東方不敗の孫は守りたい   作:ヴィルヘルム星の大魔王

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今回は、オリジナル要素を含めた入学式編となります。
どうぞ、ごゆるりとお楽しみください。


三拳 入学式!

 雄英高校の合格発表から数日後の通学日。シュウマは、担任に雄英高校に合格した事を伝える。学校経由で担任も合格したことを認知しているが、本人の口から伝えられたことに嬉しそうにしていた。シュウマは、狂喜乱舞する担任を冷めた目で見る。

 「いやあ!我が校から二人も雄英ヒーロー科の合格者が出るとは!開校以来の快挙だぞ!いやー!お前なら出来ると思っていたぞ!」

 (見て見ぬふりしてたくせに、いけしゃあしゃあと…)

 背中をバシバシと叩いてくる担任に対して、無個性に対するクラスメイトからの扱いやイジメなどの不良行為に対する見て見ぬふりなど、今までの学校生活に文句を言いたいことがあったが、日々の鍛錬で精神的に鍛えられている為、シュウマは大人の対応で誤魔化す。

 「ありがとうございます!先生の教えの賜物です!(教師の癖に生徒のいじめ問題に対処しろよ。クソ教師が)」

 雄英に合格したのも束の間、シュウマに新たなる問題が残っていた。それは、高校までの通学方法だ。シュウマが住んでいる島根から雄英高校のある静岡まで、地理的にも一人暮らしをしなければ、通学することが出来ないのが現状だ。しかし、一人暮らしには何かとお金が掛かる。

 帰宅後、そんな事を考えていたシュウマに、両親からある話を持ち出される。その話を聞いたシュウマは、飲んでいた麦茶で咽る。そして、母親に事の詳細を尋ねた。

 「唯とルームシェア!?」

 「シュウマは、唯ちゃんと同居してもらうで。ちなみに拒否権はないからな」

 エイチは、緑茶を啜りながら、シュウマに一人暮らしの件を話す。エイチ曰く、唯がシュウマとルームシェアをしたいと唯の母親から相談を受け、シュウマが下手なホームセキュリティー会社の警備よりも強いことから、特段、気にせずに雄英高校から通学距離が近いマンションやアパートを模索しているとのこと。

 それを聞いたシュウマは、飲んでいた麦茶でむせる。

 「いやいやいや!おばさん本気ですか!?もうすぐ高校生といえど、男と女!付き合ってもないのに!」

 「唯からのお願いでね。確かに、シュウマ君が心配していることも分かるわ。でも、唯が珍しく頼みごとをするから、無下にすることが出来なくてねぇ。まぁ、私はシュウマ君なら安心だから良いのだけど。うちのお父さんがね」

 「ん」(私は一向に構わん!)

 唯は、構わないという雰囲気を醸し出し、ふんすと可愛く鼻息を鳴らした。

 唯母も、娘からのお願いに困ったふうを装いながらも、目は笑っていた。

 ただ一人、唯父だけは目が笑っていなかった。いつも穏やかな顔つきからは想像できないほど、眉間に皺を寄せ、シュウマをじっと見つめていた。

 「シュウマ君。私は、君が小さい頃から君の人柄を見てきた。故に、心配はない。だが、唯を悲しませるようなことを君が仕出かせば、私は君を泣かすことになるだろう」

 シュウマは、唯父の迫力に言葉を発せず、勢いよく首を頷かせる。その様子を確認した唯父は、いつもの穏健そうな顔つきに戻った。

 とんとん拍子で二人の下宿するマンションが決まり、引っ越しの手続きを行う。そして、入学式前日に荷物が到着し、お互い割り当てた部屋で積み荷降ろしを行い、一日が過ぎた。

 この日、二人が食べたのは、唯特製のペペロンチーノである。

 入学当日、雄英の最寄り駅に着いたシュウマと唯は、雄英高校を目指していた。

 玄関口の近くには、クラス分けの張り紙が貼ってある。それを確認した二人は、目的のクラスまで一緒に歩いた。

 「俺と唯は、B組か。高校生活でも同じクラスになるとはな」

 「んっん!」〈高校生活でもよろしくね〉

 B組の教室前に着くと、巨大な扉が待ち構えていた。

 「バリアフリーか。でかいな」

 「ね。大きい」

 シュウマが、教室の扉を開け、唯が入室するまで支える。教室を見渡すと、一人の女子生徒が近づいてきた。

 「あ!アンタは!?もしかして」

 「君は、入試の時の…」

 「知り合い?」

 唯が不思議がっていると、橙髪にサイドテールの女子生徒が名乗ってきた。

 「私は拳藤一佳!出身は千葉県!好きな飲み物はコーヒー!一年間よろしくな!」

 

 一佳は、爽やかな笑顔で二人に挨拶を交わす。

 シュウマから見て、彼女の挨拶に爽やかな人柄が垣間見える。俗世的表現をすれば、サバサバ系に分類される女子だ。

 「おっと、自己紹介を忘れていた。俺は黒須シュウマ。出身は島根県。隣にいるのが小大唯。俺と地元が一緒の同郷だ」

「ん。小大唯。よろしく」

 唯は、シュウマからの紹介を受け、一佳に対して控えめに右手を胸の高さまで上げて挨拶する。挨拶を受けた一佳は、「よろしく」と応えた。三人で軽い世間話をしていると、廊下からドタドタと大きな足音が聞こえてくる。その足音は、この教室近くにまで迫ってきた。

 

 「しゃあ!俺は鉄哲徹鐵!今日からよろしくな!」

 ガシャンと大きく扉が開いた瞬間、元気の良い大声が教室に響く。扉に目を向ければ、見た目からして豪快という二文字が相応しい少年が現れた。少年は、自身を鉄哲徹鐵と名乗る。

 「元気だな。鉄哲だったか?俺は黒須シュウマだ。以後、よしなに」

 「おう、黒須!よろしくな!」

 シュウマと鉄哲は、ガッシリと握手をする。十五年間の人生において、己に友好的な態度を見せる鉄哲の姿にシュウマは少し不思議な気持ちになる。そんな二人の光景を遠くから眺めていた唯は、嬉しそうに少しだけ口角を上げる。その様子を目撃した一佳は、唯にキュンとした。

 その後も、漫画の吹き出しのような顔をした吹出。全身漆黒の黒色支配。中国出身で幼い頃に日本へ移住してきた鱗飛竜。楕円形の目に茶髪が特徴の円場硬成。液体チューブのような外見の凡戸固次郎。そして、金髪に捻くれ系アイドルのような容姿の物間寧人と挨拶を行った。

 その後、トイレなどを済ませ、教室に入ってから三分後、朝のチャイムが鳴り、それぞれが一斉に自分の席へと移動する。すると、前の扉から一人の男が入室してきた。

 「皆、席に着いているな?今日からお前たちB組の担任を務める事となった管赤慈郎だ。また、ブラドキングとしてヒーロー活動をしている」

 有名ヒーローが担任を務めることに、生徒の間では緊張と興奮が交じり合う。そんな生徒からの視線を余裕で躱したブラドキングは、連絡事項を告げ始めた。

 「これから、入学式が行われる。十分後には、廊下に整列してくれ。では、これから休憩時間とする」

 十分後、廊下では、出席番号が一番の泡瀬を筆頭に列を形成する。そして、ブラドキングが入学式会場まで引率する。

 雄英高校の入学式会場は、東京ドームと同じくらい広々とした空間構成となっていた。シュウマ含めたB組は、指定の席へ座り、入学式開会まで待機していた。その後も、普通科の一年C組、D組と会場に集まってくる。

 しかし、同じヒーロー科のA組は誰もおらず、一クラス二十人分の席が空席となっていた。

 「今回の司会進行を務めます。ミッドナイトです」

 司会は、デビュー時に大きな反響を呼んだ十八禁ヒーローミッドナイトだった。

 余りヒーローを知らないシュウマだが、ミッドナイトについては、ネット記事で見かけたので、認知していた。

 「では、只今より、雄英高校入学式を開会いたします」

 ミッドナイトの司会により、入学式が始まった。最初は、ネズミの姿をした根津校長からの挨拶だった。

 「最初に、校長からの挨拶。根津校長お願いします」

 「やあ、新入生の諸君。入学おめでとう!ネズミなのか犬なのか熊なのかかくしてその正体は、校長さ!」

 壇上に人型サイズのネズミが登壇してきた。彼の名は、根津。雄英高校の校長であり、個性道徳教育の貢献者として、尽力している存在だ。

 「いや〜、桜が舞い、春風と共に植物が芽吹くとは良く言ったものだね。ボクは、君たちの入学を心から歓迎しているよ。最初に伝えたいこととしては――」

 校長が長めの挨拶に突入しようとした時、BOOOOM!と校庭から爆発音が鳴り響く。教師を含めた全員が音の鳴る方向に顔を向ける。だが、教師陣は慣れているのか。再び、式の進行を始めた。

 「そういや、A組の奴らがいねえな」

 「入学式に出ないとかマジか」

 「何か別のレクリエーションでもやってるんじゃない?」

 「雄英高校は自由が校風らしいからな。大方、体力テストでもやっているのだろう」

 鉄哲は、A組が入学式に出席していないことに気付き、小声で周囲に話しかける。

 回原も鉄哲の言葉に共感する。骨抜は、柔軟に状況を受け入れ、A組が別のレクリエーションをやっていることを見抜く。骨抜の言葉に、シュウマも自身の意見を上乗せする。

 「でもよ。体力テストなんざ、今日の予定表に載ってなかったぞ」

 「雄英高校の校風が自由を謳うならば、教師陣も自由であることもまた然り。成程、それなら納得がいきますな」

 「アイヤー。流石、天下の雄英。学校側の自由度が高いな」

 宍戸は、顎を摩りながら、A組が出席していない事態に納得する。

 鱗は、思わずアイヤーと言葉を口にするほど、雄英高校の校風に吃驚した。

 

 「以上をもって、雄英高校の入学式を閉会します」

 ミッドナイトの閉会の挨拶により、入学式が終了する。そして、生徒たちは、クラス順に教室へと戻る。教室に戻った瞬間、全員が席に座る。ブラドキングは、教卓に移動し、帰りのホームルームを始めた。

 「今日で入学式は、終わりだ。長時間ご苦労だった。次に、明日のガイダンスに関する連絡事項だ。明日は、個性把握の体力テストを行う。ジャージを忘れず持ってくるように」

 『はい!』

 ブラドキングの連絡に、全員が元気よく返事を返す。元気の良さに感心したブラドキングは、帰りのホームルームを終わらせる。

 「良い返事だ。それでは、また明日会おう!この後は、自由にしてよいぞ!解散!」

 『ありがとうございました!』

 放課後には、各々が趣味や好きなヒーローについて話し合う。また、食事の予定などから親の元へ向かう者もいた。シュウマは、朝の教室で挨拶をしていない他の男子生徒や女子生徒に挨拶を交わす。挨拶を交わした全員が、シュウマに対して快く挨拶を交わしてくれる。

 シュウマと唯は、両親達と入学式後の食事会を済ませ、下宿先の小規模マンションへ帰宅する。二人がルームシェアをするマンションは、防音性に優れた構造となっており、女性の一人暮らしにも最適な防犯環境が整っていると不動産屋から紹介された。

「あれ?もしかして、唯と黒須か?」

 玄関に着き、扉の鍵を開けようとした二人は、聞き覚えのある声に顔を向ける。

 そこには、教室で出会った同じクラスの一佳がいた。

 唯は、一佳を家に招く。最初はやんわりと断る一佳だったが、唯の厚意に断り切れず、流れるように招かれた。

 「まさか、お隣さんだったとは」

 「ね」

 「偶然にしては中々の確率だな」

 

 リビングにて、唯と一佳はソファーに、シュウマはカーペットを敷いた床に座り、ジュースを飲みながら、談笑する。

 唯は、一佳に懐いていた。幼馴染の珍しい様子を見たシュウマは、嬉しそうに微笑みながら、飲み物をあおる。

 「へえ、この子はハロっていうんだ。丸っこくて可愛いな」

 〈ハロ、ホメラレタ!ウレシイ!ハロモ、イツカスキ〉

 ハロは、一佳に褒められたことが嬉しくなり、コロコロと転がり、嬉しさを表現する。

 「悪い、もうすぐ親が来るみたい。そろそろお暇しようかな」

 一佳は、スマホに両親からの通知が来たことを確認し、帰宅することを告げる。

 

 「隣同士だから、また会えるな」

 「ん。また遊びに来てね」

 一佳を玄関まで見送ろうと移動する二人。一佳は、自分の部屋のドアを開錠する。

 「また明日、学校でな。あ、」

 「お、これは」

 「ん。レイ子」

 一佳の奥にある部屋の前に、同じクラスの柳レイ子の姿が見えた。レイ子を含めた四人は、思いもよらない展開に動きを止める。

 「まじか」

 シュウマは、青春漫画みたいな展開だと感じた。

 レイ子にも挨拶を済ませたシュウマと唯は、交代交代で風呂場に入る。ルームシェアをする際の取り決めとして、風呂場は基本的に唯から入る事。シュウマについてきたハロが風呂掃除と洗濯を担当することになった。

 翌日、二人は、制服姿で雄英へと通学する。

 

 「ハロ、留守番を頼んだぞ」

 「ん。行ってくるね」

 〈キヲツケテ!アンゼン、ダイイチ!イッテラッシャイ!〉

 ハロは、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら二人を見送り、べランダに移動する。そして、耳のようなパーツから腕を生やし、煙草に火をつけて一服する。

 

 〈ふう、ガキンチョ二人の御守は大変だぜ。まあ、これも俺に与えられた任務だからな。へっ、泣き虫だったシュウマが立派な高校生になりやがってよ〉

 先程の片言音声とは、裏腹に渋いおっさん声で流暢な日本語を発し、まるでおっさんのような人格に切り替わるハロ。耳と思っていたパーツから人間の腕が生え、あまつさえ煙草をふかしている。ハロことハロ男は、二人の知らないところで一服休憩を入れていたのだった。

 〈おっと、消臭をしとかねえとな。副流煙やなんやら、煙草の匂いが付いちまったら大変だ〉

 ハロ男は、棚から取り出した消臭剤で煙草の匂いを消し、家事洗濯に励むのであった。

 

 




はい、シュウマはB組として青春を過ごすことになりました。
なぜ、B組設定にしたかといいますと、B組女子が可愛いからです。A組女子とはまた違った可愛さやヒロインらしさがあると。当方は感じております。
 
次は、個性把握テスト回です。お楽しみに!

サブヒロイン

  • ミルコ
  • 拳藤一佳
  • 柳レイ子
  • 取蔭切奈
  • 塩崎茨
  • 全員
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