個性把握テストを無事に終えたシュウマは、放課後にカラオケへ行き、クラスとの交流を深めた。翌朝、B組の教室では、学級委員長と副委員長を決める投票が行われる。多数決の結果、学級委員長には拳藤が、副委員長には骨抜が選ばれた。
「選ばれたからには頑張らないと」
「俺も柔軟にサポートするよ」
二人は、手短に意気込みを述べる。午前の授業が終わり、昼休憩の時間となる。シュウマは、昼食を食べに、ランチラッシュが運営する食堂へと向かった。
彼の周りには、唯、鉄哲、拳藤、物間、取蔭、レイ子がいた。そんな中、鉄哲の腹の虫が、大きな音を鳴らす。その音に気付いた物間は、思わず吹き出す。
「どうやら、鉄哲の腹は我慢の限界のようだね」
「もう昼だもんな。ああ、腹減ったぜ!何食おうかな!」
「小学生じゃないんだから、落ち着け」
食堂に着いた一同は、食券を買いに券売機へと並び、食べたいランチを購入した。配膳ロボからランチを受け取り、大人数用のテーブルを確保した。シュウマは、お冷を取りに、水飲み場へ移動した。
目の前を歩いていた男子生徒にぶつかってしまった。コップの水がこぼれなかったのは、幸いである。シュウマは、ぶつかったことに対して、速やかに謝罪した。
「すまない。怪我はないか?」
「っち!気を付けろや」
シュウマは、ぶつかってしまったことを謝罪したが、爆発頭の少年は威嚇するようにキレ、余所へ行ってしまった。彼の粗悪な態度を見た物間は、しかめっ面で毒を吐いた。
「シュウマに謝罪の言葉も無しか。態度が最悪だね。不良じゃないか」
シュウマは、後ろ手で頭を掻きながら、毒を吐く物間を落ち着かせる。
「ああいう態度を取ってきた輩は、何回も見てきた。気にするだけ無駄さ。それに、俺の不注意もあって起きたからな。俺にも反省すべき点がある」
「そうだぜ物間。今は飯の時間だ。早く食わねえと昼休憩が終わっちまうぞ」
鉄哲は、ほうれん草たっぷりの大盛りグリーンカレーを勢いよく掻っ込む。腑に落ちない物間だったが、シュウマの言葉にしかめっ面を解き、食事を再開した。シュウマは、その様子を確認し、自身も食事を始め、隣にいた唯に頼んだメニューを聞いた。
「唯、お前は何を頼んだんだ?」
「ん!オムライスとトマトサラダ」
トマトが大好きな唯は、ご機嫌な様子で食事を楽しんでいた。美味しそうに頬張る唯の姿を見て、シュウマは思わず笑みをこぼす。お盆の中にある付属のトマトサラダを見て、唯の近くに皿を持ち出す。
「良かったら、俺のトマトも食べるか?まだ箸を付けてないから大丈夫だ」
シュウマは、手に付けていないサラダのトマトを唯に差し出す。それを聞いた唯は、トマトという単語に目をキラキラと輝かせる。感情が乏しい彼女の変わった様子に、その場にいたメンバーは、目を見開く。
「ん、いいの?」
「黒須。いくら、唯がトマト好きだからって、ちゃんと食べないと駄目だぞ」
一佳は、唯にトマトを差し出そうとする彼の行為に、ちゃんと 野菜を取るように説く。
「拳藤、誤解だ。唯が喜ぶから差し出しているんだ。トマトを食べる唯は可愛い」
「まぁ、確かに可愛いけどさ」
「小大とシュウマは、仲がいいね。ウラメシイ」
レイ子は、二人の仲の良さを羨ましく感じた。
シュウマ達は、唯を通じて、アパートでも共に食事をすることが多い。女子が三人いるという華やかな席に、一部の男子から妬みの視線を向けられていた。
「あいつ、女子三人と食事してやがる!羨ましいぞ」
「峰田、みっともないから落ち着け。それに、男はあと二人いるぞ」
A組に在籍している葡萄頭の峰田は、呪詛を吐きながら、ホットドッグを嚙み千切っていた。それを見ていた上鳴は、飯を食べながら咎める。食堂にいる生徒たちが、食事を楽しんでいるのも束の間、校舎内に侵入者警報が鳴り響いた。
〈侵入者を探知!校舎内にいる生徒は、速やかに避難して下さい〉
自動アナウンスが侵入者の警報を知らせる。それを聞いた生徒の大半が、我先にと避難を始める。一斉に避難を行ったことで、食堂内がすし詰め状態となり、人混みで足を踏まれる者、ぶつかることで軽傷を負う者もいた。
「侵入者だって!やべえ!俺たちも避難すんぞ!」
「落ち着くんだ。焦っていては、余分な怪我をするぞ」
椅子から立ち上がった鉄哲は、避難しようと非常口へ向かおうとする。それに対し、シュウマは冷静な判断を忘れない。
「あ、見えた!外にマスコミがいるよ」
「ナイス、切奈!」
「マスコミか。穏やかな食事の時間を邪魔するとは、文句が出そうだ」
取蔭のおかげで、警報の正体がマスコミによる誤作動であることを知った一行は、席に座り、食事を再開した。非常口付近では、メガネをかけた生徒が非常口マークに張り付き、大声で現場を収めていた。物間は、外にいるマスコミに向けて、静かに毒を吐いた。マスコミの影響で、昼休憩は大騒動へと発展したが、イレイザーヘッドとプレゼント・マイクにより、事態は収束した。
午後の講義から、ヒーロー科のメイン授業『ヒーロー基礎学』が始まる。B組全員が担当教師の登場を、今か今かと待ちわびていた。
「私が!普通にドアから来たー!」
教室の前扉から、新任教師のオールマイトが登場する。日本のヒーローランキングトップに輝く『平和の象徴』の登場に、B組内のボルテージが上がる。
「皆、実習場所の演習場βだから、遅れないように!そして、皆お待ちかねのこちら!ヒーローコスチューム!」
オールマイトがリモコンを操作すると、棚が変形し、大量のスーツケースが出現する。
男子更衣室では、制服からコスチュームへと着替える。シュウマも例に漏れず、自身が要望したコスチュームに着替える。シュウマのコスチュームを製作したのは、お馴染みのアナハイム・エレクトロニクスである。シュウマは、上下別の道着風戦闘服に着替え、腰布を解けない様に結ぶ。
「シュウマの戦闘服、道着系なんだな」
「ああ、祖父が着ている道着をモチーフにしてるんだ。俺の越えるべき壁だからな」
シュウマのコスチュームは、黒色を基本とした布地に紫色の共布で構成されている道着だ。これは、祖父の東方不敗が着用している道着をリスペクトしている。腰には、武器である腰布を装備し、頭部には、赤色の鉢巻を巻いていた。
「鱗のコスチュームは、キョンシーの御札みたいなバイザーを装着しているんだな」
シュウマの問いに、鱗は嬉しそうに自身のコスチュームについて説明する。
「ああ、中華風の衣装として分かりやすいし、カッコいいからな」
シュウマは、鱗と他愛のない会話をしながら、演習場へ向かうと、数名が既に集まっていた。
オールマイトは、金の卵たちのコスチューム姿を褒める。
「カッコいいじゃないか!有精卵ども!」
授業開始まで時間がある為、隣に来た唯に話しかける。シュウマは、唯のコスチュームを頭からつま先まで見る。唯の頭部には、スラッガー系のデザインが施されていた。
「唯、その恰好。まるで、ウルトラ」
「はい、黒須ストップ。そのネタは危ない」
唯の恰好に見覚えのあるシュウマは、思わず某作品を口に出そうとしていた。それに気付いた一佳は、シュウマの頭を手刀で軽く小突いた。
「全員揃ったようだね!今から、諸君らが待ち侘びていた戦闘訓練のお時間だ!」
オールマイトは、咳払いをして、説明を始める。生徒たちは、真剣な表情で聴いていた。
「さて、戦闘訓練を行う中で、チーム分けをしようと思う。順番にボールを取って、同じ番号の人と組んでくれ!」
「オールマイト先生、二十一人ですが、チーム分けはどうするのですか?」
一佳は、チーム分けに一人余る可能性を考え、オールマイトに質問した。
「良い質問だ。拳藤少女!そのことについては、問題ナッシング!三人チームのアルファベットが振ってあるから、それに従ってくれたまえ!」
シュウマは、鱗・塩崎とチームを組むこととなった。番号は『A』だった。
「鱗と塩崎か。戦闘訓練ではよろしく頼む」
「ああ、こちらこそよろしくな」
「戦闘訓練、なんて野蛮な。ですが、これもヒーローの道へと進む一歩ならば、甘んじて受け入れましょう」
シュウマ・鱗・茨のAチームと対峙するのは、鉄哲・回原の攻撃特化型Dチームだった。三人は、ヒーロー側として戦うこととなり、核を奪取するための作戦を練っていた。
「俺の個性は、鱗を形成して飛ばすことが出来る。近距離・中距離の戦闘なら任せろ」
「私の個性なら、遠距離からの拘束も可能です。しかし、戦闘となると不利なのが弱点です」
「無個性だが、牽制程度なら担える。だが、あまり大きな期待をしないでくれ」
シュウマが、自身では役不足だと自傷するが、鱗はその根暗さに何とも言えなかった。
「鉄哲は、正面突破で来る可能性が高い」
「だったら、核を守っているのは回原の可能性があるな」
「ああ、主よ。悪しきヴィランに、聖なる鉄槌を与えましょう」
鉄哲が正面突破担当、回原が核の見張りであることを想定したプランAを共有する。
茨は、開戦の祈りを敬愛する御主に捧げていた。そして、核の確保を鱗と茨が担当し、鉄哲の妨害をシュウマが担当することに決定した
ビルの一階へと侵入する。一階には、敵チームがいないことを確認し、二階へと上がる。二階へ到達し、三階までの階段を目指す。その時、壁を殴るような音が聞こえ、シュウマ達は、足を止めた。
「しゃらくせえ!漢は正面から殴り込みよ!」
壁を破壊しながら、鉄哲が姿を現した。三人の予想通り、鉄哲が特攻してきた。
「気功弾!」
シュウマの掌から迸る気力の弾丸が、空気を裂いて鉄哲へと放たれる。対する鉄哲は、全身を鋼質化させ、迫る気弾を受け止めた。衝突の余波で廊下に煙が立ち込め、全員の視界が白く濁る。
「今だ!行けー!」
シュウマの言葉を合図に、二人は即座に動いた。作戦通り、左右から鉄哲を突き抜ける。
「OK!核は任せろ!」
「御武運を!」
鉄哲が注意を逸らした隙を突き、階段を駆け上がる。目指すは、核が保管された部屋だ。鉄哲は、階段に視線を向け、二人を追いかけようとする。
「くっ、しまった!逃がすかよ!うおっ!?」
「お前の相手は俺だ。さあ、大人しくお縄についてもらおうか?」
「調子に乗るなよ。ヒーロー!俺の拳は、ダイヤモンドよりも硬ぇんだ!」
鉄哲の拳が金属音を立てて、唸りを上げる。両者の戦いの火蓋は、切って落とされた。
先攻は、鉄哲からだった。鉄哲は、鋼質化させた右拳を身体の勢いに乗せる。
「俺拳!」
「効かぬわ!」
鉄哲の鉄拳を腰布で防ぐ。そして、顎を蹴り上げ、後退で様子を見る。顎に一撃を貰った鉄哲は、少しよろけるも、効いていない様子だった。
「だったら、ヨガファイヤ!」
シュウマは、大きく息を吸い込み、鉄哲に向けて、火炎を吐く。火炎攻撃を直に喰らった鉄哲の身体が見事に燃え上がる。逆立っていた鋼質状態の髪が少し湾曲していた。
「うおおお!熱っつぅぅぅ!」
鉄哲は、自身の身体に燃え盛る炎を消すべく、地面に体を転がし、消火した。金属膨張による熱音響現象が発生する。熱の効果で全身の金属が柔らかくなったが、鉄哲は気合で再び硬化させた。
観戦室では、シュウマが炎を吐いたことに、ざわつき始めた。オールマイトも手元にある資料と映像を見比べ、困惑していた。無理もない。個性が無いにも関わらず、見事な火炎を射出していたからだ。
(ええ〜!?黒須少年、火の玉を吐いてるよ!資料には、無個性と書いてあるのに、何故だ。それに、『ヨガ』という単語が聞こえたけど、ヨガって火の玉出せるの?考えたくもないが、まさか、奴が関与しているのか?)
オールマイトのヨガに対する疑念が晴れない中、戦闘訓練は続く。
「てつてつがチンチンだよオイ!」
鉄哲は、熱々を意味する愛知弁を発しながら、シュウマにダブルレッジハンマーを叩き込む。咄嗟に気力で防御したシュウマは、脳天割りの力を利用し、体を縦に一回転させ、カウンターで胴廻し回転蹴りをお見舞いした。
一方、核につながる部屋では、鱗と茨が回原と対峙していた。回原は、両腕を回転させながら、自身が不利な状況にぼやく。
「回原を突破しないと、核に辿り着けないな。もしくは、捕縛するか」
「油断大敵です。鱗さん」
「一対二か。数では不利だが、そう易々と敗れるわけにはいかねえ!」
回原は、全身を回転させ、二人に突撃する。鱗は、迎撃態勢を取る。
「来た!鱗撃!」
「鱗さん、援護いたします!蔓よ!」
鱗は、腕から鱗を形成し、射出する。茨は、髪の蔓を操り、地面に突き刺す。蔓が地中を越えて、回原の行く手を阻む。
「塩崎の個性か…厄介だな。だが、何事も貫き通すのみ!」
回原は、旋回させた両腕で蔓の猛攻を防ぐ。また、飛来してくる鱗を全て避けた。そして、鱗に目掛けて、貫手を繰り出す。ギャリギャリという回転音を鳴らし、鱗に迫る。
「そう来たか!」
鱗は反射的に鱗で腕を覆い、防御に入る。回原の回転突きが、鱗の腕に激しく衝突する。旋回された拳が鱗腕を削るたびに火花が弾け、室内の空気が震える。
二人は、戦闘の熱気に煽られてアドレナリンに脳が支配された。後方から彼らの戦いを眺めていた塩崎のインカムに、シュウマからの無線が入る。
〈塩崎、聞こえるか?こちら、黒須。現在、鉄哲と交戦中だ。そちらの状況を教えてくれ〉
「黒須さん、私達は現在、回原さんと交戦中です。現在は、鱗さんが回原さんを抑えてくれています」
〈了解。おっと、危ない。鱗が回原を抑えている隙に、核のある部屋へ移動できるか?〉
「承知いたしました。それが私に課せられた任務ですね」
〈頼んだ。成功を祈る〉
無線を交わした茨は、核を確保するべく、警戒しながら、奥の部屋に進む好機を窺っていた。鱗を纏った脚撃と回転脚が、ぶつかり合い、見応えのある熱戦を繰り広げている。
鉄哲とシュウマも上階にいる二人と同じく、激しい戦闘を繰り広げていた。鉄哲へ拳撃を与える度に、鈍い金属音が鳴る。だが、拳に気力を纏っていたお陰で痛みは感じない。それは、鉄哲も同様で、全身鋼質化に依り、少ないダメージで済んでいる。
「熱いパンチだぜ!だがな、俺の拳はもっと強えぞ!」
鉄哲は、右腕を突き出すも簡単に躱される。続けて、左突きで腹部を狙うも、廻し受けで防がれる。
シュウマは、連続突きを汗一つ掻かずに受け流す。一度、攻撃を受けたことで、彼の攻撃パターンを見抜き、次々と片手でいなす。
「鉄哲らしい攻撃だな。だが、俺も負けられん!」
廻し蹴りで吹き飛ばしたのち、流派・東方不敗の技を披露した。
「行くぞ!酔舞!再現江湖!デッドリーウェイブ!」
シュウマは、酔拳のように舞い、全身に気力を発しながら、高速移動で飛び膝蹴りを放つ。飛び膝蹴りが鉄哲の腹部に直撃した。
「かはっ!?」
飛び膝蹴りをまともに喰らった鉄哲は、空気を吐きだし、壁に勢いよく衝突した。倒れたかと思ったが、警戒は怠らない。案の定、鉄哲は瓦礫の中からギラついた目で立ち上がった。その頑丈さに、個性を知っていながらも驚きを隠せない。
「この技を喰らっても立ち上がるとは、何たるタフネス」
「だはは!今のは効いたぜ。咄嗟に防いだが、体中が痛くてたまらねえ!」
鉄哲は、両拳をぶつけ、気合を入れ直す。その行動に、シュウマも構え直す。
「布槍!」
気力を纏った腰布を構え、布による打突を与える。腕を交差して、防御する鉄哲。布による連撃を与える中で、片手で鉢巻を巧みに動かし、捕縛へ移る。鉢巻が鉄哲の身体を縛り、脱出しないようにきつく拘束する。
「しまった!?」
「必っ殺!光輝唸掌!」
再び、気力を込めたシュウマが、鉄哲の懐へと入り込み、光り輝く掌打を放つ。腹部に二度目の攻撃を喰らった鉄哲は、その威力に意識が朦朧となる。
「もう…限界だ…」
鉄哲は、蓄積されたダメージに体が限界に達し、白目を剥いて気絶した。
〈鉄哲少年、OUT!〉
スピーカーからオールマイトの判定が響く。シュウマは鉄哲との戦闘に勝利した。
その音声を聞いた三人は、それぞれがシュウマの勝利に喜び、鉄哲の敗北から焦燥感に駆られる。
「マジか!鉄哲がやられた!?」
茨の蔓が、回原の身体を拘束し、逃がさないように締め付ける。鱗は、拘束状態の回原にテープを貼り付ける。これで、敵チームの捕縛が完了した。
〈回原少年、OUT!Aチーム、WIN!〉
戦闘終了のアナウンスが聞こえ、一回目の試合はAチームの勝利に終わった。
オールマイトは、AチームとDチームの講評に移る。その際、気絶していた鉄哲が目を覚まし、復活した。それを確認したオールマイトは、咳払いをし、講評を始めた。
「先ずは、Aチームへの講評だ。今戦のベストは、塩崎少女と黒須少年だ!」
「え?鱗も入れないんすか?」
塩崎とシュウマのみ、名が挙がったことに、泡瀬が尋ねる。それを見越していたオールマイトは、講評の続きを言い始める。
「鱗少年は、回原少年との戦いで良い印象に見えたが、防戦一方だったことがネックだね。だが、最後のコンビネーションは良かった。そこは見事だったよ!付け加えるなら、黒須少年は、シンプルな作戦で二人に指示を出した点は良かったし、足止めとして行動していたのはグッドだ。しかし、陽動という役割に気を取られすぎて、少し危うい場面があったね。塩崎少女も自身の役割をしっかりと果たし、捕縛を援護したのは評価点だ。ただし、捕縛行動に移る際に生じた隙は、敵に突かれる可能性がある。そこを改善すれば、さらにベストだ」
最初は、カンペを頼りに話す姿に、一抹の不安を感じていたが、ヒーローとしての経験に裏打ちされた鋭い観察眼に、全員が驚かされる。
「続いて、Dチームだが、鉄哲少年の場合、猪突猛進の癖は敵を恐れない長所でありつつも、短所である。冷静な判断も時には重要だぜ!回原少年もアウェイな状況の中で、粘りを見せていた。しかし、一人の対処に集中するあまり、片方への攻撃が疎かになっていた。周囲の状況を把握する力を鍛えることもヒーローを目指す為の大事な要素だ」
Dチームの講評を終えたオールマイトは、第二試合の準備を進めた。
「さて、第二試合はBチームとCチームだ!呼ばれたチームは、準備を始めてくれ!」
その後も、それぞれが初めての連携に戸惑いつつも、奮闘し、勝利と敗北を糧に、終了した。
夕日が沈み、ネオンが煌めく真夜中。 神野町の繁華街近くにあるバーには、社会の水面下に潜む悪意が集っていた。 顔中に手が生えた男が、手元の新聞に記載されたオールマイトの見出しを眺め、黒い靄をまとった男から差し出されたオレンジジュースを静かに飲んでいる。
「なあ、どう思う?平和の象徴が敵に殺されたら」
未熟ながらも、真に賢しい敵の恐怖が直に迫っていた。
同時刻、少し寂れた水族館の事務室には、五人の人間がある計画の為に、待機していた。
「明日、雄英高校を敵連合が襲撃する。俺たちも奴らの襲撃に加担する予定だ」
白衣姿に顔の半分が仮面に覆われている青年は、ソファーに座っているメンバーに向けて、明日の行動手順を説明する。
「天下の雄英で暴れられるたぁ!最高じゃねえか!」
「ん、私はただ掃除するのみ」
「んふふ、想像しただけでアタシの中のパトスが溢れそう」
「気持ち悪ぃ!体をくねくねさせんな!」
「そうだそうだ!オカマは黙ってろ!」
「ケヒヒ、早くボクのロボで破壊したい」
「博士、まだ早い」
熊のような風貌の男を筆頭に、事務室が一気に賑やかになる。オネエ口調の男は意味深な言葉を呟く。
それを二面四臂の青年の片面が不機嫌となり、もう片方の顔は、同調して非難する。ダブダブ白衣に眼鏡の男は、破壊工作命令を待ちわびていた。
「お前等、少し静かにしろ」
「あら、キュレーターちゃん」
キュレーターと呼ばれた男は、呆れた表情で場を収める。彼の登場に、全員がソファーから立ち上がる。
「我等、ワイルド・ヴィランズは、敵連合と共にヒーロー社会へ宣戦布告する!」
リーダーの宣言に、その場にいた全員が、大きく頷いた。
キュレーターは、雲に隠れた月を眺め、明日の襲撃に笑みを隠さなかった。
ワイルド・ヴィランズは、ヒロアカのデータカードダスに登場した原作オリジナル敵です。
ちなみに、二面四臂の青年、オカマ、眼鏡博士は、筆者オリジナルです。
サブヒロイン
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ミルコ
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拳藤一佳
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柳レイ子
-
取蔭切奈
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塩崎茨
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全員