ゲマトリア所属生徒『西条レイナ』   作:ガガミラノ

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そして黒百合は枯れる

 

 

 

 

 私は西条レイナ。

 トシは12。

 兄妹はいない。

 

 

 二年前の『恐怖を適応する実験』を成功させ、見事ゲマトリアの人間として参加する事を許された……()()()()()だ。

 

 

 ……こんな気丈な態度だが、絶賛私の身体のコンディションは最悪である。

 

 恐怖を適応する実験は、私のありとあらゆる自律神経、三半規管を狂わした。

 ゲマトリアのメンバー達のプレゼントを貰った時もはっきり言って動きたくない身体を無理やり動かして受け取った記憶がある。

 

 

 身体の具合も悪いが、一番悪いのは精神面である。

 

 憎悪、嫌悪、拒否反応。

 ありとあらゆる悪感情が私自身に対して向けられている。

 

 

 震える手で、何度飲んだか分からないコップ一杯の水を飲みこみ……そしてコップを投げ捨てる。

 

 

 非常に気分が悪い、吐きそうだ。

 

 

 

 

「レイナ」

 

「………………」

 

 

 コンクリートの地面に倒れ伏した姿を黒服がただ見つめている。

 

 

「クックック、随分と酷い有様ですね」

 

「…………身体が拒否反応を起こしてる、何も言うことを聞かない、聞いてくれない」

 

 

 私は何とか言葉を紡ぎ、吐き気を抑えながら黒服の目を見る。

 

 

「本来なら拒否反応どころか身体自体が『恐怖』を受け入れる事を拒否し、ヘイローが破壊されるはず」

 

「そりゃ、スゴい事なんだろうけど……なんだか私があたしじゃないみたいで……」

 

 

 頭がグルグルと回る。

 自分が誰なのかも分からない、いや……それは正確な表現ではないか?

 

 恐らくヘイローもチカチカと点滅しているに違いない。

 

 

「じきにその神秘と恐怖は貴方の身体を染め上げ、貴方自身のモノとなるでしょう」

 

「…………そう、そうしたら私はこのキヴォトスで唯一の人間になれるのね?」

 

「はい、ですので───レイナ、貴方が崇高を理解出来るその日まで」

 

 

 

 

「どうか、貴方に幸を……」

 

 

 

 ━━━━━

 

 

 

 それから数週間経った。

 

 私は憎悪や拒否反応は段々と消えてゆき、やがて私は察した。

 

 私はこのキヴォトスで唯一の人間になった。

 

 

 

「黒服」

 

「……素晴らしい……素晴らしい成果です!神秘を持ちながら、恐怖も持つ……ああ!これで我々は()()()()()に近づける……!」

 

 

 一人で盛り上がる黒服。

 私は呆れつつも、ツッコミを入れる。

 

 

「ちょっとー、私の人権はないんですかー」

 

「ククッ、勿論貴方の協力は必要は不可欠……契約の件もありますし、貴方がいなければ我々は神秘の欠片も理解する事が出来なかったでしょう」

 

 

 黒服の手が頭に乗せられた。

 

 

「ありがとうございます、レイナ」

 

「……ふふっ」

 

 

 高揚感。

 

 

 

 

 ━━━━━

 

 

 

「マエストロ、実験は成功です、()()()()()()()()()()()

 

 

 黒服は高貴に笑いながらマエストロに語りかける。

 

 

「そうか」

 

 

 しかし、マエストロはぶっきらぼうに一言だけ。

 

 

「クックック……この計画は貴方が考案したものでは?」

 

「ああ、そうだ」

 

「貴方らしくありませんね」

 

 

 憂いか、それとも後悔か。

 マエストロはそんな態度だった。

 

 

「……この計画には一つの致命的な欠点がある」

 

「ええ、その通り」

 

「我々は崇高(芸術)を作り出したのではなく、化物(クリーチャー)を作り出してしまったのかもしれんな」

 

「しかし、それでも私達にとって有り余る程の情報を授けた」

 

「最悪、キヴォトスを犠牲にするかもしれないがな」

 

「しかし上手くいけば更なる神秘と恐怖の解明が行えるかもしれない」

 

 

 黒服は笑う。

 マエストロは身体を軋ませながら───

 

 

「我々に相応しくない綱渡りだな」

 

「研究や芸術とは綱渡りの連続ですので」

 

 

 

 ━━━━━

 

 

 

 それから四年の月日が経った。

 

 

 

 四年でキヴォトスは変わった。

 かく言う私も高校生……何処かの学園に入り浸る頃合いだったが、勿論そんな事はせずゲマトリアの為暗躍する日々だった……が。

 

 

 

 

「連邦生徒会長が失踪?」

 

「この意味が分かりますか?」

 

「キヴォトスが悲惨な事になる、としか」

 

「その通り、連邦生徒会は情報統制を敷いていますが時間の問題でしょう」

 

 

 企業の株価は下落して経済は不況に陥り……まあ悪い余波しかないだろうなあ。

 

 

「何かするの?やるなら協力するけど」

 

「いえ、その予定でしたが……少々状況が変わりまして」

 

「……?」

 

「ともかく、暫く私はアビドスの方に集中しようかと」

 

「生徒一人捕まえるくらいなら私がやるのに」

 

 

 黒服は最近アビドスの生徒会長?を捕まえるのに躍起になっている。

 なんと私を超える神秘の持ち主だとか、そりゃあ気になる。

 

 しかし、それでも私を超える神秘というのは少々嫉妬で腹が立つ。

 私が楽々と捕まえれば私より劣る事を証明出来るのだが、そういう問題では無さそうだ。

 

 

「ポリシーですよ、ルールに基づいて言い訳の余地も無い程に雁字搦めにしなければフェアではないかと」

 

「まあ、それもそうだけど」

 

「それに彼女は貴方より……おっと、これは禁句でしたかね」

 

「…………」

 

「クックック、まあそうカリカリせず」

 

「……はあ」

 

 

 しかし、連邦生徒会長が失踪とは……面倒な事になったものだ。

 これから一波乱ありそうな予感…………ん?

 

 

「連邦生徒会長が失踪?」

 

「ええ、そうですが」

 

 

 ダラダラと冷や汗が溢れる。

 確か…………アイツの言っていた事によると…………

 

 

「………………やばい、今すぐ行かないと」

 

「……?」

 

「ちょっと()()()に行ってくる!!」

 

 

 勢いよく扉を開けて外に向けて走り出す。

 約束をすっぽかすのは良くない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「元気なのは良い事です」

 

 

 

 彼はそう笑う。

 




━━━西条レイナ
黒いリボンを髪飾りに着けた白髪の少女。
元気で、熱に魘されたり風邪をひいたりする事は滅多にない。
しかしヤンチャという程でもなく、慎重に、落ち着いて対処する事が多い。
戦いと神秘はキヴォトスでもピカイチで、戦いを好んでいる傾向がある。
マエストロと出会ってから芸術を愛するようになり、絵などの美術作品を作るようになった


一人称は私。








もうちょっとだけ続くんじゃよ
とりあえずユナちゃんの出番は一旦ここまでじゃよ
良かったら感想とか高評価とかここすきとかくれると発狂します

ユナのif外伝いる?

  • いぃらないですねぇ……
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