと跳ねた事に私もビックリして、声をかけると強がって私の事を気遣ってくれる。

 返事も待たずギュッと握ってきたその手はセイラさんの頼もしくて暖かく、そしてとっても硬い手。

 セイラさんの手は私が握ったことのある誰かの手の中で一番硬くて、男の人でもこんなに硬くない。

 素手でレンガを砕く姿も見た事あるし、世界で一番喧嘩が強くて頼もしい大人というのが私が持つセイラさんのイメージだ。

 

「ぎょええーっ!!!」

「ひっ……」

 

 何度目かの龍亜の絶叫に連鎖して小さく悲鳴をあげるセイラさん。

 そして………

 

「その……龍可ちゃん、怖くないかな?

 お姉ちゃんが一緒に寝よっか?」

「え………うん、一緒に寝よ」

 

 セイラさんは映画を見終わった後懸命にいつも通りのお姉さんとして振る舞っていた。

 けれどいつもお泊まりの時は私が言う事をセイラさんから言ってきて、私が返事を返すとホッとした表情をしてくれて、その、失礼かもしれないけどセイラさんが凄く可愛いと思っちゃった。

 





 ストックが無くなったので今後はゆっくりになります。


 暴力でどうにかならない相手かつ、何が目的か意味不明な相手には恐怖を感じます。
 逆に暴力でどうにかできそうな事に関しては怖がる前にどう対処するかという事を考えるし、死が確定するレベルの重症でも即死でなければ反撃される事を知っているので殺人鬼を見てコイツいつか反撃で相討ちになりそうだなと口にしていました。

 シャーク映画?低予算のギャグ映画でしょ。
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