東方不敗の孫は守りたい   作:ヴィルヘルム星の大魔王

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お待たせしました。個性把握テスト編です。

※先ほど、誤投稿してしまいました。ご迷惑をおかけしました。


四拳 個性把握テストと交流会

 雄英高校に入学して二日目。B組の教室では、担任のブラドキングがガイダンスを行っていた。今日は、個性把握テストの日である。教壇の前に立ったブラドキングは、名簿順に出席確認を行う。順番に名前を呼ばれた生徒は、元気よく返事をする。

 「よし、全員揃っているな。予定通り、今日は個性把握の体力テストをやるぞ」

 教室に響いたブラドキングの声に、B組の生徒たちはいっせいに背筋を伸ばし、真剣な眼差しを向けた。

 「体操着に着替えたら、グラウンドに集合すること。まぁ。俺が目印だから分かるだろう」

 ブラドキングは、軽い冗談を交えながら、更衣室の場所を説明する。グラウンドの場所を端的に説明し終えた瞬間、休み時間のチャイムが鳴る。

 「では、着替えが済んだ者から集まるように」

 朝礼終了の挨拶を合図に、ぞろぞろと更衣室へ移動し始めた。

 体操服に着替えたB組は、グラウンドで個性把握テストの説明を受けている。ブラドキングは、ボールを軽く投げながら、最初に投げる人を指名した。

 「先ずは、ソフトボール投げだ。そうだな…拳藤。一番手を頼めるか?」

 「わ、私ですか!?分かりました」

 ブラドキングから機械製のソフトボールを受け取り、円の中に入る。ブラドキングは、ソフトボール投げの説明を始めた。

 「円の範囲内なら、個性を使用しても構わない。ちなみに、円から出たらやり直しだ」

 拳藤は、右掌を巨大化させ、助走をつけて大きく腕を振りかぶる。円のギリギリまで踏み込み、渾身の力でボールを空へと放った。ボールは、徐々に上昇し、拳藤のいる位置から600mの距離に落下した。ブラドキングは、端末に受信された記録を全員に見せるように向けた。

 「このように、個性を使用することで自分本来の身体能力を自覚し、現在の限界を把握することが、今回の目的だ」

 端末に表示された600mの記録に、B組の気力が奮い立つ。

 「思いっきり個性が使えるのかよ!」

 「おっしゃあ!腕が鳴るぜ!」

 「ん」(頑張らないと)

 やる気満々の生徒たちの様子を見たブラドキングは、新たな青春の波動に強く頷く。

 「皆、気合十分のようだな。第一種目は、50m走だ。最初に走るのは、泡瀬と回原だな。二人とも所定の位置に着いとけよ」

 第一種目の50m走が開始される。スタート地点とゴール地点には、計測用ロボが鎮座していた。泡瀬と回原は、スタートラインに立つ。計測ロボが、合図を出した。

 二人は、合図と同時に駆け出す。泡瀬の個性は、走力に影響を与えない為、素の身体能力に頼るしかない。反対に、回原は足を旋回させ、グルグル走りで泡瀬を追い越す。回原の後方に居た泡瀬は、土埃と土煙を正面から受けた。

 「わっぷ!?」

 「泡瀬が土煙に巻き込まれた」

 「回原、50m走と相性良いな」

 後半組は、回原の個性と泡瀬の状態をわいわいと話しながら、分析していた。完走した二人を、ブラドキングは褒め称えた。

「二人とも良い走りだった。次、鎌切と黒色!」

 

 鎌切は、足に生やした刃を地面に突き立て、滑るように加速しながらゴールへと突き進んだ。 その隙を突いて、黒色が鎌切の影へと飛び込む。気配に気づいた鎌切はすぐに刃を収納し、走りへと切り替える。 一方の黒色は、ライン上にある影に身を潜め、まるで水中を泳ぐように滑らかに移動していく。

 

 そして、二人はほぼ同時にゴールへと到達した。 個性を最大限に活かした競争に、周囲の生徒たちは歓声を上げて盛り上がった。

 一佳とシュウマの番となった。二人が定位置に着くと、一佳はシュウマへ話しかけた。

 「やるからには、負けないからね」

 「拳藤と走れるのか。勝負が楽しみだ」

 

 〈位置に付いて!よーい!〉

 合図が鳴り、一佳は駆けだす。本人が鍛えているだけあってか、陸上選手並みの速度で走る。

 シュウマも負けじと、十傑衆走りで駆ける。その際、両腕は組んでいる状態になる。十傑集走りは、前傾姿勢を取りつつも、姿勢良く胸を張り、ステップを刻むように走るのがコツだ。

 シュウマは、十傑集のメンバーである白昼の残月と混世魔王・樊瑞から師事を受け、十傑集の面々も唸るほどの走りを習得した。

 シュウマは、急加速で自身に追い込みをかける。結果、一佳よりも早くゴール地点を駆け抜けた。

 〈ピピッ!2秒98!〉

 ゴールの白線を走りきった瞬間、シュウマの動きがピタっと急停止する。制動距離を無くし、空走距離で止まる超人技を見抜ける者は、誰もいなかった。

〈ピピッ!5秒13!〉

 

 少し遅れて、一佳はゴールに到達する。今のところ、女子の中では最高記録を打ち出している。膝に手を置き、息を切らしながら、 

 

 一佳は中学時の記録を更新したことに嬉しくなった。

「はぁはぁ!黒須は速いな。全然追いつけなかったよ。でも、変な走りだったな」

「特殊な走り方だからな。拳藤こそ、良いフォームだったぞ」

 唯は、笑い合う二人をジッと遠くから見つめていた。彼女の胸の奥がチクリと痛む。それが嫉妬なのか、それとも別の感情なのか。彼女自身も理解できなかった。

 第二種目の握力は、室内で行われた。

「うおおお!フルパワーですぞォォ!」

「気合いだ!気合いだ!ど根性ォオ!」

 宍田と鉄哲は、気合の雄叫びを上げ、力強く握りしめた。

 男子の平均を超えた記録が表示され、またもや大いに盛り上がる。シュウマも傍で握力を測り始める。再び、拳に気力を込め、握力に一極集中させる。力を込めて握る。

 バキィィィン!とグリップ部分が拉げ、エラー音が鳴り響く。

 「あ、やば」

 「黒須、∞に記録をしておく。握力はそれぐらいにしとけ」

 「了解しました」

 『握力∞いったぞー!』

 円場が、シュウマの記録を見て、周囲に報告する。鉄哲はシュウマの記録を見て、興奮状態になる。

 「ん」(相変わらず、握力が凄いね)

 「鍛えているからな。しかし、鍛え直さないとな」

 唯の言葉に同意し、手を握るシュウマであった。

 第三種目の幅跳びでは、自分の身体を分割できる個性を持つ取蔭が有利だった。取蔭は、自身の身体を分割し、遠くまで飛ばす。この結果、無限という過去最高記録を手に入れた。

 「取蔭の記録は、∞だ!」

 『うおおお!記録∞が出た!』

「この競技、あたしの個性と相性良いじゃん!」

 ∞という単語に、大興奮する男子諸君。取蔭に続いて、シュウマの番となる。彼は、ラインから飛躍する。そして、そのまま浮き上がり、座禅を組んだ。浮遊状態が維持されている。

 「黒須。それは、何分まで飛べる?」

 ブラドキングは、空中浮遊しているシュウマを見て、何処まで維持できるのか問いかける。座禅を組みながら、浮遊しているシュウマは、自分の行動に当たり前のように答えた。

 「はい、無限に飛べます。ちなみに、これはヨーガです」

 「とりあえず、無限にしとこう。ヨガって空を飛べたか?」

 シュウマの発言を信じたブラドキングは、無限の記録を付ける。基本的にヨガを習得しても飛べない為、彼の疑念は正しい。

 第四種目の反復横跳びでは、純粋な体力勝負となり、鉄哲の気合の入った反復横跳びで、地面が少し抉れた。

 第五種目のボール投げの種目では、各々が良い記録を残していた。

 

 シュウマは、ボールを持ち、拳に気力を込める。たちまち、拳が淡い緑色に光り、ボールを包み込んだ。流派・東方不敗におけるフィンガー系の口上を述べ、気合を入れる。

 「俺のこの手が光って唸る!球を投げろと輝き叫ぶ!必殺!シャイニング!フィンガァァァァ!スロータイプ!」

 ボールは勢いよく空へと放たれ、鋭い軌道を描きながら上昇する。やがて、重力に引かれ、徐々に減速していった。

「爆ァ熱!」

 シュウマが指を鳴らすと、ボールが閃光と共に爆ぜた。轟音と爆風がグラウンド中の空気を揺らし、ボールは青雲を突き抜け、大雲に穴を開けた。唯以外の全員が、口をぽかんと開け、言葉を失うほど呆然とする。シュウマは、満足そうに頷いた。

 「うむ、中学よりは飛距離が上がったな」

 結果は、5000mだった。また、レイ子のポルターガイストと相性が良く、女子で二人目の∞記録を出した。

 第五種目の上体起こしと長座体前屈では、個性の関係で体が凄く柔らかい骨抜が無双していた。

 

 最終種目の持久走では、ポニーと宍田を先頭に熾烈を極めていた。宍田の個性は、ビースト化。自身の身体を獣化させることで、身体のリミッターを解放する。

 「アオオオン!」

 「走りなら、ワタシも負けません!」

 「俺だって負けられん!」

 二人の後ろから、ドドドと勢いよく迫ってくる一つの影が居た。その影は、ある技を叫び、二人を追い抜こうとしていた。

「超級!覇王!電影弾!」

 影の正体であるシュウマは、奥義の一つ【超級・覇王電影弾】を繰り出す。

 鶴の構えを取ったあと、頭部以外が渦巻き状の光弾に包まれ、竜巻の様に空気を巻き上げながら、一直線に突き進む。傍から見れば、珍妙な体勢となっている。ブラドキングは、状況理解を諦めた。

 「What!?」

 「何ですと!?」

 

 シュウマは、二人を追い抜き、一番手でゴールを決める。

 こうして、全てのテストが終わり、総合成績が発表される。

 シュウマの名が、一位に刻まれていた。

 「皆、個性把握テストご苦労だった。これで、今日のレクリエーションは終了だ。着替えを済ませた皆が、教室に戻り次第、ホームルームを行う」

 個性把握テストが終了し、ガイダンスが昼の時間帯に終わった。午後からは完全に自由時間である。帰って遊ぶも良し、図書館で本を読むも良し、どうしようかと各々が悩んでいると、物間が教壇近くでクラス全員に声をかけた。

 「ねえ、皆。入学して二日目だが、交流を深めにクラス会を開かないかい?」

 物間は、クラスメイトとの交流を目的に、クラス会を提案する。場所としては、一人が入室できるカラオケを提示している。

 カラオケのパーティールームならば、防音性が高く、店や客の迷惑になりづらいという利点もある。物間の提案を聞いた他のクラスメイト達は、概ね賛成している様子だった

 「良いねぇ!アタシ、そういうの好きだよ」

 「カラオケで交流!楽しみデス!」

 明るい性格の取蔭とポニーは、物間の提案に賛成の意を示す。

 「決まりだね。二十一人と大人数だから、予約しとこう」

 カラオケ屋に着いたB組一行は、物間を代表に受付を済ませ、パーティールームへと案内される。そして、ドリンクバーで飲み物を補充したことで、クラス会が催された。

 「皆、グラスを持ってくれ。では、乾杯!」

 『乾杯――!』

 卓上には、皆がつまみやすい大盛りポテトフライや唐揚げセットが数皿並んでいる。

 初めは、軽い自己紹介から始めることにした。一番手として、鉄哲が挙手する。

 「一番手は、俺から行くぜ!名前は鉄哲徹鐵!そして、個性はスティール!全身を鉄の様に硬化することが出来るぜ!」

 鉄哲は、大声で自己紹介を始める。鉄哲の自己紹介を皮切りに、元気のよい自己紹介会が始まった。

 「私は、拳藤一佳。個性は、大拳。両手を巨大化する個性。一年間よろしく」

 「私は、塩崎茨を申します。個性は蔓。蔓の髪の毛を伸ばす個性です。一年間、共に精進して参りましょう」

 拳藤は、爽やかに自己紹介を始めた。塩崎も聖女のような祈りの仕草で自己紹介をする。続けて、取蔭が自己紹介に乗り出した。

 「アタシの番だね!アタシは、取蔭切奈!個性は、トカゲの尻尾切り。推薦入学で来たよ。よろしくね」

 「アメリカから来ました角取ポニーです!日本語ベンキョー中デス!ヨロシク!」

 「柳レイ子。個性はポルターガイスト。趣味はホラー映画鑑賞」

 「ん。小大唯。個性は…物を大きくする」

 「小森希乃子ノコ!アイドルヒーローを目指すノコ!」

 

 B組女子ズの元気はつらつな自己紹介に、盛り上がる一同。

女子ズに続いて、男子後半組も自己紹介を始めた。

 「円場硬成!個性は空気凝固!守りは任せな!」

 「泡瀬洋雪!個性は溶接!トラップは任せとけ!」

 「俺は回原旋だ!個性は旋回!回転力なら誰にも負けないぞ!」

 「ボクは庄田二連撃。個性はツインインパクト。動ける恵体と人は呼ぶ」

 「鱗飛竜。中国出身だ。個性は鱗を飛ばす事。特技は太極拳だ。よろしくな」

 「私は宍戸獣郎太です。勉学を共にする仲間として、邁進いたしましょうぞ」

 「黒色支配だ。個性は闇に引きずり込むことだ。ククク、闇と共に俺は生きている」

 「鎌切尖だ。全身から刃を生やす個性だ。切り刻むのが好きだぜ。ケケケ」

 一人物騒な自己紹介をする者が居たり、中二病全開の者もいる。

 「凡戸固次郎。個性は接着剤を出す。好きな物はプラモデルだよ」

 「吹出漫我。個性はコミック。擬音を具現化する能力だよ。名前の通り、好きな物は漫画。よろしく」

 サブカルチャー好きの二人が自己紹介を行い、その後、握手し合うなど意気投合していた。マイクが物間に渡る。

 「僕は物間寧人。個性はコピーだ。A組よりも素晴らしいクラスにしようじゃないか!」

 物間の自己紹介が終わり、最後の自己紹介として、シュウマの番となった。シュウマは、物間からマイクを受け取り、名前と趣味などを話し始める。

 「黒須シュウマだ。個性は、無個性。趣味は鍛錬だ。迷惑を掛けると思うが、一年間よろしく頼む」

 『よろし…え?』

 「き、君、なんて言った?できれば、もう一度言ってくれるかい?」

 物間は、シュウマが言った単語に冷や汗を流しながら聞き直した。彼の言葉が正しければ、個性が無い状態で倍率七〇〇倍を超えるヒーロー科を突破したという事になる。

 超常社会において、人類の約八割が個性を宿している事が常識だからだ。そんな周りの空気を無視して、シュウマは事実であることを述べた。

 「俺には、個性が宿っていない。正真正銘の“無個性”だ。場を静かにさせてしまって、すまない。無個性というレッテルのせいで、唯以外に友達もいなかった。でも、昨日今日、みんなが優しくしてくれて……嬉しかった。空気が読めなくて、本当に申し訳ない」

 「なんだよ…」

 全員が声の発生源に目を向ける。声を出していたのは、鉄哲だった。彼は、シュウマの言葉を聞いて、体が大きく震えている。鉄哲の様子に異変を感じた泡瀬が冷や汗をかきながら、声をかける。

 「て、鉄哲?」

 「なんだよ…なんだよソレ!クソ漢らしいじゃねえか!」

 鉄哲は、男泣きともいえる涙を流していた。そして、シュウマの元へ移動し、強引に肩を組んだ。

 「無個性だとか個性だとか!そんな小さいことなんて気にすんな!俺たちはクラスメイトだ!お前に色々言ってきた奴らを見返せるじゃねえか!俺たちはお前がどうであろうと気にしねえ!なぜなら、ヒーローを目指す仲間だからだ!」

 「男臭い台詞をよく普通に言えるねえ」

 「鉄哲の言いたいこと、嫌いじゃねえぜ」

 「ああ、これから共に協力する仲間だもんな」

 取蔭、泡瀬、回原が鉄哲の言葉に好感触を示す。

 「黒須シュウマ。なあ、もしかして、黒須はマスター・アジアの血縁者か?」

 「ああ、拳藤。その通りだ」

 「マ、マスター・アジアだって!?」

 マスター・アジアの名を聞いた鱗は、思わず立ち上がる。

 

 「マスター・アジア?誰だそれ」

 鉄哲は、マスター・アジアという単語を聞いて、頭の上に大量の疑問符を思い浮かべる。それを聞いた鱗は、マスター・アジアについて熱弁する。

 「マスター・アジアは、かつて行われた世界闘技大会の連続チャンピオン!個性持ちの格闘家ですら捻じ伏せた圧倒的な強さに加え、彼が日本出身であることから、東方を制する者。マスター・アジアと呼ばれているんだ!まさか、黒須が伝説の武闘家マスター・アジアの孫だなんで!」

 鱗は、目を輝かせてシュウマに近づく。シュウマは、祖父のファンである鱗の態度に戸惑いを隠せない。物間は、遠くから彼を見つめ、マイクを通して、全員に向けて言い放った。

 「何はともあれ、僕らは、雄英高校で学校生活を共に過ごす仲間だ。切磋琢磨していこうじゃないか」

 「ふっ、仲間か。良いな」

 物間の仲間という言葉に、今までの学生生活では体験しなかった気持ちに胸が高鳴る。

 「折角カラオケに来たのだから、歌おう!さあ、誰から歌うんだい!」

 第一回B組カラオケ大会が始まった。その後、鉄哲が熱唱する余り、マイクを齧ったりするハプニングが起きたり、ポニーがアニメソングを歌い、男子を中心に盛り上がる。レイ子が井戸の和ホラー映画の主題歌を歌っては会場を涼しくさせ、塩崎が天使の愛の歌を歌い、歌唱力の高さに全員が涙を流すなど、各々が自由にカラオケを楽しんでいた。

 シュウマは、盛り上がるクラスメイトの様子を見て、ジュースで喉を潤し、自らもカラオケに参加した。

 

 




読了ありがとうございました!
個人的には、唯をメインヒロインにして、サブヒロインを追加する形にします。次は、戦闘訓練を書きたい!

サブヒロイン

  • ミルコ
  • 拳藤一佳
  • 柳レイ子
  • 取蔭切奈
  • 塩崎茨
  • 全員
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