聖園ミカにTS転生した   作:魔女じゃんね☆

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最終話が遅々として進まない……
なので自称平凡少女こと阿慈谷ヒフミを先に書きました。


阿慈谷ヒフミの場合

 自称”トリニティの普通の少女”こと阿慈谷ヒフミにとって聖園ミカという存在は恐怖の対象だった。ティーパーティーの一人である桐藤ナギサに目をかけられており、周囲から見れば愛情を向けられていると思われてもおかしくはない程だった。

 それ故に、聖園ミカとヒフミが最初に会った時は酷かったのだ。

 

『ミカさん。こちらは阿慈谷ヒフミさんです』

『は、初めまして! 阿慈谷ヒフミです! ナギサ様からは色々と良くしてもらっていて……!』

『……』

 

 ヒフミはこの時必死過ぎてミカの表情を見ていなかった。唯一、見ていたナギサ曰く「ミカさんが真顔で固まると恐怖を覚えるのですね。……少し、良いと感じました」との事で幼馴染が大切にしている少女の登場に感情が追い付かなくなったのだ。

 

『……名前呼びなんて失礼だよ』

『え?』

『ナギちゃんを名前で呼んでいいのは私だけなんだよ?』

『そんなわけないでしょう』

『あ、アハハ……』

 

 終始真顔でそう言ったミカにヒフミは苦手意識を持ってしまった。だが、この時はヒフミも恐怖を感じる事は無かったのだ。この時までは。

 ヒフミは何かとナギサに気にかけてもらうようになり、お茶会にも呼ばれる事が増えた。彼女自身予定がない日にはかならず参加するようになっていたがその時にはかならずミカも参加していた。ゲヘナ生をシバきに行かずにこうしてお茶会に参加することは普通ならあり得ない事だったがミカの心情を考えれば妥当と言えた。

 

『ナギちゃんに変な虫がついた! 変なペンギンのリュック背負ったぽっと出の変人に……!』

 

 ミカは一度爆発し、血涙を流しながら怒りを全てゲヘナ生にぶつけていた。その時のゲヘナ生は顔面が腫れ上がる程殴られ、顔の形が変形する程の重傷となっている。ちなみに、そのことでナギサには叱られた為にここまでの怪我を負うゲヘナ生が現れる事はなかった。それ以下の怪我で病院送りにされる者は減る事がなかったが。

 

『ナギサは君の物ではないんだ。交友関係が広がることは良い事だろう?』

『やっ! ナギちゃんは私だけ見ていればいいの!』

『子供か君は』

 

 ドスンドスンと地面に寝そべり床を叩くたびに衝撃を与えるミカに相談に乗ったセイアが後悔した事もあった。

 そして、ついに最悪の事態が訪れたのだ。

 

『ヒフミちゃん』

『え? はい……ひいっ!?』

 

 ある日、いつものようにナギサに呼ばれてお茶会に向かう途中、突然呼び止められたかと思った次の瞬間、彼女の顔面すれすれをミカの拳が通過した。目で追えない程の速さのそれは横切ったヒフミの頬を鋭利な刃物で切られたように切り裂き、血を噴き出させた。

 ヒフミの後ろの壁が破壊された事も構わずにミカはいつかの真顔でヒフミに詰め寄った。

 

『いい度胸してるね。そんなに私からナギちゃんを取り上げたいの?』

『……ひぃ』

『ナギちゃんには私だけいればいいの。貴方、邪魔だよ』

 

 この時、トイレに行ってから向かっていなかったら彼女は今頃女性としての尊厳を失っていただろう。しかし、それでもミカから発せられる殺意と圧にヒフミの顔は真っ青になり、がくがくと体が震え始める。彼女が大好きなペロログッズの為にブラックマーケットに入り浸っているヒフミにとって不良やごろつきに狙われる事はよくあったがそんな者達とは比べ物にならない程の死を感じる圧にヒフミは耐え切れなかったのだ。

 

『でもね、ナギちゃんが気に入っているから”今は”何もしないでいてあげる。だけど、ナギちゃんに手を出す事があれば、わかるよね?』

『……!』

 

 ヒフミはちぎれんばかりに首を縦に振った。ヒフミのその必死な様子にミカは満足したのかにこりと笑みを浮かべた。

 

『それならよかったよ★ ほら、ナギちゃんが待っているから行きなよ。私はこれからゲヘナに行ってくるから楽しんできなよ』

『ヒィ……』

 

 ミカがヒフミに対して何かを言ってきたのはこの時が最後であった。以来ナギサとお茶会をしている時に一緒にいる事はあれどミカから接触してくることはなかったがあの日の出来事はヒフミにとってトラウマとなっていた。それこそ、一時期はナギサと会う事さえ難しくなるほどに。

 だが、それも直ぐに収めることが出来、今では普通にナギサの親しい友人という形でよくしてもらっている。ティーパーティーに所属する、特にフィリウス分派の人たちからはたまに嫉妬混じりの視線を向けられる事もあるがあの日のミカの殺気に比べれば無いに等しいものだった。

 

「うへー。ヒフミちゃんって思ってたよりも胆力あるねぇ」

「そ、そんなことないですよ」

 

 そんなヒフミは少しだけ変わったと思っている。かつてよりは不良やごろつきに追いかけまわされる事が増えたがミカの殺気を受けて以来怖くなくなったのだ。戦闘能力こそ変わらないが胆力がついたことで返り討ちにしたり視線だけで追い返す事も出来るようになっていた。

 

「やっぱり”聖園ミカの弟子”という称号に間違いはなかったかな」

「え? なんですかそれ。知らないんですけど!?」

 

 そしてヒフミは何時の間にやらブラックマーケットでは”聖園ミカの弟子”と呼ばれ、畏怖される存在となっていた。別にミカと行動していたり、親しいわけではない。同じトリニティ生且つその胆力からミカとセットで考えられるようになっただけである。

 まぁ、そもそもただの平凡な少女がブラックマーケットに入り浸る時点で可笑しいのだが本人は気づいてはいない。前々からその兆候はあったが胆力がついた事が止めとなったのだ。

 

 因みに、とある一件でアビドス生徒達と銀行強盗をする事になり、ファウストと名乗ったせいかブラックマーケットでは”究極のアンチゲヘナウェポン”聖園ミカ、”聖園ミカの弟子”阿慈谷ヒフミ、”カイザーすら彼女らの前に平伏す覆面水着団のリーダー”ファウストの三勢力がブラックマーケット内の地雷として認識されるようになるのだった。そしてブラックマーケット内で活動する者達はそんな三大人物を生み出したトリニティ総合学園に対して恐怖を覚える事になるのだった。

 




トリニティ三英傑
聖園ミカ、阿慈谷ヒフミ、ファウストにつけられたブラックマーケット内での呼び名。出会ったら最後、命はないと思えと言われる程危険な存在。その中の二人が同一人物である事を知る者は少ない。

アンチゲヘナウェポン
聖園ミカの称号。ゲヘナ生なら殴る。不良やごろつきもついでに殴る。カイザーはイラつくから殴る。でもゲヘナ生を一番殴る。
「私の前に出てきたゲヘナは悪い生徒じゃんね★ 私の前に出てこないゲヘナ? 訓練された悪いゲヘナじゃんね★」

聖園ミカの弟子
阿慈谷ヒフミの称号。ヒフミがブラックマーケットに入り浸っているせいでついたもので別に聖園ミカの弟子ではない。そしてそれを本人も知らなかった。

ファウスト
トリニティの制服を着た銀行強盗グループ”覆面水着団”のリーダー。覆面水着団は少数精鋭ながらカイザーグループ相手に喧嘩を売った組織であり、短時間で大量の金を奪い取っていった。ファウストはそのリーダーであり、精鋭の団員たちを統率する危険な存在。その立ち振る舞いはまさに強者のそれであり、話に尾ひれがつきまくった結果、彼女の前には聖園ミカですら太刀打ちできないだろうと言われている。

トリニティはやばい所
こんな三人(実際は二人)のせいでブラックマーケットを中心に言われている事。こんなやべー奴等を輩出するトリニティ総合学園は実際は魔境であり、入ったら最後、二度と自治区内から出る事は出来ず、死ぬまでトリニティの生徒の養分にされると噂されている。
実際はそんなことないのにね。完全に聖園ミカの普段のやらかしのせいである。
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