その電子の海に住まうのは……   作:睦月透火

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前回からの続き。

セントラルロビーへと戻って来た2人の前に現れたのは……



Act.3

「ん? 初めて見る奴だな……誰だ?」

 

「よせ、話すな」

 

『シュウジの相棒のセファーだよ』

 

 狼男の疑問をシュウジはスルーしようとしたが、セファーは律儀に返答した。しかも当然のごとく“シュウジの相棒”と称した為、狼男だけでなくシュウジまでも驚いてしまう。

 

「ほぅ?」

「!?」

 

『え? だって機体造ってくれるんでしょ? ならもう相棒じゃん』

 

 セファーの言葉に「まぁ、造ってやるのはそうなんだが……」と言い淀むシュウジ。対する狼男はセファーの物言いにニヤリと口元を歪めた。

 

「ふむ……見たところ初心者のようだが、戦闘経験はあるのか?」

 

『対人戦はまだないよ、機体も借り物……でも約束したから』

 

 まるで見定めるように覇気を飛ばす狼男……しかし対するセファーも一歩も引かない。

 

 2人が睨み合う事しばし……その沈黙を破ったのは狼男の方だった。

 

「ハッハッハッ! いや失敬、あまりにも人間臭いエルダイバーだったもんでな……いやすまん、誂うつもりは無かった」

 

『…………???』

 

 急に笑い出し、そして謝罪する狼男……毒気を抜かれたセファーはキョトンとして何が何だか分からないままシュウジの方を見やった。

 

「……ったく……アンタも性格(タチ)が悪いな、《タイガーウルフ》」

 

「そういうお前も、しばらく見ないと思ったら女連れとは良いご身分だなァ?」

 

()()()()()()()()()()だ、好き好んでやってる訳じゃない……」

 

『……? え、何? どゆこと?』

 

「コイツは……「コイツは元、俺のフォース『虎武龍』のメンバーだった男だ」………………」

 

 シュウジの首にヘッドロックを決めつつ、「タイガー」と呼ばれた狼男は楽しげに言うが、当のシュウジは心底嫌そうな顔で狼男を睨み、反論する。

 

「……格闘戦の基礎訓練や修行にちょうど良かっただけだ、今はもうメンバーじゃ無い」

 

 素っ気ないシュウジの態度に、タイガーと呼ばれた狼男は畳み掛ける。

 

「お前ならいつでも戻って来て良いって言ってるだろ? アイツ等も“お前なら”って言ってんだからな」

 

「……戻る気はない。俺はもう……」

 

 そう言って悲しげな視線を一瞬だけ見せ、シュウジはタイガーの腕から逃れた。その目を見たタイガーも、頭を掻きながら追従はせず、セファーの方へ歩み寄って耳打ちしてきた。

 

「アイツ……前に“相棒”を無くしてからずっと“ああ”なんだ。俺もどうにかしてやりたいんだがな……」

 

『……知ってます。一応……彼から話してはくれたんですけど』

 

 セファーの答えに驚くタイガー。だがそれも少しの逡巡の後、納得いったという顔をした。

 

「本当か?! ……なら、お前に任せた方が良いかも知れん。改めて、俺は“虎武龍”のタイガーウルフだ。何かあったら力になってやる」

 

『ご丁寧にどうも……あ、シュウジに戦闘訓練やれって言われてたんだった』

 

「ほぅ? なら丁度いい、俺がお前さんの腕前を見てやる」

 

『……えぇ~?』

 

「アイツはその辺の雑魚とは別格だから一人でも大丈夫だ、問題はお前さんの方だろ? さぁ来い! 俺がキッチリ修行付けてやる!」

 

 そう言って襟首を掴み、少々乱暴にセファーを連れて行くタイガーウルフ。

 

 セファー初めての基礎訓練は、波乱の幕開けとなった。

 

──────────

 

《さぁて、お前さんは対人戦闘の経験がまだ無いって言ってたな。ついでにそっちも積ませてやる》

 

 機体の外部スピーカーから響くタイガーウルフの声……己の乗機である“ガンダムジーエンアルトロン”を駆り、訓練用バトルフィールドで仁王立ちしながらセファーの事を待っていた。

 

(まったく、虎さんも強引なんだから……)

 

 セファーは今回、近接戦闘や対人戦での駆け引きを学ぶ為“ガンダムエクシア”をレンタル……

 ぶつくさ文句を思考の中で垂れ流しながらも、セファーの手は淀みなく機体を発進させ、バトルフィールドへと降り立たせた。

 

『来ましたよ。対人戦は分かりますけど、バトルフィールドまで借りてやるって事は、実戦形式ですか?』

 

《分かってるじゃねぇか、そういうこった!!》

 

 仁王立ちから拳法の構えを取るタイガーのジーエンアルトロン。対するセファーのエクシアも右腕のGNソードを展開させ、左腕のGNシールドとGNバルカンもセットしながら迎撃の構えを取った。

 

 構え取るエクシアの姿を了承と見るや否や、ジーエンアルトロンは突撃を仕掛け、セファーの意表を突く。

 

「まずはお前さんの反応速度だ!」

 

 無手の格闘戦──武器を持たずそのまま拳で殴り掛かるジーエンアルトロンの挙動に、セファーは文字通り硬直……

 

「……何だよ、出来るじゃねぇか」

 

 ……していたがそれも一瞬の事で、次の瞬間には左腕のGNシールドを割り込ませ、滑らかに受け流す。

 

『……ぷはぁっ!? 早すぎだよ虎さん!』

 

「タイガーウルフだ、覚えとけ!!」

 

 しかしジーエンアルトロンは受け流された反動を上手く使ってエクシアの後方に回り込みつつ、お返しとばかりに足払いを掛ける。負けじとセファーも振り向くと同時に機体をジャンプさせ、流れで右腕のGNソードを振り抜いた。

 

 双方のカウンター行動は成立せず、そのまま再び距離を取る両機──数秒ほど睨み合いとなったが、突然タイガーウルフは笑い出す。

 

「……何が初心者だよ、相当手慣れてるじゃねぇか!」

 

『だから早すぎ……ッ?!』

 

 セファーの受け答え最中に再び突撃し、今度は両腕のドラゴンハングを繰り出してくるジーエンアルトロン。

 

『だからもう……!』

 

 悪態を吐きながらもセファーはGNソードとシールドを解除し、背部にあるGNビームダガーを抜き、そのまま投擲。更に流れるように両腰のGNロングブレードとショートブレードを握らせ、ジーエンアルトロンへ向けて大きく踏み込む。

 

 ジーエンアルトロンは投げ込まれたGNビームダガーをドラゴンハングで叩き落とし、戻すと同時に機体を回転させ、蹴りでエクシアを迎撃する。当然エクシアは踏み込みをキャンセルできずジーエンアルトロンの蹴撃を受けるが、両腕をクロスさせて打撃を防御しつつ、直撃の前にジーエンアルトロンより上へ上昇していた事で蹴りの威力を自身の上昇加速に用い、軽業師の如く機体を錐揉み回転させバランスを整えつつロングブレードで唐竹割りを繰り出した。

 

「やっぱりお前は初心者じゃねぇ、そんな動きがペーペーに出来るもんかよ!!」

 

 紙一重でエクシアの唐竹割りを躱すジーエンアルトロン。タイガーウルフは持ち前をフルに発揮し、セファーの乗るエクシアの常人離れした挙動から来る埒外の反撃に対処していた。

 しかし、セファー自身はタイガーウルフの猛攻に必死に抗っているだけである。

 

『虎さんこそ、初心者に容赦ない!!』

 

 接近戦は分が悪いと感じ、エクシアの腕部に内蔵されたGNバルカンでジーエンアルトロンの接近を拒むセファー。だがタイガーウルフは被弾を承知で弾幕を掻い潜り、エクシアに三段蹴りを仕掛ける。

 

 セファーは咄嗟にGNシールドを割り込ませたが、三段目の蹴りでシールドを破壊され、衝撃と反動で背中を強かに打ち付けてしまった。

 

『あいたっ?!』

 

「……お前さんの実力はよーく分かった。少なくともその辺の雑魚じゃ相手にはならん様だな」

 

 そう言い、急に矛を収めるジーエンアルトロン……タイガーウルフは今の応酬でセファーの潜在能力をほぼ看破していた。

 

『……そうですか……』

 

 彼の行動根拠が何となく分かった様な分からない様な……そんな事を思考しながらセファーはエクシアを起こし、戦意を無くしたタイガーウルフと同じ様に武装を収納するのだった。

 

──────────

 

「お前は素質がある。今回は機体の相性が良くなかっただけだ」

『ハイハイ、知ってますよ。アナタの強さはもう十分に……』

「でだ、アイツと一緒に来る気はねぇか?」

 

『残念だけど……彼、もう本当にその気が無いもの』

 

 タイガーウルフはまだシュウジの事を諦めきれていない様で、セファーと一緒なら……と考えた様だが、セファーもシュウジの心境は察していた為断る。

 

「……だろうな。お前さんは理由が分かってる、俺達にゃどうしようもない理由だ。だがずっと“ああ”なのは見てらんねぇ……」

 

『……分かりますよ。貴方も、彼の心を……』

「だから諦めねぇぞ?」

 

『……それとコレとは別なんだ……はぁ……』

 

 突然宣言された“諦めねぇぞ”に、少しだけシュウジの心境が理解できたセファーは、ため息交じりにタイガーウルフを見やるのだった──

 




久しぶりに戦闘シーンを書いた……
……面倒だ!

でもこういうシーンはビルドシリーズに必須だよね〜
さてさて……
今後も愛機を造って貰う為にセファーちゃんには色々乗り換えさせる予定ですが、次はなにに乗せようかな……?

次回もお楽しみに!!

今後のセファーちゃんの機体は……

  • 色々な機体を乗り回してから
  • なるはやで機体製作する
  • 既存機体の改修で繋いで
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