ゲマトリア所属生徒『西条レイナ』   作:ガガミラノ

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ランキング10位記念&赤バーMAX記念にナギさんからイラストを頂きました!


【挿絵表示】



ありがとうございます!!


走れば諸共

 

 

 

 

補習授業部の学習自体は極めて順調だった。

私の目から見ても、このまま二次試験に挑めば合格は間違いなしだった。

 

 

だが、政治はそれを許さない。

 

 

(……)

 

 

試験範囲を三倍に拡大。

合格ラインを90点へ。

 

試験会場はゲヘナの廃墟。

 

掲示板に貼られた紙には淡々と、平然と無茶難題が述べられていた。

 

 

桐藤ナギサの陰謀だろう、これだから政治家は嫌いなのだ。

 

補習授業部は困惑し、どうすればいいか戸惑った。

私はただ次にやるべき事を察し、戦いの準備をした。

 

 

自室にあるキャリーケースを閉じて、息を吐く。

 

 

メインウェポン、サブウェポン、弾薬、炸裂弾。

手榴弾、閃光弾、スモーク、オイルライター、多少のお金、その他諸々。

全部スーツの内側やポケットに入れた。

 

外から見ると何も変わらないが、スーツの裏は重武装状態。

 

……ふふ、少しカッコイイ……かも。

 

 

「準備よし」

 

 

と、立ち上がった瞬間、部屋の扉が開かれる。

 

 

「レイナ、準備は大丈夫か?」

 

 

開けたのは白洲アズサ。

モーニングコールを頼んだ記憶は無いが……

 

 

「……あのねえ、声をかけるなとは言ってないでしょう?……大声はビックリするからノックをしてって事よ」

 

「そうなのか……ごめん」

 

 

しゅん、と申し訳無さそうな顔をする白洲アズサを見て私は謎の罪悪感を感じ……

 

 

「…………まあ、いいけど……」

 

 

強く責め過ぎたかな、と反省する。

 

 

 

━━━━━

 

 

 

私はトリニティかゲヘナがで言うとトリニティが好きだ。

だがそんなゲヘナでも好きな所はある。

 

ゲヘナの学風である「自由と混沌」

 

統制より自由、秩序より混沌。

 

そうそう、マダムからよく言われるのだが、私は『ゲマトリアらしくない感性』らしい。

当然だ、ゲマトリアの多くの人間は秩序が無い事を苦手とする。

 

しかし、それと同時に混沌によってのみ生まれる芸術や活路もある。

 

例えば『塹壕』ははるか昔に、今より混沌としていたゲヘナで生み出された概念だ。

破壊や戦争によって生み出された『芸術』は数え切れない程ある。

 

だからこそ、黒服やマエストロは私のポリシーを理解してくれている。

ゲマトリアらしくない感性だからこそ、生み出される研究結果があるはずだ。

 

 

だが、混沌過ぎるのも玉に瑕で……

 

 

 

「んー?なんだか見慣れない奴らだなァ?」

 

「無視とは冷たいねぇ、そんなに急いで何処に行くのさ?」

 

 

絵に描いたような不良が銃を握って試験会場に行こうとしていた私達に絡む。

 

 

「え、えっと、私達は試験を受けに行く途中でし━━━」

 

 

と、先頭にいる阿慈谷ヒフミが説明しようとしたのを中断させて……

 

 

「ん」

 

 

不良の手に無理やり千円札を渡す。

 

 

「へへっ、分かってんじゃねぇか」

 

 

満足げな不良生徒は私達を通り過ぎ、けらけらと嘲笑う声が聞こえる。

 

 

「ちょ、ちょっと!?レイナさん!?」

 

「早く行くわよ、時間が無いんだから」

 

「で、でもお金が……」

 

「これがここの常識、戦いで捩じ伏せる気が無いのなら金を渡す」

 

 

今は時間が惜しい、普段はしないがこうなれば金でも何でも渡して試験会場に向かわなければならないだろう。

 

さあ、試験会場に向かわなければ━━━

 

 

「……ふん」

 

 

「ぐああっ!?」

 

「ぎゃっ!!」

 

 

と、思っていた時……白洲アズサはライフルを通り過ぎた不良達に振りかざし、倒れた不良の胸ポケットから千円札を取り出した。

 

 

「お金は取り返した、アレはレイナのお金だ」

 

 

そう言って私に千円札を渡す白洲アズサ……

 

 

「ちょ、ちょっと……!別に取り返さなくてもいいのに!」

 

「だめだ」

 

 

キッパリとそういう彼女に私は頭を抱える。

何故なら、ここは不良の縄張りだからだ。

 

 

「てめぇら!やりやがったな!?」

 

「やっちまえ!」

 

 

「ほらぁ!」

 

 

ゾロゾロと裏手から不良生徒が現れる。

苦々しい顔をしながら、私は銃を構えた。

 

 

「……仕方ない、強行突破だ」

 

「ですね♡」

 

「バカっ!!」

 

 

……

 

 

「うげーっ!!」

 

 

無論、先生の指揮のおかげで損害も怪我も無く不良生徒を全滅。

重戦車が出た時はギョッとしたが、所詮は烏合の衆だったな。

 

 

「先を急ごう」

 

 

そう言って増援から逃げる為に、私達はガンダッシュでその場を後にした。

 

 

 

━━━━━

 

 

 

(……検閲か)

 

 

暫く走っていると何やら道路を封鎖している連中がおり、風紀委員の制服を着た二人の生徒に止められた。

 

 

「止まれ!ここから先は立ち入り禁止になっている!」

 

 

内ポケットの中に入っているサブウェポン(デザートイーグル)に手をかける。

 

 

「そもそも今日は外出禁止令が出されているはずだ!早く戻って━━━待て、その制服は……トリニティ!?」

 

「オラッ」

 

「ぐえっ」

 

 

そしてサブウェポンを思いっきり後頭部に振り下ろし、一人気絶させる。

 

 

「な、しゅ、襲撃だ!トリニティの連中が襲撃に来たぞ!」

 

「れ、レイナさん!?!?」

 

 

サイレンが鳴り響き、何やら革靴の音がどこからともなく聞こえてきた。

 

メインウェポンは━━━弾数調整の為にもサブウェポンの方を使った方が良いか。

 

 

「突破するわよ、話をするヒマはないわ」

 

「余計に誤解が深まりませんか!?」

 

 

誤解が深まろうがなんだろうが、目の前にいる連中に話が通じるはずがないだろうに。

デザートイーグルを片手に迫り来る風紀委員を睨んだ時……

 

 

「言ってる場合?来る━━━」

 

 

目の前にいた風紀委員達は爆発で吹っ飛んだ。

 

 

「!?」

 

「レイナさーーーん!?」

 

「今のは私じゃないわよ!」

 

 

阿慈他人ヒフミが私の名を叫ぶが、アレ何かしらの爆撃か迫撃砲、またはグレネードランチャーだ。

 

厄介な事に爆発でここの風紀委員会はまだ全滅した訳ではないし、恐らくこの騒ぎを聞きつけて色々なとこから増援が駆けつけてくるだろう。

 

 

「確かに今のは私達の遥か後方から飛んできました、しかし一体誰が……」

 

 

その時、爆煙を突っ切って一台の車が目の前で止まる。

 

 

「あら、やっぱり先生でしたか!」

 

「大当たりでしたね、ここで何をされているのですか、先生?」

 

''美食研究会の皆!''

 

 

やけにオープンな車に乗っているのは以前捕まえたはずの美食研究会。

……あと、相変わらず捕まっているゲヘナの生徒。

 

 

「……この前捕まえたわよね」

 

 

まあゲヘナの連中の事だからどうせ脱獄したんだろうけど。

 

 

 

━━━━━

 

 

 

その後先生から説明を聞いた美食研究会はノリノリで私達を試験会場に連れて行く事を受け入れた。

 

その結果……

 

 

「うわあああああっっっ!!」

 

「何なんですか!一体どうしてこんな事に!?」

 

「ヒフミ、揺らさないで!照準が合わないからっ!」

 

 

(何か聞こえる……)

 

 

風紀委員会の戦力を分散させる為にも私と白洲アズサ、浦和ハナコはバラバラで行動し集合することになったが……

 

 

「逃げるぞ!追え!」

 

(面倒ねぇ〜〜〜)

 

 

恐らく風紀委員会のメンツの為だろうか、連中は必死に私の事を追っている。

 

カチン、と手榴弾のピンを抜いて後ろにいる投げ込む。

 

 

「ぐあああっ!!」

 

 

南無阿弥陀仏、いや死んでないけど。

 

 

「止まれ!」

 

 

そんな走っていた私の目の前に、白バイが止まり乗っている風紀委員が銃口を向ける。

 

さて、ここで良い子の不良達の為に、簡単に出来るバイクの強奪方法を分かりやすく教えよう。

 

 

「うわっ!」

 

 

まず握っていたサブウェポンを風紀委員に思い切り投げつけ、風紀委員を怯ませる。

 

 

「ほい」

 

「ぐっ……!」

 

 

次に、スライディングしながら素早くメインウェポンを取り出して腹部に一発、対象は気絶。

 

 

「よいしょ」

 

 

そのまま投げたサブウェポンを拾いつつ、立ち上がって白バイに乗る。

 

……ね?簡単でしょ?

 

 

「アズサちゃあああんっ!!??」

 

 

(……まーた騒いでる……)

 

 

どうやら向こうは苦労しているらしい。

 

 

 

━━━━━

 

 

 

「……あら?」

 

 

暫くバイクで逃げ回っていると、誰かが道路の道端に落ちている。

 

 

''うう……''

 

「あら、先生」

 

''れ、レイナ……?''

 

 

情けない大人を発見。

 

 

「何やってるの?阿慈谷さん達は?」

 

''はぐれちゃって……''

 

「馬鹿ねえ、ほら、捕まって」

 

 

先生の手を引っ張り、立ち上がらせる。

 

 

''ありがとう……って、白バイ?''

 

「奪ったの」

 

''……うん、後で……返しに行こっか……''

 

 

その返しに行くべき連中は今私達を死に物狂いで追っているのだが……

 

 

「言ってる場合?お人好しさん」

 

「いたぞ!!捕まえろ!!」

 

''あはは……確かに……''

 

 

背後で白バイ隊が私を捉えた。

先生が私のすぐ後ろに座り、エンジンをつける。

 

 

「……それじゃあ行くわよ、しっかり捕まってて」

 

 

フルスロットルで、走る。

 

 

''うわっ!?ちょっと早すぎない!?''

 

 

 

 

 

(……手つきがなんかやらしー……)

 

 




ハルナ「あら、レイナさんでしたよね?」
レイナ「そうだけど……貴方達相変わらず懲りないわね」
ハルナ「ふふっ……私達は心から美食を探求する者ですから」
レイナ「似たようなモノよ、私も……ま、今回は仲良くしましょ」









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