八葉を継ぐ者──AAA──   作:クラウンドッグ

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その一刀は闇を裂くか

 

 

4度目の特別演習。帝都ヘイムダル。アーサー曰く“終わりの始まり”──巨イナル黄昏が開始される時まであと僅か。

 

ナギトはようやくⅦ組と行動を共にする事を許可され、演習開始の許諾と演習課題の受け取りのために鉄道憲兵隊の詰所に来ていた。

 

そこにギリアス・オズボーンが現れる。事前にアーサーに教えてもらっていたナギトに驚愕はない。

 

 

「君がナギト・ウィル・カーファイくんだね」

 

 

案の定と言うべきか、オズボーンは食指を動かした。すでに諸般の手続きは終わっていて、あとは課題に取り組む段になってからの話だ。

 

 

「リィン、先に行ってろ」

 

 

ナギトはリィンらに言うと彼らは従い、オズボーンと2人きりの密室がつくりだされた。

 

 

「はじめまして、ギリアス・オズボーン宰相閣下」

 

 

お辞儀をする。帝国貴族の作法をナギトは叩き込まれている。しかしそんな礼には何の価値もないと一瞥もくれず、オズボーンは仕掛けた。

 

 

「本当にはじめまして、かね?」

 

 

アーサーとの打ち合わせで、この場をオズボーンが訪れる事はわかっていた。何度もシミュレーションをした。ほんの僅かでもなにかを得られるように。

 

 

「はじめまして、ですよ。少なくともこの世界ではね」

 

 

仕掛けてきたオズボーンに、まずはかます。それがナギトの出した答えだった。

 

 

「あなた相手に腹芸は分が悪い。だから包み隠さず言いますが、俺は別の世界からやってきた旅行者です」

 

 

「ほう……続けたまえ」

 

 

オズボーンがにやりと笑む。その微笑みの意味を見通せばしないが、掴みはまずまずのようだ。

 

 

「その世界ではあなたの野望は打ち砕かれた。俺と仲間たちによって。……だから俺は知ってる、あなたの願いも……その果ても」

 

 

真実と虚構を入り混ぜて、ハッタリをかます。ブラフを仕掛ける。

 

 

「これは降伏勧告です」

 

 

言え。言い切れ。その視線がなにを見抜いているとしても、冷たい汗が背筋を流れたとしても、それを微塵も面に出さず。

 

 

「黄昏なんて中止なさい。さもなくばあなたはすべてを喪い───、世界が終わる」

 

 

言った。言ってやった。達成感で表情を緩めるな。自分に言い聞かせる。オズボーンの前ではどれも難しい作業で、ナギトはしかしやり切った。

 

そして、それに対するオズボーンの反応は。

 

 

「──どうやら、そちらの私とこの私とでは目的が違うようだ。その手段もな」

 

 

一目で見抜かれている。

ナギトはシミュレーションした内でも最高得点を叩き出した自信がある。それを悠々と超えてくるのだから《鉄血宰相》恐るべしだ。

 

しかしこれは織り込み済みで、その先もシミュレートしてある──が、ナギトの頭は真白に染まりアドリブで──否、素でこの会話を続行する事に決めた。

 

 

「やっぱり、あんた相手に腹芸は無理があるな」

 

 

「フフ……相手の驚愕に応じて畳み掛けるやり方は常套手段が過ぎたな?」

 

 

オズボーンも表情を崩す。しかし本心からの会話とならないのもまた決まっていた。

 

 

「君の目的はなんだ?」

 

 

「大目標は“元の世界に戻る”こと」

 

 

オズボーンの端的な問いにナギトも端的に答える。それから宣戦布告した。

 

 

「そのために俺はあなたを倒さなきゃならない」

 

 

ギリアス・オズボーンの打倒を果たしたとして、元の世界に戻れる保証はない。

しかしこの世界を形成した“特異点”であるアーサーの願いはオズボーンの野望を打ち砕くこと。それが達成されればナギトはこの世界から解放される望みはある。というかむしろそれしか当てがない状況だった。

 

 

「つまり君は…なりゆきで私を邪魔するの言うのかね?」

 

 

なりゆき。軽い言葉であった。しかしナギトは「ふっ」と笑えた。

 

 

「そうですね。でもそんなもんでしょう、人間ってのは。宿命の敵なんてのは中々いないもの……。国家、宗教、理想、思想…あるいは野望か。人が対立する理由は多々あれど、そのすべては今という時間が生み出すもの──言わば相対的な敵でしかない。時が違えば、あなたとまた酒を酌み交わせるかもしれない……いつかの日のように」

 

 

オズボーンの挑発を受けたナギトの返答には郷愁があった。帰りたいあの日々に、帰るべきあの日常に。しかし今はそれも記憶の中にあるだけだ。

 

ここまで終始挑戦的だったナギトの変貌にオズボーンは些か面を喰らう。酒を酌み交わせる、なんて戯言も本当にあった事かもしれないと。

それだけのものをナギトの裡に見出した。

 

 

「…………時間の関与しない絶対的な敵は存在しない、と?」

 

 

「それが人です。時間という曖昧な…なりゆきに流される生き物。弱く、脆く、しかし…だからこそ強い時代を築ける存在」

 

 

ナギトの言葉は先の決意とは違い本心から漏れ出たものだった。オズボーンと敵対する事は決まっている。この物語はそういう流れだ。ならば流れには逆らわず、ありのままでいいのだ。

 

 

「甘いな」

 

 

しかしオズボーンはナギトの老成した論を切って捨てた。

 

 

「人類には時間に関与しない絶対的な敵が存在する。……私は戦うだけだ。戦うに足る理由がある」

 

 

これはヒントだ。ナギトはそう直観した。

絶対的な敵。戦う理由。急速な軍拡。黄昏。《幻焔計画》、《身喰らう蛇》、《黒の工房》、《騎神》、獅子戦役。内戦。結社の実験。ハーメルの後始末。軍人からの転身。《鉄血宰相》。リィン。

 

様々なワードが頭の中で加速していく。

その中で特に存在を主張していたのはリィンの存在だった。

リィン・シュバルツァーの胸の傷。本人曰く記憶にない幼少の頃の傷らしいが、その傷の由来を実父であるオズボーンは知っているはずだ。

 

 

 

「それは─────」

 

 

「話はここまでだ」

 

 

ナギトの核心的な問いかけを予期したのか、オズボーンは会話を打ち切った。

 

 

「けちだなあ。こっちは俺の本質まで明かしたのに」

 

 

ナギトが口をとがらせる。何に縋ってでも情報を得たい。公平性なんて言葉は子供の言い分だとわかっていて、そんな無様を晒してもだ。

 

しかしオズボーンは見透かしたように「フフ」と笑う。

 

 

「君が明かしたのは本質だけだろう?」

 

 

それだけ言って去っていく。やはり《鉄血宰相》相手にナギトでは役者不足だった。

 

 

 

☆★

 

 

詰所から出るとリィンたちがナギトを待っていた。

 

 

「すまん、待たせたな」

 

 

「いや、それはいいんだが……何を話してたんだ?」

 

 

いきなり聞いてくるリィン。横にいたアーサーの目つきが変わる。

 

 

「世間話みてーなもんさ。確たる情報はなにも」

 

 

これは本当だ。しかしナギトのカンではオズボーンは出来うる限りの情報提供をしてくれたようにも思えた。その推測の果てに“ありえねー”という感想を抱いたのだが、客観視すると“ありえるかもしれない”。

 

そうして一行は演習課題に取り組む事になった。その道中でアーサーは小声でナギトに話しかける。

 

 

「本当はオズボーンと何を話したんだ?」

 

 

「マジで確たる情報はなにも得られんかったぞ。ただ……もし俺の推測が当たってたら話はかなり違ってくるかもしれない……かもしれない」

 

 

「なんで2回言った?」

 

 

「……確信も確証もない。俺の推測が当たってたとしても、やるべき事はあんまり変わらない気がするから」

 

 

アーサーはナギトとオズボーンの会話の内容を知らない。ナギトの推測とやらが何を示しているのかもわからない。

ただナギトはこの段階で、真実に限りなく近づいてはいた。

 

 

 

課題をこなす一方で空港に寄った一行。ナギトとアーサーはⅦ組と一時的に別れると、カレイジャスの乗組員に接触する。艦に爆弾が仕掛けられている事を伝え、それは発見された。

 

惜しくもその下手人たるジョルジュ・ノーム──《銅のゲオルグ》には逃げられてしまったが、これでカレイジャスが爆散する未来は防げるはずだ。

 

 

その後Ⅶ組一行は地下水路にてカルバード共和国特殊部隊“ハーキュリーズ”と接敵。新型戦術オーブメントRAMDAのステルス機能により一時的に遁走を許すも、ナギトの活躍により無事地下水路から脱出する前に捕える事ができた。

 

 

「おら、きりきり歩けー」

 

 

などと刑務官の真似事をして地下水路から外に出ると、そこは霊園の前だった。

そこにはトールズ本校の生徒と、その教官であるナイトハルトが待ち受けていた。ここでⅦ組が取り逃したハーキュリーズを捕える腹積りだったのだろうと類推する。

 

 

「なるほど、目の付け所は悪くないな」

 

 

Ⅶ組と本校のやり取りの最中、ナギトはそう褒めてやった。ただし上から目線である。それに気位の高い本校の生徒──皇太子セドリックを中心としたメンバーは目くじらを立てる。

 

 

「上から目線で……!」

 

 

「競争なんだろ?だったら捕り物のある俺らが上だ」

 

 

なんでも、ナギトとオズボーンがTMPの詰所で話している間に本校と第Ⅱで帝都に潜入したハーキュリーズをどちらが多く捕えられるか競争しよう、なんてセドリックは持ちかけたらしいのだ。

いくら名門トールズのしごきを受けているとは言え、相手は大人の軍人だ。そんなお遊び感覚で挑まれては困る。

 

しかし、競争を持ちかけた本校からすれば、ナギトの言には一定の理解を示さなければならない。だから紡ぐ言葉は皇太子たるセドリックに対して不敬な口を利いた事への文句だった。

 

 

そんな青臭いセリフを並べられてもナギトに痛痒はなく、むしろ痛快とばかりに笑い飛ばす。

 

 

「ま…こいつらは譲ってやるよ。俺がいるハンデって事でな。あ、拘束具は付け直すように」

 

 

ナギトは捕えていたハーキュリーズのメンバーをセドリックらに引き渡した。明らかな挑発である。そしてリィンはナギトを咎めようとしたⅦ組の生徒たちを制止する。

ナギトが煽るのは自然な事だが、ここまで挑発を重ねるのには何か意図を感じると。

 

 

ナギトの態度に本校の生徒たちはついに怒りをあらわにした。

 

 

「いかに殿下が生徒として振る舞っておられるとは言え…不敬が過ぎますわ!」

 

 

「聞けばコネで職に就いたという第Ⅱの教官…その実力を試させてもらおうか!」

 

 

セドリックの取り巻きでも有能株の2人──エイダとフリッツが得物に手をかける。しかしそれを構える前に2人は崩れ落ちて気絶してしまった。

 

 

「若いってのはいいねぇ。彼我の実力差も押し測らずに誇りに殉じる事ができる」

 

 

ナギトが何かをしたのは明らかだ。しかしセドリックには何が起きたのかまるでわからなかった。気絶した2人は白目を剥いて泡を吹いている。どれだけひどい悪夢を見てもこうはならないだろう。

 

 

「2人に何をした!?」

 

 

剣を抜いたセドリック。返答如何ではナギトと敵対する構えだ。

 

 

「俺が何かしたように見えたか?」

 

 

しかし、やはり挑発げにナギトは口角を上げる。ナギトが腰の得物を抜けば、それこそリィンもナイトハルトも止めただろう。しかしナギトはその場から動かずに本校の俊英2人を昏倒させた。ナギトを問い詰められるだけの証拠がないのだ。

 

手口がわからず奥歯を噛むセドリックにナイトハルトが助け舟を出した。

 

 

「殺気を当てたな。……大した力量のようだが……少々大人げないのではないか?」

 

 

「さすがですねナイトハルト教官。……まあ指導は任せてくださいよ、世の中ナメた若僧に気づきを与えるのも大人の仕事だ」

 

 

咎めるナイトハルトにナギトは引っ込んでいろ、と言っている。《剛撃》の異名を持つナイトハルトだが、それゆえにセドリックらより遥かにナギトとの距離を感じられている。

されど指導をするという名目ならば無茶はすまいと己を納得させて、リィンらと同じように事の趨勢を見守る事にした。

 

 

「さて……セドリック。──セドリック・ライゼ・アルノール」

 

 

改まってナギトはセドリックに向き合う。

 

 

「まずははっきり言っておこうか。お前は皇位継承権以外は何もないただのザコだと」

 

 

そして究極の不敬をいきなりぶち込んだ。リィンの制止を振り切ってクルト──本来はセドリックの護衛役になるはずだった──が飛び出しそうになる。

 

 

「ッ……!確かに、あなたから見ればそうでしょうね。フリッツ、それにエイダ……本校でも指折りの実力者を殺気だけで気絶させるあなたなら。だが僕たちも第Ⅱと同じように特別演習で猟兵を相手にも戦った事がある。若僧呼ばわりはやめていただきたい……!」

 

 

ナギトは「フ」と笑う。セドリックは“皇太子”という身分と“本校の生徒”という立場を反復横跳びしてナギトから少しでも有利を得ようとする、その姑息さに。

身分や立場を悪用してその場に応じる面の皮の厚さはナギトも同等以上だが、それゆえにやり方についても熟知している。なんなら自分の事を棚に上げる技量もナギトはセドリックを上回っている。

 

 

「オーケー、それについては謝罪申し上げる、本校の生徒よ。そこの2人が起きたら俺が謝っていたと伝えてほしい」

 

 

易々と低頭するナギトに、むしろセドリックは戦慄した。“本校の生徒”という防壁を破られたと直観したからだ。

 

 

「で、話は戻るがセドリック。俺はお前に言ってるんだぜ……皇位継承権だけの男よ」

 

 

予期していた展開にしかしセドリックは喉を詰まらせる。学院の成績は首席。武術教練でも最高評価。そんなものでナギトを黙らせられる未来がまったく見えないからだ。

 

ナギトはそれを見越して言った性格の悪さもあるが、だからこそ話を先に進められる。

 

 

「だが……それ、は同時にすべてを手にしているとも言える」

 

 

皇位継承権。次代の皇帝。至尊の君。エレボニアという巨大帝国の王たる資格。

 

 

「お前はなにも持たなくていい。自らが無能でも有能な部下を受け入れる度量さえあれば。……しかし第Ⅱを見下し、あまつさえ国家の危機たる敵国の特殊部隊を相手に侮った発言……とても国家元首の器とは思えない」

 

 

言い切った。いとも容易く。思わず言い返そうとしたセドリックより先にナイトハルトが怒気を見せる。

 

 

「そこまでにしてもらおうか。その発言はユーゲント陛下をも侮辱しているだろう。出向している身とは言え、いち軍人として、エレボニア国民として見逃すわけにはいかないな」

 

 

「おっと、これは失礼。そういった意図はないんですよ。……ただ、そういう意味で言えば今の皇帝は大器であるとも言える。ギリアス・オズボーンに全権委任しているわけだからな」

 

 

本当に侮辱の意図はないのか。リィンもエレボニアの臣民として太刀を抜かねばならないかも、と思わせるナギトの不敬だ。

なにしろ現皇帝はオズボーンの操り人形の如くであると言ったも同然だからだ。

 

 

「…僕の事はいい………だが、このエレボニアという巨大な国家を一身に背負う父の事を侮辱するのは許さないぞ…!」

 

 

ついにセドリックの堪忍袋の緒が切れた。未熟ながら殺気も飛ばしてきていて、しめしめとナギトはほくそ笑み「フフフ」と馬鹿にした笑い声を漏らした。

 

 

「国家を背負う?あの皇帝が?……だったらなぜ貴族派と革新派の争いを座視した?あの内戦で何もしなかった?……無能とは言うまいよ。だが、あの人はどこか諦めた目をしてる。………正直に言うとな……俺はあの皇帝には腹が立ってるんだよ」

 

 

少し考えればわかる事だ。

ユーゲントⅢ世はおそらく今の《放蕩皇子》よりよっぽど放蕩していたはずだ。第一子オリヴァルトとユーゲントの年齢を計算するだけでわかる。

そんな奔放な皇帝──当時は皇太子──が、どうして今はあんな無気力めいた顔つきになったのか。

 

アーサーから聞いた。皇帝家──すなわちアルノールの家系には代々“黒の史書”の原本が伝わっていると。そしてその黒の史書に記載された未来を変えようとすると、より悪い結果が訪れると。

 

ユーゲントは黒の史書に挑み続けたのだ。悪い未来に。そして敗れ続けた。

その結果が、あの諦観皇帝だとナギトは思っている。

 

 

「……いいでしょう。そこまであからさまに喧嘩を売るのなら買ってやる…!」

 

 

そうしてナギトとセドリックの決闘が行われる事になった。

 

 

 

 

 

 

 

「少し…いやかなり本気を出す。お前らもそうしろ」

 

 

霊園を出て街道のはずれまで来て、ナギトはリィンに「お前も混ざれ」と言った。もちろんセドリック側だ。

そこまで来てようやくセドリックはナギトが重ねた挑発の意図を感じ取った。少なからずオズボーンから裏の事情について聞いていたためである。

 

 

しかしそれで引き下がる事ができるほど冷静ではなかった。まさしく怒り心頭。この男に少しでも吠え面をかかせてやらないと気が済まない。

 

 

「無縫真気統一──!」

 

 

──と、そんな思いはすぐに砕け散った。

いざというときのために決闘の仲裁役となっていたナイトハルトが、ナギトの絶招を見た瞬間に制止の言葉を投げたからだ。

 

 

「大丈夫です、加減は弁えてますよ」

 

 

ナイトレインにそう返したナギトは、セドリックとリィンを見た。

リィンは戦慄している。ナギトの実力は高く見積もって分校長オーレリア程度だという己の見積もりが甘すぎたのだという自覚。セドリックの実力では到底測れない高みにナギトの武は到達していた。

 

 

「もういいか?」

 

 

ナギトの忠告によって現実に戻ったリィンは“神気合一”。セドリックもまた自己強化の功術を実行した。

 

 

 

合図もなく始まった決闘。

実力差にたじろいだリィンに先んじてセドリックが仕掛けた。鋭い踏み込み、鋭い剣撃。それを打ち返したナギトは蹴りを入れてセドリックを突き放す。

その瞬間に僅かなタメを行うが、それを隙と捉えたリィンの“疾風”が迫った。受け流してセドリックにしたように蹴りで距離を離す。

 

 

「下です!」

 

 

とん、ナギトがその場で足踏みをした。リィンの言葉でナギトの仕掛けに気づいたセドリックは跳躍。次の瞬間には地面から大剣もかくやという刃が突き出ていた。

 

 

「殿下、連携しましょう!そうでないと勝ち目はない!」

 

 

「言ってる場合か?」

 

 

ナギトが空に手を翳すと刀剣がずらり。手掌の動きに合わせてそれらは射出された。

総計20本の刀剣をリィンとセドリックは避け、弾き、凌ぎ切る。

 

リィンとセドリックに戦術リンクが形成されていた。しかしナギトは彼らがそうしている間に絶技を解き放っていた。

 

 

「狂嵐怒涛───」

 

 

風の刃、雷の槍、渦巻く螺旋。それらが嵐という形をとって具現化する八葉刀神流、空の型。

 

目に見える暴威を前にセドリックは悟る。ああ、これは無理だ。

 

 

「殿下、合わせてください!」

 

 

しかしリィンは諦めていない。先陣を切る英雄の背中に、憧れの人物と肩を並べている自覚がセドリックの心を奮い立たせた。

 

リィンの太刀から蒼焔が立ち昇る。駆け抜ける刃は空間に斬線を残し、それは重なり斬撃の嵐となる。

 

 

嵐には嵐を。

それがリィンの腹案だった。ナギトの嵐の回転とは逆巻きで己の嵐を顕現させる。そこにセドリックの奥義が交差した。

 

 

 

「──七ノ太刀、落葉!」

 

「──プルガトリーセイバー!」

 

 

それは奇跡的な確率でマリアージュを見せた。紅蓮なる焔が斬撃の嵐を彩り燃え盛る様は火災旋風を思わせる威力だ。

 

 

 

「──雷影後哭 : 散!」

 

 

“狂嵐怒涛・雷影後哭”は嵐の内に相手を閉じ込め、その嵐を形成するすべてを一太刀に凝縮して放つ戦技。

しかしこの“散”は嵐を一太刀に凝縮する過程を経ずにその場で炸裂させる、言わば範囲型低火力の戦技。

 

 

──だがそれは戦技本来の形と比較すればの話。

炸裂した嵐はオーレリアの王技にも並ぶ威力だ。

 

リィンとセドリックのSクラフトによってその威力は大幅に減衰していた。さらにはリィンがセドリックを堅守した事によりダメージは減じている。

 

 

それでもなお炸裂した嵐はリィンの意識を灼いた。

“神気合一”による変身が解けて黒髪黒眼に戻ったリィンは立ったまま気絶していた。

 

 

「リィンさん!」

 

 

庇われたセドリックは呼びかけたが返事はなく、距離を詰めたナギトと剣舞を演じる事になる。

 

 

その太刀の閃きは流麗にして凄絶。防ごうとも一合一合で魂を削られる思いをする。

さらに打ち合う。一合、二合、三合。セドリックの剣が手から弾き飛ばされる。

 

 

「ぐっ……!」

 

 

緊張感と疲労でセドリックは立てない。膝をついたままで眼前のナギトを憎々しげに見上げた。

 

 

「なかなかだ」

 

 

ナギトはセドリックをそう評した。その評価自体は本心からのものだ。

 

 

「もう2年近く前になるのか……。あのひ弱だった少年がよくぞここまで成長したもんだ」

 

 

クロスベル独立に端を発した大陸西部の混迷。帝国では貴族派が内戦を仕掛け、セドリックは皇族の一員として囚われ、その終盤には《緋の騎神》に押し込まれた。貴族連合の総主宰だったカイエン公爵に使われた結果だ。

 

 

「あの時…何もできなかったガキが、たかが2年ぽっちで………トールズの首席かよ」

 

 

トールズ士官学院は名門だ。その首席の座は安くない。智勇を兼ね備えた者にしか到達できない。

 

 

 

「誇れ。お前は強い」

 

 

 

 

その純粋な賛辞をセドリックは正面から受け止められない。

これまで散々馬鹿にしてきたのは誰だ。今膝をついているのはどちらだ。しかしナギトが嘘をつく意味も感じられず混乱するセドリックに、追撃がしかけられた。

 

 

 

「その心以外は」

 

 

 

“心”。

それはとても重要なファクターだ。心技体、という言葉があるように、それらが十全に揃ってこそ英雄は英雄たる。

そして英雄に憧れるセドリックは、英雄を英雄たらしめる心が不足していると指摘された事実に──────。

 

 

「ふざけるなッ!貴様に僕のなにがわかる──!?」

 

 

限界を超えて立ち上がる。弾き飛ばされた剣を拾い構えを取る。

 

 

「はあぁぁぁぁあ!」

 

 

紅蓮の炎を纏う剣撃がナギトを襲う。それを難なく捌きながらナギトは続けた。

 

 

「その成長には目を見張る。だからこそわからない。身体の成長と精神の成長はセットだ」

 

 

「黙れ…!」

 

 

「なにを畏れている?なにに唆された?どうしてお前はお前の進むべき道を己で見出さない?」

 

 

「黙れェ────!」

 

 

セドリックの勢いは語気だけに留まらず、騎士剣を彩る紅蓮を、さらに色濃く燃え上がらせる。

再度放たれるSクラフト“プルガトリーセイバー”。

 

 

「反証剣技──焔狗塵芥」

 

 

しかし限界を超越した一撃は完璧に相殺された。絶望を宿したセドリックに肉薄すると、ナギトは胸ぐらを掴んで持ち上げた。

 

「ぐっ……!」

 

セドリックは抵抗したがナギトにはなんの痛痒も与えられなかった。

 

 

「お前はなににも忠を尽くしてはいない。高みに立って見物してるつもりだったか?滑稽な……いや哀れな事だ、その実…地に足つけずに彷徨っていた所につけこまれたか」

 

 

「なに、を………」

 

 

「要するにお前はとんだ大馬鹿野郎だって事だ。………ある意味で俺に似てるか」

 

 

言葉の最後に嘆息してナギトはセドリックを放した。げほげほと咳き込むセドリックに過去の己──迷走していた《剣鬼》を幻視した。

 

 

「さて……幕引きといこうか。剣を取れセドリック。リィンも……もう気絶したフリはいいぞ?」

 

 

意識を回復させていたリィンは隙を窺っていた事実を当然のように看破されていた事に冷や汗を流しつつ、セドリックと共にナギトと対峙した。

 

 

 

「死力を尽くせ、全霊を捧げろ。次代の黄金の軍馬の担い手たちよ!……迷いも畏れも、すべてを背負い俺に挑め。そのすべてをこの《刀神》ナギト・ウィル・カーファイがぶった斬ってやる!」

 

 

 

リィンは再度の“神気合一”。こちらは限界を超えて普段より鬼の力と呼ばれる黒い陰の気が膨らんでいて、エマからもらった力を抑えるペンダントも役目を果たしきれていないようだ。

セドリックもまた呼吸を整えて底の底に眠る力を解放した。リィンと同じように黒いオーラを身に纏っている。

 

2人の合技が放たれた。

 

 

 

 

「───無月一刀」

 

 

 

その刃の閃きは、2人の合技を切り裂きリィンとセドリックをまとめて両断した。

 

 

 

 

☆★

 

 

 

その刃の閃きは、2人の合技を切り裂きリィンとセドリックをまとめてその身に蠢く黒き闇を両断した。

 

 

 

 

 

 

一行は演習地に戻る最中、ナギトに先の一幕の狙いを尋ねた。

 

 

 

「……どうにもな、皇太子殿下に嫌な影が見えた気がしてなぁ………。だから喧嘩ふっかけて、その影を引き出して斬ってやろうかと思ったんだが」

 

 

リィンはもうナギトに全幅の信頼を置いている。戯言を繰り返す奴で、ふざけた事を繰り返す奴でも、その行動に意味がある事を知っていた。もはや諫言をするのではなく、その結果を聞きたくなる。

「それで?」と続きを促したリィンにナギトは肩を竦めた。

 

 

「半分ってところだな。ちなみにお前のは……深く結びついてるせいで斬れなかった。……悪いな、俺もまだ未熟だ」

 

 

ナギトはそういった因果を斬り裂く術技をもってはいる。しかしそれは“特異点”としての己を消費する事でもあり、今この段階で切るべきカードではないと思っていた。

いずれは“特異点”の権能なしに因果も運命もまとめて斬れるようになりたいものだ。

 

 

「半分、というと……、その…セドリック殿下にまとわりついてた影を斬ったって事だよな?」

 

 

「うん。今も半ば顕在化しちゃいるだろうが……今後事態が混迷を極めれば殿下はさらにちぐはぐな行動を繰り返してたはずだ。それを多少なりとも未然に防げるかもしれないな」

 

 

リィンが、あるいはアーサーもわからないナギトの言動は、おそろしい精度で未来を透徹したものだった。

 

 

 

 

演習地に戻った一行は本日のカリキュラムを終わらせて、リィンは帝都で開かれる同窓会に向かう運びとなった。

 

「楽しんでこいよ」と言うナギトにリィンはぽかんとした後、ため息をついた。

 

 

「なに言ってるんだ。君も来い」

 

 

「はい?」

 

 

「君もⅦ組の一員だったんだろう?だったら同窓会に参加するのは自然じゃないか」

 

 

「いやいやいや……俺がⅦ組だったのは元の世界での話だ。この世界のⅦ組に俺の居場所はない。場違いだろ」

 

 

そんな事を言うナギトを「いいから」と引っ張ってリィンはバイクに乗った。サイドカーでぼやくナギトを微笑ましく思う。

 

Ⅶ組の同窓会なんて、参加したくないわけがない。元々の世界でも同窓会は計画されていたがパーになった事もあり、ナギトは同窓会に憧れを抱いている。しかしナギトのⅦ組は元々の世界で共に過ごしたあいつらだ。この世界のⅦ組は、ナギトと同じ教室で学んだあいつらじゃない。

と、そんな事を思いつつも本気で抵抗せずサイドカーに押し込められているあたりを見ると、だ。それを見抜いたリィンが微笑ましげな表情を向けてくるのも無理からぬ事である。

 

 

Ⅶ組の者たちが自分を受け入れてくれるか不安だったナギトだが、それは杞憂だった。

「ようやく来たか、2人とも」と言って迎え入れたユーシスには感謝だ。他のみんなも同じように気安くナギトの肩を叩く。その気遣いが今は嬉しかった。

 

そこからはもう、大暴れである。

酒が進んだナギトは元々の世界での事をペラペラと喋り、皆を笑わせたり驚かせたりした。特にユーシスとマキアスへのいじりは酷く、リィンから諌められるほどだった。

 

 

そうして皆からある程度酒が抜けた頃、作戦会議が始まった。

呑み過ぎたナギトは半分眠りながら話を聞く。会議が落ち着いた所でリィンがナギトに話を振った。

 

 

「そういえば……ナギトは少しオズボーン宰相と話してたよな。確たる情報は得られなかったって言っていたけど……、不確かだが情報は得られたと思っていいのか?」

 

 

リィンのその言い方はナギトの好むところだ。「目ざといな」と褒めてからナギトは立ち上がった。

 

 

「これから語るのは宰相殿から得られた情報から組み立てた憶測だ。……ちょっと驚くかもだけど聞くか?」

 

 

その断りに全員が頷いたのを確認してナギトは続けた。

 

 

 

「俺たちが目下敵と睨んでるギリアス・オズボーンの背後に真の黒幕がいるかもしれない」

 

 

 

沈黙があった。長いものだ。

やがて「は……?」と誰かが漏らした。誰もが同じ気持ちだったのだろう。

 

 

「話の流れでな。オズボーンは俺に対してこう言った。“人類には時間に関与しない絶対的な敵がいる”と。……思うに、それは………ヒトではない。それは永くゼムリアに存在している。それは裏から糸を引いて激動の時代を引き起こそうとしている」

 

 

 

あったのはやはり沈黙だ。ナギトの説明を吟味している。

 

 

「……ありえないでしょ………」

 

 

絶望的な顔で言ったのはサラだった。

 

 

「だって、あのギリアス・オズボーンよ?百日戦役の後、《鉄血宰相》として辣腕を振るって来た男。リベールの異変の際には結社と共謀して蒸気戦車を送り込んだ。内戦ではその結社さえ裏切り《幻焔計画》を強奪……総取りの結果だった。今では軍拡を繰り返して共和国との戦争を始めようとしている……。そんな男が、誰かに…いいえ何かに操られているとでも思うの?」

 

 

ギリアス・オズボーンは言うまでもなく傑物だ。彼に限って誰かの命令に諾々と従うわけがないと言い切れる。

 

 

「思いませんよ。だけどそう考えると辻褄が合うのも確かだ」

 

 

だが、ナギトは言い返せるだけの材料があった。

 

 

「どうしてオズボーンは軍人から宰相に転身した?どうして戦争を起こそうとしている?……理由はわからないままだ。だが彼には弱点があったはずだ。身命を賭すに足るものが。それと天秤にかけてオズボーンはこの未来を選んだ」

 

 

ナギトの語り口は迂遠で不確かにも思えた。しかしナギトの視線がリィンを捉えた事で察しがつく聡い者もいた。

 

 

 

「そういえば……ずっとわからないままだったよね……リィンの胸の傷……」

 

 

 

言ったのはエリオットだった。Ⅶ組のメンバーはリィンの胸にある傷が、記憶にない幼い頃に出来たものである事を知っていた。

そしてこの段に至り、その傷がシュバルツァー男爵家に預けられる前、リィンが未だオズボーン姓だった頃に出来たものだと推察できる。

 

 

「おそらくそうだ」ナギトが肯定する。何の根拠もなく、多少の気軽さを伴って振られて始めた話はいつの間にかとても重苦しい雰囲気を纏っていた。

 

 

「何が理由かはわからん。だがそのリィンの傷……致命的なものだったろう、子供の時分なら尚更な。オズボーンはリィンを救うためにそれと取引をした。ヒトではないなにか……超常的な力を持つ──オズボーン曰く“時間に関与しない絶対敵”と」

 

 

「しかもそれはオズボーンを監視しているはず」だとナギトは付け足した。彼との会話で得られたピースからこの仮説を組み立てるのは至難だ。これはオズボーンに取り憑いた存在が彼を監視しているため、わかりにくい言葉選びをしたのだと思われる。

 

 

沈黙が木霊する。先のそれとは趣きが異なっていた。

ナギトの言葉が真実とは限らない。むしろ仮説と仮定を重ねた妄想に近い。しかし子を想う親心は納得に易いものがあった。

 

皆が目を伏せて思索を巡らせたのを確認して、ナギトはアーサーに言ったように続けた。

 

 

「俺の妄想が合ってるかもわからんから…あんまり当てにするなよ。それに合ってたとしても……やる事は変わらない。………いや、倒すべき敵が増えたってだけだな」

 

 

「気安く言ってくれる……」

 

 

ナギトの言葉に何とも言えない感情を滲ませたのはユーシスだ。ナギトの仮定ではオズボーンを操る得体の知れない存在がいると言うのに、それはおまけ扱いだ。

ユーシスの感情は皆も同意見だった。何ならリィンの過去をこんな形で詳らかにしたナギトに軽い蔑視もあった。

 

ナギトは肩を竦めて嘆息する。言いたい事のついでに思い出を語ってやろうと考えた。

 

 

「俺は元々の世界でⅦ組の一員だった。それだけじゃない…俺はリィンの兄弟分だった。……俺だってこんなのは本意じゃない。だがいずれ対峙する事はわかってたはずだ。そのための覚悟は……早い方がいいに決まってる」

 

 

「心の準備ってもんがあるでしょ!」

 

「斯様な場で語るべき事ではないな」

 

「少しどうかと思います…」

 

「さすがにデリカシーなさ過ぎ」

 

 

と、リィン大好き4人衆のアリサ、ラウラ、エマ、フィーから総スカンを食らった事でナギトは消沈した。

 

 

「いや……いいんだ。いつかこういう日が来る事はわかってた。覚悟はしておくべきなんだろう。それにナギトの言った事が全部当たってるとは思えないしな。さすがに突飛過ぎるって言うか……」

 

 

と、リィンからフォローのようなディスりのようなを受けて一応場は収まった。

 

それから一息経ってからマキアスが「そういえば」と切り出した。

 

 

 

「ナギト、君は“元の世界”と言ったり“元々の世界”と言ったりしているが……この2つを使い分けてないか?」

 

 

それにはエマやユーシス、サラなど他にも数名覚えがあるようで、ナギトはマキアスの慧眼にニヤリと笑った。

 

 

「さすがだなマキアス。確かに俺はその表現を使いわけてるが……意味はわかるか?」

 

 

「…………………君は、この世界に来るまでに2つの世界を経験している。……そういう事か?」

 

 

 

ナギトの問いに僅かな沈黙があって、マキアスは正答を叩き出した。ナギトは鷹揚に頷いて「さすがだよ」と反復した。

 

言い当てられた以上はもう隠し立てする必要もあるまいとナギトは話した。

 

 

「俺の元々の世界は……まあオズボーンの策略で滅んでな。元の世界はその後に再構築されたものになる」

 

 

「なっ───!?」

 

 

これには皆がまた言葉を失う。ナギトは質問が来ない内に自ら補足しておく。

 

 

「んで、そのオズボーンの策略ってのはこの世界のオズボーンのとはたぶん違う。その目的もな。あっちのオズボーンには真の黒幕なんてのもいなくて自分の意志で激動の時代を起こそうとしてたし」

 

 

軽々しげに語るナギトに皆が待ったをかける。

 

 

「いやいやいやいや…………滅んだ?再構築?意味がわからないぞ!?」

 

 

半ば悲鳴のようにマキアスが言う。ナギトはさっきのニヤケ顔のまま「はっはー」と笑う。

 

 

「ホントに説明いるかー?お前らには関係ない話だし混乱するだけだぞぅ?」

 

 

その忠告に皆は興味を唆られながらも、今夜はすでに情報過多で頭がパンクしそうだったため固辞する事になった。

 

 

 

同窓会とミーティングも終わり、皆と別れを惜しみつつ演習地に戻るナギトとリィン。

 

 

 

 

 

ナギトはアーサーから聞かされて、運命の時が近いのを知っていた。

ミリアムが“終末の剣”となりリィンは鬼の力に呑まれ、黄昏が始まる未来。

 

リィンは今夜の話し合いでオズボーンの親心が垣間見えてしまった事で同じように決戦の時が近いと本能的に理解した。

 

 

2人は今日の同窓会を経た事で、よりこの現在を守りたい想いを強くした。

 

ナギト・ウィル・カーファイとリィン・シュバルツァー。2人の八葉の剣士は夜風を浴びながら覚悟を新たにするのであった。

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