ふよふよと浮くドローンからは可愛らしさをアピールする声。
「私が魔法少女に?」
「そうぽむ〜」
シャーレのオフィスで一人仕事をしていると何処からともなくドローンがやってきた。
「はあ、ヴェリタスかエンジニア部辺りのドローンでしょ」
「むむ、バレたか」
「見たら分かるわよ……」
可愛らしい声は白石ウタハの裏声だったようで、すんなりといつもの声に変わった。
「時にレイナさん、魔法少女に興味は無いか?」
「無い」
即答。
「待って欲しい、本当に無いのかい?」
「無い、帰って」
仕事の邪魔だ。
「魔法少女といえば女の子の夢じゃないか!是非レイナさんにこの『装着変身!テルミットパープル』を着て欲しいんだ!」
「着ない、帰れ」
前に来た事あるが本当に恥ずかしかった。
もう二度と着たくない。
「…………バーゲンタッツのアイスクリームを十個ほど用意したのだが、足りないかい?」
「仕方ない、ただし全部チョコレートクッキー味ね」
アイスクリームがあるのなら仕方ない。
一肌脱いで魔法少女でもバニーガールでも着てやろう。
「では今から言う合言葉を言ってもらってもいいかい?」
……合言葉?
「合言葉は『ボルトリリース!テルミットパープル!魔法の力で星となれー!』だ」
「恥ずかしげもなくよくそんな事を……」
「ふふん、これでもヘヴィキャリバーは毎週見ていてね」
聞いてない。
しかし、これを言わなければアイスクリームはナシだ、それはヤだ。
深呼吸、周りを見渡して……蚊が鳴くような小さな声で言った。
「……ぼ、ボルトリリース、テルミットパープル、魔法の力で星となれー」
……変身せず。
何も起こらない。
「そうそう、声量が足りないと変身出来ないんだ、もっと大きな声で頼むよ」
「そういう事はもっと早く言って!」
「すまない、声量が小さすぎると誤動作する事があってね」
私は再び深呼吸して落ち着き、周りを見渡して……
「…………ぼ、ボルトリリース!テルミットパープル!魔法の力で星となれ!」
キランキラン!シャイイイイイン!!
パァンッ!パァンッ!ブワワワワー!!!
キラキラキラリ───ンッッ!!
「おお!成功だ!」
ドローンの光を浴びて私の衣装がキラキラと光ったかと思えばあっという間に魔法少女衣装になった。
スゴい、いや普通にスゴい技術だとは思うが……
「うう……恥ずかしい……早く脱いでもいい?」
「変身解除には最低三分かかるよ」
「だからもっと早く言ってッ!オフィスでこんな衣装着てるのバレたら先生がすごい事になる!」
すごい事になる。
それはもう……本当に舐め回すような表情をして襲ってくるかもしれない*1。
「なら自分の部屋はどうだい?私も同伴する事になるが、それでも良いなら最適な逃げ場所だろう」
「…………今汚いからだめ」
それはまずい、色々と見られると困るものがある。
「むむ、なら人気のない場所に逃げ込むしかないかもしれないね」
「ちょっと!解除キーみたいなのは無いの!?」
「必殺技を沢山撃てばバッテリー切れで強制変身解除が出来るが……」
「必殺技?」
「ああ、『テルミットスターレイル』が使えるよ」
「このよく分からない棒から?」
「棒……」
変身した時に何故か手に持っていた謎のキラキラ棒。
これをなんとかすれば必殺技が撃てるのだろう。
「そのステッキを振りかざしながら『テルミットスターレイルー!』と言うと必殺技が撃てるんだ」
「なるほど、では早速……テルミットスターレイル〜」
「待ってくれ、オフィスで使うと─────」
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始末書
この度、私の『テルミットスターレイル』によりシャーレ設備への損害と先生の同人誌の損害を加えた事、誠に申し訳ございませんでした。
今後は二度と同様の事故を起こさぬよう白石ウタハのドローンをシャーレから出禁にするという対策を行い───
最近名探偵プリキュアを見ました。
アルカナ・シャドウヤバいですね、あれほんとヤバい、好きすぎます。