「皆さん、本日集まってもらったのは他でもない。
大和の神々が諏訪の国に向かっているのはご周知の通り、今、大和の国はもぬけの殻になっております。
我々妖怪は多くの者達が神によって、煮え湯を飲まされ続けてきました。
今こそが一矢報いる好機、神々の国と名高い大和の国を我々妖怪が、落とすのです。
我々妖怪は本能に生きるもの、人を喰らうのは生きるため。
人を喰らう邪魔をする者は喰ってしまえばいい…
神を喰いこの世の覇者が誰であるか、もう一度人間共に知らしめてあげましょう!」
「「「「うおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」
妖怪の山に多くの声が鳴り響く。
鬼に天狗、獣の姿をした者、人に似通った姿をした者、多くの妖怪達が集結した。
全てが八雲紫により集められたもの、八雲紫がどれたけの存在か一目でわかる。
「す、すげぇ!」
「チルノちゃん、私、なんだか怖くなってきちゃった…」
「ブルブルブルブルブルブル」
「わはー!面白そうなことになってるー!」
「これだけいれば、本当に大和を落とせそうね」
「落とせそうじゃない、落とすんだよ。
上で偉そうにしてる神を、地上に引きずりおろしてやる…」
「永奈ちゃんがなんか怖いこと言ってる…」
私とチルノちゃん、大ちゃん、リグルちゃん、ルーミア、みすちーさんの6人で一部隊として今回の作戦に参加している。
正直言って負ける気がしない、いや、絶対に負けないみんなを守る、そして、天照を必ず倒す。
「おうおう、ここはなんだか面白い奴が多いねぇ!」
「えぇと、たしか鬼の部隊の総大将をしてらっしゃる…」
「伊吹萃香ってもんだ!」
「伊吹さんですね!私はこの隊の大将をやってる永奈って言います!今回はよろしくお願いします!」
「伊吹さんなんて他人行儀なのよしなよぉ、萃香でいいよ。
それにしても、面白そうなくらい妖気を持ってるねぇ…
どうだい?私とちょーっとだけ手合わせしてみない?」
「え、えと、その私戦うのあまり好きじゃなくて…」
「なーに言ってんのぉ!そんな妖気振りまかれて喧嘩してみたくなってんのはあたしだけじゃあ、ないんだよぉ?
みんな順番待ちなんだからさぁ、ちゃっちゃとやっちゃおうよ~」
「ええ!?そんなこと言われても、私じゃ、ちょっと…」
「いいじゃんかよぉ!それともあれか、鬼を挑発するだけしといてお預けってことかい?
そんなつまらないことはしないよねぇ?」
「うぅぅ…妖気は好きで出してるんじゃないんですぅ…」
萃香さん、見た目こそ幼い女の子みたいなのに威圧がすごいです…
正直、今にも逃げ出したいくらいです…
「おい!お前!永奈になにするんだ!嫌がってるだろー!」
「あぁ?なんだいあんた?」
「あたいは永奈の親友だ!友達に嫌なことする奴はあたいが許さないんたかるね!」
「チ、チルノちゃん…ダメだよこの人凄く強いんだから、そんなこと言っちゃ…」
「あんた、おもしろい子だねぇ…わかった、親友のあんたに免じて永奈はよしといてあげる。
その代わりは、あんたがしてくれるんだろう?」
一気にチルノちゃんにも威圧がかかる。
あ、ちょっと涙目になってる、どうにかしないと…
「みょ、みょーなことしたって無駄なんだから!あたいはさいきょーでみんなを守るんだから!」
「わ、私が手合わせしますから!だからチルノちゃんにはなにもしないでください!」
「永奈!あたいはさいきょーなんたから、黙ってて!」
「…プッ、アハハハハ!おもしろい!おもしろいよ、あんた達!今から戦仕掛けに行くってのに友達ごっこかい?
これはどちらかが死んだときに見物だねぇ!」
「……絶対に死なせない、私の友達は絶対に死なせたりなんかしない!
私は失った者の仇をとるために戦いに行くんだ、もう二度と失うなんてまっぴらごめんよ!」ポロポロ
そうだ、私は想司の仇をとるために戦うんだ、私の為に戦ってくれる友達は一人たりとも失いたくない!
「……あんたがなんのために戦うかはわかった、ならばなんで友達なんて連れてきた、なんで、友達を巻き込んだ」
「そ、それは…」
「あんたは、泣いちゃうくらいに友達を失うことが怖いんだろぅ?
なのにどうして、友達を巻き込んだ、1人じゃ怖いからか?神に臆したからか?
そんな腑抜けが妖怪を名乗るな!妖怪とは常に恐怖を与える者でなければいけない、妖気だけは高いようだけど中身はてんでだめねぇ!」
「う…ぐ…そんなこと、私だって…」
「…あ、あなたに、あなたに永奈ちゃんのなにがわかるって言うんですか!
永奈ちゃんは私達に黙って最初は行こうとしたんですよ?
私達を巻き込まないようにしていたのに私達が無理やりついてきたんです!知らないのに知ったようなこと言わないでください!」
「そ、そうだよ!私達はたしかに弱いけど友達を見捨てることなんてできないよ!」
「友達を見捨てるのが鬼なのかー、そーなのかー☆」
「私もみんなよりは友達歴は短いけども、苦しむ友達を忘れてしまえるほど鳥頭じゃないわよ」
「み、みんな…」
「あたい達は友達を放っておけないそーゆう奴らなの!
つまり、さいきょーってことね!」
「みんな…もう、大丈夫、私にはみんながいる。
萃香さん、私がみんなときた理由は私のワガママに手を貸してもらうためです。
私は妖怪として認めてもらえないかもしれない、私はそれでも構わない、だけど、もし、みんなに手を出そうものなら…
その時は全力で殺す、もうあなたは怖くない、なんて言ったって私達は“最強の仲間”なんですから」
睨み合う、絶対に目を離さない、かかってくるならどんな攻撃だって止めてやる!
「はいはーい!喧嘩はそ・こ・ま・で。
周りをみなさい、あなた達のおかげで士気が高まるのは良いけど、仲間内で発散されたら私の綿密な作戦が水の泡じゃない」
「うわっ!あ、紫、その、ごめんなさい!」
「いいのよ、永奈、あなたをこの作戦に強制したのは私なんだから。
それに、あなたはあなたで仲間を集めてきてくれたじゃない。
此方こそ感謝してるわ。
それに比べて、この酒飲み幼女ときたら…」
「なんだとぉ!?酒を飲んでなにが悪い!」
「はいはい、飲んでもいいけど絡み酒はやめなさい…迷惑よ」
「くぅぅ、こんな妖気の高い奴連れてくるのが悪いだろぉ!」
「はぁ…まったく、この幼女は謝ることもできないのかしら?」
「お前なぁ、幼女幼女って失礼だぞぉ!
…まぁ、永奈も悪かったよ、あんたのことよく知らないで悪く言っちゃって、あんたにはやらなければならないことがあって作戦に参加したんだろぉ?
少しだけ理由を聞いてもいいかい?」
「私が参加した理由、くだらないって言われるかもしれないけど理由は復讐よ。
愛する人を殺して私を地中深くに生き埋めにした、その原因の天照を殺すこと、ただそれだけ…」
「ん?天照?どっかで聞いたような…」
「あなたは今回のこと祭りかなにかと勘違いしてきてるのかしら?
敵の総大将の名前くらい覚えてなさいよ…」
「おお!そうだった!天照って言ったら大和の最高神じゃないか!いやぁ~おっきくでるねぇ!」
「永奈、あなた天照に勝機はあるの?」
「勝機はあるわ、そのためにも仲間の力が必要なの」
「そう、わかったわ。
ならあなたの部隊は直接本殿で戦ってもらうわ」
「え?紫ぃ~、それは、あたし達に大将とはいえ戦わせないってことかぁ~?」
「本殿は大和の国の中心にあるわ、ここは少数の隊を送って内部から隠密に攻撃してもらって、ほかの部隊には周りから攻めてもらうわ。
まぁ、大将と戦いたいなら一番乗りで本殿まで攻めればいいだけのことよね?そのくらい、鬼ならばできるでしょ?」
「紫、端っからそのつもりだったねぇ?おもしろい!鬼はその作戦を認めよう!神とやり合うのはあたし達、鬼だよ!」
妖怪達がそれぞれ盛り上がる。
士気は最高潮に達していることだろう。
「紫、本当に私達で良かったの?あの萃香さんって鬼、この中でも一番強いでしょ?」
「これでいいのよ、それに私はあなた達にも期待しているのだからね?」
「紫…わかったよ、その期待には絶対に裏切らない!」
「うん!その意気よ、永奈」
「うん!」
「それでは、皆さん!侵攻を開始しましょう!」
「「「「「うおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」
今宵、最恐で最強な百鬼夜行が侵攻を開始する。
なんだか、チルノがアホの子っていうよりただのイケメンになってきた。
いいんだけどね、別にいいんだけどね…