「花柱様、ここは俺が何とかします。だから…アイツらに、代わりに謝っといてくれませんか?…自分勝手で済まない、と」
「比企谷…君…」
報告書 花柱胡蝶カナエ
東北の村での任務に当たっていた所、上弦の参と遭遇。戦闘に入るが、力及ばず重症。駆けつけた隠1人を連れ、上弦の参は撤退。その後の行方は掴めず。
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「ほう、猗窩座はとんだ大物を連れてきたようだ。それにしても、貴様がこちら側に来るとは思ってもみなかったぞ」
「…」
「鬼殺隊、隠柱比企谷八幡よ」
…俺だって来たくて来た訳じゃねぇよ。だが、あの時胡蝶さんを守るには、これ以外に方法が分からなかった。
「…それで俺をここに連れてきてどうしようってんだ?鬼殺隊の情報とかなら知らねぇぞ。なんせ俺はぼっちなんでな」
何だろう、自分で言ってても悲しくなってくるや…
「そんなものに興味などない。貴様には、私の血を与えるだけだ」
鬼舞辻無惨、奴と遭遇した柱は今までにいなかったがまさか俺が一番乗りとはな…
「血だ?そんなもん与えてどうするってんだ。そんなもん貰って喜ぶのはお前の配下の…鬼…だけ…」
そこで俺は思いついてしまった。鬼に与えれば絶大な力を得る鬼舞辻の血、それを人間に与えればどうなるのか。もしも、それで後天的に鬼を作り出せるとしたら…
「…やはり貴様は聡いな、私の敵のままならば大きな脅威となったろう。だが…もう遅い」
最後に見えたのは、俺の胸を貫通する鬼舞辻の腕だった。
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「キンキュウ!キンキュウ!ハシラハゼンインタダチニホンブニモドレ!ハシラハゼンインタダチニホンブニモドレ!」
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「よもやよもやだ、まさか緊急柱合会議とは!」
「うるさいぞ煉獄、お館様ももうすぐいらっしゃるんだ。もう少し静かにしていろ」
「もう少し早めに言ってくれればもっと派手に参上したってのによ」
「…」
「胡蝶がまだ来てねぇが、遅刻かぁ?」
「胡蝶がいないのか、確かに珍しいな。何もなければ良いのだが」
産屋敷邸に柱が勢ぞろいしている。本来ならば、柱合会議とは余程のことが無ければ開かれはしない。そして更には花柱・胡蝶カナエの姿がないことも相まって、その場は混沌としていた。
「みんな急に呼び出したりして悪かったね。ちょっと大きな問題が発生してしまってね」
産屋敷輝哉と妻のあまねが連れ立って顔を出した。瞬間、混沌としていた柱たちは一斉に頭をたれ、静まり返る。
「お館様に置かれましてはご壮健で何よりです。益々のご多幸を切にお祈り申し上げます」
「うん、ありがとうね。実弥。それで今回みんなを呼んだ理由だが…」
「今ここには来ていないカナエにも関係しているんだ」
「「!?」」
「事は先日、カナエに東北の村に任務で出てもらった時に起きた。彼女はそこで、上弦の参に遭遇した」
「「なっ!?」」
「戦闘になり、カナエは重傷を負った。だが一人の隠が犠牲となり、上弦の参はその隠を連れその場を引いた」
「ここでみんなに聞いておきたいのだが、みんなはもう一人の柱について聞いたことがあるかな?」
お館様が思わぬ発言をした。もう一人の柱?ここにいない花柱以外?それとも次の柱という意味なのか?
「お館様、それは次の柱を決めるということですか?それとも、俺たちが知らないだけで柱はもう一人居たと?」
「実弥の言う通りだ。みんなが知らなかっただけで柱はもう一人存在していた。もっとも、彼の場合は強さによる任命ではなかったけどね」
「それではお館様!そのもう一人の柱の名前とはなんでしょうか!」
ここで輝哉はふぅと一息つくと、その名を口に出した。
「彼の名前は、隠柱かくしばしら・比企谷八幡。今回の上弦の参との戦闘で犠牲になった隠の名だ」
「失礼ですがお館様、その隠柱ってのはどんな奴なんですか?先程強さで選んだわけではないとおっしゃりましたが」
「もっともな意見だね、天元。もともと八幡はただの隠だったんだ。だが、隠の人数が増えるにつれ統率が難しくなると考えて彼に声を掛けたんだ。そうして隠の総統括者としての隠柱が生まれた」
「なるほど、ですがお館様。たしかに柱が居なくなったのは痛手と思いますが、それで柱が全員呼ばれるには理由として小さすぎると思います」
「うん、小芭内。確かにこれだけだったなら、みんなを揃える必要はなかった。でも、ここからが問題なんだ」
「…その問題とは?」
「鬼舞辻は…彼を鬼にするつもりだ」
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「…本当によろしかったのですか?…無惨様」
「黒死牟か、何が言いたい」
柱の陰に座っていた上弦の壱・黒死牟が、些か疑問に感じ問いかける。
「不躾ながら…無惨様が仰るほどの実力をこの人間が持っているとは…感じません。猗窩座が連れてきたとはいえ…期待通りとは行かないと思いますが…」
見据えるは胸を貫かれ、血溜まりに沈む元柱の人間。並み居る強者達の様な強い気配は感じることが出来ない。
「それもそのはずだ。此奴は単純な実力で柱となった訳では無い。実力で言えば下弦にすら劣るだろう。だが、此奴が優れていたのはその隠密力だ」
特段実力がある者を鬼に、という訳では無いと無惨は締めくくった。
「隠密力…ですか…」
「なぁ〜るほど、そういう類いの強さって訳ですね」
「童磨…来ていたのか…」
現れたのは上弦の弐・童磨、その張り付けたようなニヤニヤ顔がまた腹立たしい。…口には出さないが
「隠密力に秀でた者が行き着く最終点…それが…」
「闇討ち…て訳だね」
「…なるほど…それなら強者の気配を感じないのも…合点がいく」
「此奴がどこまで伸びるかは分からぬが、下弦以上の実力は持つだろう」
そうしてまだ目覚めぬ、その男を見下ろす。
身体は既に鬼の肉体へと変貌を遂げている。胸の穴は閉じ、肌も血色が引いて白に程近い色へと変わっていく。
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夢を見た。
傷付いた仲間の手当てをして、汚れた現場の掃除をして、心に傷を負った遺族へ謝罪を述べる。
いつもと同じ…だったはずの光景
それが、紙が焼けていく様に消えていく…
大事な物だったはず…かけがえのないものだったはずなのに…
一つ一つ…消えて…消えて…また消えて…塵へと変わっていく。
「……ここ…は」
目を開けると知らない景色だった。
まるで迷路。和室が幾つも連なっている様で、そのどれもが繋がっていない。
「目が覚めたか」
突如、背後から声が聞こえると同時に俺は飛び退いた。
本能が全力で泣き叫んでいる。この場から逃げろ!さもなくば死ぬぞ!と
冷や汗が止まらない。誰かは知らないが・・・・・・・・、俺如きが敵う相手ではない。
「貴様は鬼として生まれ変わった。まずは貴様に名をやろう」
「そうだな…貴様はこれより孤影こえいを名乗るが良い」
「孤影…俺の名…」
何故だろう…鬼、という聞き慣れぬ単語を聞いたというのに…どこかで聞いた事のある様な自然さを感じる。
「来い、これより上弦の招集だ」
そう言って白いすーつ?と言う洋服に身を包んだ男は襖の先に消えていった。
ここに居ても何も分からず、今はとにかく分かっている手掛かりの後を追うしか無かった。
「…え…?」
飛び込んだ先は、先程と似た様な和室ではなかった。数十人程が入りそうな大広間。その上座には先程の男が座っており、その前には四人の男と何故か壺?が正座していた。
「何をしている。早く座れ」
「は、はぁ…」
促され思わず返事をしたが、どこに座れば良いんだ?
「…こっちに座りなよ」
「あ、ありがとうございます」
長い金髪の人が助け舟を出してくれた。助かったが…なんだ?やけに視線を感じる。
「それでは早速ではあるが、最近の下弦の働きが悪い。下弦は折を見て解散としようと思うが…お前達はどう思う」
まるで壮大な滝に打たれている様な威圧。重くのしかかる様なプレッシャーに、思わず息が詰まってしまう。
「無惨様…幾ら鬼になったとはいえ…なりたての者にはその威圧は毒となると思われます…」
「まぁいい…それで黒死牟、お前はどう思う」
目が六つの男、黒死牟と呼ばれた男の発言で多少重圧は和らいだが、それでも俺の本能が警鐘を鳴らすには十分だった。
「…下弦になったからと…鍛錬を怠る者に…情けは無用かと…」
「ふむ、他の者は」
「異議なし」
「俺も異議な〜し」
「異議などありません」
「弱いものに興味などありません」
「異議などある筈がありません…ヒョヒョッ」
!?ビックリした!壺の中から肌の白い男?が出てきた。
「そしてもう一つ、下弦を廃止する代わりに、上弦の数を増やす。そこで仮に上弦の漆として、そこの孤影を入れる」
その発言に、一斉に視線が俺を向く。
やめて!そんなに見られたら緊張しちゃう!
「…その孤影とやらは、実力は確かなのでしょうか?」
「あぁ、問題ない」
「少々手合わせさせて頂いても宜しいでしょうか。俺は、強き者にしか興味は無いので」
顔に線のような刺青の入った男が告げる。
え?手合わせ?誰と誰が?
「良かろう。好きにするがいい」
そう言うと、他の男達は離れていき、さっきの男と俺だけになった。
「これは貴様の刀だろう。孤影」
足元の刀をこちらに投げ、構えをとる。
拒否権は無いようだ…
「…」
それにしても…俺の刀…?…思い出せないが…手に持った感じがしっくりくる…嘘では無いようだ。
「それでは行くぞ、上弦の参・猗窩座あかざ、参る!」
畳を踏み抜き猛進してくる。だが…不思議と焦りは感じなかった。
その手合わせを見ていた上弦は驚愕した。
孤影が全集中の呼吸を無意識に始めた瞬間に、孤影の姿を見失いかけたからだ。
(へぇー!面白い子だなぁ♪︎)
(…隠密力が高いとは聞いていたが…これ程とは…)
流れる様に左足を引きつつ刀の鍔へ手を掛け、鯉口を切る。
そして咄嗟に口が動く。
「…影の呼吸 参の型 影狼かげろう」
一瞬だけ呼吸を止め、存在感を残す。そして瞬時に継続させ、再度存在感を掠めさせ回避する。
存在感を見失っている猗窩座は、残された影に拳を放つが当たるはずも無く、気付けば背後を取られていた。
首元に伸びる死の気配。死神の鎌。それは…
(斬られ
…)
上弦の参をして死の恐怖を感じさせた。
「そこまで」
寸前で止められたその刃は、寸分違わず猗窩座の首に狙いを定めていた。
「十分だ。そうだろう?猗窩座」
「は、はい…無惨様」
猗窩座は項垂れる。油断はあったが慢心していた訳ではない。当たったはずの拳がすり抜け、気付けば背後を取られていた。
(これが…元鬼殺隊…隠柱…!)
鬼殺隊・(元)隠柱 比企谷八幡 (影の呼吸)
柱と言っても肩書きのみであって、実際には隠部隊の総統括者的存在。ちなみに誰にでも丁寧な言葉遣いと的確な指示で部下からの信頼は厚い。(前者はコミュ障なだけ)
一応日輪刀は持っているが、独自の呼吸を使う以外の実力は一般隊員と同程度。
影の呼吸:常に目立たないよう暮らしてきた八幡だからこそあみだした呼吸。筋力などの上昇は少ないが、気配を断つことに長けている。
血鬼術:???
交友関係
部下の隠<<<<八幡自身が嫌われない為に指示等の他にアフターケアまで万全な事から、最高の上司と崇められる。(尚、本人は気づいていない)
他の柱<<<<何故か自ら関わってくる花柱以外とは、極力顔を合わせていない。合わせたとしても気付かれていない。
一般隊員<<<<現場等で偶に顔は合わせるが、隠の1人としか認識していない。