それから私と妹は別々で行動する事が多くなった。
喧嘩をした訳ではないし、何かあった訳でもない。
ただ、段々とそれぞれの友人が出来てきて、姉妹の時間が友人との時間に変わりつつあっただけだった。
「……完成」
「す、すごいですね……たんぽぽでお花の冠が……」
ヒヨリの頭の上にたんぽぽで出来た花の冠を載せると、ヒヨリはニコニコと笑う。
「…………」
アツコは手話で『良かったね、ヒヨリ』と話す。
私はマダム配下の生徒……アリウススクワッドと呼ばれる生徒達に反乱分子の生徒を引き渡すうちに、彼らと打ち解けた。
ヒヨリはスナイパーで、すごく甘え上手だ。
アツコは手話で話す子で、花について詳しい。
サオリはリーダーで、戦闘では負け無しだ。
ミサキは冷静で、よく戦闘の指揮をしている。
私はそんな彼女達と仲良くなり、こうして花の冠を載せ合う仲になった。
アリウスは内戦によって荒廃していたが、いくつかの土地だけ戦火を免れていたらしい。
その一つがこの『アリウス西部庭園』だ。
タンポポ、チューリップ、コスモス、ユリ、ヒマワリ、
様々な花が咲き誇り、そしてあまり人のいない地域の為私達の隠れ家となっている。
「サオリもどうぞ」
「ありがとうございます」
「敬語じゃなくていいよ、はい、アズサの分も」
「ありがとう、ユナ」
サオリとアズサにも渡し、ミサキにも渡そうとしたところで彼女はそれを止めた。
「どういうつもり?なんでマダムの
「友達と遊ぶのに理由はいらないと思うから……かな?」
打算や理由なんて無い。
私はただ友達が欲しかっただけだ。
それでも、彼女達には辛い過去や思い出がある事を私は知っている。
だからこそ、何も出来ない。
私は彼女達を救える程の力は無い、彼女達にご飯をたくさん食べさせてあげる程のお金も権力もない。
でも花の冠を載せる事くらいなら出来る、不器用な私が妹の為に頑張って練習したんだ。
「ごめんね、貴方達にご飯やお布団をあげられなくって、こんな事しかしてあげられなくて」
「…………」
ミサキは花の冠を恥ずかしそうに受け入れた。
すると、私の言葉にヒヨリが反応する。
「大丈夫です……どうせ、私達は幸せになる事なんか無いので……」
「ヒヨリ、諦めちゃダメだよ」
「で、でも……マダムや年長の先輩が『Vanitas Vanitatum Et Omnia Vanitas』って……」
「あれ、私あんまり好きじゃないんだよね」
マダムはアリウスで何かをしようとしているらしいが……私には意図が分からない。
少なくともろくでもないものだろう、彼女はそういう人間だ。
因みに妹の方はというと、どうやら二人の友人がいるらしい。
あまり妹の友人関係に対してとやかく言ったり首を突っ込むのもどうかと思い、あまり聞いてはいないがいつもその二人と過ごしているようだ。
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アリウス自治区での暮らしから三年。
マエストロのアトリエは相変わらず出入り出来ないし、アリウスの反乱分子はもうほとんどいなくなった。
私達も十歳になり、相も変わらず友人達と過ごす日々だった。
「お姉ちゃん、あたしのクシ持ってない?」
「知らないよー」
「昨日最後に使ったのお姉ちゃんだよ」
「あれっ、そうだっけ」
「そうだよ、もう相変わらず忘れん坊なんだから」
「貴方こそこの前も風邪引いてお友達を心配させてたじゃない」
「仕方ないじゃんそういう体質なんだからー」
他愛も無い会話をしながら朝支度をして、それが終えたらそれぞれ自分達の友人の元に集まる。
夜になったら帰ってきて、それぞれ今日何があったかを語る。
そんな生活が3年続いていた。
三年の間にアリウスは段々と復興しつつある……ただし、それは軍事学園且つ、トリニティとゲヘナに対する復讐心を利用したものだった。
私は段々と暗く、軍靴の音が鳴りつつあるこの学園に対して不安を覚えていったが……最早マダムを止められるものは誰もいないだろう。
「じゃあお姉ちゃん、先に行ってくるね」
「行ってらっしゃい、気をつけてね」
妹が家を出ると、私はため息を吐いた。
妹の病弱体質は段々と酷くなっていっており、黒服やマエストロ達に聞いても『未知の病』という結果しか出ない。
病院に行こうにも私達は学籍が無いから行けない、妹の身体はゆっくりと、確実に蝕まれていく。
私は憂える事しか出来ない。
私にとって大切なものが、どんどんと無くなっていこうとしている。
私は……私は、どうすればいいのか。
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一方で、アリウススクワッドとの仕事や関係は極めて順調だった。
反乱分子は定期的に現れるが徹底的な教育を受けたスクワッドと元より戦いの
「ど、どうか、情けを……」
「ごめんね」
薬莢が地面に落ちる。
痩せ細った生徒も地面に崩れ落ちる。
「…………」
段々と、この行いにも心が慣れていった。
『仕事だから』と言い訳して人を傷つけて、自分の心が無くなっていく感覚がして。
「レイナ、お姉ちゃんもうイヤだよ……」
「あれ?お姉ちゃん今呼んだ?」
「……ううん、呼んでないよ」
「そっかー」
━━━━━
私達の芸術はマエストロがいなくなっても描き続けられた。
妹は相も変わらず白黒で線が細かい絵を。
私の方はというと……
「ユナ、これを見なさい」
「……」
マダムはレイナの芸術を軽蔑していた一方、私の芸術を評価していた。
何故かは分からない、芸術性は人それぞれだから……多分マダムの芸術性に私の芸術が刺さったのだろう。
その証拠として、マダムは自身の『謁見の間』に私のステンドグラスを貼った。
「私の作品が……」
光を透き通しいくつもの色が輝いている、そしてその中央には黒い光があった。
『色彩』というタイトルだ、マダムにこの絵を見せた時……彼女は喜んだ。
「ええ、素晴らしい作品です……私のいる間に相応しい芸術と言えるでしょう」
「喜んでもらえたようで良かったです」
だが、私はマダムの事が嫌いである。
理由は明白だ。
「貴方の芸術はレイナのものより遥かに優れています、そう、あのような古典的芸術より貴方の未来派芸術の方が美しい!」
「……芸術に優劣は無いと思いますが」
彼女は妹の芸術を好んでいない。
それどころか、妹の事を薄ら見下している。
簡単且つ、納得のいく理由だろう?
「…………ところで、レイナも呼んだつもりですが中々来ませんね……はあ、そういうところも黒服に似てしまったのですね」
マダムのため息が漏れた時、謁見の間の扉が勢いよく開かれた。
「ごめんごめん、遅れた」
「時間くらい守りなさい、当然の常識ですよ」
「はあ、肝に銘じておきます」
妹は面倒そうな返事をしている。
いくらなんでも遅れておいてその態度は無いだろう。
「こら、レイナ!」と、叱るもレイナは目を逸らしている。
やはり妹はまだどこか子供っぽいところがあるような……少し心配だ。
「……まあいいでしょう、今日は貴方達が待ち望んだ日です」
「ついにアトリエに戻れるの!?」
妹の歓喜の声が聞こえた。
たった一、二ヶ月と言えど、私達が一番楽しかった時はいつか?と言われればあのアトリエの時間だろう。
それ故に、妹はアトリエから離れると言われた落胆した。
……今の生活も嫌いではないらしいが。
「ええ、選択次第では戻れます」
マダムが言った言葉は『選択』だった。
「……選択?」
「ええ、至極簡単な問題です」
その時、背後から冷たい気配と声がした。
「うわあ!黒服いたの!?」
「クックック……今日は大切な日ですから当然です」
「だからその大切な日って何なの?」
妹の疑問符が聞こえた時、私は察した。
「……待って、そうなるとマエストロとゴルゴンダ達もいるんですよね?」
マダム達が答える前に、回答は現れた。
「そういうこった!」
「久しぶりですね、ユナ、レイナ」
「…………」
マエストロの友人達がこれで全員集合した。
いや、友人達というより……何かのグループだろう。
私達はマエストロや黒服達が何かしらの目的を持って集まっているという事をなんとなく理解していた。
そしてそのグループが全員集まったということは……
「また何かの試験ですか」
何故だろう。
冷や汗が滴る。
これ以上ここにいてはいけない気がする。
……怖い!
「そうです、貴方達の運命を揺るがす試験と言えるでしょう」
「レイナ、ユナ」
「貴方達にとっての崇高とは、なんですか?」
━色彩のステンドグラス
いつか見た本の中にあった興味深い物体を私がステンドグラスにした。
勿論こんなもの現実に存在するはずもないだろうが……もしも存在するのならばすごく美しいのだろう。
死ぬ前に一度見てみたい。
良かったら感想くだちゃいな
ユナのif外伝いる?
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いぃらないですねぇ……
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欲しい