聖園ミカにTS転生した   作:魔女じゃんね☆

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ヒナ可愛いですよね。ゲームでもお世話になってますよ
え? ゲヘナの最押しは誰かって? イオリとカヨコですが?


空埼ヒナの場合

 空崎ヒナはゲヘナ最強の生徒である。風紀委員会の委員長として日夜ゲヘナで暴れる不良生徒の取り締まりを行なっている。ゲヘナ最強の名は伊達ではなく、彼女一人で風紀委員会の半分の戦力と言われているほどだ。

 しかし、そんな彼女はそう言われることを不快に感じていた。言われることが嫌いな訳では無い。()()()()()()()()()()()()()()。時は彼女が中学生の時まで遡る。彼女は卒業後に通うことになるゲヘナ学園へ体験入学のために訪れていた。メンバーは彼女を含めて4名。他は全員が欠席していた。

 どうせ入学するのに体験する必要なんてない。そう考えるゲヘナ生は多く、むしろ開催できるくらいに集まったことの方が異例と言われるほどだった。

 

「(予想はしてたけど酷いわね)」

 

 当時のゲヘナは今からでは想像できないほどの荒れっぷりであり、授業を受けるヒナの耳には銃声や爆発音、人々の雄たけびや悲鳴が終始聞こえており、授業に集中する事は出来なかった。

 更に授業の続きは建物が爆破されたことで出来なくなり、体験入学は僅か1時間で終了となった。

 折角来たのにこれは酷すぎると通うことになるゲヘナ学園の治安の無さにげんなりしてしまった。無論、彼女とてゲヘナ自治区で生まれ育った身。この程度はとうの昔に覚悟していた事である。

 気持ちを切り替えて帰路につこうとした瞬間だった。再び彼女の耳に戦闘音が聞こえてきた。またか、とため息を吐くヒナは様子だけ見ようとその戦闘音がする方へと歩き始めた。

 この時のヒナは今のような実力はなかったものの、それでも片鱗を見せるくらいは実力があった。だから見に行ったことで巻き込まれても切り抜けられる自信があったし、場合によっては助けに入ることも考え、建物の影から戦闘が起きている方向を覗いた。

 

「……なっ!?」

 

 そこで起きていたのは戦闘ではなかった。暴力の、嵐であった。

 

「アハハハ! この程度? 弱すぎて話にならないよ」

 

 見た目はゲヘナにふさわしくはない、どこぞの名家だと予想させるお嬢様のようであった。荒事には不向きな印象を与え、目の前で発生している殺戮を起こしているものとは思えなかった。

 更に、その少女は見るからに幼く、ヒナと同年代くらいと思えるのに相手は未来の先輩となるであろうゲヘナの生徒であったのだ。その数は10人は軽く超えており、縦横無尽に暴れる彼女を仕留めようと必死の形相で銃を発砲しているが彼女の素早い動きにより照準に一切捉える事が出来ずに次々と彼女の()によって沈んでいく。

 そう、そうなのだ。彼女はここまで一切の銃火器を使わずに圧倒的な暴力を生み出していたのである。このキヴォトスで銃を使わない戦闘方法を取る者などいない。接近戦で格闘戦をする事はあってもそれは銃を使用している前提での行いだ。彼女のように、銃を用いないなどあり得ないのだ。

 

「……」

 

 そんな圧倒的な力を目の当たりにしたヒナは衝撃で固まってしまった。彼女自身自分は強いという自負があったが彼女の戦闘を見た後ではそれは恥ずべきことだったと理解した。理解させられた。

 

「(彼女と対等に戦える者こそが真の強者)」

「あれ? 君は?」

 

 気づけばヒナはその少女の前にたっていた。ゲヘナ生を倒し終えた彼女は息一つ乱した様子はなく、ケロッとした様子でヒナの登場に驚いていた。

 無意識の行動であったがこうして目の前に立ったことでヒナは更に理解させられた。自分が銃を向けた瞬間、彼女は視界から消え、武器と首を彼女の手が掴んでいると。自分では発砲する機会すらなく敗北すると。

 

「(こんな人もいるのね……)」

「うーん? なんで黙ってるの? もしかして仇討ち? ゲヘナの人っぽいし相手しても良いよ」

 

 自分と同じくらいの年頃故か、彼女は何時でも戦闘になっても良いように準備こそすれその力を振るう事はなかった。そんな彼女に、ヒナはぼそりと呟いた。

 

「……貴方の、名前は?」

「名前? 聖園ミカだよ★」

「聖園、ミカ……」

 

 ヒナは少女、聖園ミカの名前を心に染み込ませるように復唱する。この名前を忘れる事はない。目の前で起こった戦闘は彼女の脳内に残り続けるだろう。ヒナは確かな決意をもってミカに言った。

 

「今は勝てない。だけどいつか、勝つ」

「……アハ、面白いじゃん。良いよ★ いつの日か戦おうか」

「その時までには強くなるわ」

 

 好戦的な笑みを浮かべたミカに対してヒナも笑って返してみせた。最早怠惰な心はヒナの中にはない。ミカと同じ高みに上りたい。上ったら彼女と戦い、勝ちたい。ミカの闘志と戦いの光景はヒナの心に明確な闘志を灯すこととなっていたのだ。

 

「それじゃ私はこれからナギちゃんとお茶会があるから帰るね★」

「……名前、私の」

「今は聞かないよ。名前を憶えて欲しいなら強くならないとね★」

 

 ミカは名乗ろうとしたヒナを制し、翼を広げて飛び立っていった。ヒナですら出来ない飛翔。それも彼女の強さの一因かもしれないとヒナは彼女が落としていった羽の一つを掴むと大事そうに懐へとしまった。

 この日、ゲヘナ最強と呼ばれるように風紀委員長、空崎ヒナが誕生した瞬間だった。

 

 

 

 

 

「……随分と懐かしい夢を見たわ」

 

 風紀委員会の執務室。昼過ぎという事もあり寝落ちしていたヒナは懐かしい夢を見て思わず笑みを浮かべた。自分が強くなりたいと明確に考えるようになった原点。()()()()()()()と言われる彼女との出会い。

 3年をかけて強くなった彼女も今の時点でミカには勝てないと断言できる。あれ以来彼女と出会う事はなかったが、以降もゲヘナを中心にその力を振るっており、ゲヘナを震え上がらせることとなった。ゲヘナの生徒というだけで力を振う彼女の前に一度は全生徒の7割が団結する異例の事態も起こったが各個撃破してくるミカにあっけなく連合は崩壊した。

 

「委員長! 大変です! 温泉開発部がまた騒ぎを起こしました! 場所は○○です!」

「分かったわ。直ぐに対処するから部隊を率いて後から来て頂戴」

「了解です」

 

 執務室に飛び込んでくるように入って来た火宮チナツの報告にヒナは冷静に指示を出すと執務室の窓に飛び乗るとそのまま宙へと身を飛び出し、羽を広げて()()した。走るよりも早く飛ぶヒナは愛銃であるデストロイヤーを構えると温泉開発部が騒動を起こすエリアへと向かっていくのだった。

 




空埼ヒナ
TSミカに脳を焼かれて強さを求める人物に。全体的に原作よりスペックが上がってます。

聖園ミカ
キヴォトス最強。ナギちゃん大好き。今日も何処かでゲヘナと不良とナギちゃんの胃を破壊する。

桐藤ナギサ
ミカは親友。胃薬は旦那様。この二つとのかかわりが途切れることはないだろう。そして、途切れたいとも思わないだろう(手遅れ)。
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