聖園ミカにTS転生した   作:魔女じゃんね☆

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百合園セイアの場合

「アハ★ 今度は随分と小さい子がリーダーになったんだね★」

「……ミカさん。新しいティーパーティーのメンバーにそのようなことを言うのはよくありませんよ。……百合園セイアさん、でしたね? 今後はよろしくお願いします」

「……」

 

 サンクトゥス分派のリーダーとなった百合園セイアが他のティーパーティーと出会った時に言われた最初の言葉であった。まだ2年生になりたての彼女がトリニティのトップに位置する生徒会長、ティーパーティーのメンバーになれたのは聖園ミカの破天荒ぶりに起因する。

 最初に百合園セイアが彼女のことを知ったのはパテル分派の粛清時の事だった。三大分派の中でも内ゲバが酷い派閥は前々から自由奔放な聖園ミカを虐めていたがそれにキレた聖園ミカが分派内の粛清を行ったのだ。結果的にパテル分派は聖園ミカを筆頭とする健全な派閥に生まれ変わったがフィリウス分派はそんなミカの相手をすることを嫌がり彼女の飼い主……幼馴染であるナギサに手綱を握らせるために早々と引退してしまったのだ。

 そして、残されたサンクトゥス分派のリーダーは自分まで抜けてしまえばティーパーティーは機能不全に陥ると考え、約半年に渡り義務感で頑張ったが先日発生したミレニアムサイエンススクールへの襲撃? やカイザーPMC基地への襲撃で限界を迎え、皮肉げであまり好かれていなかった百合園セイアに押し付ける形で引退したのである。

 

 

「アハハハハハ!!! 私は自由ですわぁ!!!!!」

 

 ……引き継ぎが完了した元リーダーがそう叫んで淑女とは思えないほどはっちゃけているあたり聖園ミカは一体どれだけの人物なんだと戦々恐々としたが最初は普通に友好的に接することが出来ていた。

 一連の行動でブチギレたナギサによるお説教を受けたミカは大人しく謹慎処分を受け入れたのだ。ミカは自分の部屋と校舎以外に出ることはなく、穏やかに過ごすことになった。

 

「ミカさんが大人しくしていることは喜ばしい事のはずです。ですが、なぜでしょうか? 心に穴が空いたかのような、物足りない感覚を覚えてしまうのは……」

「ナギサ、その先は地獄だと思うよ」

 

 しかし、ナギサはミカの様子に凄く悲しげな表情をしており、その理由を知っているセイアは必死に引き止めていた。

 そんな感じで始まった新生活だがこの頃からセイアにはあることが起こるようになった。

 元々セイアは予知夢をみる能力を持っており、過去や未来、今に至るまで様々な様子を鮮明に見ることが出来ていた。しかし、彼女の能力は強制且つコントロールが難しく、見たくないものまで見てしまう欠点もあったのだ。

 そんな彼女が最近よく見る夢はミカに関するものだった。内容は日によって違うが必ず夢の中心には彼女がいた。

 シチュエーションは様々であり、ゲヘナらしき場所で不良をボコボコにしていたり、ブラックマーケットらしき場所で不良をボコボコにしていたり、砂漠地帯でヘルメットを被った不良をボコボコにしていたり……。基本的にミカが誰かをボコボコにしている夢だった。

 たまに変化球でナギサと2人でデートしている場面やお泊り会なのか一緒のベッドで眠っている物もあった。

 一番反応に困るのは遥か先の未来らしく大人になった二人が夜の大運動会を開催していた事だろう。丸一日にわたる大激戦は見ていたセイアを真っ赤にさせて1週間近く2人の顔を見れない様にした威力を誇っていた。

 そんなわけで気付けばセイアの夢はミカで侵食されていた。最近では普通の夢にまでミカが現れてセイアと楽しく遊ぶ夢をみることも増えてきた。

 

「ねぇねぇ、ナギちゃん。セイアちゃん変じゃない?」

「そうですね、最近はぼーっとしていることが増えましたね。……ミカさん、今度は何をやらかしたんですか? 対応しないといけないので素直に教えて下さい」

「うーん、セイアちゃんに何かした記憶はないんだけどなぁ。それとナギちゃんなんで少しうれしそうなの? 大丈夫?」

 

 少し前までは近い将来に訪れるだろう厄災を回避することが出来ないと絶望していたが最近はそんな未来を見ることはなくなっていた。

 たとえ見たとしても直ぐにミカが場面をぶち破って登場してくるからだ。空間をぶち破るなど普通は不可能だがミカならやってくれそうだという謎の信頼があった。

 

「ふふっ。ミカは本当におかしな人だね。ここまで心をかき乱す人は初めてだよ」

「ねぇねぇナギちゃん。なんかセイアちゃんの距離が日に日に近くなってきている気がするんだけど。というより今なんて膝の上に乗ってきたし」

「あら、ミカさん。私をこんな体にしたのにセイアさんにまで手を出すなんて節操がないですね」

「うん誤解を生みそうなことを言わないでほしいかな。別に手なんて出してないはずだけど?」

 

 ミカはセイアからの熱っぽい視線から逃れるためにトリニティにいる時間は減っていった。それに比例して病院に運ばれる不良の数が増えていった。

 トリニティの救護騎士団ではあまりにも多い不良の搬送に嫌気が差したのか専用の部隊創設まで行ったという。

 

「ふ、ふふ。これです。これがたまらないのですよ。最早この刺激がないと駄目になってしまいそうです」

「ナギサは休んだほうがいいね。いくらなんでもミカのやらかし報告を聞いている表情じゃないからね」

 

 ミカのやらかしの対応は一日の作業の半分にまで及ぶ。その対応でセイアもナギサも胃を痛めるような苦労をする羽目になっているがナギサはその環境に最悪の形で適応しつつあったが流石のセイアはそんな適応は出来なかった。そこまで堕ちたくないという気持ちが強かったためであるが。

 それでも、ミカとナギサ、二人と過ごす時間はセイアにとってかけがえのないものになっていた。二人となら最悪の未来に立ち向かうことができるかも知れない。セイアはいつしか前向きに考えることができるようになっていたのだった。

 

「二人とも! このゲヘナに温泉施設作らせたから入りに行こう! 直ぐに!」

「あら、それは良いですね。直ぐに準備しますね」

「……」

 

 テロリストとしてマークされているゲヘナの温泉開発部の部長の尻尾を掴んで引き摺って連れて来ながらそんなことを言ってきたミカとその状況に何とも思わなくなったナギサを見て、前言撤回だなとセイアはキリキリと痛み始めた胃を押さえながらそう考えるのだった。

 

 




次回温泉デート予定
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