その電子の海に住まうのは……   作:睦月透火

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電子生命体関連ものを描いてみました。
またしてもガンダムですがw

まだまだ拙い私ですが、お気に入り増えたら良いなぁ……



Act.1

 この世界に『私』という意識が形成されて、どれくらい経っただろうか……

 

 ココはいつも活気に満ちている。

 

 街中を歩けば至る所にある画面に流されている戦闘シーン……そのどれもが、激しくも熱量の高いバトルを繰り広げていた。

 

 道行く人に尋ね、私はこの世界の事を知った。

 

 この世界は“GBN”……Gunpra Battle Nexus-online(ガンプラバトルネクサスオンライン)と言うらしい。

 横文字だし長いから、皆も略された“GBN”って呼んでいるんだとか……なるほどそれなら呼びやすいね。

 

 私は、この世界がどんなモノなのかをよく知らない……

 

 だから道行く人に尋ね、勧められたモノを観て回り、情報を閲覧し……様々な事柄を頭に入れ、記憶していく。

 

 そして数々の疑問の答えを得た私は……

 

──────────

 

「う~ん……このパラメーターは上げたいけど、コッチが下がるのかぁ」

 

 何となくだったが、モニターで見たあの“バトル”を自分でも体験したい。そう思い、まずは必要なモノを揃える事にした。

 

 何でも、バトルするには己の搭乗機……いわゆる「ガンプラ」が必要との事……聞いた人の誰もが「“自作”か“既製品”を組み立てて読み込ませた」と言っていた。

 

 私も“自作”をしたかったのだが、私はこの世界で生まれたので元々肉体を持たない(と思う)し、早々に諦めた……その代わり、レンタル出来る機体のデータを自分にコピーし、そのパラメーターと外見を弄る事で擬似的な自作……という事にしよう。

 

 データの違法コピーは犯罪(ネットの利用法を聞いてからちゃんと予習した)だけど、今の所他に自分の機体を持つ方法は無いし、バレないようにセキュリティの裏を掻きつつアクセスやら何やら自分の痕跡を(意識したら出来たんで)消して回り、世界の端っこに間借りしてジックリ時間を掛けて取り組む事にした。

 

 それから暫くして……

 

(……おっと、そろそろ休憩を取らないと)

 

 頭が煮えないよう、適度に休憩を取る……この世界には様々なフィールドがあり、私は弄っていたガンプラのデータを記録させてレンタル機体のデータを読み出し、バトルフィールドへと降り立つ。

 

 いつもは気晴らしに他人のバトルを遠くから見るのだが、今日は何故か気分が乗らず、初心者向けのフィールド内にある非戦闘地域に赴く。

 

 ココには綺麗な花が何種類も咲いていて、木々や小川もあり、ちょっとしたキャンプみたいな事も出来そうな空間だ。

 

 大きな木の側にある拓けた場所に機体を駐機させ、私は花の中へ寝そべって目を瞑り深呼吸する……

 

(この世界の事は大体覚えた。ネット上の仮想世界……ね)

 

 自分の感覚では、現実と何ら変わらないのに……コレは全て誰かが創り上げた世界。

 

 自然も気分が萎えてしまう事に気付き、私は頭を振って嫌な考えを忘れようとする……そんな時、ふと誰かが近付いて来るのが分かった。

 

──────────

 

「……未練がましい、かな……」

 

 男はそう言って小高い丘に座り込み、空を見上げた。

 

 彼にはかつて、盟友と言える仲間がいた……

 

 2人は互いに意識し合いつつもお互いを立て合い、この世界で腕を競い合っていく事を誓っていたが……相方は突然の事故で亡くなった。

 

 それからの彼は荒れたが、とあるチームの存在と“一つの事件”がキッカケで心を持ち直し、それまでの悲しさを忘れるように一心不乱に乗機を洗練させ、腕を磨いた。

 

 ……しかし、未だに彼の空いた心の隙間は埋まらなかった。

 

 彼の腕はもうトップランカー並み、機体も美しさと強さを兼ね備え、相方との約束は果たしたも当然……しかし、やはり彼の心は満足しなかった。

 

(俺の手でアイツに合う最高の機体を造ってみたかったな……)

 

 彼は戦士でもありながら、優れた創造者でもあった。

 

(……なぁ、ツヴァイハンダー。お前もアイツと一緒に戦ってみたかったろ……?)

 

 彼が見上げたのは己の乗機。戦闘となれば背負った巨剣を片手で振り回し、刃を分けて飛ばし、遠距離でも腰の砲や飛刃を駆使して立ち回る。一対多を得意とする彼のスタイルを確固たる物にした専用機……

 

 機体を見上げそんな事を頭に浮かべた直後、フィールドに一陣の風が吹いた。

 

──────────

 

 風は思ったより強く、座り込んだ彼にはそれほど影響はなかったが……

 

『うわぁっ?!』

 

「……ッ?!」

 

 ……木に隠れて見ていた私には厳しかった。覗き見はマナー違反だって言われたみたいだったよ……

 

『(ヤッベ……不躾だったなぁ)』

 

「(何だよ……なんで今更……)」

 

 文字通り、風の悪戯で出会ってしまった二人……

 

 私は引き攣った顔で愛想笑いを浮かべたが、彼はそれを見て逆にカチンと来たのか、怒りに手を震わせ始めた。

 

『(うわぁ……マジで怒ってる。やっぱ覗き見はダメだよねぇ?)』

 

「(何だよ……その顔は……この一年半、俺は……お前の事忘れようと必死だったのに……何で今更俺の眼の前に……!)」

 

 私はさすがに申し訳なさが勝ち、咄嗟に謝った。だがそれと同時に、彼も声を張り上げたのである。

 

『ご、ごめんなさい!! 見てたのはわざとじゃなくて、その機体カッコいいなぁって思っちゃってつい出来心で、別にストーカーでもなければ犯罪者予備軍でもないです! このとーり謝ります!!』

「なんでアンタは!! 今更俺の前に…………えっ?」

 

 私の誠心誠意の謝罪は、いちおう効果があった模様……彼の怒りは途端に収まり、困惑した表情になったのは意外であったけど。

 

 

「……この機体を見てた訳か」

 

『そそ! 私まだココに来て間もないし、自分の機体も無いから良いなぁ……って』

 

「……じゃあ、俺の事は……」

 

『初対面。どんな人かな? 何してるのかなぁって思ってた……』

 

「何だよ……人違いな上でビビらせてんじゃねえよ俺……」

 

『え? 何か言った?』

 

「何でもない。怒鳴ったのは悪かった……こっちの勘違いだ」

 

『ううん、コッチも君のプライベート覗き見しちゃってた訳だし……』

 

 見事に謝罪合戦へと変わった後、何となく話し合い始めた私達……私は彼に少し興味が湧いた。

 

 聞けば彼は何でも答えてくれた。この世界の事も、この世界の外の事も、不躾極まる事だけど、ついでに彼の過去も……

 

 本当ならば話さないだろうなと思ってたけど、何故か教えてくれた。

 

 彼は以前、大切な人を亡くした……避けられない事だったと言っていたが、その時の彼の顔はどうしても忘れられない事だったみたいで、複雑な顔をしていた。

 

 それからどうやって立ち直ったかは簡単な説明に留まったが、この世界には何人も知り合いが居るらしく、今回の件で私もその中の1人になったようだ。

 

『知り合い……かぁ、私は君が初めてかな?』

 

「は? ココまでソロで来たのか?」

 

『そうだよ。機体は借り物だけど……』

 

 そう言って私は山陰に止めた機体の方を指差す。ちょうど彼が来た方向からは影になっていて、私の存在に気付かなかったのはそれも一因だったようだ。

 

「あんな場所に隠してあったのか、どうりでレーダーにも……ってF97かよ?! そりゃ分かんねぇわ……」

 

 そう、私の今の機体は海賊的意匠が目立つ小型機体……XM-X1(F97-X1)クロスボーンガンダムX1。小回りが効いてて機動性も高く、コンパクトで高性能と私好みなお気に入りの一つである。

 

『レンタルだけどね。本当は自前作りたいけど、ちょっと事情があって……』

 

「……そっか。というかアンタ、随分自己認識がしっかりしてるな。見た感じは生まれたての“エルダイバー”みたいだが」

 

『……え……っ?』

 

 エルダイバー……? なにそれ初耳なんですけど? ElderとDiver(ここではネットダイブする人)の造語ってコト? 

 

「アンタみたいな“この世界で自己認識を持って生まれた仮想人格”をそう呼ぶんだよ。元はバグみたいな物だけど……心配しなくても消されねぇから」

 

『……そ、そうなんだ……なぁんだ……良かった……』

 

 エルダイバーの説明に“元はバグ”という一文を聞いた私は、踵を返して隠してある機体の方に走り出そうとしていた。

 

 その一瞬だけは、本当に命の危機を感じたから……

 

「……でもまぁ、“通報案件”には変わりないか」

 

 訂正、通報案件は避けられないそうです……ヤバい!?




とりあえずはココまで!
続き気になる方は応援よろしく!!

いちおう、お祭りシナリオ的なストーリーの予定。
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