次の私のお休みは1週間後…ん?なんかおかしいな…
拙い駄文ですが、お楽しみ頂けたら...
『その通路を左に、その後右側面の壁をぶち破れば最短ルートです』
「なるほど、分かっ、、、壁をぶち破る?」
『はい、姉御の指示ですから。それに緊急時ですので今更少し壊れたぐらい誤差ですよ』
「そ、そうだよな」
確かに最短ルートを教えてくれと言ったのは私だが、だからといって壁をぶち破ってショートカットするような子に育てた覚えはないんだが。
少し足に力を込める。それだけでボーダーの床に亀裂を生み出しながら速度をあげる超加速。
人間が走るにしては低すぎる超低姿勢でボーダーの廊下を走る。
既にステイゴールドの速度は自動車のそれよりも早く、直角に曲がる通路を曲がりきれる訳もなく突き当たりの壁に向かってジャンプすることで強引に壁に着地して勢いを殺し着地する。
人間の体では出来ないような芸当もこのトリオン体なら出来る。衝撃を逃がすようなこともしない強引にただの力技で全てをねじ伏せる。
これにより曲がりきれない速度でも多少強引だが進路を変えることができる。
『姉御その壁です。』
ジャーニーから最短距離の指示。
「せーの!」
腰から抜き放たれた孤月で壁を切り裂く。
しなやかでいて力強く振り抜かれた孤月はまるで豆腐を切断するかのように四角く切り取られる。最近は刀を握ることは減っていたが勘は鈍って無さそうだ。
少し大きく削りすぎたかと内心思いながらも訓練室に入る。
正規の入場方法ではないが、扉が遠いのだ仕方がない。非常だから鬼怒田さんも許してくれるだろう。
そう思いながら眼前の敵をみる。
「なんだぁ?ガキ?」
「うお、まじか」
「あの人は?」
「久しぶり諏訪さん。で、そいつが黒いトリガーって事でいい?」
ナカヤマのキャンディ貯蔵庫から拝借した棒付きキャンディをくわえ直す。ゴーグルを上げながら今も体からスライムのようにうねうねと動く黒トリガーを見る。
「今更ガキが1人増えたくれぇでなんも変わらねぇだろうが」
「ねぇ、君さ。アフトクラトルだろ?」
「あ?」
「なんで、私達を襲う?私たちはただ自由に生きているだけなのに」
なんて事はない質問だった。
薄らと笑みをその顔に貼り付けながら階段を降りる彼女。
誰もが今その質問が必要か?と頭の上に疑問を浮かべる中その場にいた諏訪だけが彼女の激情に揺れる炎を感じ取っていた。
ゴールドステイツは部隊全員が一癖も二癖もあるメンバーの集まりだ。
個性豊か、言い方を変えれば頭のおかしな集団。
そんな、彼女達が何故ひとつの部隊に収まりきっているのか。あの暴君や魔女、他の3人も誰もが城戸司令でさえ手網を握りきれないじゃじゃ馬達だ。誰かの言うことを素直に聞くならボーダーはここまで苦労はしていない。
丸と四角くが同じ形で同じ入れ物に入らないように、水と油が相反するように、各々が強すぎる色がある。
そんな彼女達だが、何故かステイゴールド一声だけで部隊として纏まりが出る。
現状ボーダーでゴールドステイツに命令を下せるのは実質ステイゴールドただ一人。
水と油、を唯一混ぜられる。そんな存在。
(やべぇ。ガチギレだなありゃ)
あの顔をしたステイゴールドを諏訪は一度だけ見たことがある。
あれは個人ブースでゴルシの奴がハウンドお手玉とかいう訳の分からん芸をしていた時だ。
またまた通りかがったステイゴールドのバイクに操作を誤ったハウンドが被弾し破壊したゴルシの尋問をしている時の顔だった。
「自由?てめぇら家畜の猿に自由なんざあるわけねぇだろ。精々俺達の資源としてさっさと死ね!雑魚トリガーが」
「そうか、よく分かった。お前は、、、生きて帰れると思うなよ」
それは、魔王か閻魔かその顔を見た日佐人から恐怖の悲鳴が上がる。
まるでヤクザの組長のような淡々とした恐怖。
『姉御。忍田本部長が合流します』
直後、ステイゴールドとは対面の壁を叩き切り忍田本部長が飛び出しざまに旋空弧月でエネドラの体を切り刻む。
おー、と声が出る。
自分が壁を破壊してきたことを少し後悔していたが忍田本部長が更に上の外壁を破壊してきたのを見てそんなどうでもいい不安はどこかに飛んでいってしまった。
歩き出した、ステイゴールドは忍田の隣に立つと拳を差し出す。
差し出された拳をみた忍田は少し微笑むと少しして拳を合わせる。
「虎ちゃん久々のタッグだね」
「また、君とこうして肩を並べて戦うのは昔を思い出す」
「そうだな、懐かしいよ。さ、鬼退治の時間だ」
ロングコートのポケットに手を入れながら片手でゴーグルをかける。
『姉御、敵のトリガーは、気体、液体、刃状の個体にトリオンを変化させます。戦闘方法は多岐に渡りますが、気体に紛れさせての内部攻撃に注意してください』
『了解。トリオン変動パターンとトリオン性質を解析してくれジャーニー』
『承知しました』
「切り込む!」
「了解」
一振で飛び出す三条の旋空弧月。どうして一振てま三発も旋空弧月が撃てるのか、その真相を確かめるためにゴルシがアマゾンの奥地に向かったが2ヶ月帰ってくることはなかった。
それと同時に、忍田に向かってブレードでの反撃を正面から叩き伏せるステイゴールド。
まるで、二人で一人と言っても遜色ないほどに息のあった連携。黒トリガーにも通用する手応え。
初見の技、相手の全て尽くを蹂躙し破壊する。
難攻不落の連携。見ている諏訪達でさえも援護の手が逆に彼らの足を引っ張ってしまうと理解できるほどに二人は圧倒的だった。
方やノーマルトリガー最強の男。
そしてボーダー最強部隊の隊長。
『姉御、斬撃コンマ1遅いです』
「了解」
『忍田さん、Eブロックからブレード斬撃。続いて正面からの遠距離刺突。Hブロックに後退』
的確な指示が飛ぶ、通信から聞こえる少女の声に従えばその通りに敵の攻撃来る。
(これが噂に聞くジャーニー君のオペレーションか)
まるで未来視だ、そう心で呟いた。迅悠一とは違う。
相手の行動を読み、その対策、作戦はオペレーターとその部隊で行われる。
だが、これは違う。まるで強大な敵に立ち向かう為に他人同士を一つの生物として運用するような。そんな埒外の運用方法。
小さな針に位置を通すような緻密に練られた連携をその場の初見で発揮出来る人間がこのボーダーに何人存在するだろうか。
今も忍田とステイゴールドの頭のおかしいレベルの技量と反応速度で成り立っているようなものだ。
全ての攻撃はほぼ紙一重で避け続けながら偽装を片っ端から切り裂いていく。
恐るべき練度、切り裂き、脅かす。
一つ、二つ、三つ、と数十個と作り続ける速度と同じ速度で潰していく。
それにエネドラの双眸が見開かれる。
凶猛たる剣先と忍田を狙う黒色のブレード。
それを待ってましたと言わんばかりに孤月のブレードで切り裂き起こる
「悪い手先だ」
「ちっ!うぜぇな!クソ雑魚が!!」
ダミーだけをピンポイントで削られ続けるエネドラはこのままでは自分が削り殺させること一番よく理解していた。
液状から固体に断続的に形態を変化させながら、自分の弱点を偽装と移動させながらエネドラは口では焦りを見せながらも心の中は戦士として冷静に状況を戦力を弾き出す。
(後ろの猿は強ぇ。手前の女はその補佐、的確な陣地防衛と継続的に攻撃手の勢いを止めねぇように援護してやがる)
正直厄介。ここまでの練度を誇るトリガー使いは今までの遠征でもそうお目にかかれるレベルではない。精々星に一人二人、存在しているかどうかの精鋭。
それに、、、
「思い出したぜ。てめぇ、そのコートにゴーグル頭に生えたウマ耳に尻尾。てめぇ『黄金旅程』だな?この星に居たとはなぁ!」
手を止めたエネドラがステイゴールドを指さす。
「私ってそんな有名なんだな」
「それにてめぇを捕まえりゃ。アフトクラトルが追ってる『ウマ娘』の手掛かりになるなぁ!」
『ウマ娘』ここに来る前、エネドラ見ていたアフトクラトルの機密資料。
その中に時度出てくる特異点。
様々な国で遠征を行うさなか目撃例は少ないがその圧倒的なまでの暴力で何度も精鋭達が退却を迫られるほどの実力を誇る。
『超高速の粒子』
『摩天楼の幻影』
『淀みの守り神』
『不死鳥』
『皇帝』
流し見した中で特に強力でアフトクラトルでも推定黒トリガーの出力を記録した者たち。
あのヴィザ翁が遊星国家ミクトランで撤退を迫られたのも箝口令が敷かれているが『淀みの守り神』が、介入したと記載があった。
星の存在もどこから来たのかも、その一切が謎のままの存在。『ウマ娘』この単語だけが彼女達が現れた星で唯一の手掛かり。
そして最も様々な星でその目撃情報が多いのが『黄金旅程』だ。
現れればその国のトリオン技術を数世代は進ませる。異端のトリガー使い。
「それは、無理だと思うけど」
「なに?」
「だって、お前は私が生かして返さない」
「ほざけぇ!雑魚が!」
所詮ノーマルトリガー、この泥の王の前ではその辺の雑魚と変わらねぇ。
(気化ブレードで内側から八つ裂きに)
瞬間、右肩が爆せる。
「ーーー!!」
打ち込まれたたった一発の弾丸。
少女が持つには少し大きすぎる片手銃。
それは余りにも大きすぎた、、以下省略。
『姉御、トリオン変動パターン、性質、共に解析終了しました』
「ありがとう、ジャーニー。もう勝った」
「何言ってやがる?」
「これが本来の私のトリガー
取り出された拳銃は少女が使うには大きすぎる銃身。
そして、飛び散った自身の体が今一度修復に時間がかかっている。いや、戻らない。
その謎にエネドラは警戒を最大レベルに上げる。
「もう、戻らないよ。新しく補充しない限りね」
「なにを、、」
「トリオンってさ面白いもんで、伝達脳から供給機関を通って出力されるんだ。その際に私達が使うノーマルトリガと違って君みたいな特殊形状の黒トリガーは独自性のアルゴリズムと変動パターンが存在してる。私はそれをちょっといじっただけさ」
「何を、、言ってやがる?」
理解ができない。
そんな事はありえない。有り得ていいはずがない。
「だから、こっちからその信号を相殺する弾丸を作っちゃえばいいってこと」
「く、クソがァ!!!」
再度液体が集まりブレードを形成する。
それをまた三度の弾丸が液体硬質化させようとした直後に打ち込まれ爆せると何度命じても動かない液体に変わる。
どうかしている
「旋空弧月」
驚きと焦燥にエネドラの思考が固まる中、追い打ちとばかりにダミーが叩き切られる。
「君は見せすぎたんだ。私達の前で」
どうかしている!そうエネドラは再三心の中でつぶやく。
ブレード、地面からの隠しブレード、液体による刺突の面攻撃。
それら全てを唯の銃弾に発動前に物言わぬ液体に戻される。
「ほら、もう無敵モードは終わりだ。動かなきゃ避けなきゃ逃げなきゃね。ははは!死んでしまうよ?」
再度体に打ち込まれた弾丸がエネドラを破壊する。その度に体を構成する泥の王を生成しているが。
間に合わない。ダミーの生成と体の生成が少女の悪意が、エネドラという存在を滅ぼそうとしてくる。
「うぐッ!?」
「ほら、終わり」
「旋空弧月」
忍田の振るった剣が最後のダミーを切り裂く。
そうして体を維持できなくなったエネドラはそのまま泥のように崩れ去る。
「まじで、容赦ねぇな」
「そうですね。俺、あの人だけは怒らせないようにします」
黒トリガーを討ち取った。その安心感が部隊を包んだ矢先だった。
「死んだふりは良くないよ」
泥の塊に弾丸が打ち込まれる。
「「!?」」
「ちッ!化け物が、、だがよぉ。今はこっちが風上だぜ?」
ザギン!
忍田の体から気化させていたエネドラのブレードが生える。
そして、同様にステイゴールドにもそのブレードが猛威を振るうと思われたが一向にステイゴールドからブレードが生えてこない。
「気化ブレードだろ?対策したよ」
「なに、を!」
「遅いよ」
どうやって?そう考えたエネドラとほぼ同時に隠密トリガー『カメレオン』で姿を隠していた菊地原と歌川がエネドラの伝達脳と供給機関を破壊する。
(こいつら、、さっきは尻尾巻いて逃げたチビども!?)
あれもこれも全てがこの一撃につなげるための布石。
目の前の少女が、バイバーイと手を振っている。
「こんの!猿どもがぁ!!」
*
「エネドラが敗北しました」
『そうか、そちらは任せる』
「了解しました。ですが、一つ気になる情報が『黄金旅程』を確認したと、、」
『なに?』
『黄金旅程』それはアフトクラトルが追い求める『ウマ娘』の手掛かりだ。
それがこの玄界にいる。それだけで十分な情報だが、、
この状況でなければ確保したいところだが、今は金の雛鳥が優先される。
『本国にデータを送れ、それとこちらもケリをつけるぞ』
「了解しました」
*
「お、また未来が動いたな」
未来の分岐点まで後564秒
またの私のお休みでお会いしましょう。
大侵攻の先の話ばかり頭に思い浮かび着地点を考えないと...。
とりあえず、頑張ります。
気長に暖かい目で見守ってくださいな。