聖園ミカにTS転生した 作:魔女じゃんね☆
意外に思うかもしれないがこの世界のミカもパテル分派に属している。理由としては彼女の家が代々パテル分派に属しているという簡単な理由によるものであり、彼女が望んだことではなかった。
それ故にナギサにする多少の配慮なんてパテル分派に対しては行っていない。気に入らない時ははっきりと言い、上の命令も平気で逆らってくる。興が乗らなければお茶会なんてサボってゲヘナ狩りに向かう。無論、ナギサ主催のお茶会の誘いをミカは一度もサボったことははない。ミカにとってナギサは特別な相手なのだ。
だが、当然ながらそんなことをしていればパテル分派内で孤立するのも時間の問題だった。気付けばミカは入学して僅か半年で孤立した。パテル分派に顔を出せばひそひそと陰口を叩かれ、私物を盗まれる嫌がらせも発生した。だが、そんな数々の嫌がらせをミカは気にしたことはない。
「ミカさんは辛くないのですか?」
「嫌がらせの事? あんな幼稚な事に心が揺れるわけないじゃん。盗まれる物も安い物だったり不良ちゃんからうば……もらったものばかりだしね」
「奪ったという言葉が出てきてしまっていますよ」
「……アハハ★」
「笑っても誤魔化せませんよ」
ナギサとの関係はミカがパテル分派に属してからも変わらないものであった。ナギサはミカとは違うフィリウスへと属したが二人には関係のない話だった。
「……! これ美味しい!」
「そうでしょう。私が作って来た中で一番の自信作ですので」
「相変わらずナギちゃんはお菓子作りが得意だよねー。私じゃここまで出来ないし」
「ですがミカさんの作る揚げ物はどれもおいしいですよ。……量が多すぎるのがネックですが」
「私はよく食べるけどよく動くからね★ 毎日スパーリングして汗を流しているのSA★」
「不良生徒をサンドバッグにした一方的な暴力、の間違いではないですか?」
「うーん? なんだかナギちゃんが段々毒を吐いてきている気がするなぁ」
「日頃の行いのせいですね」
二人の仲は何時しかティーパーティーだけではなくトリニティでも有名なものとなっていった。何かと面倒ごとを引き起こすミカがナギサにだけは従順。そのことからナギサを飼い主や母親と認識する者まで出てくる始末だ。それを聞いたときは怖い顔をしてナギサがその生徒に詰め寄っていたりもした。
だが、それを面白く思わないのがパテル分派だった。彼女たちは現在の長を中心にミカをパテル分派のみならずトリニティからも追い出そうと画策を始めたのである。そしてそれらはトリニティのお嬢様らしい、陰湿な行為で行われる事となった。
最初に発生したのは噂の拡散である。聖園ミカは人を殺したことがある。聖園ミカは気に入らない生徒に直ぐに暴力をふるう。トリニティに入ったのは教員をその力で脅したから。聖園ミカはブラックマーケットに入り浸っていかがわしい行為を常日頃行っている。彼女の資産はそれで得た物だ。
内容は荒唐無稽な物が多かったが真実も混じっているだけに噂の拡散は早く、トリニティは連日彼女の悪意ある噂でもちきりとなった。数少ないミカの友人たちもその噂を聞き離れていく者が続出し、ミカは更にトリニティで孤立していった。
そこまで行くとパテル分派は次の行動に出た。ミカが人通りの多い場所を歩いていた時に、包帯を巻いた生徒達が一斉に叫んだのだ。
「聖園ミカ! なんで私たちにこんなことをしたんだ!」
「お前を許さない! お前のせいで私は右手が使えなくなったんだ!」
「たかが目が遭っただけでこんな風にするなんて、貴方は変ですわ!」
無論、それらは全てパテル分派が用意した者達だ。彼女たちは包帯こそ巻いているが怪我などしておらず、そういう風に演技をしているだけであった。だが、それは第三者には分からない。連日の噂と相まって彼女達が演技だと思う者はいない。人通りの多い場所だったこともあり、ミカは一瞬で悪者となった。こうなれば普通ならば自主退学するし、しなかったとしてもこの件を理由に退学に追い込むことも出来る。陰から見ていたパテル分派は完全に上手くいったと笑みを浮かべたがそれも一瞬で凍り付いた。
「……アハ★ 喧嘩売ってんの?」
「ひっ!?」
「え、あ……」
「……!」
ニコニコとしていたミカの顔が一瞬で真顔になると同時に放たれた圧力。それは絶対的な強者が持つ圧倒的な覇気であり、争いごととは無縁な者が多いただのトリニティの生徒に受け切れるものではなかった。そして、それを真正面から受ける事になった怪我をしたと叫んでいた者達は立っている事すら出来ない恐怖に襲われ、その場にへたりこむ。中には失禁してしまう者達もいたがこの場でそれを指摘する者はいない。彼女達程ではないにしろ、この場の誰もが動けなかったからだ。
「別に私には無害だったし自業自得の面もあるから気にしないようにしていたけどさ、少しやりすぎだよね? 私さ、別に何言われても良いサンドバッグじゃないんだよ? 不良生徒と一緒にしないでくれる?」
「あ、あ……」
「でももうやめる事にしたよ。だって、このままじゃナギちゃんにも迷惑かけそうだしね。そうなる前に元凶は、全て潰すよ」
「……」
「あ、安心してね★ 私、貴方達のような姑息な三下に興味ないから
「……」
ぼそりと呟いたその言葉に彼女たちは失神した。トラウマを植え付けられた彼女たちは二度とトリニティに来ることはないだろう。陰から見ていたパテル分派は初めてミカを敵に回したことの意味に気づいてしまった。敵として相対する彼女がここまで恐ろしいとは!
「い、急いで知らせないと……!」
「もう、遅いじゃんね?」
「え……?」
慌てて長に知らせようとしたパテル分派の生徒だったが気づけば地面に倒れていた。それと同時に視界が暗闇に包まれていく。何が起きたのか分からないまま彼女は意識を失った。
そして、それを行ったミカは服についた埃を軽く払う。後ろでは一瞬でいなくなったミカに対する動揺の声が広がっているが今の彼女にとってそんなものはどうでもよかった。
「さて、改めて私の上司への挨拶と行きましょうか★」
翌日、パテル分派は壊滅した。ミカが敵として認識したことによって派閥内の生徒全てがぼこぼこにされたのだ。特に長はこれまでの噂の流布やミカは
「くだらない噂しか垂れ流せない組織なんて必要ないよね★ 私がきっちりと健全な組織にしてあげるよ★」
ミカはパテル分派の首長につくと健全な組織への改革を実施した。とはいっても彼女がやったことは単純だ。他人を陥れる事をしない。私を不快にさせない。きちんと組織運営を行う。ただそれだけだったが逆らった場合、何をされるのかを身を以て理解していた彼女たちは従順に従うようになった。これによりパテル分派の改革は速やかに行われトリニティ内でも屈指のホワイトな組織へと変貌した。無論、その実態はミカによる恐怖政治に近いものだがそれに突っ込みを入れる人はほぼいなかった。誰だってパテル分派のようにはなりたくないのだから。
こうして僅か1年生にしてパテル分派の首長となり、ティーパーティーへと至ることとなったがそれを受けてフィリウス分派のリーダーは辞職を決定し、後任を桐藤ナギサとしたのだ。明らかな逃亡であったがそれを咎める者はいなかった。
「……え? 私が、ティーパーティーに? 入学して半年程度で?」
「アハハ★ やったー! ナギちゃんとお揃いだー!」
しかし、当の本人のナギサはあまりにも迅速に行われた権力移譲に終始ついていけず、漸く正常な判断を取り戻したのは全てが終わってから半月ほど経った頃であった。それまでも発生していたミカの尻拭い役が権力の付与と共に強化される形となり、ナギサは更に胃薬を手放せない体になるのだった。
取り合えず書きたい事は書けたので次回は先生にして後は適当にエデン条約とか?