聖園ミカにTS転生した   作:魔女じゃんね☆

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少し無理やりすぎたかもしれません。ホシノファンの皆さんごめんなさい。


小鳥遊ホシノの場合

「やっほー★ ユメちゃん!」

「わーい! 久しぶりー! ミカちゃん!」

「……」

 

 その日、小鳥遊ホシノは珍しい来客を目にしていた。自分と同年代くらいの少女は梔子ユメと楽し気に挨拶をしている。ピンク髪のお嬢様っぽい彼女はその高めのテンションのせいで台無しにしているように見えた。

 

「先輩。その人は?」

「あ、ごめんね。えっとねホシノちゃん。彼女は聖園ミカちゃんって言ってトリニティに住んでいるお嬢様だよ」

「初めまして★ ホシノちゃんはユメちゃんの子供かな?」

「ひぃん。まだ妊娠なんてしたことないよぉ」

「アハハ★」

 

 自らの先輩であるユメをからかう少女にホシノの目は鋭くなる。彼女にとってユメ先輩以外の人等敵でしかなかった。それも仕方のないことであり、彼女の周りには荒廃し、衰退するアビドス高校の命運をユメただ一人に託した他のアビドス生徒やそんなアビドスを食い物にする大人、好き勝手にできると荒らす不良達しかいないのだ。

 そこへ現れた聖園ミカという少女を理由もなく信じろという方が酷だろう。例えユメが大丈夫と言ってもホシノは決して警戒を解く事はなかった。だが、理由は別にそれだけではない。

 

「(……強い)」

 

 ホシノは入学して以降アビドスで跋扈する不良達をわずかな期間で叩きのめせる程の実力を持っていた。その実力はアビドス以外の、ゲヘナを始めとする各校に強者として警戒される程であり、彼女と戦える者等ごくわずかであり、ましてや勝てない相手などいるかいないかだろう。

 そして、聖園ミカは小鳥遊ホシノが()()()()と即決させるだけの実力者だったのだ。もし、彼女がここで暴れ始めてもホシノは鎮圧するどころかユメ先輩はおろか自分すら守ることが出来ないだろう。自分が後三人は欲しい。でないと直ぐにやられるとホシノはその強さ故に警戒を怠ることが出来ないのだ。

 

「……へぇ、凄いじゃん。ユメちゃん良かったね。後輩ちゃんはポンコツじゃないみたいで」

「うん! ホシノちゃんは凄いんだよ!」

「やっぱ上が駄目だから気が引き締まるのかな?」

「ひぃん……」

 

 そんなホシノを見てミカは不敵な笑みを浮かべた。ホシノの警戒する理由を理解したうえで問題ないと判断したのだろう。それだけの差が、二人にはあったのだ。

 

 その後も二人は交流を続けた。ミカは定期的にアビドスに支援をしていたようでユメを通して物資を大量に受け取っていた。ホシノはユメ先輩がたまに持ってくる大量の物資の出処を初めて知った形となった。そのせいで余計に警戒する結果となったがミカの態度が変わることはなかった。

 物資のやり取りをした後は簡単なお茶会をしてミカは帰っていった。帰りにゲヘナで不良生徒をシバいてくると言った時には名前しか知らない学校に心の中で合掌をした。だが、ミカがゲヘナによることはない。ホシノは覚悟を決めると学校を出ていったミカの後を追う。この尾行は最初から気づかれているだろう。そして自分の意図にも。現にミカはゲヘナ方面ではなく、人通りがなく、開けた場所に向かったのだ。

 

「……それで? 私に何か用かな?」

「簡単です。貴方が信頼できない」

 

 広場の中央に立ったミカは陰からついてきていたホシノに尋ねた。それをホシノは自らも姿を見せて返答する。本気で戦う為に防弾チョッキを着こんだホシノはその闘志を隠そうともしていない。そして、それに対応するミカも楽し気に笑って臨戦態勢に入った。

 

「アハ★ ホシノちゃん一人で私に勝てるわけないじゃん」

「それでも、挑ませてもらいます」

「……そっか、それじゃ、楽しませてね?」

 

 瞬間、ホシノの視界からミカは消えた。だが、ミカの軌道はホシノは辛うじてだが捉えていた。羽の羽ばたきと足の跳躍を合わせた高速移動によりホシノが首を動かす前に彼女の右側に接近していた。

 

「これで終わりだよ!」

「まだ!」

 

 彼女の必殺とも言える蹴り。それはホシノの首に直撃するコースで放たれたがそれをホシノは勘だけで躱す。大きくかわしたがそれでもギリギリとなってしまい、ホシノの頬に一筋の切り傷が走った。そのことにホシノは顔をゆがめる。ただ()()()()()()()()()()()()()が自分の命すら狩りかねない一撃だったのだ。改めて彼女の強さを痛感した。

 

「へえ? これを躱すんだ。一撃で決まらなかったのって久しぶりかも」

「くっ!」

 

 お返しと言わんばかりにホシノはショットガンを放つ。空中で分裂し、周囲に飛び散るように放たれたそれを躱すことは難しい。例え一発でもいい、ホシノは当たってくれと願うがそれは違う意味で叶う事となった。

 

「アハハ★ そんなの効かないよ★」

 

 彼女は固く握った右腕を勢いよく振り払った。瞬間、ホシノは突風に襲われ、体が浮かび、近くの建物の壁面に勢いよくたたきつけられた。一瞬で肺の中の空気が押し出され、呼吸が出来なくなる。頭がちかちかと点滅し、視点が定まらない。

 

「な、にが……!」

「ただ手で払っただけ、だよ。あ、でも羽も使ってだけど」

 

 そう、ミカがしたことはただそれだけだ。ただそれだけで弾丸の威力は殺され、ホシノは叩きつけられたのだ。ホシノは未だ言うことを聞かない体を無理やり動かしてショットガンを発砲する。照準もあっていないブレブレの弾だがショットガンであればそれも問題は無い。……それを躱されない限り。

 

「アハハ★ 無駄だよ」

 

 ミカより大分左に向かって発砲したこともあってミカは難なく避けてみせた。その動きに無駄はない。余裕をたっぷりと持ったうえでの回避であった。銃程度、ミカには何の脅威でもないのだ。それでもホシノはショットガンをうち続ける。それ以外に今の彼女に出来る事は無いから。

 

「えい★」

「ぎっ!」

 

 何発も放たれる銃弾を無傷で切り抜けたミカはショットガンを足ではじき、そのまま上げた足をホシノにたたきつける。いくら防弾チョッキを着こみ、丈夫なキヴォトス人であろうともミカの一撃は体にめり込む程の威力を叩き出していた。

 

「どう? ヒールを履いているし結構食い込んでいると思うけど」

「ぐ、が……」

 

 防弾チョッキを貫き、ホシノの肉体にまで侵入したヒールの先より血がにじみ出る。骨がミシミシと嫌な音を立て、ホシノの脳に痛みを伝えてくる。痛みは呼吸を奪い、考える事を放棄させて来る。

 

「ほらほら。痛い?」

「……!?」

 

 そんなホシノにミカは足をぐりぐりと動かす。地面でやるにはなんともないそれもヒールが肉体に食い込んでいる状態でやれば立派な攻撃となる。ぐちゅりぐちゅりとホシノの腹部より不快な音が響いてくる。

 

「……ま、だ……」

「あれ? まだやるの? 私は構わないけどもう無理じゃない?」

 

 そもそもがミカにとっては戦う必要のない相手だ。意外と食いついてきたホシノについ興が乗ってしまったがこれ以上やれば殺しかねないとミカも流石に理解していた。それに、ホシノと戦う理由等ないのだ。彼女がミカを信じられないから発生した完全な言いがかりなのだ。

 

「……」

 

 ミカは少し考えた末に足を退ける。腹部から抜かれたヒールの先には真っ赤な血が付着していたがそれをミカが気にする様子はない。

 

「ごめんね★ 少しやりすぎちゃったけど私は悪くないよね? だってそっちが一方的に絡んできたわけだし」

「……お前なんかを、信じられるか……!」

「別に信じてもらう必要なんてないけど次はもっと強くなってから挑んでね? 間違って殺しちゃったりしたらユメちゃんが悲しむしナギちゃんが限界を越えちゃうと思うからね★」

 

 ミカはそう言うとなんともなかったかのようにゲヘナに向けて歩き始めた。ホシノは痛む腹部を押さえながらそんなミカを見送った。彼女が何を思っていたのか、その剣呑な視線からはうかがう事は難しいだろう。しかし、一つだけ言えるのはこれによってホシノは前以上に鍛え、実力を更に伸ばすことになったという事であった。

 




時系列はユメ先輩が死ぬ直前を仮定しています。翌日あたりにはユメ先輩は砂漠でさ迷って死にます。この世界ではそんなことになりませんが。

小鳥遊ホシノ
ホシノ目線だと「知らない人、それもトリニティのお嬢様が何の見返りもなく大量の物資を提供したうえで騙されやすいユメ先輩と親し気に話している」という感じ。詐欺にあいまくった後なら警戒されてもしょうがない?
尚、怪我したことでユメ先輩が押しかけて付きっ切りで看病してくることとなり、鬱陶しいと感じながら少しうれしかったりしたそうな。

梔子ユメ
大切な後輩ちゃんが怪我したことで動揺し、付きっ切りの看病をする事に。その結果としてミイラ化は避けられることとなった。良かったね。後輩の怪我と引き換えに自分の命は助かったよ!

聖園ミカ
キヴォトス最強は伊達ではない? 銃弾が風圧で相殺できるかは知らん。でもこのミカなら出来た。当たってもダメージなさそうだけど。ちなみに服装は原作通り。
ブルアカの知識なんて知らないから物資の援助は完全に偶然。ユメとの出会いは不良の温床となっていたアビドスで不良をシバいていた時でその後は意気投合するがユメの境遇に同情して物資を援助することとなった。
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