聖園ミカにTS転生した   作:魔女じゃんね☆

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カイザーと言っているけど実質ネル回


カイザーコーポレーションの場合・中編

「ねぇ! そこの()()()()()。情報収集が得意な人に心当たりってない?」

「あ゛?」

 

 Cleaning&Clearing、通称C&Cの部長を務める美甘ネルは突然目の前に現れた少女に驚愕すると同時に無意識で武器を構えていた。まだ2年生ながらミレニアムが誇るエージェントとして活躍するネルにとってこれほどの強者は初めてであった。戦闘になった場合、ネル一人では太刀打ちが難しいだろう。C&Cの部員を総動員して五分持てばいい方だ。

 

「アハ★ そんなに警戒しなくても良いよ? 別に()()戦いたくて声をかけたわけじゃないし」

「……その制服、トリニティのだろ? っつうことはあんたが聖園ミカか」

「あれ? 私のこと知ってるんだ。私も結構有名になって来たね」

「知らねぇ奴の方が少ないだろうよ」

 

 職業柄普通の人より詳しく知っているがそれでも基本的にキヴォトスで彼女を知らない者はごく少数だろう。対不良兵器。アンチゲヘナウェポン。殺戮の天使。戦姫。堕天使、天使の皮を被った化け物。トリニティハイパーピンクゴリラ等などの異名がつけられ、毎日のようにゲヘナやブラックマーケットで不良やゲヘナ生徒を病院送りにしている存在だ。その実力はキヴォトスの頂点に君臨しており、彼女と1対1で勝てる者はおらず、学園を総動員してまともに戦えると言われる実力者だ。

 

「(噂でしか知らなかったが、こうして相対してみればわかる。()()。本能を委縮させるこの圧力。上等じゃねぇか……!)」

 

 考えるより行動するネルが全く動けない程本能で理解させられることに思わず笑みを浮かべる。キヴォトス広しと言えどこれほどの相手は絶対に見つからないだろう。

 

「……んで? ミレニアムには何の用事だ?」

「えっとね。情報収集が得意な人若しくはグループって知らない? 出来れば違法行為も平気で行えるような人が良いけど」

「ハッカーを探してるってわけか? ……まぁ、知ってるっちゃ知ってるが……」

 

 ネルの脳内にはいい性格をした、自らを天才と称する少女が部長を務めるハッカー集団が思い浮かんだ。正直に言って紹介する相手としては最悪だ。ハッカー集団らしい倫理観の欠如した者達ばかりであり、かなりの奇人変人の集まりだった。最悪、ミカの機嫌を損ねる可能性すらあった。

 普通の生徒なら問題は無いがミカがそうなればミレニアムが壊滅するくらいの怒りをぶつける事さえある。それだけはネルとしても勘弁してほしいものだった。

 

「……まぁ、大丈夫だとは思うが……。一応言っておくが腕自体はいいからな?」

「アハハ★ もしかして変人ばかりだから紹介するか迷ってる? 問題ないよ★ 変人くらいで怒ったりしないからさ。……そいつらが、ナギちゃんを侮辱したら別だけどね」

「っ!!」

 

 最後にぼそりと呟いたミカの言葉にネルは思わず飛びのいてしまった。それほどまでに彼女の圧はすさまじかったのだ。

 

「あれ? どうかした?」

「……いや、何でもねぇ。それより、だ。紹介するのは構わねぇが一つ頼みごとを聞いてくれねぇか?」

「ん? 何々? なんでも言ってよ★ かなえられるかは分からないけど」

「単純な願いだ。あたしと戦ってくれ」

「……へぇ、なんで?」

「あたしにとって良い経験になるからな」

 

 これほどの相手との戦闘は確実に経験になる。依頼達成率は常に100%のネルにとってそれを補強できる戦闘は良い経験になると踏んだのだ。

 

「問題あるか?」

「ないよ★ でもまさかここでやるつもりじゃないよね?」

「当り前だろ。向こうにひと気がない場所がある。そこでやろうぜ。ハッカーに関しては向かう途中で教えてやるよ」

「アハハ★ それなら遠慮なく戦えそうだね」

 

 気絶させてからたたき起こす手間が省ける。勝つ事に疑いを持たないミカはそう言って獰猛な笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 ミレニアムは広大な敷地を持つだけあって人が少ない、若しくはいないエリアが存在する。その一つにやって来たミカとネルはそれなりの距離を開けて対峙していた。

 夕焼けは沈み、二人の視界を闇夜でふさいでいる。薄暗いここでは対峙しているのに識別することは難しく、視界以外の五感を活躍させる事が必須の状況となっていた。

 

「戦いは互いに武器あり。決着はどちらかが無力化されるまで。なるべくこの周辺から出ないで戦う。いいな?」

「うん。問題ないよ。それじゃあ、いつでもどうぞ」

 

 ミカは軽く伸びをするとネルに先手を譲る。余裕から来る態度だがネルもそれを最大限に利用する。自らの愛銃、ツイン・ドラゴンを勢いよく構えて発射する。それと同時に横に体を傾けて回り込むように接近する。

 

「えい★」

 

 ミカはそれを軽々と避けると回り込もうとしていたネルに接近する。明らかに銃弾並の速度で移動するミカにネルは思わず舌打ちをしてしまう。そりゃ銃弾なんて当たらないはずだと銃による攻撃は意味がないと即座に判断し拳を握りしめて吶喊するミカを迎え撃った。

 ネルは小柄な体躯からは想像できない程の近接戦のスペシャリストであり、彼女の強さを支える大きな強みでもあった。そしてそれはミカに対しても十分に力を発揮することとなる。

 それなりに大きいミカに対して体躯が低いネルに攻撃する場合、どうしても振り下ろす形となってしまうがネルはミカの拳を体を丸めて回避すると同時にミカの懐への侵入を成功させた。渾身の一撃を躱された事で一時的に硬直した隙を突き、ネルはほぼゼロ距離から銃を発砲した。二丁合わせて60発近い銃弾が全てミカの腹部に直撃していく。

 

「っ!!」

 

 流石のミカもこの攻撃には思わず顔をしかめた。腹部を中心に痛みが走る。思考が一瞬痛みで支配され、体が硬直する。この世界に来て()()()()に感じた痛みだがそれも一瞬のこと。即座に戦闘に意識を戻すが相手は普通の相手ではない。キヴォトスでも最強に位置する美甘ネルなのだ。一瞬でもそれは致命的すぎた。

 

「おらぁっ!!」

 

 ネルはそのまま逆ムーンサルトキックをお見舞いしつつ距離を取る。振り上げられたネルの足はミカの顎に直撃し、ミカの視界を真っ白に染め上げた。顎への攻撃を受けミカの頭は大きく仰け反ることとなった。

 その隙を突きネルは宙返りをしていくなかでリロードを行う。空の弾倉を捨て、着地と同時にミカに銃口を向けたがそこにミカの姿はなかった。

 

「なっ!?」

「ちょっと油断しちゃったかな? 結構いい攻撃だったよ★」

「ぐっ!? ぎぃっ!!」

 

 驚く暇も無く後ろからボソリと呟かれた。それに反応するまもなくネルの首に腕が回しこまれ、圧倒的な力で絞められる。身長差からネルの体が浮かび上がり、宙吊りにされる。首にかかる圧力は増していき、頭に血が溜まっていく。

 これ以上は不味いとネルは足でミカの体を蹴る。その反動で抜け出せないかと試すがミカは一切動じない。銃はミカによって弾かれ、手が届かない場所に飛んでしまっている。力を込めて首に回されている腕をほどこうとしてもびくともしない。視界が黒く染まっていき意識が遠のき始める。

 

「凄いじゃん。ここまでされると普通の不良たちなら骨折れてると思うけど頑丈だね。エリートヤンキーだからかな?」

 

 今まさにネルの意識を飛ばそうとしている人物とは思えない呑気な言葉も遥か遠くから聞こえてくる。

 

「安心していいよ。意識飛ばしても大丈夫なようにしておくからね★ 安心して気絶しなよ」

 

 その言葉とともに込められた力が高まり、ネルは抗えきれずに意識を失った。

 

 

 

 

 

 ネルが意識を取り戻したのはそれからだいぶ経ってからだった。すっかり日が暮れ、真夜中となってしまったが翌日、ネルはセミナーから昨日発生した騒動について説明を受けた。

 ネルが意識を失ってからミカはネルより教えてもらったハッカー達の下に向かったらしい。その時、あまりにも豪快な登場と殺気とさえ感じる濃厚な圧を纏って登場したために部長以下部員達は震え上がり家に引きこもっているという。因みに、完全部外者なうえに許可もなくミレニアムの校舎を疾走したことでトリニティに正式に抗議をするとセミナーの生徒は言った。

 ミカとネルの関係は知られていないようでネルに対して事情を聴かれることはなかった。

 

「あたし以上に本能で動くタイプだったか」

 

 ネルは圧倒的な武力を持つミカとの戦闘を思い出し、あの高みに近づくために自分の鍛え直しを密かに決意しつつ完全に巻き込まれただけのハッカー達に心の中で合掌するのだった。

 




因みにミカは校舎内の部屋一つ一つを開け(開かないとぶち破って)ヴェリタスを探し出し、闘志マシマシの状態で詰め寄り(両肩を痛いくらい掴み、目がん開きでドス効かせて)アビドス内のカイザー基地を探すように頼み(ほぼほぼ脅し)、発見後は簡単な御礼だけ言って扉をぶち破って出ていきました。
因みに自分はヴェリタス勢ほぼほぼ持ってないので絡みは無しにしました。
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