Dendrogram Record   作:貴司崎

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レントとネリル

 □アルター王国・王都アルテア 【高位呪術師(ハイ・ソーサラー)】レント・ウィステリア

 

「此度は我々を救ってくださって本当にありがとうございました、それに怪我人の治療と王都までの護衛も……」

「道中で出くわしたモンスターを倒しただけですから。それにこれでも【司教(ビショップ)】でもありますし、どのみち王都まで行くつもりだったのでついでです」

 

 ゴブリンの群れを退治した俺は怪我をしているティアンを治して王都に行こうとしたのだが、馬車が破損してしまい疲労もしている彼等に『王都まで護衛をしてくれないか』と頼まれたので一緒に王都まで向かったのだ。

 ……護衛の中には俺が来る前にゴブリンに殺されて蘇生も出来なかった人もいて戦力が足りてなかったみたいだからな。【司教】の奥義《リザレクション(蘇生魔法)》も蘇生可能時間が尽きてしまえば意味はない。

 

「とにかく本当にありがとうございました。こちらは王都までの護衛依頼に対する報酬です」

「お受け取りします。……護衛依頼にしては多いですね」

「そりゃあ命を助けて貰ったんですから色を付けますよ。それに腕の良い<マスター>相手には良い印象を持ってもらいたいですしね」

 

 ちなみに彼等は王都に素材を卸す商隊であり王都に着いた時点でかなりの礼金を報酬として渡された。<マスター>と違い一つしかない命を救って貰った礼であるのだし、何より労働に対して報酬があった方が気分が良いしね。

 それから俺は改めて御礼を言われた後に商隊の人達と別れた後、改めて王都に来た本来の目的であるを果たす為に王都の呪術師ギルドへ向かって受付の人に届け物を渡した。

 

「……はい、確かに事前に報告のあった物で間違いありません。荷運び役ご苦労様です、こちらが報酬になります」

「どうも。……む?【高位呪術師】カンストか」

 

 レベルアップの速度がかなり早いと思われるかもしれないが、俺の<エンブリオ>である【ルー】には《労働には報酬ありき(ワーキング・リワード)》というジョブクエストでの獲得経験値上昇スキルがあるのでクエストによる経験値稼ぎの効率が良いのだ。

 加えてジョブクエストを受ける事に特化したジョブ【万屋(ジェネラリスト)】及びその上級職【万能者(オールラウンダー)】のジョブクエスト受注中に経験値獲得・スキルレベル上昇補正を与える《万の職歴》によってジョブクエストの獲得経験値を更に増福してもいる。

 

「さっきのゴブリン軍団との戦いで結構経験値を稼いでいた事もあるけどな。“コイツ”の効果もあるし」

 

 小声でそう言いつつ俺は首から下げた小さな剣の形をしたネックレス──伝説級特典武具【才蒐剣尖 ヴァルシオン】に触れる。これの装備スキルの一つは《才宝蒐集》というモンスターのアイテムドロップを無くす代わりに獲得経験値を増やすアクティブスキルなのだ。

 更にジョブクエスト受注中の戦闘行為だったので《万の職歴》と【傭兵(マーセナリー)】及びその上級職【大傭兵(グレイト・マーセナリー)】のクエスト受注中の戦闘行為による経験値獲得に補正が入る《傭兵の戦歴》の効果が合わさって大幅に戦闘時の獲得経験値が増加している事もあるだろう。

 

 まあ経験値が増える代わりにドロップアイテムがなくなるから、さっき倒したボスモンスター【ハイ・ゴブリン・キング】も何も落とさなかったんだが。加えて発動中はMPを継続消費するので強いモンスター相手に長期戦になるとキツくなる事もある。

 まあ、効果は任意で解除出来るのでボスと戦う時は使わなければ良いだけだし、戦闘時のリスクとアイテム入手との兼ね合いから大したアイテムを落とさない下級モンスターを多数狩るのが一番安定したしていて効率が良いか。

 

 少し検証してみたが《才宝蒐集》は本来モンスターが落とす筈だったドロップアイテム分のリソースを獲得経験値に回しているので、ドロップアイテムの質が上がれば獲得経験値も上昇するから高価なアイテムを落とすボスモンスターを倒せば多量の経験値を獲得出来る。

 まあボスモンスター落とすアイテムが手に入らなくなるのは痛し痒しなんだが、狩人系統などで取得出来るドロップアイテムの質を向上させる《解体》やLUCを上げてのレアアイテムドロップ率の上昇を合わせれば獲得経験値を更に増やせる様だ。

 

 それに【ヴァルシオン】にはもう一つ《才器改増》というHP・MP・SPを装備者を合計レベルの10倍、STR・END・AGI・DEX・LUCを装備者の合計レベル分上昇するパッシブスキルがある。

 普通ならカンスト(レベル500)でHPなどが5000・それ以外が500上昇なのだが、合計レベルが3000を超える俺が装備すればHPMPSP30000・それ以外が3000上昇のぶっ壊れ装備スキルとなり、総じて特典武具らしく俺にアジャストされた非常に強力な装備なのでいつも着けている。

 

「さて、次の上級職はどうするかね」

『……おーい、次の上級職じゃが提案があるのじゃがー』

「コイツ、脳に直接……!」

 

 次のジョブを見繕おうと近くの喫茶店に入って【適職診断カタログ】を取り出した所で脳内に謎の声が……まあ【ジュエル】の中のネリルがテレパシーで話しかけてきただけなんだが。

 テイムモンスターと主人の間のリンクを利用して精霊術師系統の《精霊交信》の類似技術で念話を届けているのだとか。とりあえず《喚起(コール)》でネリル呼び出して向かいの席に座らせる。

 

「それで今度は俺にどんなジョブに就いて欲しいんだ? レジェンダリアにいた時には【降霊術師(インヴォーカー)】に就けとか言ってたが」

「うむ……それよりも腹が減ったからご飯が食べたいぞ! ケーキケーキ!」

「おいコラ」

 

 机をバンバン叩きながら食べ物要求をするネリル。周りのお客さんに迷惑だからやめなさい、見た目は少女にしか見えないから態度に違和感はないし周りの人から微笑ましいモノを見る目で見られてるけどさ!

 とりあえずコーヒーとケーキを頼んだら大人しく食べ始めたので仕方なくおれも一服する事にする。しかしエレメンタルのくせに食い意地が張ってやがるなコイツ。

 

「それでどんなジョブに就いて欲しいんだ? この前の【降霊術師】も確かに俺とは相性の良いジョブだったが……って、口にクリーム付いてるぞ」

「うむ、悪いの。……それでお主に就いてほしいジョブじゃが魔石職人系統の派生上級職である【魔石術師(ジェムマンサー)】のジョブじゃな。魔石職人系統のデメリットを無視できるお主なら相性はいいじゃろ」

 

 曰く【魔石術師】は【ジェム】生産するのではなく運用する事を重視した半分生産職で半分戦闘職みたいなジョブで、【高位魔石職人】と比べると生産系スキルは少なくスキルレベル上限も低いので生産能力で劣る代わりにジェムを使った戦闘用魔法を習得出来るだったな。

 掲示板とかでジェム貯蔵連打理論考案時に注目されたが生産スキルのレベルが低いので奥義魔法クラスのジェム作成が難しく、火力的には【高位魔石職人(ハイ・ジェムマイスター)】と魔法系上級職で奥義魔法ジェムを使いながら自分も別に魔法を行使すれば十分という意見が多かったな。

 

「自分で生産した【ジェム】でなければスキルの使用効率が落ちる制限があり、東方の札を使う魔法職に近いジョブだがそのジョブだけで札の生産と使用が可能なあちらと違って【ジェム】生産の為にサブジョブが必要と制限も多い……だったな」

「じゃがお主なら問題にはなかろうよ。札を使う事による即時発動に長けた東方魔法職と比べると手間が掛かるが瞬間火力なら上回る。魔法系上級職としては最高クラスの規模の魔法をジェムの準備さえ出来れば行使可能じゃ」

 

 カタログを見ながら次の上級職の候補にも考えていた【魔石術師】に関する情報を思い返していたが確かに俺とは相性が良さそうだ。魔石職人や魔剣士系統みたいにサブジョブの枠が問題になってるジョブだからな。

 

「モグモグ……これと【降霊術師】があればワシとの契約……神話級<UBM(ユニーク・ボス・モンスター)>討伐も僅かながら可能性が見えてくるからの」

「必要なのは<UBM>討伐の為の最大火力だったか。<UBM>はどいつもこいつもゲームバランス調整をミスってるとしか思えない頭おかしい性能してるしな」

 

 ネリルが俺の従魔となる際に結んだ契約とは『とある神話級<UBM>の調査及び必要ならば討伐』であり、それが守られる限りとりあえずデンドロ内部の時間で100年ぐらいは忠実な戦力ってして付き従ってくれることになっている。

 曰く自分のやらかしが大きいから責任もあるし放置する訳にもいかんとの事だが、現状だと調査も討伐も戦力が足りていないと言う事でこうしてレベリングやジョブ構成を試行錯誤している段階である。

 

「むぐむぐ……お主が超級職に就ければもう少し楽に戦力を整えられるんじゃがのー。【魔石王(キング・オブ・ジェム)】や【降神術師(テウルギスト)】とかがあれば十分神話級討伐も見えてくるんじゃが」

「俺だって就けるのなら就きたいわい。そういう制限の<エンブリオ>なんだからしょうがないだろ。“ミカ”も“ミュウちゃん”もお前から教わった条件満たして超級職に就いてるしさぁ」

「まあ劣化【勇者(ヒーロー)】と言える<エンブリオ>なのだからそのぐらいの制限は当然じゃろうな。ワシもこの躯体(アバター)の性能をもう少し上げんとな……モグモグモグ」

 

 ちなみにその特殊超級職【勇者】さんは下級職上級職それぞれ100個ずつ就ける上に超級職なのでステータスも満遍なく伸びるという、転職制限もステータス半減もない俺の完全な上位互換だそうです。やばいな。

 ……それはともかくエレメンタルって自我を持つエネルギーとかで自分と同じエネルギーや魔力を吸収する生態じゃなかったっけと、さっきからずっとケーキをお代わりしてるネリルを見て思う。

 

「うむ? ……まあ普通のエレメンタルは対応する属性のエネルギーを吸収するのが食事になっておるが、ワシの肉体は一種のゴーレムでそこに本体となる人造精霊が憑依・融合している形じゃからな」

「【クルエラン】を作った際の《偶像人形(アバタードール)》に近いのか?」

「それと人間型の躯体を使うタイプの《人化の術》の技術とかも合わせているがの。この躯体は特別性でエレメンタルやゴーレムとしての特性を持ちながら普通の食事も出来る様に作っておるのじゃ。お陰で普通に美味しい食事が楽しめるのじゃー」

 

 尚、食べた物はHPMPSPの回復に回されるのでフードロスは起きないのだとか。普通の食事が出来るゴーレムとかかなりすごい技術を使っていると思うんだが効果が完全に趣味の範疇な辺りどれだけ食い意地が張ってるのか。

 

「美味しい物を食べるのと世界を見る事は昔からの趣味じゃからなー」

「はいはい。……躯体(アバター)使って趣味で世界を楽しんでいる辺りはある意味で俺達(<マスター>)に近いのかもな」

「お主らと違ってもう死に戻りは出きんがの。……けーきおかわりなのじゃ!」

「まだ食うのか。もうMP全回復してるだろ」

 

 どんだけ食うんだ、まあ私人には余裕があるから別に良いんだが……ああほらまた口にクリームが付いてるぞまったく……。

 なんか店員さんからとても微笑ましいモノを見ている様な目を向けられたが深くは考えないものとして、とにかく食事が終わったら【魔石術師】に転職する為に魔石職人ギルドに行って、ついでに【ジェム】納品ジョブクエストで資金と経験値稼ぐから食った分は働いて貰うぞ!

 

 

 ◇

 

 

 そうして食事を終えた俺達は魔石職人ギルドに行って【魔石術師】に転職、ついでに上級職魔法のジェム納品クエストを受けてレンタルした生産工房で生産補助用のオブジェクトアイテム──逸話級特典武具【創合器核 クルエラン・コア】を設置しつつジェム作りに励む事になった。

 ちなみにジェム生産に関してはネリルが持ち前の地属性魔法技術で大活躍、魔法を収める為の鉱石を凄まじい精度で加工していくので俺のジェム作成の成功率がめっちゃ上がるんだよなぁ。

 

「本当に食った分以上に働くから文句も言えんな」

「各種属性魔法を収めやすい様に石を加工してしているだけだから大した事はしとらんよ。この特典武具のお陰で消耗も少ないしな、やっぱ便利じゃのう」

「生産活動限定だがMP供給と生産系スキルへの補正があるからな」

 

 この【クルエラン・コア】は珍しい装備品ではない特典武具で、設置している時に自動で地脈からMPを吸収・蓄積する《マナ・チャージ》、及び生産活動時にMPを供給して更に生産スキル効果に補正が付く《マギカ・クリエイト・サポート》のスキルを有している。

 形状がそこそこ大きい柱型の台座の上部に球体が付いた設置型オブジェクトなので多少使い難いが、MP供給と生産補助効果により生産活動を長時間効率的に行えるので重宝している。

 

「地脈から魔力を吸収するぐらいなら出来ん事はないが勝手にやってくれるなら便利ではあるの。とりあえず地属性の納品用【ジェム】は作ったから自分用のを作っておくぞい」

「ご苦労様。おれはもう少し掛かるな」

 

 そう言って納品用ジェムを渡してきたネリルは引き続きジェムの加工、ただし今度は自分で使う為の物を作り始めた。せっかく工房のレンタル時間が余っているので作り溜めしておきたいとの事だ。

 

「この前の【バイオハーデス】との戦いでストックしていた【ジェム】を使い切ってしまったからのう。今のワシでは全力で戦うには事前に魔石をストックしておかんとならんし」

「あの時は<UBM>って古代伝説級以上になるとヤバくなると言う話が本当だと実感したな。以前にミカとミュウちゃんが【蠱毒蟲人 ラーゼクター】と言う古代伝説級にデスペナされたと聞いていたが実際に遭遇するとな」

「<UBM>は古代伝説級から能力が一気に上がるからの。最も【バイオハーデス】は1日以上放置していれば神話級まで至っていた可能性が高いぐらいの資質があったが」

 

 少し前レジェンダリアに行った時に遭遇した<UBM>【冥樹死界 バイオハーデス】は嘗ての堕ちた【冥王(キング・オブ・タルタロス)】が残した植物型アンデッドの慣れの果てであり、周囲の自然魔力を吸収しながら辺りの植物をアンデッドに変えて自らの肉体の一部にする能力を持っていた。

 そんな<UBM>が自然魔力豊富で木々に溢れたレジェンダリアで発生したからさあ大変、自然ダンジョン一つを飲み込み森全てを自分の肉体へと変え、通常の生物に寄生植物を植え付けて植物アンデッドに変えたり【冥王】から受け継いだ魔法まで使って大暴れした。

 

 そんなちょっとレジェンダリアに現れちゃダメな<UBM>だったんだが俺と妹二人が早期に発見して、一緒に行動していた<魔法少女連盟>と<YLNT倶楽部>が協力してくれたのでどうにか討伐出来たのだが。

 尚、どっちも名前はアレだが<魔法少女連盟>はレジェンダリア<マスター>の中でもトップクラスの生産ギルド(生産物が魔法少女風味)であり、<YLNT倶楽部>はレジェンダリア最大規模を誇りボランティア活動にも熱心な<マスター>達のクラン(全員ロリコンショタコン)である。

 

「【ジェム】に溜めた魔力を使った大規模地属性魔法で木々を砕いてアンデッド化を妨害、加えて大魔力で強化した司祭系統の対アンデッド魔法でデバフを掛けたんだが……流石にそこまですれば蓄積分は枯渇するか」

「溜めたコストを使う決戦型のスタイルは格上にも通じるからの。そういう意味ではミュウが獲得したあの特典武具は欲しかったのじゃが」

「決め手はミュウちゃんの必殺スキルだったから仕方なかろう。あの特典武具のお陰で制限が消えて更に強化されたしな。ミカと一緒にまだレジェンダリアで遊んでるんだが今頃どうしているか」

 

 ちなみに『ミカ』は俺の妹で『ミュウちゃん』は従姉妹でどちらも現在小学生であり一緒にデンドロ初日からプレイしていて、今じゃ両方とも超級職取ってて俺より強い。

 レジェンダリアに行ったのもミュウちゃんのリアフレがいるレジェンダリアの<魔法少女連盟>に遊びに行ったからで、俺の友人もクランメンバーでいい歳して魔法少女してるとか言う話なので見に行ってみた訳だが……。

 

「妹御2人とその友人とワシとお主の見た目は少女の友人に囲まれていたせいで周りからロリコン?扱いされるお主は実に面白かったな(笑)」

「笑い事ではないんだがな。あの倶楽部のロリショタ共が同類を見る生暖かい目で見てくるせいで居心地がクッソ悪かったんだが? 俺はロリコンショタコンじゃねぇっつうのに!」

 

 単に妹2人はリアルとそこまで外見が変わらないアバターなだけでその友人も大体同じ、ネリルも見た目は少女と言うか幼女にしか見えないかもしれんが中身は自己申告なら2000歳超えてるんだぞ。

 それで俺のリアフレもリアルでは身長170越えのカッコいい系モデル体型なんだが、本人が大の可愛いもの好きでリアルの自分だと可愛い格好しても似合わないからデンドロでは中学生ぐらいの魔法少女アバターなだけなんだが。

 そんな子達に囲まれたせいで<YLNT倶楽部>の連中から同類扱いされたから先に王国に戻って来て今に至ると言うわけである。

 

「お主のリアフレ?と言う“ひめひめ”とやらとは実に良い仲に見えたがのぅ。ほれほれどういう関係なのか吐けぃ」

「普通に同じ大学の友人ってだけなんだが? まあ高校時代から色々とあって付き合いは長いし、一時期は付き合っていた時もあったが大学に入ってからは別れた。お互いに家の事情が少し面倒くさくてな」

「思ったより真面目な答えが返ってきたな」

 

 別に男女のアレコレで動揺する様な性格でもないのでね、もう大学生だしそれなりにリアルでも色々と経験は積んでいるさ。それよりも割と下世話な話が好きなんだなネリル。

 

「いつの時代も他人の色恋沙汰は最高の娯楽の一つだからのぅ。【聖剣王】と【超闘士】と【聖女】とか、ただしワシの私見なので実際の関係は異なる場合があるぞい」

「保険を掛けておくのは忘れない辺り狡いな。……しかし【魔石術師】に就いた事で残ったジョブ枠は後上級職一つだけか」

 

 上級職の就職条件を満たすのとレベリングを重点的にやってきたとは言え、もう【ルー】で増やしたジョブ枠含めてもカンスト目前とはね。

 万屋系統上級職【万能者】の奥義《多才多芸(マルチタレント)下級(ロークラス)》によって下級職のジョブ枠を2個増やしてもいるが、生産も魔法も戦闘もするとなるとジョブ枠が足りなく感じる。

 

「500レベルでやりくりしている他の<マスター>からすれば贅沢な悩みなんだろうが。多分第六形態に進化すればジョブ枠が増える形で【ルー】は強化されると思うが流石に次の進化までは時間が掛かるか」

「大体【ヴァルシオン】がレベル上げのお供に優秀過ぎるんじゃよなぁ。現管理者が敷いた法によってモンスターがアイテムを落とす様になって獲得経験値が大きく減ったからの」

 

 ……その話は初めて聞いたな。やっぱコイツ(ネリル)が知っている情報はかなりヤバいのも混じってるよな、多分本当にやばい情報に関しては意図的に話さない様にしているみたいだが。

 

「お前本当に色々と知っているんだな。2000年以上生きてきた()()()()U()B()M()()【大地蟲 グランワーム】の精神が宿ったアバターだけはあるって事か?」

「この躯体の実働年齢は5年程度だからロリって言っても過言ではないのでは?」

「それは人によるんじゃないか?」

 

 あの<YLNT倶楽部>の連中も『のじゃロリサイコー!』とか『ロリババァもいいよね……』とか『やはり中身がBBAではダメですぞ』とか色々言っていたし……ってあの連中の事は別にいいか。

 それはともかくネリルの正体は神話級<UBM>の分体の様なモノであり、俺の従魔になった際の契約とは大元である【グランワーム】の現状を調査又は討伐する事である。




あとがき・各種設定解説

レント:割と色々なイベントに遭遇している
・リアル妹2人と一緒にデンドロを始めてよく行動を共にする固定パーティーになる事が多く、割とシスコン気味なのもあって小さい事には面倒見が良い一面もある。
・流れ作業をしている時には適当に口から言葉が出てしまうタイプであり、慣れた【ジェム】制作中はネリルと下らない話をする事が多い。

ネリル:元神話級<UBM>
・スペック的には純竜級の【アース・エレメンタル】なのだが特注のアバターに憑依しているので物理ステータスも亜竜級上位ぐらいはあり、“中身”による最上位の地属性を中心とした魔法技術によって非常に高い能力を有する。
・それはそれとして世界を見て色々な事を経験するのを楽しむタイプであり、今は初めての『<マスター>の従魔』と言う立場を満喫している模様。

【才蒐剣尖 ヴァルシオン】:伝説級特典武具
・伝説級特典武具で小さな剣型のネックレスなアクセサリーで、レントのレベル上げ効率大幅上昇及びステータス補正マイナス化で低くなっているステータスを補正している。
・《才宝蒐集》は自身または従属モンスター・召喚モンスターがモンスターを倒した場合に効果を発揮するが<UBM>は対象外であり、効果は任意で解除出来るが使用時期に応じたクールタイムが課せられる。
・元は【心蝕魔刃 ヴァルシオン】と言う魔剣型インテリジェンスウェポンの<UBM>。装備者の精神を乗っ取っとるスキルと、モンスターやティアンのリソースを吸い尽くし、それを持って装備者を強化・改造するスキルを有するモンスターだった。
・偽装能力で自分が<UBM>である事を隠しながらタダの武器として振る舞い、装備者を殺されてもその際の怨念によって殺した者を洗脳して次の装備者にするので先に装備者を倒しても味方が洗脳されてしまうギミック系ボス。
・だが<マスター>なら自害システムで逃れられるので寄生先を倒した<マスター>はそれで難を逃れ、残った魔剣をレントが中心になって破壊してMVPになった(後で自害した<マスター>には謝礼を渡した模様)

【創合器核 クルエラン・コア】:逸話級特典武具
・逸話級特典武具の生産補助設置型オブジェクト。装備品ではないタイプの特典武具で、レントやネリルの生産系スキルにアジャストして生産行動時の補助に特化した形になった。
・元は【妄創器核 クルエラン・コア】と言う逸話級<UBM>で嘗て<クルエラ山岳地帯>に存在していた部族が有していたゴーレム生産用設備が長年の山賊の犠牲者などの怨念を受け続けて変異したモンスター。
・周囲の地脈から魔力を吸収蓄積して土を材料に死んだ者達の能力を一部再現したゴーレムを無数に生産する能力を持っており、本体が地中深く埋まっている生産装置であるので本体を見つけるのは困難と言うギミック系ボスだった模様。
・戦力には伝説級金属で出来たゴーレムもいた上に本体が地中に埋まってるのでまず位置を特定しないと行けないと言う面倒な相手だったが、地属性魔法に関しては大陸でも上から数えた方が早いレベルの技術を持つネリルがいたので本体を早期に発見。
・本体は単なる魔術装置なので戦闘能力はなく護衛の伝説級金属ゴーレムをネリルの金属操作魔法で無力化・回収され、更に地属性魔法で地下から引き摺り出されてレントに撃破された。

【万屋】:万屋系統下級職
・様々な依頼を受けて仕事をこなす『万屋』なのでジョブクエスト時に効果を発揮するスキルを習得するジョブだが、ステータス上昇は平均的でサブジョブのスキルは汎用スキルぐらいしか使えない。
・だがジョブクエスト受注中に万屋系統ジョブのレベル以下の対応するサブジョブのスキルを使用出来る様になり、クエスト受注時・クエスト達成時の獲得経験値がクエストにメインジョブの万屋系統と対応するサブジョブに分配される《職能連結》で様々なジョブクエストを受ける事が出来る。
・他にジョブクエスト中の獲得経験値上昇・スキルレベル上昇率向上の《万の職歴》やジョブクエスト受注中にステータス補正が掛かる《万屋の心得》、ジョブクエスト達成時の報酬に微補正が付く《斡旋:万屋》などジョブクエストの補助スキルを覚える。
・上級職【万能者】の奥義《多才多芸:下級》はスキルレベルに応じて追加で下級職のジョブ枠を増やすスキルで、【万能者】だとレベル2までしか上がらず下級職を2つ追加するだけになるが上記のスキルによって受けられるジョブクエストを増やす事が出来る。
・しかしジョブクエストを受けなければサブジョブのスキルが使えない上に万屋系統をサブに入れるとジョブスキルが使えず、ジョブクエスト自体専門的な技術が必要な事が多いのでクエストに対応するジョブ系統でジョブ枠を埋めた人間の方が良いので余り人気のない系統。
・レントの場合はサブジョブのスキル使用制限を無視出来る上、《職能連結》のメインジョブによらずジョブクエスト達成時の経験値を獲得出来る効果や獲得経験値上昇とジョブ枠拡張が目当てで就いている。


読了ありがとうございました。
日常会話兼大雑把な主人公の過去プレイ履歴の説明回でした。次回はネリルの詳細な素性について説明した後にジョブクエスト風景予定(未定)
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