只人が頂点を目指すのは間違っているだろうか   作:苦茶。

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はじめましての人ははじめまして!
もしお久しぶりの方が居たらお久しぶりです!

最近忙しくて読む専だったんですけど、ダンまちのアイディアが浮かんでしまったので書き始めます!

設定は色々考えてあるけど行き当たりばったりだからよろしく!


只人

迷宮都市オラリオ。

 

世界唯一の迷宮都市で広大な都市の中央には天を衝く白亜の摩天楼。

摩天楼施設『バベル』を中心にして――――つまり都市の名称通り迷宮(ダンジョン)を起点にして――――このオラリオは栄えていた。

 

その特性からオラリオには数多くの冒険者が存在し、その冒険者がかうダンジョンにはまだ見ぬ『未知』が眠っている。

 

未知という名の興奮、巨万の富、輝かしい栄誉、そして権威。

 

その全てがこの都市には揃っている。

 

しかし、その迷宮都市オラリオの薄汚い路地裏には世界に、都市に、全てを奪われ、自分に絶望した者もいる。

 

「このクソガキッ!!」

 

路地裏で2人の冒険者が汚れた銀髪の少年を殴り、少年は壁に叩きつけられる。

 

「…………」

 

少年は痛みを感じていないのか、もしくはそんなのどうでもいいかのようにただ睨むように自分を殴った冒険者を見る。

 

「オラッ!」

 

「ガハッ!」

 

腹を蹴られて蹲る少年の顔を冒険者は蹴って倒す。

 

「おい、その辺にしとかねえと死ぬぞ、コイツ」

 

「……それもそうだな、今死なれたらこっちが困る」

 

ゲスの笑みを浮かばせながら去って行く冒険者達。

 

自身を殴った冒険者が去ったのを確認した後、少年は動き出そうとした

 

…しかし冒険者でも無い只人の少年は痛みで一切体を動かすことは出来ない

 

このまま動けず死ぬかもしれない

 

また冒険者が来て殴り殺されるかもしれない

 

はたまた今動けようと今日のうちに飢えで倒れるかもしれない

 

しかし少年にはどうでも良いことだった

 

この7日間で全てを失った少年はもはや全ての事がどうでも良かった

 

ただ1つ悔やむことがあるとすれば

 

「何も…守れなかった…」

 

今となってはただの戯言、それどころか少年自身も弱かった自分のせいだと知っている

 

それを受け入れた少年がそっと目を閉じそうとしたとき

 

 

「大丈夫ですか⁉」

 

 

突如聞こえた女性…いや少女特有の高い声がその場に響く

 

少年が1度閉じた目を微かに開けると、路地裏には似合わない美しい銀髪の少女がこちらを不安そうに覗いていた

 

 

「待っててくださいね、今治療しますから‼」

 

少年が少女に問うより先に息を吸い込んだ少女の瞬間空気が変わったのを少年は感じた

 

【癒しの滴、光の涙、永久の聖域。薬奏をここに。三百と六十と五の調べ。】

 

使い慣れていないのか少したどたどしくもはっきりと

 

【癒しの暦は万物を救う。そして至れ、破邪となれ。】

 

たった1人で世界すら捻じ曲げる魔法という奇跡の詠唱()が続く

 

【傷の埋葬、病の操斂。呪いは彼方に、光の枢機へ。聖想の名をもって——私が癒す】

 

少女がそれを発動した瞬間、5Mの範囲に純白の光輝が少年の体を包み込む

 

その眩しさに少年が目を閉じ、再び開けた時には少年の傷も体力も全て回復していた

 

困惑の表情を浮かべる少年に少女は安心させるように微笑む

 

「良かった…助けられて…」

 

 

その一言がすべての始まりだった。

 

 

少年―――レイン・ベネットと少女―――アミッド・テアサナーレ。

 

 

小さな路地裏で少年は運命と出会った。

 

 

 

***

 

 

 

「魔法を使ったので大丈夫だとは思いますが確認させてください、何か違和感等はありますか?」

 

突然の事で頭が混乱しながらも質問に答えなければとレインは口を開く

 

「特に違和感等は無いが…君は?」

 

その言葉に何も言わずに勝手に治療してしまったとハッとした表情を浮かべながらも少年に言葉を返す

 

「…申し遅れました、ディアンケヒト・ファミリア所属のレベル1…いえレベル2のアミッド・テアサナーレと申します」

 

 

アミッド・テアサナーレ、レインもその名に聞き覚えがあった

 

自分が何も出来なかったこの7日間…それよりも前から自分が出来る事をとポーション等を使い積極的に治療を行っているという話は冒険者じゃなくても聞いたことがあった

 

「話は聞いたことがある…あの戦いの中でも積極的に治療を行っていたらしいな」

 

「それだけが私に出来る事なので」

 

だけがとアミッドは言ったが、何も出来なかったレインにはそれがとても輝いて見えた

 

「私は名乗りましたよ、貴方の名前は何ですか?」

 

「レイン・ベネット…歳は10…ただの冒険者でも無い只人(ヒューマン)だよ」

 

彼の少し悲しそうな表情を見て、もう少し成長したアミッドならその表情の意味を察し何も言わなかっただろう

 

しかしアミッドはまだ11歳であり、その意味を察する事は出来なかった

 

「レイン…さん…」

 

「レインで良い」

 

「では私もアミッドで、それでレインはどうしてこのような場所に?」

 

 

 

「死んだよ…この7日間で」

 

「…ごめんなさい」

 

レインはアミッドを見ることが出来ない、今の彼を見る目は大きく分けて2つ、最初の冒険者のようにゴミを見るような目線か善良な市民や冒険者から向けられる憐みの目線

 

レインはその両方が嫌いだった、自分の弱さを突き付けられているような気がして

 

何よりその事実を受け止めながらも、何も出来ない自分が何よりも嫌だった

 

悔しさを噛み締める少年が顔を上げると、アミッドがレインに向けてる視線は先ほど挙げたどちらでも無かった

 

憐みでも無い、路傍の石を見る目でもない、レイン・ベネットという人間を真っすぐと見つめていた

 

「レイン辛いかもしれませんが教えてください、何故そんなにも悲しそうなのですか?悔しそうなのですか?」

 

少女の真っすぐな視線に少年は…

 

 

「助けたかったんだ…手が届く範囲だけでも」

 

思わず口を開いていた

 

決して全ては語っていない

 

しかしレインのその僅かな言葉でもアミッドはその思いを感じた

 

そして彼女は少年に道を示す

 

「レイン…貴方が良ければですが…ディアンケヒト・ファミリアに来ませんか?」

 

「えっ…?」

 

レインの呆けた声を聞き、アミッドは言葉を続ける

 

「勿論入団にはディアンケヒト様に許可を取らないといけませんが…どうでしょう?」

 

「なぜ…?なぜそこまで俺に優しくする、今ここで初めて会った俺に」

 

「ディアンケヒト・ファミリアは医療系ファミリアだから…というのは建前です、単純な疑問ですが人を救うのに理由が必要ですか?」

 

「助けたいから助ける、人はそういう生き物です」

 

「だから私はあなたを救う、レイン…私があなたの家族になってあげます」

 

 

 

***

 

 

 

「本当に良いんだろうか…」

 

 

「良いんですよ!大人しくお姉さんのいう事を聞いときなさい!」

 

「お姉さんって…1歳しか変わらないだろ…」

 

レインのその発言が気に入らなったのか、少しムッとした表情のアミッドがレインの手を握り駆け出した

 

「ほら!行きますよ!」

 

 

 

***

 

 

 

アミッドに手を引かれオラリオを駆けるレイン

 

 

ここで1つ考えてみてほしい

 

片やレベル2の冒険者、片や冒険者でも無い10歳の少年

 

結果ディアンケヒト・ファミリアに着く頃には、レインの額には大粒の汗が浮かび、息は完全に切れていた、もはやその場に倒れこみそうな程である

 

「す、すいません…」

 

「少しは…後ろも…見てくれ…」

 

そんな2人を周囲は姉と弟の兄弟のように見ていた事を2人は知らない

 

 

それからしばらく歩いてディアンケヒト・ファミリアのホームに着く頃にはレインの息は完全に落ち着いていた

 

 

「戻りました」

 

アミッドに連れられ入った店舗でレインが最初に感じたのはポーションや消毒液の匂いだった

 

今は昼時という事もあり客はあまり居ないとアミッドは言うがレインからしたら十分多かった

 

レインが物珍しそうに辺りを見渡しているのが面白かったのか、アミッドが少し笑みを浮かべている

 

「それではディアンケヒト様の所に向かいましょうか」

 

そう声をかけられ店舗の裏の方…団員達の住居がある方へ向かう

 

大小様々な扉がある道をどんどん進むと、今まで見た中で1番大きな扉の前で止まり、アミッドがその扉にノックした

 

「ディアンケヒト様、アミッドです」

 

「入って良いぞ」

 

「失礼します」

 

アミッドに連れられ中に入ると、まず目に入ったのは数多くの医療機器、その全てが綺麗に清潔に保たれており丁寧に扱っているのがよく伝わる

 

「それで何のようだ、後ろにいる奴は誰だ?」

 

少しばかりこちらを睨みながら、聞いてくるディアンケヒトにアミッドは堂々とした態度で返す

 

「彼はレイン・ベネット、どこのファミリアにも所属していない只人です」

 

「そういうことではない…儂が聞きたいのはそいつは何をしに来たということだ…」

 

「単刀直入に申し上げますと私が推薦しますので彼のファミリア入団を許可していただきたいです」

 

アミッドがはっきり言うと、ディアンケヒトは予想はしてたのか1つため息を吐く

 

「アミッドよ、確かに儂はお前にこれから先このファミリアを引っ張っていく存在だとは話した、お前のいうことは出来る限りは叶えていきたいとも思う」

 

「では…」

 

「しかしなアミッドお前もわかっている通り、ファミリアへの入団はそう安いものではない…団員同士命を預ける関係だ、お前の一存では決められない」

 

「ではディアンケヒト様が面談でもして判断してください、私は一旦出るので」

 

「うむ…そうしよう」

 

レインが一言も話さないまま勝手に話が進んでいき、気がつけばアミッドは部屋から出ていてレインはディアンケヒトと向き合ってる状態で残された

 

「レイン…と言ったなとりあえずそこに座れ」

 

「わかった…」

 

ディアンケヒトは自身が座っている常務用のテーブルから、部屋の中にある来客用の向かい合った2つの椅子の1つを指さし、レインが座ったのを確認し自身も対面に座った

 

「レインよ、これからいくつか質問をする正直に答えろ。神に嘘は通じんぞ」

 

レインがこくりと頷いたのを確認しディアンケヒトは質問を始める

 

「まず最初にアミッドはあぁ言っていたが貴様自身はどうだ、儂のファミリアに本当に入りたいのか?」

 

「入りたい」

 

「それは何故?」

 

「アミッドが…俺を家族と呼んでくれたから」

 

レインが言ったぞとばかりに口を閉じると、ディアンケヒトの顔に少しばかり怒りの表情が浮かぶ

 

「たったそれだけ?たったそれだけの理由でうちのファミリアに入ろうとしているのか?そうならば儂はお前を今すぐここから叩き出すぞ」

 

レイン自身少し前までは平穏なオラリオで暮らしていた為、ディアンケヒトが守銭奴神だということは聞いたことがあった

 

しかし今ここにいるのはあの7日間で仲間を失い苦しんでいる眷属達(子供たち)を心の底から心配し、その中に俺という新しい重りを入れるべきかを悩み眷属(子供)の為に怒りを見せている主神()だった

 

「本当のことを言え、2度目はないぞ」

 

「俺はこの7日間で全てを失った、家族も家も居場所も全てをだ」

 

「確かにこの7日間で市民、冒険者含め多くの被害をだした、しかしそれは貴様をファミリアに入団させる理由にはならない、厳しいことをいうがそれは…」

 

「俺が弱かったから…だろ?知ってるよ」

 

「…その通りだ」

 

「だからこそだ、だからこそファミリアに入って強くなりたい、アミッドを…家族と言ってくれた人を守れるぐらいに」

 

その一言に…ただの少年が語る夢物語にディアンケヒトは激怒し立ち上がった

 

 

「グワッハッハ…貴様…ふざけているのか?レベル2のアミッドを守る?未だ冒険者でも無い小僧が⁉勘違いも良いところだ!」

 

 

「仮に!お前がアミッドを超えレベル3になったとしよう!しかしレベル4は⁉レベル5には⁉第一級冒険者レベルからアミッドを儂の団員を守れるのか⁉」

 

その怒りの叫びにレインはゆっくりと静かに答える

 

「誓ったんだよ…自分に何より家族の最後の時に…自分を家族呼んでくれる人が現れたらその人を何が何でも守れるような人間になるって」

 

「ディアンケヒト様、あんたの言うことは最もだ今俺が話したのは夢物語でしかない、だから…俺が頂点になって『猛者(おうじゃ)』だろうと『勇者(ブレイバー)』だろうが超えて見せる」

 

「只人のガキが頂点になるだと?ハッ!それこそ夢物語だな」

 

レインはこれでダメなら、アミッドには申し訳ないが諦めようと思っていた

 

そして今の一言でレインは半分諦めていた

 

「だが…偶には賭けてみるのも悪くない、いいだろう貴様の入団を認めてやろう!」

 

レインが呆けている間にディアンケヒトの宣言が聞こえていたのかアミッドが入ってくる

 

「よく言います…最初から入団を良しとしていた癖に」

 

「それを言うのは野暮というもの!せっかく面の良い稼ぎがし…商売道…新しい団員が来た事だしな!」

 

レインは守銭奴神というのは間違っていなかった事を一瞬で理解した

 

「大変伝えるのが心苦しいですが、とても気持ち悪かったです、主神っぽくて」

 

「主神っぽいとは何だ!儂はお前らの主神だぞ!」

 

「これが私たちの主神ですよ、レイン」

 

「これがとは何だ!最近儂への言葉がだんだん強くなってきてないか⁉」

 

「気のせいですよ…それでディアンケヒト様恩恵はもう刻むのですか?」

 

「とりあえず風呂と飯が先だ、あまりにも不衛生すぎる、アミッド先に風呂へ案内してやれ」

 

「わかりました、行きましょうレイン」

 

ディアンケヒトの部屋から風呂場に向かっていると

 

「そういえばレイン『猛者(おうじゃ)』や『勇者(ブレイバー)』を超えると言っていましたが…本気ですか?」

 

「全部聞こえていたのか?」

 

「いえ…そろそろ思るかと、向かったタイミングで聞こえました」

 

「そうか…話を戻すが…本気だよ」

 

「そうですか…それは何故?」

 

「どこかで聞いたが…『勇者(ブレイバー)』フィン・ディムナは『理想』という言葉を使わないらしい代わりに使うのは『野望』らしい」

 

「それがどうかしましたか?」

 

レインはディアンケヒトにも話さなかった願いを語る

 

「俺にとって頂点に立つのは『理想』でも『野望』でもない、『渇望』してることなんだよ…もう家族を失わない為に俺は強くなる」

 

「そうですが…簡単なことではないでしょう」

 

「知ってる…でも決めたんだ」

 

「なら…」

 

アミッドはレインの目を見て告げる

 

「家族として応援しています、レインが頂点に立つのを」

 

 

 

その後風呂に入り、みんなに伝えるのは明日になったとアミッドに言われ、他の団員より遅い時間に夕食を取った後、レインとアミッドは再びディアンケヒトの部屋に向かった

 

 

 

***

 

 

 

神が下界で許されている『神の力(アルカナ厶)』によって下界の子に『恩恵(ファルナ)』を与えてその神の眷属にする。

 

眷属の積み重ねた『経験値(エクセリア)』を神は抽出して『神聖文字(ヒエログリフ)』に変えて背中に刻み込む。

 

そのことにより、人を超越した身体能力、魔法と奇跡。

 

神が人に開く神に至る道。

 

それが【神の恩恵(ステイタス)】。

 

 

「こ…これは…」

 

 

レイン・ベネット

 

Lv.1

 

力:I0

耐久:I0

器用:I0

敏捷:I0

魔力:I0

 

ディアンケヒトが驚いたのは勿論だが基本アビリティではない、そのスキルにあった

 

 

《スキル》

 

頂点渇望(フランネル・クロッカス)

・早熟する。

・想いが続く限り効果持続

・想いの丈に応じて効果上昇

・家族を守ろうとする時効果特大上昇

 

 

ディアンケヒトでさせ見たことも聞いたこともない、成長促進スキル

 

 

 

 

 

 

彼は英雄では無い

 

 

 

だが確かに彼は頂点への一歩を踏み出した。

 




後書き何書くか悩んでんですけど、初回は少しばかりですがキャラについて触れて行こうかと思います

レイン・ベネット
今作の主人公、彼に触れるとこの後書く必要がなくなるのでここまで

アミッド・テアサナーレ
原作時19歳という事と、11歳の時にはファミリアに所属していたという事で11歳スタート、魔法に関してはレベル1の時かもしれないが、今作では死の7日間を乗り切ったことによるランクアップとして出現した事にする
またこのままだと元最速記録であるアイズの1年を塗り替えてしまう可能性がある為、ファミリア自体には9〜10歳程度で所属した事にする

ディアケヒト
恐らくこの第1話を読み、原作を知ってる人からすると「コイツ誰や」のような状態だと思う、安心して欲しい作者もコイツ誰だと思った
次回からは守銭奴神らしい所を思いっきり出せるようにしたいと作者も反省した

それではまた!
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