興味本位で親友達のラブコメを全力で演出する 作:二尻尾兎
評価、ください(切実)
オレの名前は
まるで今は違うようなニュアンスを感じてしまっただろうが、それは正しい。
だが、別に性転換したとか大それたものじゃない。
オレの『普通の』という肩書きが過去のものになっただけで事件性があるかのと問われればオレは首を横に振る。
「普通とは大きく逸脱してしまったからな」
オレは目前の人物に聞かせてやる気持ちで独り
しかしオレの願いも空しく、悪い意味で期待を裏切られることになった。
「え? 晴、なにか言ったかい?」
「言ったが? むしろ聞こえてないとちょっとマズイぐらいの声量で発言しちゃったが?」
「そ、そうなんだ。ごめん、聞こえなくて……」
「良いけどさ。いや、他にも色々と
……結論から述べると、親友の一人である
初めは、若葉が慣れないボケやってるなぁくらいにしか思っていなかった。
何かあってからでは遅いので、一応病院に連れて行き、診てもらったが至って問題ナシ。近年稀に見る健康優良児との太鼓判を医師から押してもらった。
揶揄って聞こえないフリをしている訳でもないと思うので、オレは若葉の限定的な聴覚障害だと結論づけることにしたのだ。
これといった実害も出てないし、オレも迷惑だと感じてないから見逃している。
だって、オレが一番気になる問題を鑑みれば優しい方だから。
「その髪……地毛、だよな? 染めたとかじゃなくてよ」
「? 当たり前だけど? 僕の髪になにか付いているのかい?」
「付いてるってワケじゃないが……」
「歯切れが悪いね。僕は気にしないと思うから言ってみてよ」
「それなら言わせてもらうが……オマエずんだ餅食ったか?」
「ず、ずんだ餅? 食べてないよ!?」
じゃあ何でそんなに髪緑色なんだよ!? と、喉まで出かかった言葉をなんとか飲み込む……飲み込めるかこんな主張。地毛が緑色ってなんだよ。
オレがこうも錯乱しているのには勿論理由がある。
若葉は地毛は黒髪だったのだが、難聴系主人公ムーブをやり始めたのと同時に髪色が緑色になっていた。
再度病院に連れて行き、診てもらったが至って問題ナシ。健康優良児過ぎてギネスに登録出来ると、太鼓判を医師から押してもらった。どんなギネス記録だよそれ。
オレを驚かせたのはこれだけではない。
「あ、鷺沼君! さっきの授業で分からないところがあったんだけど……」
「あぁ、これはね……」
誰一人として若葉の髪色について触れることなく順応していることだ。
「……ってやり方で解けるよ。これで大丈夫かな?」
「なるほど! さすが鷺沼君! いつも頼りにしてるよー!」
「困ったことがあればまたいつでも頼ってね」
おもっくそクラスの人に頼られる。特に女子に。
オレの知ってる若葉はこんな好感度高い存在では無かった。分け隔てなく接することの出来る社交性も……無かった、ハズ。
もしや、これが世に言うイメチェン……なのか?
「……」
「どうかした晴。そんな何とも言えない表情して」
「なんか急に若葉が遠い存在に思えてきた」
「あはは! そんなことないよ。晴は僕の親友なんだから優先度は君が常に一番さ。もしかして、今の見て寂しく思っちゃったのかい?」
「何言ってんだこのアホゥは」
「ひどいよ!?」
本当に何言ってんだコイツは。
何故
若葉はキャラ変する前には、オレ含め友人と呼べる存在は片手で数えられる程度しか存在しなかった(失礼)
しかし、ここ最近では若葉を中心としたグループがクラスで形成されつつある。それどころか、クラスの垣根を越えて交流をしているのを見かける頻度が多くなってきている。不思議でたまらない。嫉妬とかではなく本当に不思議なのだ。
この学園は中高一貫校で、中等部時代の人間関係がほぼそのまま継続する。
そんな中でそれほど友達作りに積極的ではなかったやつが高等部に進学して今や学年の人気者になろうとしている。
そして高等部に進学してから若葉が関わり始めたあの人がいて……。
もし
「はぁ……マジかー」
「? さっきから本当にどうしたんだい? 相談なら乗ってあげるよ? 君と僕の仲じゃないか」
「ならよ。一つ、質問したいんだが」
「いいよ。それはどんな質問かな?」
「それは──」
「──失礼、若葉はいるだろうか」
オレが問い質そうとした時のことだった。教室の扉が開き、昼休みの騒々しい雰囲気を律するような凛とした声の主がやってきた。
「え!? かす……久遠先輩!?」
「教室に残っていたのか。探したぞ? さぁ、私と共に生徒会室へ行くぞ」
堂々たる佇まいでこちらへ足を運んでくる女性の名は、
この
その理解し難い謎のシステムによって生徒を取り仕切る部活が、学園すらも取り仕切れてしまう。
それはさながら学園という国家を運営する組織のようなものだ。
今述べた生徒会執行部や風紀委員会、果てには部活動管理委員会というよく分からない委員会でこの学園は構成……支配されていると言っても過言では無い。
「どうしてですか久遠先輩? 僕は親友との昼食の時間がまだなので要件次第ではそれを拒否しなければいけないのですが……」
「簡単な運搬作業だ。男手が必要だったんでな。若葉を頼ることにした」
「他の生徒会の方は……?」
「……私は若葉が良いのだ」
「久遠先輩今なにか……?」
「な、何でもない! ……こちらの話だ。忘れてくれ」
「…………」
オレを挟んでの
二人の邪魔しちゃ悪いから退いてますね……おい、その手は何だ? 離せ、離せよ若葉ォ!? あ、ちょっ、力強!? 待て、待ってくれ! 腕を上げさせようとすんな!
オレのささやかな願いは
「僕は彼とのご飯を優先します」
ちがうよ? カッコつけて言ってるようだけどそのレスポンは正解の道から脇に逸れて衝突事故起きちゃってるよ?
目の前の生徒会長パイセン様の用事にレッツラゴーしていいんだけど?
パイセンはオレがいることにやっと気づいたのか、その綺麗に整った眉を顰める。そんな怪しい人を見るような目を向けないでください。圧でオレが潰されてしまうんで。
「お前は……ああ、秋津晴か。若葉が我が事のように自慢する御仁は貴殿だったか」
「そんな風に僕話してました!?」
合点がいったようにその顔を明るく晴らしたパイセン。
流石若葉、オレは信じてたぞ。パイセンにオレのことをどのように言ったのか気になる所ではあるが、それはそれ、これはこれだ。助かったぜ。
「えと……はい。若葉が話してんなら自己紹介とか要らないと思うっすけど、いつも親友がお世話になってます。秋津晴です」
「久遠香澄だ。生徒会の手伝いでは彼にはよく助けられている」
オレはパイセンと握手を交わす。
「そういえばここで時間を潰してていいんすか? 運搬作業がどーのこーの言ってたんで、てっきり急ぎの要件かと思ってました」
「おっと、そうだった。若葉の力が必要だったな。どうだろう? すぐ終わる。来てもらえないだろうか」
「僕は……」
一度決めたら中々折れないからな若葉。
仕方ねぇなぁ。ここはオレが恋のキューピット()としての腕を見せつけちゃいますか! 今回が一射目だけどオレならいける!
「行って来いよ、若葉」
「──は?」
なんかすっごい蒼白した顔になったな。どうした?
あー多分あの顔は……忘れてた用事でも思い出したんだな! オレも予定が
「い、今……なんて」
「また聞こえてないのか? しょうがねぇな……もう一回言うぞ。オレとの予定なんていいからパイセンの所に行ってそっちを助けてやれよ」
「そんな……僕は、必要とされたくて」
必要? さっきから何言ってんだ? 今パイセンに頼られてるんだから必要なんじゃないの? あぁもう、必要必要言ってて訳わかんなくなってきた!
「それなら余計行ってこいって言えるだろ。(パイセンは)オレの助けは要らないし頼りもしないんだから。時間は有限なんだから若葉はそれをオレじゃなくてパイセンに使ってやれよ」
さり気なくパイセンに後押しをする。これは完璧で究極の恋のキューピットだな!
「……わ、かった。晴が、そう言うのだったら、僕はそうする、よ」
「おう! 行ってこい! じゃあパイセン、若葉のことよろしくお願いしますね」
「あ、あぁ。し、承知した」
ヨロヨロとゾンビのような足取りで若葉はパイセンと共に教室を後にして行った。アイツ、そんなに腹減ってたのか……戻ってきたら労いの意も込めて購買のパンあげるか。
♦︎簡単な人物紹介のコーナー♦︎
秋津晴
高校生にしては低すぎる身長を気にし始めたお年頃。親友の異常な変わり具合に疑問を持ちながらも久遠香澄とくっつけようと躍起になりだした。
鷺沼若葉
ずんだ餅の食べ過ぎで緑色になった訳ではない。次の話で彼視点での話を書きます。
久遠香澄
愛恋学園11代目生徒会長。身長が高く、溢れ出るカリスマオーラで危うく晴がYOU DIEDしかけた。
感想待ってます!