ゲマトリア所属生徒『西条レイナ』   作:ガガミラノ

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テストは落第、偽り満点

 

 

 

 

「それじゃ!レイナちゃん、じゃーねー」

 

「あ、うん……また会いましょう」

 

 

アビドス一行は去っていく。

一方私は喪失感と、疲労感で立ち尽くしていた。

 

成果は何も得られなかった。

 

Vanitas Vanitatum Omnia Vanitas.(ばにたす)

 

 

「帰りましょう、先生」

 

''帰ろうか''

 

 

 

……カードって何だよ!!

 

 

━━━━━

 

 

 

シャーレのオフィスに戻り、レイナに仕事を手伝ってる貰っていると違和感に気づき━━━彼女の方を向いた。

 

 

''あのー、その、レイナさん……''

 

「なに」

 

''お仕事を手伝って貰ってる中、申し訳ないんだけど……そろそろコートを……''

 

 

コート。

そう、柴関に向かっている時にレイナに渡したコートだ。

 

それをレイナは今も着ていた。

 

 

「コート?」

 

''レイナが今着てるコート……''

 

「…………ああ、このコートね」

 

 

自分が着ている裾も丈も合っていないコートの袖口を引っ張るレイナ。

 

 

''シャーレに着いた事だし、返してもらってもいいかな?''

 

 

レイナはうーん、と考える表情をして言った。

 

 

「…………人ってのは不思議ねえ、理屈で分かってるし脳でも理解していて納得しているのに……渡したくないって私の身体が言ってる」

 

 

席から立ち上がるレイナ。

 

 

''あの?''

 

「そういえば今日は眠れそうだから眠るわね」

 

 

自室に向かうレイナ。

 

 

''ちょっと?''

 

「おやすみなさい」

 

 

オフィスを立ち去るレイナ。

 

 

''…………明日返してもらえばいいのかな''

 

 

 

━━━━━

 

 

 

プランB

先生の私物を一つずつ確認していく。

 

 

自分の部屋に逃げ込んだ私はコートをまさぐる。

 

 

(まずは簡単に手に入ったコートから)

 

 

ポケットには……何も無し。

内ポケットには━━━

 

 

(……猫の餌、ガム、風邪薬、絆創膏……まるで四次元ポケット)

 

 

よく外の人間や生徒から愛想良く挨拶されているのにはこういう理由があるのだろう。

 

しかし、カードは見つからず。

 

 

(それ以外は無さそうか)

 

 

コートを脱ごうとした時。

 

 

(……あ、いい匂━━━)

 

 

先生独特の、心地の良い……落ち着く香りが━━━

 

 

(……っ!?)

 

 

違う!

最近の私は何だか変だ!

 

 

(……でも……先生に包まれてるみたいで……)

 

 

それでもダメだ、ダメったらダメだ。

いくら暖かくても、心地良くても……

 

 

(ヤバい、手放せない、どうしよう)

 

 

だが身体は手放さない。

さっきはコート持ってくる為にバカみたいな嘘を言っていたが、あれが事実となってしまっている。

 

離せ、手放さければ。

 

 

「…………っ!」

 

 

ばさり、とコートが床に落ちる。

 

 

(…………バカみたい!)

 

 

変だ。

 

あの時、先生に撫でられてから私の思考はおかしくなった。

 

先生の為に働くのが常識となりつつある現在、私は何をすればいいか分からなくなっていた。

 

ただ一つ言えるのは、私はゲマトリアに魂を売った存在という事だ。

 

それを忘れてはいけない。

 

 

(……明日は一次試験の日、か)

 

 

 

━━━━━

 

 

 

次の日、一次試験が始まった。

 

試験の内容は至極簡単、基礎中の基礎。

今まで勉強してきたのなら間違いなく赤点を取るはずは無いだろう。

 

 

(あっ、ここ補習でやったところです……!)

 

(ううっ、これは……えっと……)

 

(……ふむ)

 

(うふふ♡)

 

 

(…………それで、なんで私も試験を受けてるんだろ)

 

 

 

事の発端は先生の一言だった。

 

 

 

……

 

 

 

''レイナも試験を受けよう!''

 

「……はあ?」

 

 

先生は私にも試験を受けさせようと、試験開始直前にそんな事を言ってきた。

 

 

「れ、レイナさんも受けるんですか?」

 

「私はトリニティの生徒じゃないから受ける必要なんて無いと思うけど」

 

 

しかし、そんな説得を聞かずに先生は叫んだ。

 

 

''レイナ!''

 

''試験の時間だよ!''

 

 

 

……

 

 

 

(まったく、人を馬鹿にして……)

 

 

ため息を吐きながら、鉛筆を走らせ……置く。

こんなの私にとってはちょちょいのちょいだ。

 

 

''……そこまで!テスト用紙を回収するよ、鉛筆や消しゴムは机の上に置いて''

 

 

完璧だ。

 

 

 

━━━━━

 

 

 

その後採点結果が届いた。

 

ようやくこの日常も終わりかと安堵したのも束の間だった━━━

 

 

 

ヒフミ:72点

アズサ:32点

コハル:11点

ハナコ:2点

 

 

レイナ:5点

 

 

「……っ……」

 

「れ、レイナさん!?レイナさんもテスト受けてたんですよね!?」

 

「…………うん」

 

「……レイナさん、答案を見てもいいですか?」

 

「はい……」

 

 

何故、私が5点だったか。

 

簡単な話だ。

 

 

「…………あら、答えが一問ズレてますね」

 

 

それだけの話だ!!

 

まったく馬鹿らしい!何がゲマトリアだ、何が補習授業だ。

こんな簡単なテストでこんな些細なミスをして5点とは何が!!何が!!

 

 

「レイナさん、大丈夫ですか?」

 

「…………馬鹿らしい!!」

 

 

消えて無くなりたい。

 

 

''レイナも次は頑張ろうね''

 

「元はと言えば先生が私にテストなんかさせるから!!」

 

''テストは大切だね''

 

「馬鹿っ!!」

 

 

補習授業部、合宿確定━━━

 

 

 

━━━━━

 

 

 

恥ずかしい事に、私は戦闘以外で冷静になり切れないらしい。

 

昨日の一件から私はどうも落ち着けない、よそよそしさと言うか何か自分に異変が起きている気がしてならなくて……すごく違和感を感じる。

 

前までの自分ならこんな事はしなかった、こんな事を考えなかった、感じなかった。

 

 

いつからだ?

 

先生に撫でられてから?それともそれ以前から?

 

……違う。

 

先生と出会ってからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

私の中で、 ()()が変わりつつある。

 

 

 

━━━━━

 

 

 

レイナは変わりつつある。

 

 

感情は段々と豊かになり、何かに関心を持つようになり━━━

 

 

「白洲さん、ここは……」

 

「なるほど」

 

 

なんだかんだ、他人を気にするようになった。

それでも、彼女はまだ退屈そうだった。

 

 

「…………」

 

 

物欲しそうな顔、寂しそうな顔。

 

そんな顔をして欲しくないからシャーレに誘ったのだろう?

 

私では力不足なのだろうか。

彼女の本心を知らなければ、どうしようもないのだろうか?

 

 

ナギサは言っていた。

 

『補習授業部というものは、生徒を退学させる為に作ったものですから』

 

 

トリニティの裏切り者、エデン条約、ETO。

 

ゲヘナとトリニティの敵対関係━━━

 

 

私の思っている以上にまで、事態は緊迫している。

 

いつしか、彼女にまで手が届かなくなるかもしれない。

 

 

そうならない事を祈るばかりだ。

 

 

 

━━━━━

 

 

 

合宿。

 

何かを達成する為に共同生活を過ごす期間。

 

 

話を聞くとどうやらトリニティの郊外にある別館で合宿をするようだ。

 

いかにも青春という言葉が似合うモノだろう。

 

 

 

「よいしょ……」

 

 

キャリーケースをぱたん、と閉める。

 

 

''パンパンだね''

 

「枕、化粧品、シャンプー類、手榴弾、クレイモア、弾薬、着替え、充電器、食料類、オイルライター……」

 

''手榴弾も……?''

 

「何が待ち構えてるか分からないから」

 

''多分必要ないと思うけどなあ……''

 

 

 

不測の事態があるかもしれない。

備えはあればあるほど良いのだ。

 

 

 

(……あ、歯ブラシ忘れてた)




Q.レイナさんはアリウスの考えを信じているのですか?
A.もしも信じているのなら今頃アリウス地区にいるはず。

Q.先生の香りってどんな香り?
A.落ち着く良い香りです、加齢臭とかじゃないです。

Q.先生の性別は?
A.男女どちらでも取れるようにしてます、容姿などについても連邦生徒会のコートを着ているという設定以外特に決めてないです。



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