東方不敗の孫は守りたい   作:ヴィルヘルム星の大魔王

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一週間ぶりですね。お待たせいたしました。
どうぞ


六拳 悪意の襲撃

 社会の水面下で、巨悪の手先が決起を図っていた昨夜。そんなことも露知らずに、ヒーローへの道を目指すヒーロー科の卵たちは今日も授業に勤しむ。

 昨日の戦闘訓練もあって、お互いの個性について認識を深めたことで、コミュニケーションの輪が広がっていた。

 朝礼の時間には、ブラドキングが戦闘訓練について言及した。

 「戦闘訓練、ご苦労だった。お前たちの訓練をしっかりと見させて貰ったぞ。負けた者は仕方がない。誰もが最初はひよっこだ。誰しもが失敗を積み重ねて、一人前となっていく。焦ることはないぞ!俺がお前達の背中を後押しするからな!」

 「ブ、ブラド先生!」

 鉄哲は感激のあまり涙を流し、周囲は思わず苦笑した。焦りを感じていた生徒たちも、先生の言葉に心を落ち着かせた。

 

 「今日もヒーロー基礎学があるが、前回の反省を糧に、元気よく励んでほしい!

一限の授業は現代文だ。早めに準備を済ませておくように!」

 『はい、ありがとうございました!』

 現代文の授業が始まった。雄英高校一年生の現代文担当は、セメントスだった。

 「この作品は、メロスとセリヌンティウスの絆の尊さ、王様の心象の変化、人に対する信頼、口にした責任の重さを説いている」

 黒板に、白チョークで文字を書きながら、要点を書き連ねている。カリカリとチョークが黒板に擦れる度に、全員が集中する。あっという間に、終了のチャイムが鳴った。

 

 「おっと、もうチャイムが鳴ったか。今日はここまで」

 『ありがとうございました!』

 その後も、二限の数学、三限の英語、四限の日本史を乗り越え、ヒーロー科の特別講義が行われる。五限目の時間、ブラドキングが教壇に立ち、シュウマ達に説明を行っていた。

 「今日のヒーロー基礎学は、少し意向を変える。その名も、救助訓練だ!」

 ブラドキングは、大きな文字で『救助訓練』と黒板に記す。前回とは、違った演習内容に、鉄哲をはじめ、体を疼かせる。

 「ヒーローは、時として、災害発生時に自衛隊と協同し、人命救助や避難誘導を行う。その為、雄英には、様々な災害を想定した演習場が設置されている。お前達は、市街地αに集合し、そこからバスで救助訓練用の演習場へ向かう」

 コスチュームに着替えたB組一同は、指定された演習場の市街地αに集合する。

 そこには、引率として、ブラドキングが居た。彼は、全員の前に立ち、訓練の内容を説明する。

 「今から、目的地へとバスで向かう。自由席だから気にしなくていい。では、バスに近い者から乗ってくれ…む!」

 「何だ?悪意が近づいてくる」

 ブラドキングは、後方から感じた気配を感じ取り、咄嗟に後ろを振り向いた。シュウマも脳内にピキーンと迫りくる気配に感応し、警戒を強める。ブラドキングは、遠方から見える人影に声を荒げた。

 「敵だ!B組全員に告ぐ!これは訓練ではない!敵の襲撃だ!」

 「て、敵だって!?なんで雄英に」

 「ガチの敵!?訓練じゃないのかよ!」

 ブラドキングは、最悪の事態を想定し、戸惑いながらも、プロヒーローとして、大人として、庇うように生徒の前へ立つ。

 「さあ、襲撃の時間だ」

 最奥にいる男の合図で、敵たちは進攻を開始する。咄嗟に反応したブラドキングは、操血で籠手に血液を溜め、繊維状の血液を放出する。血液が、敵に絡み付いた瞬間、彼は力を込め、凝血させる。それにより、体の自由を奪われた敵たちは、一気に捕縛された。

 「ち、畜生!動かねえ!」

 「血液を固める個性かよ!」

 敵の制圧が完了したブラドキングは、親玉と見做される白衣姿の仮面男へと突撃する。そして、右腕を前に突き出し、血液を射出する。しかし、彼の目の前に、巨大な影が壁として現れた。

 

 「キュレーターちゃんに触れさせないわよん!」

 捕縛用の血液が大柄な男の腕に絡みつき、失敗に終わる。ブラドキングは、新たな敵の登場に身構える。突然、現れた男を一瞥し、敵の正体に声を荒げる。

 

 「貴様は、連続指名手配のミスター・ドエムン!」

 「やだぁ、アタシったら有名人?」

 ミスター・ドエムンと呼ばれた男は、頬を赤く染め、体をくねくねと動かす。シリアスな雰囲気を出すブラドキングと気持ち悪い動きを披露する敵の温度差に、シュウマは寒気を感じた。敵名を聞いた物間は、驚愕を隠せなかった。

 「ミスター・ドエムンだって!?」

 「ドエム…変な名前だな」

シュウマは、オカマ風な敵の名前に、首を傾げる。物間は、ギョッとした顔で説明を始めた。

 「ニュースを見ていないのかい!?男子小中学生への性的暴行・婦女殺害・銀行強盗致死で指名手配されている凶悪犯罪者だ!」

 ミスター・ドエムンは、ポケットからメリケンサックを取り出し、指に嵌め込む。そして、嬉々とした表情でブラドキングへ襲い掛かる。

 「さあ、私と熱いバトルを楽しみましょう!」

 「貴様らの好きにさせるか!速やかに退治する!」

 ドエムンの拳とブラドキングの拳がぶつかり合い、衝撃波で土煙が舞う。

 「ブラド先生!」

 「B組全員に告ぐ!プロヒーロー・ブラドキングの名において、臨時の戦闘を許可する!ぐぅう!?」

 「おほほ、蟻の子一匹も逃がさないわよ!」

 

ブラドキングは、腕を取っ組み合いながら、『敵襲撃』という非常事態に対し、戦闘許可の発令を行う。それを聞いたシュウマ達は、彼の指揮に戸惑いを見せた。無理もない、彼らは、入学してから一か月にも満たない雛鳥たちだ。しかし、敵襲撃という非常事態。抵抗しなければ殺される。その恐怖に足が竦む者もいた。

その様子を見たキュレーターは、インカムでもう一つの演習場にいる人物にある命令を出した。

「黒霧、俺だ。目の前には、B組の餓鬼共がいる。こいつらを一網打尽にするから、ワープゲートを発動しろ」

彼の言葉を合図に、シュウマ達の足元から黒い靄が発生する。それに気付いた生徒たちは、脱出しようとするも、足が動かない。黒い靄から運良く逃れた一部のクラスメイトは、仲間の手を掴んで引き離そうにも、黒い霧の吸引力が強く、びくともしない。

 「生徒を分散させ、嬲り殺せ」

 無慈悲にも、靄が拡大し、シュウマ達を包み込む。

 「唯!」

 

 シュウマは、唯の名を叫びながら手を伸ばした。だが、指先は虚空を掠めるだけだった。そして、倒壊エリアのビル群へと転移させられたシュウマは、腰布を信号機に巻き付け、何とか着地する。近くでは、一佳と取蔭が仲間を探していた。シュウマは、二人に大声で存在を知らせる。

 「拳藤!取蔭!大丈夫か!」

 「アタシは…何とか」

 「私も特に怪我は無い」

 一先ず、二人と合流できたことに安堵したシュウマだった。その時、聴き馴染みの無い声が聞こえた。

 「おーおー、見つけたぜ。女二人に男が一人だ」

 崩壊状態の小ビルの角や路地裏から、十五人相当の敵が現れる。お世辞にも、堅気には見えないアウトローな風貌の連中だった。

 「女は生かして、男は殺そうぜ」

 「ぐへへ、今時のガキは発育が良いな」

 「俺、サイドテールの娘がいいな」

 「じゃあ、俺は覆面娘の方だな」

 敵たちは、一佳と取蔭に対し、下卑た視線を向ける。

 「賊共め、反吐が出るわ」

 「き、気持ち悪い!」

 「最っ低!」

 シュウマは、脳と下半身が直結したような発言に、怒りを抑えきれずにいた。

 一佳と取蔭も下卑た視線に不快感を覚え、腕で体を隠した。

 「拳藤、取蔭。とりあえず、この場を乗り切るしかないな」

 「そうだな、ブラド先生から戦闘許可を貰った。やるしかない」

 「ちゃっちゃと倒して、皆の所へ戻らないとじゃん!」

 

 三人の言葉を聞いた敵の一人が、額に青筋を浮かべる。

 「舐めた口聞いてんじゃねえぞ!餓鬼が!」

 キレた一人の敵が、十本の指先から泥の弾丸を射出する。それに続いて、両腕を機関銃へと変化させた敵も攻撃に加わる。シュウマは、彼らの攻撃に対し、腰布を螺旋のように描く事で攻撃を捌く。そして、気力を込め、右手を前に突き出し、大きな円を描きながら、梵字を出現させた。

 「十二方王牌大車併!」

 円陣から〈十・二・方・王・牌・大・車〉の七文字が浮かび上がる。直後、梵字がシュウマの分身体へと変化し、シュウマの突きに合わせて、螺旋を描きながら突撃する。

シュウマの技に、敵は困惑した。個性とは違う頓珍漢な現象に攻撃の手が止まった。

 

 「帰山笑紅塵!」

 シュウマは、『帰山笑紅塵』を発動させ、気力を自身の身体へと還元する。これにより、気力の消耗は抑えられ、ほっと息をついた。だが次の瞬間、足元にひびが走り、地面が音を立てて崩れ始めた。シュウマは、地面を見ると、地中から人影が飛び出てきた。

 「貰ったぁ!」

 その原因は、モグラ型の個性を持つ敵の仕業だった。シュウマは、跳躍で爪の突き上げ攻撃を躱し、両手の拳を上下に構え、双拳突きをお見舞いする。ドゴンッ!と衝突音が鳴った。さながらモグラ叩きのようだった。

 「ぐえっ!」

 頭部を強打したモグラ敵は、再び地面に押し出された。

 シュウマは、体を前方半回転させ、地面に着地する。

 そして、迫りくる敵の攻撃をいなし、衝撃波で吹き飛ばしながら、周囲の戦闘状況を確認した。シュウマは、一佳の方を見る。

 「てりゃあ!」

 一佳は、攻撃を受ける前に、大拳の掌底を当て、異形型の敵を一撃で倒す。一佳の奮闘に感服したシュウマは、敵集団を壊滅させるべく、拳に込めた気力を炎へと変化させた。

 「草薙流・大蛇薙!」

 シュウマは、腕を大きく振るい、草薙流における全体攻撃の技『大蛇薙』による焔で牽制する。

 高火力の炎熱攻撃を味わった敵達は、軽い火傷状態となり、気絶した。襲い掛かる敵を鎮圧したシュウマ達は、安堵する。

 すると、どこからか、拍手が聴こえてきた。

 「いや〜、流石は雄英生。戦闘能力が高くて良いね。データ収集のやりがいがあるよ」

 三人の前に現れたのは、白衣姿にメガネをかけた猫背気味の男だった。男は、メガネのズレを直しながら、自己紹介を始めた。

 「ボクは、ワイルド・ヴィランズの一人、カラク。残念ながら、君たちには、ボクの実験に付き合ってもらうよ」

 「今から始まるのは、単なる襲撃ではない!ボクによる!ボクの為の!最高のパレードさ!出でよ、デスアーミー!」

 カラクが手を上げると、周囲の空間が湾曲し、体長十二尺のロボット兵の大群が押し寄せてきた。そのロボットたちは、様々なエリアに飛ばされたB組の元へと飛来し、攻撃を開始した。

 

 「何じゃこりゃあ!」

 「ロボット兵!?」

 鉄哲と物間は、殺意全開のロボット兵に驚きながら、退避する。

 「さて、お手並み拝見だ。精々、無様に足搔くがいい」

 翼型の飛行型ユニットを搭載した空戦型のデスバーディに乗り込んだカラクは、上空から戦闘を観察する為、その場から逃げた。シュウマ達は、迫りくるデスアーミーに対処すべく、戦闘態勢に入る。

 その頃、演習場Fの各地に分散させられたB組の仲間たちは、そこにいた雑魚敵を倒し、迫りくるデスアーミーに対処したものの、次の刺客が立ちはだかる。

 宍田は、泡瀬・庄田・小森と共に、熊男のベアヘッドと対峙していた。ベアヘッドは、小森に狙いを定め、地面を抉る程の脚力で襲い掛かる。狙いを察した宍田は、速やかに駆けだした。

 「(このままでは、小森氏が危ない!)私の仲間に手出しはさせませんぞぉぉ!」

 ビースト化した宍田は、ベアヘッドに右腕を振り降ろす。しかし、ベアヘッドは、余裕の笑みを浮かべ、右手で宍田の腕を掴んだ。宍田は、いとも簡単に防がれたことに対し、驚愕を露わにする。

 「何ですと!?」

 「俺と同じ獣型の個性か。悪くないな。だが、腕力が甘い!」

 「そうはさせないぞ!」

 

 傍で様子を図っていた庄田は、宍田の腕を掴んでいるベアヘッドの隙を突き、彼の上半身に打撃を叩きこむ。ベアヘッドは、その威力に歯がゆさを感じ、左手でボサボサ髪を掻いた。

 「へっ、おデブちゃん。そんな軽いパンチだと痒くて、体がムズムズするぜ」

 「それは…どうかな?ツインインパクト!解放(ファイア)!」

 ベアヘッドの余裕の笑みに対し、庄田が呟いた瞬間、ベアヘッドの体中に凄まじい衝撃が響き渡る。ベアヘッドは、衝撃の影響でたたらを踏む。そして、獰猛な笑みを浮かべた。

 「デブじゃない。人は動ける恵体と僕を呼ぶ!」

 「流石は、天下の雄英生だ!簡単にくたばんなよ!俺のターンだ!」

 その頃、飲食店エリアに転移させられた骨抜は、冷静に目の前の状況を整理した。周囲には、鉄哲・鎌切・黒色がいる。彼らの前には、下半身に二つの上半身の双顔の青年がいた。右の顔は両手に青龍刀。左顔は、両手に両斧を構え、瓦礫の上に鎮座していた。青年は、瓦礫の上から飛び降り、悠々不敵な笑みを浮かべ、舌なめずりをする。

 「俺たちは、ラッシュアウト」

 「体は二つだが、一心同体」

 『さあ、死合いを始めようじゃないか!』

 青年-ラッシュアウトは、息を合わせて、宣戦布告を告げる。二つの口からは、それぞれ雷と風が放出されていた。空気に伝播する殺気に、鉄哲達は震える体を無理やり抑える。

 「…これはまた、厄介な相手だね」

 「さっさとぶっ潰して、皆と合流すんぞ!」

 「くくく、闇に溺れるがいい」

 「誰であろうが、切り刻むのみ!」

 鉄哲を筆頭に、全員の戦意が高まっていた。ラッシュアウトは、四人から感じる気迫に嗤う。

 「中々の気迫だ。退屈せずには済みそうだ」

 「そうだな、楽しみだ」

 

 

 一方、住宅地エリアでは、激しい戦闘の跡が見られる。周囲の汚れが異様な美しさを放っていた。下手人である女は、清掃員のような恰好で、能面の様に無表情だった。

 「只今より、掃除を開始する」

 ワイルド・ヴィランズの紅一点ズーキーパーが、唯・レイ子・茨の前に立ちはだかる。彼女は、武器のステッキブラシを構え、攻撃に備えていた。

 「はぁ、ウラメシイ」

 「ん、急ごう」

 「捕縛するのが手っ取り早いですね」

 「逃がさない」

 茨の蔓による攻撃を合図に戦闘が開始する。女だけのバトルが火蓋を切って落とされた。唯は、傍に有った石を巨大化させ、レイ子がポルターガイストでぶつける。ズーキーパーは、冷静にブラシの先端で石を擦り、跡形もなく消してしまった。

 その頃、市街地αの広場では、ブラドキングがミスター・ドエムンの攻撃に押し込まれていた。

 「ブラド先生!」

 「やべえよ!ブラド先生がピンチだぞ!」

 「ブラドティーチャー!」

 回原と円場は、ブラドキングの劣勢に悲鳴を上げる。ポニーは、涙目になり、手で口を押さえている。

 

 ワイルド・ヴィランズの親玉であるキュレーターは、ブラドキングとミスター・ドエムンの戦いに対し、傍観の姿勢に徹していた。ある程度の攻撃を捌きながら、ブラドキングは語気を強めて、彼に問いかける。

 「貴様らの目的は、なんだ!もしや、雄英バリアの破壊も貴様らが関与しているのか!」

 ブラドキングの発言を聞いたキュレーターは、腹を抱えて笑いを噛み殺す。

 「くくく、半分正解で半分不正解だ。ブラドキング」

 「なにっ!?」

 キュレーターは、ドッキリが成功した子供の様に、満面の笑みを見せつけた。

 「俺たち以外にも雄英を襲撃している奴らがいる。ワイルド・ヴィランズは囮だよ」

 主犯格が別行動で襲撃中。そして、B組への襲撃が囮作戦だということに、ブラドキングを含めた全員が驚愕する。

 同時刻、シュウマ達は、デスアーミーの破壊に苦戦を強いられていた。

 四足歩行型のデスビーストの砲撃やデスアーミーの金棒による鈍器攻撃を避け、破壊するといった一撃離脱の戦法で凌いでいた。

 取蔭は、体を分裂させ、デスアーミーの同士討ちを狙い、体力を温存させている。

 拳藤は、大拳で叩き潰し、薙ぎ払うなどの攻撃を繰り返す。次第に、彼女の体力が徐々に消耗し、疲労が溜まっていく。

 「っく!倒せど倒せど、キリが無い!」

 シュウマも、腰布で敵を切断し、足刀による薙ぎ払う。だが、倒しても倒しても、まるでゾンビの様に次から次へと現れる敵に、焦燥が募っていく。シュウマは、危機的状況を脱却するべく、奥義を開放した。

「このままでは、ジリ貧で共倒れになる。そうなる前に奴らを一掃するしか道はない。ならば、流派・東方不敗奥義!超級!覇王!電影弾!」

 シュウマは、個性把握テストで見せた超級覇王電影弾を再び披露する。そして、近くにいた拳藤に連携を要請した。

「拳藤!大拳で俺を押し出せ!そうすれば、威力と速度が上がる!」

「信じていいんだな?」

「ああ、流派・東方不敗に不可能はない!」

 彼の言葉を信じた一佳は、彼の後ろに移動し、両手で押し出すように前へ突き出す。

その動きに呼応したシュウマは、デスアーミーの軍勢へと突撃する。

「はぁぁぁぁ!」

 二百体以上のデスアーミーが、超級覇王電影弾のエネルギーに巻き込まれ、連鎖的な爆発を始めた。カラクは、何事かと望遠鏡で様子を眺める。そして、目に見えた光景に顎が外れた。

「な、何事だあー!?」

「爆発!」

 シュウマは、空中で姿勢を決めた。その直後、デスアーミーの大群が巨大な爆発を引き起こし、簡単に一掃された。自慢のデスアーミーが全滅したことに、カラクは地団太を踏む。

「あ、ありえない!ボクのデスアーミーたちが!夢だ!ボクはいつの間にか夢を見ていたんだ!」

「ところがどっこい、現実だよ!」

 カラクは、声が聞こえた後ろに振り向く。そこには、生首が浮かんでいた。

その正体は、取蔭だった。

 「く、首!?」

 取蔭の個性を知らないカラクは、浮遊する首に気を取られた。

「さっきのお返し!」

 カラクの背後に回った取蔭の身体は、自身の限界まで分裂を繰り返し、集中攻撃を開始する。攻撃を受けたカラクは、体勢を崩して落下するも、瞬時に召喚したデビルアーミーに受け止められ、難を逃れた。

 

 その下で、シュウマと一佳は作戦を練っていた。シュウマが跳躍すれば、事足りるが、ビルからビルへの飛び移りでは、バレる可能性が高い。

 シュウマから作戦を聞いた一佳は、即座に行動へと移した。その横で、シュウマは、拳に気力を集中させ、球状に溜めていた。拳に収束した気力が、青白い気弾となって輝く。  

 一佳は、腕を伸ばし、手を組む。シュウマは、彼女の大拳を踏み台として、足に乗せた。彼女は、渾身の力で腕を振り上げる。

 「いっけーーー!」

 その勢いに乗ったシュウマは、カラクがいる高さまで跳躍する。掌で限界まで溜めた気弾の影響により、雷のようなエネルギーが空気中に迸る。取蔭の避難した事を確認した 

 シュウマは、目視でカラクに狙いを定める。シュウマの行動に気付いたカラクは、前方に二体のデスアーミーを配置し、盾として構えた。しかし、彼の目論見は失敗に終わる。

 「デ、デスアーミー!ボクの盾となれ!」

 「ハァァァァ!上空・波動拳ッ!」

 シュウマは、両掌を突き出し、巨大な気弾を放出した。波動拳の気弾は、デスアーミーの装甲を軽々しく貫き通した。波動拳が眼前に迫ったカラクは、計算外の威力に呆けた顔を浮かべた。

 「へっ?」

 カラクに炸裂した瞬間、気弾が閃光と共に弾ける。カラクは真っ黒焦げとなり、デスバーディと共に墜落する。

シュウマは、華麗に三点着地を決める。

 「二人のお陰で、攻撃することが出来た。かたじけない」

 「ナイス連携だったね!」

 「よし、皆の元へ急ごう!」

 シュウマ達は、ブラドキングの元へと急いだ。この戦いで、また一つ、コンビネーションを開花させた三人だった。

「ん?この通知音は」

 キュレーターは、タブレット端末からの通知音を聞き、画面を開く。

 端末に記載された画面には、カラクの敗北を示すバツ印が付いていた。

 彼は、カラクが敗れたことに呆れた表情を見せる。

 「カラクがやられたのか。まぁ、想定内だ」

 冷静に状況を俯瞰する彼の手元には、小さな端末が握り締められている。

 その端末には、シュウマ達を絶望へと追い込む凶悪兵器が仕込まれていた。

 

 




 殆ど、オリジナル回に近いので、難産でした笑
 勉強を兼ねて、ワイルド・ヴィランズの元ネタである逢魔が時動物園を読んでみたいと思います!ズーキーパーちゃん可愛い!キュレーターは、ミステリアスな感じが好きですね。

サブヒロイン

  • ミルコ
  • 拳藤一佳
  • 柳レイ子
  • 取蔭切奈
  • 塩崎茨
  • 全員
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