使い捨て上等強化人間兵士は生き延びれるのか? 作:⚫︎物干竿⚫︎
はい。と言う訳でまたもや出撃で御座います。
今回は敵の数も多いとかで、他のウチみたいな戦死で数が歯抜けになった部隊との合同らしいです。ちなみに前の出撃では東少佐1人で15匹くらい仕留めたらしいです。うーんバケモンに狩られるバケモンってやつだろうか。
『こちらは第38特殊打撃兵団隊長の日下部中佐だ』
『第48特殊打撃兵団隊長、東です。お互い貧乏くじですな。戦闘で部隊員歯抜け状態で出撃とは』
『まあ、それぞれ歯抜け状態で個別に相手にしろと言われないだけマシだと思おう』
『そうですね』
隊長格2人が並んでそんな風に並ぶ後ろには水上機動甲冑に間に合わせ同然の修理をしただけのポンコツ付けたのからそうでないのまで顔ぶれ豊かな新兵同然の連中が続いている。これで戦況は優勢なんですってよ奥さん?ははは。ぶち殺したい。
とまぁ、その殺意はこの先に居るワダツミ共に向けるとしてだ。
「金田、左腕の義手どうだ?」
「今のところはなんともねーな。後は撃発に耐えれるかだな。後は知らねーわ。それならそれで死ぬだけだしよ」
「スコープの照準調整と銃口合わないんだけどコレ」
「突撃接射するしかないな。まぁ、頑張れ」
「槍は良いぜ!あのクソ共も一撃だ!」
「いやまぁ、薬入ったらどうせ落ち着いて遠距離狙撃なんてほぼ出来ないんだけどさぁ」
俺達がそんな風に駄弁ってる隣の連中はお通夜みたいな雰囲気で黙りこくっている。ちなみに数の内訳だが、ウチが俺達と東少佐合わせて4人で日下部中佐んとこの連中が中佐含めて5人の合計9人である。
『各位傾注。今回は少しばかり数が多い。よって、投薬量を抑え3人1組を崩さないよう連携を取って戦う。いつもと少しばかり勝手は変わるがやる事は変わらない。あのクソ共を海の底に鉛玉と一緒に送り返すだけだ。それなりに死ぬとは思うが、死にたくないなら足掻け。以上だ』
水上機動甲冑には例の薬が仕込まれている訳だが、毎度毎度丸っと全部ぶっこむ訳ではない。てか、そんな事してたら俺達兵隊同様に薬も足りなくなる。だから、わざと投薬量を抑えての戦闘はままある。今回の場合は純粋に完全にヒャッハーしたバーサーカーだと文字通り全員すり潰されかねないからの選択っぽいが、投薬量を抑えた場合だと理性吹っ飛び切らないからビビって引き金引けない奴が出る事もあるし、なんなら単純に強化度合いが低くて戦闘力も下がる。
『接敵後、まずは遠距離装備の連中で出来る限り削る。それから接近したら残りの近接組で突撃。後方の射撃支援を受けつつ打撃格闘戦にて殲滅する』
俺達水上機動歩兵以外の戦力は無いのかって?無い訳じゃないが当たらないし、敵味方入り混じっての乱戦になるから艦砲での支援はそもそも出来ない。てか、今から俺達が相手にする奴らはその艦砲での面制圧砲撃で数を減らした後の連中だ。それでも探知機の反応見るに80は余裕で超えてるのが笑えないが。それを9人で片付けろってよ。マジでこんな作戦ほっつけて来る連中ぶっ殺したい。
それはさておき、投薬が行われたが昂揚感こそあれどヒャッハーするほどではない。感覚的には6割くらいの投薬量だ。投薬量4割から5割で体のリミッターを外して武装を自在にぶん回す怪力状態になるが普通に痛覚は残る。6割は痛覚を麻痺させて感じにくくさせる。7割以上で痛覚が吹っ飛ぶ。8割からはこの前の通りのバーサーカー化だ。
前回1時間そこら寝込んだだけで済んだ理由?筋繊維断裂とか起きてても霊力の強化のおかげで身動きは出来ちゃうんだなこれが。全身苛む激痛?慣れた。てか、ろくなもん食えない理由のひとつがこの激痛だ。
一斉の轟音と共に森野達遠距離装備の奴らがワダツミに鉛玉をプレゼントして行く。それによって確実に数が減って行くがそれでも勢いが衰える事なく突っ込んで来る。普通の生物は少しくらいビビるもんなのに奴らは大分特殊な生態をしている。その辺を本土のマッド共が研究してるが目ぼしい答えは出ていない。ただ、虫などのように群体意識のようなものに従って行動している節はあるそうだ。
『近接組突撃ィ!』
おっと、他所事を考えてる場合じゃない、仕事の時間だ。号令と共に一斉にワダツミに襲いかかる。俺がワダツミの注意を引き、森野が確実に1発ずつぶち込んで金田が隙を突いて槍をぶっ込んで行く。周りでも似たような感じで3人1組を組んで同じようにやっている。初見同士の即興でもそれくらい出来なきゃお話にもならない。てか、東少佐と日下部中佐ぶつかった瞬間それぞれに3匹ずつくらい仕留めてんだけど?佐官連中はやっぱりおかしい。
「はいはい、鬼さんこちら手のなる方へってな」
ライフル、突撃重砲1型を撃ってワダツミの意識を引く。森野が持ってる重砲と違って、1発でこいつらの甲殻はぶち抜けない。それでも奴らも無視は出来ないだけの火力はある。そして、こっちに意識を取られた隙を見計らって金田が懐に潜り込んで槍をぶち込む。
「チッ!槍が1本イカれやがった!枢木カバー頼む!」
「あいあい。さっさと交換しろ」
金田と入れ替わりで前に立って、また新たに向かって来る3匹のワダツミに突撃重砲を向けて前進する。スコープを取っ払って狙撃重砲に基本で備わっているアイアンサイトとヘルメットの射撃補助機能で射撃を行っている森野が撃った1発が左の1匹の脳天からそのままぶち抜いて沈めた。そのまま俺は突っ込んですれ違いざまにフルオートで突撃重砲の弾をぶち込む。連続の射撃が甲殻とその下の肉を引き裂いて毒々しい緑色の血が吹き出す。それを被りながら飛びかかって来た残りの1匹の腹下に潜り込んで左腕の槍をぶち込む。引き抜く手間が惜しいのでそのまま打ち込んだ槍は投棄する。
「っし!再装填完了だぜ!」
「んじゃ、さっさと前立てよ。こっちも再装填しなきゃなんだよ」
「わぁーってらい!来いやクソ共が!全部ぶち抜いてやるよォ!」
投薬量抑えられてるはずなのにまぁまぁバーサーカーなのは本人の性格だからどうしようもないな。まぁ、その分俺と森野がヒャッハーしてないし良しとしよう。実際、槍を主にしてるだけあってタイマンなら金田もかなりのもんだし。
飛ぶような勢いで一瞬で距離を詰めた金田がワダツミが行動を起こす前に槍をぶち込んで沈める。そこに新手が飛びかかって来るが目先の餌に釣られたアホの行く末は地獄行きと相場が決まっている。森田の鉛玉が横からそいつをぶち抜き、そいつとは別で向かって来た奴を突撃重砲で牽制すれば後は金田が腹に1発ぶち込んでKOだ。
「鬼2人が殺戮ショーしてるのに減ってる気しないんだけど?」
森野が新しい弾倉を装填しながらそう言う。確かに俺達の比じゃない手早さで東少佐と日下部中佐とオマケが沈めまくっているのに押し寄せて来る数が減ってる気がしない。幸いなのは付けてる砲が破損してるのか砲撃が来ない事だ。
「い、嫌だ⁉︎こんなところで死にたく………ぎゃぺ⁉︎」
「だ、だず、げ」
びびって足並みの遅れたグループが6匹のワダツミに集られて文字通り踊り食いにされているが、アレはもう助けようがない。投薬量を抑えたんだからそれで孤立すればああもなる。見慣れ過ぎた光景でなんとも思わないのは薬で感覚が麻痺してるせいなだけだと思いたい。
「おい、生き残ったバカがこっち来んぞ!」
「あーもう!6匹全部来てるじゃん!3匹はやるから残りは任せた!」
「「了解!」」
金田が飛び出して、それに少し間を空けて俺も続いて突撃重砲で牽制を加える。まず森野が1匹を沈めて金田がそれとほぼ同時に1匹を落とす。そのまま俺も突っ込んで1匹を槍で仕留めて俺に食いついて来ようとした奴を森野がぶち抜いた。
「た、助かった………」
「馬鹿野郎!油断すんじゃねえ!後1匹潜りやがった!」
怒鳴りつけながら金田がバカを引っ張ると海中からワダツミの尻尾が飛び出して来た。そこへ向けて突撃重砲を撃ち込むが手応えは無い。
「も、もう嫌だ!なんで俺達ばっかりこんな目に遭うんだよ⁉︎」
「泣き言は帰ってからいくらでも吐け!今は海中のクソに集中しろ!森野!そっちの探知機は⁉︎」
狙撃装備と言う事でより優秀な探知機を備えた森野に向けて金田が吠える。
「僕らを取り囲むようにぐるぐる回ってる!しかも新しいの増えた!もっと最悪なのがまだまだ来てる!」
「クソッタレ!少佐達はまぁ無理だよな。俺ら自身で乗り切るしかねぇ!テメェもしっかり手伝やがれ!」
「マジで死に番回って来たかもなコレ!」
痺れを切らした1匹が飛び出して来た。俺に向かって飛び出して来たが流石に突撃重砲3挺の一斉射を浴びせればひとたまりもない。
「オラァ!」
「沈め!」
金田が真下から飛び出して来た奴をバカを引っ掴んで回避しながら土手っ腹に突撃重砲をぶち込んで更に後ろから2人に食いつこうとした奴を森野が沈めた。
「ああクソ!こんな時にジャムった!スコープと言い欠陥整備じゃないか!枢木!突撃重砲!」
「はいよ!」
金田はバカのカバーをしてるから突撃重砲を手放せないから消去法で俺のが森野の手に行く。
「おい!お前の突撃重砲寄越せ!どうせ撃てねぇだろが!」
言いながら金田が自分の突撃重砲を俺に投げ渡してバカが持つ突撃重砲を半ば無理矢理もぎ取る。
『敵増援あり。水上機動歩兵による殲滅は困難と判断する。よって、部隊はそのまま敵を引き付けよ。砲撃によって一掃する。これは無駄な戦死ではない』
やっぱり数が増えていたらしい。しかも俺達にはこのまま餌として引き付けろとの仰せだ。
「こ、こんなのあんまりじゃないか⁉︎無理矢理改造されて、戦わされて最後はまとめて吹っ飛ばす⁉︎」
「黙ってろ!こうなりゃ砲撃上手く利用してクソ共海の底に送り込みつつどうにかこうにかケツまくるしかねぇ!文句あるか⁉︎」
「「ある訳ないだろ!」」
いつかは死ぬとは思うが、少なくとも味方に吹っ飛ばされるとか死んでも死に切れない。冗談抜きで悪霊になってでも復讐かけに行くぞコラ。
『上の答えはここで死ねとの事だが、ここはお前達の死ぬべき場所じゃない。バケモノ共と地獄巡りは俺に任せておけ。東少佐。あとは頼むぞ』
『了解しました。日下部中佐、御武運を』
『そちらもな………さて、最期くらいは背負うもの無く暴れさせて貰うとしようか。全液投薬』
獣のような咆哮が響き渡り、確かにワダツミ達の意識がそちらに向いた。本能で察したんだろう。今の中佐1人に自分達が全員やられかねないと。
『総員撤退!すぐにでも砲弾が降って来るぞ!』
東少佐の声が通信全体に響き、全員が一目散に逃げ出す。これでヒャッハーしてたら全員共々ここで死ぬしか無かった。結果として日下部中佐の投薬量を抑える判断がこうして俺達に逃げると言う判断を与えてくれた。
本当にこんな有様でこの戦いに終わりが見えて来たと思っているんだからどいつもこいつも頭お花畑にも程がある。
なんかすんなり書けてしまった。
ベテランも木端の新兵もすべからく上層部からすれば取り替えの効く消耗品みたいな認識なのでこんな感じで諸共焼き討ちはまぁ珍しくはない。なんで滅んで無いんですか?(素朴な疑問)
A.なんだかんだで圧倒的火力で吹き飛ばすのが有効だったせい。上陸されないためのエサ用意してまとめて吹っ飛ばせば良いじゃない派が割と多いのだ。え?この先?有効だと良いね。