聖園ミカにTS転生した 作:魔女じゃんね☆
ネルに紹介されたハッカー集団、ヴェリタスにカイザー基地の場所を聞いたミカは時間も丁度いいからとそのまま向かい、夜襲を仕掛けることにした。もはや日付は変わっており、電気が通らない砂漠地帯は月明かりのみが唯一の光源となっていた。
「……あった」
そうやってヴェリタスが見つけた位置にはカイザーコーポレーションの基地が存在した。正確にはカイザーコーポレーションの子会社であるカイザーPMCの基地だがカイザーコーポレーションと大して変わらないとミカは思っていた。
「それじゃぁ、人を襲ってきた代償を払ってもらうじゃんね」
ミカはそう呟くと近くに埋もれていた建物の残骸らしき巨大なコンクリートの塊をつかみ取るとそれを勢いよくカイザー基地に投擲した。
それはあまりにも唐突な出来事だった。最近完成したばかりのアビドス高校本館跡に立てられたカイザー基地は今日も変わらない発掘作業をしていた。カイザーPMCの理事はここにキヴォトスを揺るがす兵器の情報が眠っていると言っていたが兵士たちはとてもそれが本当だとは思えなかった。
それが栄えていた頃のアビドスが作ったものなら信憑性があるが最近のアビドスが作っていたとは思えないからだ。そんなことをするのなら借金の返済をするはずだと。
とは言え仕事と命令だから仕方なくやっていたが兵士たちは今日ほどそれを後悔した日はないだろう。
日付が変わった頃の時間、夜勤務以外の兵士たちが寝ている中でそれは突如として発生した。最初は門のところに立てられた監視塔が突如として爆発したのだ。基地全体に緊急事態を知らせるサイレンが鳴り響くがそれを遮るように今度は門に何かがぶつかって形を変形させる。ぶつかった門は開閉が出来なくなり、出入りが不可能になった。
「なっ!? 一体どこから……!」
そうしているうちに次々と物が飛んでくる。基地内は気づけば投擲物とそれによって破壊された瓦礫で散乱していた。門は全て変形、破壊されてしまい出入りが出来なくなってしまっている。つまり、基地から出る事が出来ないのだ。更に目につく航空機は門の次に破壊された。対空、制空能力が完全に失われていた。
「おのれ……! 兵士を出せ! 敵を見つけて殲滅するのだ!」
基地内の司令塔にいたPMC理事は突然の襲撃に怒り狂い怒鳴り声をあげて指示を出す。兵士たちも慌てて装備を整えて外に出るがそんな彼らを待ち構えるように基地の上空から一人の少女がおりてくる。
「アハ★ まるで蜂の巣をつついたような騒ぎだね」
「み、聖園、ミカ……!」
天使の羽根を持ち、全てを包み込みそうな微笑を浮かべた少女、聖園ミカをPMC兵で知らない者はいない。特にアビドスで活動する際には遭遇しないように注意勧告されているほどだ。でないと不良と同様に処理されてしまうから。そしてそんな圧倒的な力を有するミカを兵士たちは恐れていた。
「さて、いっぱい出てきたわけだし全員折るね★」
「う、うてぇぇぇぇえええ!!!!」
ミカが降り立つと同時に指揮官が絶叫するように叫んで命令を下す。瞬間、一斉に放たれる銃弾。数百にも及ぶ鉄の雨がミカへと向かっていくがこの程度はミカにとって脅威でもなんでもなかった。
「ふっ!」
「きえっ!?」
「次」
「ぎっ!?」
ミカは体を低くするとそのまま消えるような速度で動く。銃弾すら遅いと感じるその動きは当然ながら兵士では視認は不可能だった。一番前にいた兵士が訳も分からずに破壊された。その余波で数体の兵士も巻き添えを喰らうがその前に次の兵士がミカの拳を諸に受けた。まるで発泡スチロールを殴ったかのように軽々と兵士の装甲を貫通し、真っ二つに破壊する。
「やっぱロボット兵士は弱いね。これじゃあのメイドちゃんの方が強かったじゃんね★」
「くそっ! 数はこっちが上なんだ! ごり押しでも良いからたたk……」
「貴方達程度の能力じゃ数があっても無駄じゃんね」
突進、パンチ、蹴り。ミカが何かしらの攻撃をする度に兵士が次々と破壊されていく。その圧倒的な速度は兵士たちには捉える事が出来ず、銃弾が当たらない。当たったとしてもミカの肉体に痣一つ作るには至らない。数を当てようにもそもそも当たらない。最初から最後までこの戦いはミカの独壇場だった。
「えーい」
「ごっ!?」
「とりゃー」
「ひっ!?」
「そいやっさー」
「ぎゃーっ!!!」
しかし、悪名高いカイザーグループの一つ、カイザーPMCの基地だけあって次々と兵士たちが出てくる。無双から約1時間。単調な戦いにミカは飽きを感じていた。明らかに敵の数はあと少しで打ち止めだがそこまでやるにはミカの気力がそがれてしまっていた。
どうしたものかと考えるもそうしている間にも兵士は奥からぞろぞろと出てきて攻撃してくる。カイザーPMC如きの銃撃でミカはダメージを受けることはないがうざったいことに変わりはない。
「面倒だし、どうしようかなぁ……。そうだ!」
不良とは違い無駄に統率が取れており、いつまでも現れる兵士に嫌気が差したが統率が取れている分司令官を倒せば瓦解するだろうと思い出したミカは兵士の足を掴むとそのまま力任せに振り回す。本気で握れば粉砕してしまうため力を調整したがそれでも振り回したことで周囲の兵士を吹き飛ばす事は出来た。
その隙を突き、ミカは跳躍する。羽根を広げて飛翔する姿はまさに天使の姿そのものであり、兵士達は襲撃を仕掛けてきた相手にも関わらず思わず見惚れてしまった。
そして、見事に追撃を回避したミカは司令官がいそうな一番大きなタワーの中間地点の壁を拳で破壊して突入すると内部の掃討を開始した。
とは言っても一階一階をクリアしていく訳では無い。キヴォトス最強のゴリラたるミカの手にかかればそんな手間をかける必要はないのだ。
「ふっ!!!」
「な!? 何がおこっ!?」
ミカは足に力を入れて飛び上がる。天井にぶつかる寸前に拳を振り上げれば天井は簡単に砕け散り、上の階へと昇ることに成功したがミカの力の前にこの程度で終わるはずもない。勢いが止まることなくミカは一気に5階層を貫いてみせた。柱はへし折れ、壁にはヒビが入り、倒壊の危険性が発生した。
「うーん。もうちょいじゃんね★」
無論、そんな事はミカには関係ない。更に力を込めてミカは天井を更に突き破ると勢い余って司令室をぶち抜き、最上階の監視塔を破壊して外に飛び出してしまった。途端にタワーは上半分が崩れ落ちていく。中や近くにいた兵士が巻き込まれて大きな被害を生み出した。砂ぼこりが舞うなか、大暴れをしたことで満足したミカはウンウンと頷いた。
「これだけやればカイザーもこっちに手を出してこようとは思わないでしょ。もし、それでも手を出してくるのなら、その時は本社を破壊するだけじゃんね★」
ミカはそう呟くとトリニティへと帰還していくのだった。
余談ではあるがミカがトリニティに登校するとミレニアムからの抗議の対応に不眠不休で対応したナギサに出迎えられ、正座によるお説教と自宅謹慎が言い渡されることになった。
ミカもやりすぎと感じたのか素直に受け入れると1週間の間ナギサにべったりくっつきながら平和に過ごし、ナギサの心に物足りなさを生成することになるのだった。
因みに、この件で対応した結果、サンクトゥス分派のリーダーは遂に過労で倒れ、後任である百合園セイアに全てを任せてティーパーティーを辞職することになった。ミカの後始末から解放された彼女は淑女らしからぬはっちゃけぶりで残りの学生生活を楽しむことになったとか。そして、もう一人の苦労人である百合園セイアが誕生した瞬間であった。
次はセイアにしようかなと思っていたり。それかアルちゃんかナギサとの温泉デート回にするか悩んでます