ゲマトリア所属生徒『西条レイナ』   作:ガガミラノ

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神様モドキとカミサマ

 

 

 

 ホップステップジャンプ。

 さらにバックステップした後横へ飛びつつ排莢。

 

 装填は二秒、致命的な隙は無くせ。

 

 ミサイルは迎撃で、ガトリングは遮蔽と機動で避け切る。

 

 

『流石の身のこなしですね』

 

「でも手応えが無い、まるで余裕があるかのようなワンパターン行動よ」

 

 

 ミサイルとガトリングだけの攻撃は最早パターン化されて私がダメージを食らう事はゼロに等しかった。

 それでもケテルはただひたすらにガトリングとミサイルをこちらに撃ち込む━━━ハッキリ言って少し不気味だ。

 

 あまりにも単調すぎる、何かこの行動に裏がある気がして仕方ない。

 

 

『レイナ、油断は禁物ですよ』

 

「分かってる」

 

 

 ガトリングのリロードの隙を狙って銃口を向けた時だった━━━

 

 

「何ッ!?」

 

 

 

 突如、ケテルの脚部から黒いワイヤーが射出された!

 

 

 

 ワイヤーに引っ張られたケテルは今までとは考えられないスピードで後ろに下がり、僅か二秒という短時間で私の視界から消えた。

 

 

「ワイヤー!」

 

『確かにあの重武装と重心の低さでは並大抵のブースターでは移動は出来ない……興味深いですね』

 

「言ってる場合!?そっちのレーダーでケテルの位置をモニターして!」

 

『モニターするまでも無いでしょう』

 

「何?」

 

 

 その時、突風が巻き起こる。

 金属が軋めく音、火花の散る音、蒸気の吹き出す音。

 

 

 土煙が晴れた先は巨大な野戦砲を搭載したケテル。

 

 

 その巨大な砲口は、こちらに向いていた。

 

 

 

 ━━━━━

 

 

 

「うひー、こりゃいくら手があっても足りないね」

 

 ''ホシノ、大丈夫?''

 

「うん、レイナちゃんのサポートもあるし何とか耐えれそう」

 

 

 ミサイルとビームによる弾幕攻撃はたった一人の少女に向けて放たれていた。

 

 ビナーの勝ち筋は一つ。

 私達のうち一人を再起不能にし、そのまま私達のをなし崩し的に崩壊させる。

 逆に言えば私達は誰か一人でも再起不能になれば私達は敗北する。

 

 そしてこの場合、アキレス腱と成りうるのは小鳥遊ホシノ━━━では無く私だ。

 私は小鳥遊ホシノと比べてタフさは無いし、それを補完する盾も無い。

 だから冷静に落ち着いて、攻撃を回避しつつ隙を狙わなければならない。

 もしも私と小鳥遊ホシノだけならば時間がかかっただろう、「チームワーク」は私が苦手な事柄だ。

 

 

 でもそれは先生がいなかったらの話。

 

 

 ''レイナ、ミサイルを迎撃した後にビナーが暴れるから気をつけて!''

 

 ''でもミサイルとビームのリロードの間に僅かな攻撃の間がある、それを利用すれば……''

 

「至近距離で近づいてビナーを敗北に追い込める」

 

 ''その通り''

 

 

 この短期間でそんな隙を見つけるとは流石先生と言うべきか。

 ともかく攻撃のタイミングは理解した、あとはチャンスを待つだけ。

 

 

「レイナちゃん、多分向こうもこっちの意図を理解してる」

 

「うん……あんまり長期戦は出来ないわ」

 

 

 滴る汗は体力を確かに奪っている証拠だった。

 気温は45℃、まだまだ陽は照らし続ける。

 

 

「日照りも酷いし、レイナちゃんの体力も持たないでしょ?」

 

 

 パタパタと手で風を扇ぐ小鳥遊ホシノを見ながら私は余裕を醸し出す。

 

 

「別に私は大丈夫、そっちこそ暑がってるけど大丈夫なの?」

 

「おじさんはなんだかんだ丈夫だからさ」

 

「私も丈夫な方だから大丈夫」

 

 

 あとから思えば子供っぽい対抗心だっただろう。

 キヴォトス最高の神秘に、私が勝てないチカラそのものに……どんな分野でも良いから勝ちたい。

 

 例えるならサウナで二人きりになった時、些細な対抗心で相手がサウナを出るまで待ち続けるような……そんな感覚で私は背伸びをした。

 

 

「でもレイナちゃんのウエストすっごい細くない?ちゃんと食べてる?」

 

「ちゃんと食べてる」

 

 

 これは嘘だ。

 私はあんまり食事が好きじゃない、味に拘ったところで添加物や最終的な栄養の事を考えれば無意味な事なのだ。

 

 でも、対抗心が芽生えてしまった。

 

 

 ''でも確か最後のご飯、カロリーバーだったよね?''

 

「栄養が入ってるからいいの」

 

 

 先生が野次を飛ばしてくると、小鳥遊ホシノは私の方をじとりと見つめた。

 

 

「やっぱり食べてないじゃないか〜!もー、ちゃんと食べなきゃダメだよ━━━」

 

 

 まるでおばあちゃんのように小鳥遊ホシノがぷんすかと怒った時、ビナーからミサイルが次々とこちらへ向かって射出される音が聞こえた。

 

 

「ありゃ、すっかり忘れてた」

 

「AIもヤキモチを焼くのかしら」

 

「お餅にしたら美味しそうだし焼くんじゃない?」

 

「ならそういう事で」

 

 

 そんな私の声と共に、私達は二手に別れた。

 

 

 

 ━━━━━

 

 

 

 アスファルトの欠片、金属片、粉塵、火薬、炎、埃。

 

 肌を、喉を、耳を━━━視覚以外の全てが硝煙に浸された。

 

 

「おぇっ……ぺっ」

 

 

 すんでのところで直撃は回避したが爆風で吹き飛ばされてしまった。

 流石に野戦砲を至近距離で喰らえば私と言えど意識を手放してしまう。

 

 だがカミサマは私に微笑む。

 

 いや、違う━━━━━

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

「━━━ああ、最悪だ、本当に最悪な気分」

 

 

 服はズタボロで口の中が切れて不快だし、あんなロボット風情に吹っ飛ばされたという事実が腹立たしくて仕方ない。

 

 

 髪の毛をわしゃわしゃと掻きむしりながら、脳内を一度リセットする。

 あ、あと……リボンは大丈夫、汚れてないしちぎれてもない。

 

 

 Q.何をするべき?

 A.敵を倒せ

 

 Q.それ以外には?

 A.情報を集めろ

 

 Q.今有効な一撃は?

 A.神秘を━━━━『レイナ、大丈夫ですか?』

 

 

 殺意と怒りなどの感情が渦巻く中、それを収めて脳内で考え事をしていた時黒服が無線で私の安否を確かめてきた。

 

 

「当然、ここでシャワーを浴びたくなる程汚れているけど健康体そのものよ」

 

『レーダーによるとそちらに200体程のレイバーが向かっています、早急にケテルの情報を集めてください』

 

「了解」

 

 

 ぺッ、と口の中の血溜まりを吐く。

 

 

『貴方をこのようなテストで失うには惜しすぎる……ええ、無事に帰還してくださいね?』

 

「貴方以外の誰かが私に試練を課したみたい言い方ね?」

 

『ええ、貴方の存在に反発する者は少なくありません』

 

「証明か」

 

 

 周りに証明しなければならない。

 私の居場所がここにあるという……ここが私の━━━

 

 

 私の居場所だから。

 

 だから大人に私の居場所があるという事を証明しなければならない。

 

 

 

「その為には、お前にはスクラップになってもらわないといけないな?」

 

 

 

 その為にはお前は邪魔だ。

 

 

「けけっ……けっけっけっ」

 

 

 そうだ、何を使ってもいいから、何をしてもいいから……コイツをぶっ壊せばいい。

 そしたら私の居場所は守られる、見捨てられないで済む。

 

 ()()()()()()

 

 そう考えると段々と楽しくなってきた。

 

 

『レイナ、少し━━━』

 

 

 

『……いえ、その方がより()()()()()

 

 

 

 そんな無線の声もどこか遠くて、私の脳には行き渡らなかった。

 

 

 

 

 

 ━━━━━

 

 

 

 そういえば以前にもデカグラマトンの預言者と戦った事がある。

 

 あの時は必死だった、自分の居場所が無くなるような気がして必死に藻掻いた。

 ……悪い経験にはならなかったさ、でも少し野蛮過ぎたかもしれないと反省はしている。

 

 

 もっと高貴に、美しく、大人らしくならなければならないと実感した日だったなあ。

 

 

 ''ミサイル、来るよ!''

 

 

 そうだ、あの日もこんな感じでミサイルが降り注いでいたっけ。

 あの時は慢心する事も無く的確に冷静に戦ったんだ、この前の私とは違ってね。

 

 ホップステップジャンプ。

 さらにバックステップした後横へ飛びつつ排莢。

 

 少しだけデジャヴのような、懐かしさのような感覚に陥るが……それは一度忘れて、走る。

 

 

 ''次はビーム!''

 

 

 ビナーが口部にエネルギーのようなものをチャージしている。

 揺れる地面はまるでドラムのように音が鳴り、聞こえる音は轟音の嵐のようで。

 

 

 ''来るっ!''

 

 

 先生が叫んだと同時に私の目の前に黒い影

 

 

 

「おじさんに任せなって」

 

 

 

 盾は小鳥遊ホシノの前に真っ直ぐと突き刺さり

 

 

「ええ、()()()()()()()()

 

 

 盾は凄まじい勢いのビームを守り通した。

 

 

 その音は滝の音より大きく、熱はフライパンに乗せられた目玉焼きの気分を味わえる程の熱さ。

 少し足を踏み外せば勢いに持っていかれて吹っ飛ばされそうになる。

 

 

「大丈夫?レイナちゃん」

 

「大丈夫、そっちこそ小さい身体持ってかれてないでよ」

 

「やっぱり対抗心みたいなのあったんだね」

 

「……別に、無いもん」

 

 

 なんだか見透かされていたような気分がして非常に不愉快だ。

 そう思って頬を膨らませ、少し眉を顰めた時だった。

 

 

「うへ、大丈夫大丈夫、先生は盗らないから」

 

「っ!?」

 

 

『先生は盗らないから』なんて言葉を聞いた時私は飛び上がりそうになった━━━のをすんでで堪える。

 

 

 

 違う、先生の事は関係ない。

 

 ……先生が、盗られても私は気にしない。

 

 ……………………いや、少しだけ気になるかも。

 

 

 

「……別に、いいもん……」

 

「うへー、レイナちゃんも乙女だねぇ?」

 

「揶揄うなら後ろから蹴飛ばすわよっ」

 

「それだけは勘弁してー!」

 

 

 そんなやり取りをしているとビーム攻撃は終わり━━━ついに、時が来た。

 

 

 

「さあ、反撃開始だ」

 

 

 

 ━━━━━

 

 

 

 

『レイナ、レイバーが来るタイムリミットまで15分です』

 

 

 

 煙が広がって、炎が舞う。

 

 煙が広がって、炎が舞う。

 

 煙が広がって、炎が舞う。

 

 

 だが血肉は焼けない。

 それと同時に装甲も剥がれない。

 

 

 

「埒が明かない」

 

 

 野戦砲がこちらを狙い撃つ。

 私はそれを見切って避ける。

 

 

 恐らくケテルの狙いは私にその野戦砲を当てる事ではなく、増援のレイバーが来るまで耐える事。

 そうなればたちまち私は包囲されて殲滅されるだろう。

 だからと言って今無理に攻勢に出ればいつか隙を晒し、野戦砲に直撃して意識を失う事になる。

 

 

 では、どうすれば良いか?

 

 

 

「黒服、私の回収はどうするの?」

 

『最悪の場合フルトン回収をします』

 

「……それは嫌ね」

 

『ではご健闘を』

 

 

 バルーンに垂れ下がって回収だなんて、死んでも死に切れない。

 

 

 こうなったら奥の手だ。

 最早手段は選んでいられない。

 絶対に敗北は許されない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ''チカラを込める''




Q.なんでレイナはサオリと戦った時負けたの?
A.ぶっちゃけ超慢心してた、悪く言えば調子乗ってたから。
『自爆すりゃ良い感じに共倒れなって先生に介抱されるじゃん笑』とか思って自爆したら普通にサオリは意識あるし自分はサオリより酷い痛手負うし……って感じです。
レイナの弱点の一つですね。

Q.レイナさん重い感情先生に向けてないですか?
A.もっと重い感情向けるんで覚悟の準備をしておいて下さい。





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