聖園ミカにTS転生した 作:魔女じゃんね☆
「むー」
トリニティナイン対ミレニアム・アビドス連合の試合が始まり既に4回の裏。お互いに0対0のまま試合が膠着していた。そんな中でミカは不機嫌そうに顔を膨れさせていた。というのも彼女が出てきた2回裏では相手が敬遠したために打つ事が出来なかったためだ。明確な逃げの姿勢にミカは面白くないと膨れていたのだ。
これには実況席のナギサも「なんですかあれは!? セイアさん! 今すぐにアビドスの利権を保有しているカイザーを潰してアビドスの権利を奪い取って二度とあんな真似が出来ないようにしますよ! 今すぐに!」と発狂し、セイアが必死に「ナギサ。今からそんなことをしても遅いから無駄だよ。頼むから本気で実行しようとしないでくれ」となだめる始末だった。
とはいえそれだけでトリニティナインを抑えられるわけでもなく、ミネがヒットを打ってあわや先制点を取られそうになるなど危険な場面もあったが無事に乗り切る事が出来ていた。
しかし、これ以降ミカの機嫌が最悪な方向に行ったことで剛速球は予想よりも速くなっていき、4回表の最後の投球は200キロを超えていた。これにはキャッチャーを務めるヒナタが少しのけぞるほどだった。恐らくこの調子でいけばバットが当たっても砕け散ってそのままストライクになるだろう。
『ミカさん! 流石です! セイアさん! 急ぎ法改正の手続きを! 敬遠を禁止にする法改正の手続きを!』
『だから今からじゃ遅いよ。頼むから落ち着いてくれ。ああ、胃が痛い……』
ミカの雄姿を見て実況の仕事を完全に忘れたナギサと苦労人フォックスのセイアの眼下でトリニティナインの攻撃が始まろうとしていた。最初のバッターは3番の剣先ツルギからだった。最初の打席こそ空振り三振にする事が出来たが次も同じとは限らない。ミカを含めた3から5番が最も注意しないといけない場所だった。
「ん! 負けない!」
「きゃーっはっはっはっ!!!」
渾身のストレート。しかし、それはツルギの目には正確にとらえられていた。最初こそ初めての試合で大きく振って空振りとなったがそれを修正した今のツルギなら容易に打てる球だった。
バットの芯でとらえたそれはシロコの頭上を越えて場外へと飛んでいく。誰もが見上げる事しか出来ないそれはまさにこの試合が始まって初のホームランにして最初の得点だった。
『決まった! 打ったのがミカさんでない事がかなり不満ですがトリニティナインがついに先制点を取りました! 見ましたかセイアさん! ミカさんが率いるトリニティナインならこの程度容易いものですよ!』
『ナギサ。ミカはあくまで助っ人であって野球部の人間では……』
実況席の興奮から見て取れるようにトリニティナインは先制点に沸きに沸いた。特に同じく正実に属しているハスミとコハルは自分の事のように喜んでいた。一周し、戻って来たツルギをメンバーは歓喜で出迎えた。それをツルギは恥ずかしそうに顔を赤くしながら笑みを浮かべていた。その横で、オーラを纏ったミカがバッターボックスに向かっていく。
「ツルギちゃんばっかりずるいツルギちゃんばっかりずるいツルギちゃんばっかりずるいツルギちゃんばっかりずるいツルギちゃんばっかりずるいツルギちゃんばっかりずるい私も打ちたい私も打ちたい私も打ちたい私も打ちたい私も打ちたい私も打ちたい私も打ちたい」
まるで呪詛のように連呼するミカだが結局シロコは最初と同様に敬遠をしてしまう。フラストレーションがたまったミカがバットを握りつぶしてしまったのは仕方のない事だろう。
『ミカさん……。なんて可哀そうな。……もしもし、私です。今すぐにゲヘナ学園のさんd……鬼怒川カスミさんを連れてきてください』
『今のうちに……』
その後4回裏はツルギのホームラン以外で動きはなく終わり、5回の表となった。後半戦を迎え、メンバーの闘志が更に燃え上がる中、ミカはものすごい顔でバッターを見ていた。
「あれ? 私これから殺されます……?」
バッターボックスに立ったレイが思わずそう感じてしまうのも無理はないだろう。ミカがその気になれば銃弾等よりも危険な投球をする事も可能なのだ。それを証明するようにミカが投げた一投目は投げられた瞬間視界から消えていた。
「……へ?」
わけも分からないといったレイが変な声を上げると同時に、レイの隣をボールが通過し、遅れてやってきた衝撃波がレイを襲い、吹き飛ばした。その一撃はグラウンドをえぐり、取ったはずのヒナタさえ吹き飛ばして気絶させる程の威力を誇っていた。当然、レイも吹き飛ばされて気絶していた。
『こ、これは……!? ミカさんの全力投球!? これほどの威力を誇るなんて流石はミカさんです! セイアさん! ミカさんの雄姿をみて……あれ? セイアさん? 何処に行ったんですか?』
「う、うへぇ? これは流石にどうしようもなくない?」
「ん。ヘルメット団との戦闘よりも危険」
「これ野球よね? 何で人が吹っ飛んでるのよ……」
結局、レイが気絶したことでひと悶着があったがミカは注意を受けるだけで終わり、レイは一塁へ出走するという事で決着がついた。ミカを退場にする案もあったが謎の圧力でそれが行われる事は無かったという。
「ミカさん。ヒナタさんが気絶してしまったのですこし中断します。その間に用意しておきましたのでストレス発散はそちらですると良いですよ」
「ほんと!? ありがとうナギちゃん!」
キャッチャーのヒナタが回復するまでの間、スタジアムの中から誰かの悲鳴が聞こえて来たそうだがそれは完全な余談である。
「さて、気を取り直して続きをやるじゃんね★」
「打たせてもらいますよぉ~」
完全に機嫌を直したミカの剛速球にノノミ、セリカと空振り三振で終わり、最後の野球部モブちゃんもまともに打つ事も出来ずに三振で終わった。
「うーん。これは本当にどうしようもないね」
「打てない速すぎ」
「練習をしたときも最大160キロのピッチャーマシンでしたからね」
「そもそもバットを当てられてもへし折れてまともに飛ばせないんじゃないですか?」
「その可能性が高いでしょうね」
5回裏は宇沢レイサがヒットを打つなどしたがシロコの投球の前に得点に至る事はなく、トリニティナインが1点リードのまま6回表を迎える事となった。
「ホシノちゃんには悪いけど打てるものなら打ってみるじゃんね★」
「ならやってみるよ~」
今回も三振かと思われたがホシノは何と一投目からバントを行った。ミカの剛速球を芯でとらえた事により大きく跳ね返る事となり、ミカの頭上を越えていった。
「うそ!?」
「一か八かの賭けだったけど上手くいって良かったよ~」
ホシノが使っていたバットはへし折れてしまったが虚を突いた事でミレニアム・アビドス連合はついにこの試合初のヒットを打つ事に成功したのである。
『そんな!? ミカさんの剛速球をバントで跳ね返すなんて……!? 小鳥遊ホシノ、と言いましたか。前からミカさんの支援を受けているとは聞いていましたが恩を仇で返すなんて……! 許せません!』
『あ、あのぉ? セイア様に呼ばれてきたのですが私は何をすれば……?』
『ヒフミさん? どうしてここに……。まあいいでしょう。ヒフミさん、申し訳ありませんがセイアさんの代わりに解説をお願いします』
『え? ……え?』
一塁でうへうへいいながらミカを見るホシノにミカは闘志を燃やす。打たせるつもりなんて一切なかった。それがまさかこんな手で打たれるなんて思ってもいなかったのだ。
「面白いじゃん。でも、もう二度と打たせないよ」
その言葉通り、ミカは剛速球でもってそれ以降の打者をねじ伏せた。しかし、先ほどとは違いど真ん中を狙ったストレートではなく内角だったり外角だったりとストライクゾーンの中を縦横無尽に投げる事でより打つのが難しくなっていた。
それはミカから完全に慢心が消えた事を意味しており、ミレニアム・アビドス連合はたった一つのヒットのせいでより打つ事が難しくなってしまったのだった。
そうして、7回裏、7回目のトリニティナインの攻撃が始まろうとしていた。
トリニティ野球部
トリニティ総合学園で身体を動かすのが好きな生徒達が作ったサークルのような部活。ミレニアム並に弱い。それと伝統として大事な試合前ではよく不祥事が起こる。
今回は先輩方が軒並みダウン。天使(悪魔)のミカの助けを得るも実質乗っ取られる。
部長
3年生。実はゲヘナ生の恋人がいるが試合前にデートした際に拉致されて恋人が用意した愛の巣に監禁される。
副部長
外食してたら食中毒になる。入院先の病院でも病院食を食べたら食中毒になり長期入院を余儀なくされる。
先輩A
副部長と同じ経緯をたどる。
先輩B
トリニティ自治区内を夜歩いていたら車にはね飛ばされて入院。話によるとケモミミ生徒が運転していたらしいが……?
先輩C
野球に専念しすぎて全教科赤点を取ったため補習中。コハルの上位互換。
先輩D
とあるカタコンベを探検すると言って以来連絡が取れず行方不明になっている。
先輩E
矯正局に収監中。
先輩F
矯正局に収監中。
先輩G
先輩E、Fと共に謎の銀行強盗グループに憧れて銀行強盗をするも失敗。矯正局に収監される。