興味本位で親友達のラブコメを全力で演出する   作:二尻尾兎

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なんとか続いた
投稿時間を見てご察しの方はいると思いますが書き終えたら即投稿を心がけています
……おや!? 若葉のようすが……!

あ、軽度な鬱描写あります


評価をしてくださった方、誠にありがとうございます


僕の、最高の友達 若葉side①

 ──小学校時代の僕は人と関わることを酷く恐れていたんだ。有り体に言ってしまうとイジメに遭っていた。

 

「痛ッ! ……え?」

 

 ワザとぶつかってきては謝りもせず無視されたり。

 

「お前、 きもちわるいんだよ」

「やめ、てよ……痛い、痛いよ……」

 

 難癖つけて事ある毎に暴力を振るわれたりもした。

 苦しくて、辛くて、心が折れる思いだった。

 だけど、そんな僕にも唯一の友人がいた。

 

「オマエ、大丈夫か?」

「う、うん。いつもありがとう██君」

「感謝されることじゃねぇよ」

「でも、ありがとう……」

「だから感謝されることじゃ……って、おい泣くなよ!? ったく、保健室から包帯貰ってくるから我慢してろよ」

「うんっ……ほんとに、ありがとう」

 

 彼はどんなに惨めな、目も当てられない姿の僕をいつも心配してくれていた。たった一人の味方。彼がいるだけで僕は救われていたんだ。

 

 どうしてこんなに助けてくれるのかを聞いたことがある。

 その時の彼は鳩が豆鉄砲を食らった様な顔をした後「なんだ、そんなことかよ」と、当たり前のことを言い聞かせるように続けた。

 

「人に優しく自分に厳しく。オレは見てわかる通り、口悪いし、見た目も粗暴そうだと定評のある男だろ? だからオレは行動でオマエに優しさをあげることにした。オレに優しさの欠片もないと勘違いしてるやつが増えれば増えるほど、オレが人に優しくできてる証拠になってるって訳よ」

「自分の為に人を助ける……ってこと?」

「あーそうかもな。要はそれだ。オレが助けたいから助ける。相手は助かってオレも優しさに磨きがかかって両者ハッピー」

 

 彼の言っていたことは暴論で正直困惑してしまった。でも、妙な説得力を感じたのも事実として僕の胸中にあった。

 今思えば、彼の言葉は現在の僕に繋がっているので彼の教えは無駄じゃなかったと笑えてくる。

 そんな彼と過ごした小学校時代、辛いことも沢山あったけど楽しいこともあった。

 中学に進級しても彼と一緒ならどんな困難も乗り越えられると確信していた。していた、のに……

 

「────え?」

「██君は不█の事故で██しました。手は██しましたが……残█ながら……」

 

 手術衣に身を包んだ男性が重苦しい雰囲気を隠さずにその残酷な事実を口にしていたのを鮮明に覚えている。

 

「█████████なら、彼███を背負っ███て欲しいと願っている」

 

 僕へと告げられたその言葉は未だに思い出せない。果たして何を願っていたんだろう。

 彼の親族の悲痛な慟哭と加害者に対しての怨嗟の声が、ずっと脳裏にこびりついていた。

 

 その後、彼の死の悲しみに明け暮れる日々を送っていた僕は何をする気力も起きずに部屋に引きこもり続けていた。

 どうして彼が死ななければならなかったのだろう。

 どうして死んだのが無価値な僕じゃないのだろう。

 どうして……どうして……そんな思いに支配されて生きるのも億劫になっていた僕はいよいよもって人生からドロップアウトを決行しかけた。そんな時だった。

 

 愛恋学園からの推薦の件が飛び込んできた。

 厭世的になっていた当時の僕でさえ、その学園の名前を聞いて心を動かされる程、聞き馴染みのある学園だった。

 国立の中高一貫校。そして、()()()()()()()と呼ばれる生徒第一を掲げる学園。この学園の特徴として、まず特殊な選抜でもって、入学が決まる。

 何よりも僕が興味を惹かれたのは、イジメゼロを実現したというもの。

 今思えば、怪しさ満載な文言なんだけど……僕は藁にも縋る思いだったので、騙されてもいいやと半ばヤケクソ気味で、そのチャンスを握りしめた。

 

 愛恋学園に入学し、人間関係はリセットされた。またゼロからのスタートで再度、悲劇を繰り返さないようにと、不安に押し潰されそうになっていた。

 

「オマエ、大丈夫か?」

「ご、ごめんなさ…………ぇ?」

 

 ────そこで僕は、出会った。

 黒曜石(オブシディアン)と見紛う、妖しくも魅了されるような煌めきを放った髪を、後ろに一纏めに束ねた彼の姿は僕の記憶にあった()と瓜二つの容姿をしていた。

 

「生きてる……?」

「初めましてでそれはめっちゃ失礼だな!?」

「ご、こめん! 僕の、友達に……似てたから」

「あーなるほど。訳アリっぽいな……えと、オレは秋津晴。オマエの名前は?」

「秋津、晴……」

「おう。気軽に晴って呼んでくれ」

 

 ██君と同じ屈託の無い笑顔を見せる晴に、僕は彼とどう接したらいいか、戸惑っていた。

 知っている他人。晴の第一印象は何とも言えない邂逅だった。

 それからというもの、僕と晴は席が隣同士ということもあり、他愛のない会話をする頻度が多かった。

 

「なぁ若葉、知ってるか? 笑顔って元々威嚇のためにあるんだとさ」

「どうしたの急に」

「輝照光が微笑み出したら真面目に振舞おうってこと」

「はぁ……また、怒られたんだ」

「またってなんだまたって。返ってきたテストの点数を自慢してただけだぞ」

「一番怒りそうな要素で刺激してるよ!?」

「さも頭良さそうに真面目ぶってんのに勉強できないアイツが悪い」

「それは流石に理不尽なんじゃ……」

 

 ただの日常の一コマ。されど、そう他責してケラケラ笑うその表情、その声、あらゆる仕草が██君と同じで、二人の姿がごちゃ混ぜになって、僕の心中を刺激する。

 

 そうして僕は気付く。僕は未だに幻影(██君)を晴に重ねているんだ。

 夢にまで思い描いた██君との学園生活。それを晴という代替者を以て再現している。

 我ながら最低だ。でも、分かっていても……やめることはできない。この想いはとめられない。そのためのブレーキは彼が死んでしまった時と一緒に失くしてしまったんだ。

 

 だって、どうしても、██君と二人で行きたかったから。

 

 

 

***

 

 

 

 僕が偽りの学園生活を過ごして二年、あっという間に高等部への進学が迫っていた。

 最近では当たり前の風景になった帰宅までの道中を晴と共に歩いていた。

 

「あと半月で中等部終わりって早くね?」

「うん……」

「名残惜しいんか? まぁ確かに寂しいけど、オレは安心して高等部へ行けるからいいけどさ」

「それは……どうして?」

「体育倉庫の壁に穴開けてきたからな!」

「なにやってんの!?」

 

 いつも通り。他愛のない会話。思えば、一年生以降、晴とは同じクラスじゃなかったのに殆ど二人で行動してたな。

 見慣れた歩道橋の上を進み、晴がふと足を止めた。

 

「なぁ。ちょっとだけ言いたいことあるんだが、教えてくんない?」

「え? ……うん。どうしたの?」

 

 晴の顔は今までに無いくらい真剣な顔をしていた。二月の肌寒さとは違った悪寒が僕を駆け巡った。

 

「オマエ……最近耳遠くなった?」

「うぇ? 耳、遠……え?」

「やっぱりそうだわな! オレが話しかけてもたまにリアクション悪い時あるし、どうする? 病院行く?」

「そんな熱を心配するお母さんみたいな言い方しないで。……ちょっとボーッとしてるだけだよ。ごめんね心配かけて」

 

 意識が頭の中に向いているのには理由がある。

 二年以上晴と中等部で沢山の思い出を作って、僕の中で迷いが生じてしまったからだ。

 本当にこれでいいのか、と。

 どのような迷いなのかと言われると、『██君は晴で……違う! 晴は██君じゃないし██君は晴じゃない!』みたいな、当たり前でしょって総ツッコミされそうな自問自答を繰り返すことが増えてきている時期だった。

 

「そういう事か。突発性難聴じゃなくて安心したわ」

「うん。僕も勘違いさせてごめ──」

 

 そのあとに続く言葉を言い切るのは無理だった。

 

「──じゃあもうちょっと教えて欲しいんだが。オマエはオレを見る時、オレ以外の誰をその目に映してんだよ」

 

 この瞬間の晴の瞳は今でも恐怖するよ。

 

 僕の目の前にいるのは……(知らない友人)か? ってさ。




キリが良いので(良くない)次回に続きます

♦︎簡単な人物紹介のコーナー♦︎

鷺沼若葉 モブのすがた(失礼)
変貌前の若葉は少々内気で高等部若葉とはかけ離れた性格だった。
イジメられても友人君がいたからそこまでしんどくなかった様子だったけどいなくなったら簡単に折れてしまった。かわいそうに。

██君
ここでは友人君と仮称。お前は結局何がしたいの? 作者が扱いに困った友人君でした。
その容姿は黒髪を後ろで束ねた平均身長より身長が低い少年だった。なんか見たことある気が……?(スットボケー)

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