ゲマトリア所属生徒『西条レイナ』   作:ガガミラノ

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伊達じゃない最強

 

 

ドカン!

 

 

「ッ!」

 

 

背後で大爆発が起こる、爆風を食らう直前に前転し何とか回避。

 

 

「レイナ!大丈夫か!?」

 

「問題ない、それより攻撃に専念して」

 

「ハナコからの救急箱だ、使ってくれ」

 

「……ありがとう」

 

 

牽制で撃ちつつ、目の前にいる美食研究会の連中を睨む。

 

 

「ナイス!アカリ!」

 

「イズミさん、今のうちに牽制をお願いします」

 

「りょーかいっ!」

 

「んーーーっ!んーーーっ!?」

 

 

美食研究会との距離は10m先、至近距離戦を挑めば蜂の巣。

……それと、何故かロープでぐるぐる巻きにされてるゲヘナの人間がいる、何故????

 

車の残骸を遮蔽にしつつ、何とか機関銃の攻勢に耐えていた時、通信が入る。

 

 

''レイナ、アズサ、状況はどう?''

 

「ちょっと物量で押されてるけど、大丈夫」

 

''ヒフミ達の準備完了したから、攻勢に出れるけど……''

 

「了解、タイミングは任せるわ」

 

''分かった''

 

 

遮蔽から顔を出し、一瞬だけ敵の方を覗いた瞬間……

 

ズダダダダダダダ!

 

 

「わっ」

 

 

機関銃の雨あられが降り、すぐに引っ込む。

 

 

(厄介ね……)

 

 

その時、通信機から先生の声が聞こえる。

 

 

''アズサ''

 

「ん?」

 

''クレイモアはある?''

 

「三つほどあるが……何に使うんだ?」

 

''前と同じ事をしてみよう''

 

「……?」

 

''つまりね……''

 

 

……

 

 

先生から作戦内容を聞くと、白洲アズサは納得した表情をしていた。

 

 

「…………なるほど、分かった」

 

''レイナもその作戦で良い?''

 

「異論なし」

 

 

大胆だが、この混戦の中だと刺さる可能性は高いはずだ。

 

 

''じゃあ、作戦開始!''

 

 

残骸から身を乗り出し、敵の方へ走り出す

 

 

「……!イズミさん、来ます!」

 

「任せてーっ!……うわっ!?」

 

「奥から狙撃をされるので、それに気をつけてください」

 

「先に言ってよ!?」

 

 

機銃による掃射を避けつつ、遮蔽物を利用しながら美食研究会との間合いをじわじわと詰めていく。

 

 

(恐らく美食研究会はこのまま私達の戦いに応じてくれない、時間が経てば経つほど正義実現委員会が集まる……その前に逃げるようとするはず)

 

(その前に捕まえないと)

 

 

美食研究会との距離はもう目と鼻の先にある。

 

 

「白洲さん、準備は良い?」

 

『いつでも大丈夫だ』

 

 

通信機越しに聞こえる白洲アズサの言葉を聞き、最後の遮蔽物から飛び出す。

 

 

「……」

 

 

相対したのは、美食研の会長……黒舘ハルナ。

 

 

「あら……貴方が、シャーレの?」

 

「西条レイナよ」

 

「レイナさんと呼んでもいいですか?」

 

「構わないわ」

 

 

銃口を突きつけながら、時間を稼ぐ。

私の常套手段だ。

 

 

「ふふっ……ありがとうございます」

 

「さて、悪いけど大人しく捕まってくれる?」

 

 

にこ、と笑いつつ圧をかけるように言うも彼女は笑った。

 

 

「……丁重にお断りさせて頂いても?」

 

 

私は笑みを一切消し、一言述べた。

 

 

 

「ならば強制執行のみ」

 

「出来るものなら……」

 

 

 

…………もうそろそろ良い頃だ。

 

 

「……下江さん!」

 

 

下江コハルの名を叫び、作戦を開始した。

 

 

「う、うんっ!」

 

 

その時、美食研究会達の足元にグレネードが転がり、大爆発が発生した。

 

爆風で揺れるドレスを抑えながら、私は追い詰めるように美食研に向け銃を連射する。

 

 

「二人だけじゃなかったようですね」

 

「言ってる場合!?ヤバくない!?」

 

 

後ろから下江コハルと阿慈谷ヒフミが遅れて走ってくる。

 

盤面は整った。

 

 

「レイナさんっ!アズサちゃん!これを!」

 

 

阿慈谷ヒフミが投げて展開されたの……ペロロ様の……デコイ。

凄く踊ってる、ちょっとキモすぎるかも。

 

 

「な、何このキモい人形!?」

 

 

と、赤髪の生徒が叫ぶ。

 

……あれ?

 

 

「キモい……?」

 

「あ」

 

「あっ」

 

「いやいや、キモいでしょこの人形!怖いって!」

 

「なんだァ?てめェ……」

 

「ひぇっ」

 

 

下江コハルが顔を真っ青にして縮こまっている、阿慈谷ヒフミの顔は……すごくこわい。

 

 

「……分かりました!もう絶対許しませんッ!」

 

 

阿慈谷ヒフミが美食研究会に向け、銃を乱射する。

こうなってしまえばこっちのものだ。

 

 

「やばっ……も、もう逃げよ!?」

 

「そうですね、マグロも手に入れた事ですし、逃げた方が良さそうですね……では、私達はこれで」

 

「 ( 눈_눈) 」

 

 

と、全員揃って逃げ出した時……

 

 

「あっ……に、逃げちゃう!」

 

「最後のトラップがまだ残ってるわ」

 

 

ドカァァァァン!

 

逃げ出した美食研究会の通路で爆発が起きた。

 

 

「ぎゃああああああっ!?」

 

「クレイモア……!」

 

「んぐーーーー!?!?」

 

 

そう、こうして戦線のラインを無理やり詰めている間に白洲アズサが敵の撤退ラインにクレイモアを展開させる作戦だったのだ。

 

 

「先生、対象は上手く引っかかってくれた」

 

''ナイスだよ、アズサ!''

 

 

爆発が起きた美食研究会はまっ黒焦げになりつつまだ逃げようとしていた。

因みに持っていたカジキはじゅうじゅうと良い匂いと音がしている。

 

 

「マグロがーーー!!」

 

「照り焼きになってしまいましたね……」

 

 

照り焼きマグロ……照り焼きパフェ……

 

 

「はっ、バラバラに逃げたら生存率上がるんじゃない!?」

 

 

……と、くだらない事を考えていた隙に美食研究会のメンバーのうち一人が仲間を置いてそそくさと逃走を始めた。

 

 

「なるほど、良いアイデアですねジュンコさん☆では弱肉強食という事でっ」

 

「そうですわね、運任せではありますがそれもまたスパイスのようなもの!それでは!」

 

「ちょ!?ちょっと待って!私だけ置いていかないでー!」

 

 

次々と逃走する美食研究会のメンバーに、一人だけ残されたメンバーは慌てて逃げ出した。

 

 

''よし、皆は一旦撤退!後はハスミ達に任せよう''

 

「了解」

 

 

 

━━━━━

 

 

 

さて、今回の件でいくつか分かった事がある。

 

先生は作戦立案の天才だという事。

恐らく桐藤ナギサの正義実現委員会に対する考えは誤解な事。

そして、パフェはもう存在しない事。

 

 

 

 

「お疲れ様でした、先生、補習授業部の皆さん、お陰様で事態は無事に収拾しました」

 

 

落ち着いた商店街にて、羽川ハスミは皆に丁寧なお辞儀をした。

 

 

「や、役に立てたのかどうかは、分かりませんが……!」

 

 

下江コハルは興奮しつつも、慌てた様子で喜んでいた。

 

 

「それと、美食研究会についてですが、今回は時期が時期なのでゲヘナの風紀委員会に託そうかと……そこで先生にもう一つお願いがあるのですが宜しいですか?」

 

''うん、何をしたら良い?''

 

「今の時期を考えると、私達が能動的に動くのは少々避けたいところです……ですので風紀委員会への引渡しを先生にお願い出来ないでしょうか?」

 

''分かった、任せて'''

 

 

でた、お人好し。

これだからこの人が嫌いなんだ。

 

 

「何から何までありがとうございます、私達は引いた位置にいますので……よろしくお願いいたします」

 

 

……しかし、万が一先生が誘拐でもされたら面倒だ。

 

それなら、いっそ━━━

 

 

「……それなら私が引き渡すわ、そっちの方が先生にとって危険は無いだろうし」

 

''大丈夫、風紀委員会には顔見知りが多いから''

 

「……へー」

 

 

しかし、優しく拒否された。

 

 

「じゃ、何かが無いように隣にいるのは?」

 

''それじゃあ、前みたいにボディガードをお願いしようかな''

 

「任せて」

 

 

(……レイナさん、目に見えてヤキモチ妬いてますね……)

 

(あはは……レイナさんらしいですね……)

 

 

 

━━━━━

 

 

 

トリニティとゲヘナの境界にある、大橋の上。

 

そこでテロリストの引渡しが行われる事になった。

 

 

 

「……来た」

 

 

一台の車両が止まり、現れたのは━━━

 

 

「お待たせしました、死体は何処ですか?」

 

''……あれ?''

 

「失礼、()()ではなく()()()でしたね、たまに混同してしまって……納品リストには新鮮な負傷者と人質一名……と書かれていましたが」

 

 

……ゲヘナの救急医学部。

 

 

(政治的な争いを避ける為に、敢えて政治とは無関係の医療組織に任せた……か)

 

 

ゲヘナも頭ゲヘナの連中ばかりじゃないのだろう。

にしても死体と言うのは不謹慎が過ぎないだろうか……?

 

 

「ところで貴方達は?正義実現委員会の方では無さそうですが……」

 

''えっと……''

 

 

恐らく先生も初めて会う生徒なのだろう、風紀委員会が引き渡すと聞いていた先生は困惑している。

 

仕方ない、私が━━━

 

 

 

 

 

「その方はシャーレの先生」

 

 

 

 

 

その時、車からもう一人の生徒が現れた。

 

 

白い髪、紫色の鋭い目、黒い手袋。

 

 

ゲヘナの最強、空崎ヒナ。

 

 

 

 

「久しぶりね、先生、いつぶりかしら……ところでここで何をしてたの?」

 

「知り合いでしたか、風紀委員長」

 

「うん……まあ、そうね」

 

 

彼女は少しだけ苦い表情をしつつ、肯定をする。

 

 

 

……

 

 

 

その後、先生が空崎ヒナに事の経緯を説明すると、空崎ヒナは納得した。

 

 

「なるほど、政治的問題を避ける為に、先生が介入した……って事ね」

 

''それでそっちも同じ思惑で、救急医学部を……って事だよね''

 

「そう、私はただの付き添い」

 

 

双方が状況を理解すると、空崎ヒナはまたため息を吐いた。

そして、救急医学部の生徒が先生の前まで歩き……ぺこりとお辞儀をする。

 

 

「救急医学部の部長、氷室セナです、以後よろしくお願いします、死た……負傷者がいたらいつでもお呼びください、配送料は不要ですので」

 

''よ、よろしくね……''

 

 

先生は苦笑しつつも、氷室セナに挨拶をした。

 

 

「……そういえばその隣にいる子は……」

 

 

空崎ヒナは私に目を向けた瞬間、私はいつものように丁寧にカーテシーをした。

 

 

 

 

 

「シャーレ所属の生徒、西条レイナ、よろしく」

 

「ゲヘナ風紀委員会の委員長、空崎ヒナよ、よろしく」

 

 

 

 

社交辞令のように、私達は挨拶をする。

決して敵意は無い、だが同時に好意もない。

 

そう、ただの社交辞令……

 

 

「……はあ、政治ごっこは風紀委員長に任せます、私は死体以外には興味ありませんので」

 

 

私達の雰囲気を察したのか氷室セナはため息を吐く。

 

 

「負傷者でしょう?それに本物の死体を見た事無いでしょうに」

 

「その事については風紀委員長も無いでしょう?」

 

''レイナも無いよね''

 

「……えっ?ああ……うん、無いわよ」

 

 

空崎ヒナは美食研究会が護送されている車を指さしながら、こちらを向く。

 

 

「とにかく、美食研究会はこの中よね、こっちに移してもらえる?」

 

 

私が護送車の扉を開くと、中にはロープでぐるぐる巻きにされている美食研究会がいた。

 

黒舘ハルナを連行しつつ、の空崎ヒナにロープの手綱を渡すと黒舘ハルナはニコ、と笑う。

 

 

「ふふ、ヒナさん、お久しぶりですわね」

 

「ハルナ、相変わらず……いや、話は帰ってからで」

 

 

うんざりとしたような表情を見る辺り、やはり風紀委員会の常連なのだろう。

 

 

「た、助かった……」

 

 

最後尾にいるのは……ロープでぐるぐる巻きにされていたゲヘナの生徒だった。

 

 

「あら、給食部の……今日一日見てないと思ったらこんなところにいたのね、今学園でジュリが……いや、帰りながら話すわ」

 

 

…………うん、やっぱり私、ゲヘナは苦手だ。

 

そう思いつつ、ゲヘナ側の扉を開くとあ私はある事に気づいた。

 

 

「……一人足りないわね」

 

「ええ、まあ面倒だから良いわ」

 

 

面倒だから良いの?大丈夫?一応テロリストだよ?

 

……まあ、この際ツッコミは野暮だろう……私も今日は疲れた。

 

 

「先生、レイナさん、今度ゲヘナにいらした際は何か美味しいものをおもてなし致しますね」

 

「では、また今度〜☆」

 

「うるさい、早く入って」

 

 

……なんというか、残り香が凄い連中だ……

 

扉を厳重に閉めつつ、ため息を吐く。

 

 

''えっと、気をつけてね……''

 

 

先生が手を振りながら苦笑している。

氷室セナはいつの間にか護送車の運転席に座っており、エンジンの音が鳴る。

 

 

「積載完了しました、準備完了です」

 

「……少し待ってて」

 

 

空崎ヒナは出発に待ったをかけ、先生の目の前まで歩く。

 

 

「先生、トリニティで何をしてるの?」

 

 

そんな鋭く、冷たい声が大橋の上で響く。

 

私は先生を守る体勢に移ろうとするも先生から止められ、先生は誤解の無いように冷静に、宥めるように説明する。

 

 

 

''補習授業部ってところの担任を……''

 

 

先生が説明をしようとするも、空崎ヒナは先生の言葉を遮る。

 

 

「それはもう知ってる、情報は色々とあるから……そうじゃなくてこの時期にトリニティにいるとまるで……」

 

 

まるで、トリニティ側に着くようなもの。

そう言いたいのだろう。

 

しかし、空崎ヒナは言葉を止めて……暫く考える素振りを見せた。

 

 

「……やっぱり今のは無し、気にしないで」

 

 

空崎ヒナはため息を吐きながら、やれやれといった表情になる。

きっと、彼女には彼女なりの先生に対する信頼があるのだろう。

 

 

そんな空崎ヒナを見て、先生は私に耳打ちした。

 

 

''……レイナ、少し離れてもらってもいいかな?''

 

「? 別に良いけど……」

 

''ごめんね、少しデリケートな話題でさ……''

 

「……そう、それなら終わったらまた呼んで」

 

 

 

 

 

どうせ、後から聞いてやるもの。

 

私は彼女と違って悪い子だから。




レイナの先生に対する好感度表

レイナ
信頼度:55%
親愛度:60%

先生に対する信頼はかなりある。
ただし、最重要なのはゲマトリア……という認識。
それと同時に日を追う事にゲマトリアに相応しい人間だという思いが強まっている。







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