ワカクサ本島の原住民   作:メタモン推しの人

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書いたものを読み返したとき、あらすじから本編が分かりづらいなってなったので、あらすじをシンプルなものに変えることにしました。一応旧あらすじはあとがきに残します。


鴨はカモでも“こがもポケモン”

 

 河川に沿って歩くこと幾ばくか、俺たちは色んな景色を見た。

 

 川の流れが大きく蛇行していたり、急勾配で小さな滝ができていた場所もあった。あの穏やかだった河口からは想像できない急流で、水しぶきと音が凄まじかった。

 

 ときおりシャワーズなどのみずタイプポケモンが川で泳いでいたりして、歩きながらぼんやりと生態観察に興じる。

 特に、メタモンが野生のポケモンを見つけると腕を引いて教えてくれるものだから、一緒になって見ていた。動物園デートかな?

 

 ともあれ、メタモンのおかげで歩いているだけなのに楽しい。

 正直心のどこかで食材探しに焦燥感のようなものが燻っていた。命がかかっているのだから当然かもしれないけれど、変に焦っては視野狭窄になってしまうだろう。それでは本末転倒だ。

 もしかしたらメタモンはその辺りを気遣って、俺に視野を広く持たせようとしているのかもしれない。

 

「メタァ?」

 

 まぁ、よしんばそうではなくて、俺が都合よく解釈しているだけだとしても、メタモンが可愛いからヨシッ!

 

 そんなこんなで、稲どころかイネ科っぽいものも見つからずに緑地の河原歩きを満喫していたのだけれど。

 

「なぁにこれぇ」

「メタぁ?」

 

 そんな俺たちの前に、また何とも不可思議なものを見つけてしまった。

 

 行く手を阻むほどのものではないが、川辺で山のように落ち葉が積まれていたのだ。その外周を石で囲っているようで、さながら焚き火の着火前といった風体である。

 しかし、積まれた落ち葉は高さが俺の腰ほどもあり、焚き火というには些か大きすぎる気がする。

 

 考えても何かは分からないが、まさか自然にできたわけではあるまい。誰かが作ったものだろう。

 今一度周囲を見渡してみるも、動く影はない。

 

 これがあのキテルグマよろしく、誰かの縄張りの目印とかだったらすぐさま離れなければならないのだが、もしかしたら人が作ったものかもしれない。そんな可能性が脳裏にチラついてしまう。

 

「あれ? 入り口みたいなのがある」

 

 結局好奇心に負けて近づいた俺は、ソレの側面に穴があることを発見した。ついそのまま中を覗こうとして、思い止まる。

 油断大敵だ。何か出てきても困るので、万が一に備えてメタモンと同時に中を覗く。

 

「うわ凄っ」

「メタァ!」

 

 内部には太い枝が円錐状に骨組みされた空間が広がっていた。俺がてっきり落ち葉の山だと思っていた外側は、ひとつひとつが骨組みにツルで結ばれて固定された葉っぱだった。

 

「ポケモンが作ったテントか、コレ」

 

 あいにくと人が住めそうなサイズではない。けれど誰かが作ったものに違いないのなら、これの作成者はポケモンなのだろう。それもそれなりに小さいヤツだ。

 

「クワーッ!?」

 

 そうしてこの小さなテントの出来にメタモンと感嘆していると、背後から鳴き声が聞こえた。

 

 振り向けば向こう岸から飛沫をあげてコチラに走ってくるポケモンがいた。水色の頭に白い体毛、黄色い嘴を大きく開けて酷く慌てているようである。

 

 その正体は“こがもポケモン”のクワッスだ。

 

 ポケスリでは『ワカクサ大豆』や『ふといながねぎ』といった食材を持ってくるポケモンであり、俺も最終進化のウェーニバルをよく長ネギ集めで使っていた。

 

 まぁその席、あとでカモネギに奪われたのだけど。

 

 だって仕方ないだろう。満を持して実装されたカモネギが、仲間にすることが難しい分、大量に『ふといながねぎ』を持ってくるポケモンだったのだ。

 しかも運が良いのか悪いのか。弊キャンプでは捕獲1体目でカモネギ厳選が終わってしまった。ネギ集めにおいて頭ひとつ抜けた量を確保できることから、ネギ個体ウェーニバルさんはすげなく選手交代、お留守番となった。

 ジェネリックカモネギ、今までありがとう。あの日はそんな気分が印象的だった。

 

 閑話休題。

 戻って現在。

 

「クワ! クワーッ! クワーッス!」

「ま、待て待て、落ち着け。俺たちは見てただけだから!」

 

 俺たちの足下まで飛ぶ勢いでやって来たソイツは、そのまま猛抗議をするように羽をバタつかせて叫び出した。

 

 雰囲気からしてこのテントの作成者、ないし持ち主がコイツであることは分かる。不用意に近づいた俺が悪者だというならそうだ。

 ただ、それならそうとこの場から早く退きたいのだが、先ほどから足下をうろちょろとされて動きづらい。誤ってぶつかりでもすれば抗議だけじゃ済まされなくなりそうだ。

 

「クワッ! クワッス!」

「モンモン」

「ク──クワァ?」

「メタメタ」

 

 さてどうしたものかと俺が悩んでいれば、見かねたのか、すかさずメタモンが動いてくれた。ホントそういうとこ大好き。

 

「クワ……クワーッ!」

「メタ!?」

 

 しかし、メタモンの取り持ちもむなしく、クワッスは咆哮をあげる。挙げ句には大きく息を吸い込み、()()()()()()()()()

 

「メタモン、攻撃くるぞ!」

「メタァ!」

 

 嫌な予感がした俺は急いで後ろへと下がり、メタモンが前に出る。

 

「クワッポゥ!」

 

 そしてへんしんを始めたメタモンに向かって、クワッスはその口から一線の水を射ち放った。

 

 まともに食らったら痣になりそうな勢いだ。あれが本場の『みずでっぽう』なら、本当に俺はメタモン無しじゃ生き残れそうにない。物理的にも、精神的にも。

 

「メタァ」

 

 なんたって俺のメタモンは賢いのだ。強くて優しくて賢くて可愛いとか最強だろ。メタモンのいない生活とか今さら考えられない。見てみろ、あの穏やかな顔を。

 

「クワ!? クワーッ!」

 

 比べて、クワッスは相当憤慨している。どうやらあの攻撃にそれなりの自信があったらしい。目の前の現実が想定とは違うことに怒りを抱いているようであった。

 

()()()か。ちょすい特性?」

「メタァ!」

 

 今回メタモンがへんしんしたのはドオーだった。

 みずタイプの技を無効化し、なおかつ回復までする害悪特性──失礼、クソ素晴らしい特性はかつてSVでも大変お世話になりました。

 

 ただし、みずタイプ相手にちょすいがあるからと胡座をかけば足下をすくわれる。そんなヒヤリハットなどキテルグマの1回だけで充分だ。

 

「よっしゃ、やるぞメタモン。気を抜くなよ」

「メタメタァ!」

 

 今のクワッスにメタモンの言葉すら通じないのなら仕方ない。バトルして、疲れさせて、冷静にさせる。怒りなんて感情はオコリザルでもなければ長続きしないのだ。チャンスはある。

 そうしてクワッスを落ち着かせて、俺たちは安全にこの場から離脱しよう。やることはキテルグマのときとほとんど変わらない。油断しなければ大丈夫だ。

 

 俺たちは構え、クワッスも羽を広げて徹底抗戦の意思を示す。

 

 やがてバトル開始の火蓋をクワッスはその叫びと共に落とし──。

 

「クワーァァッ──スブェッア!?」

 

 ──突如伸びてきたツルに絡めとられて、バトルどころではなくなった。

 

「えぇ……」

 

 ツルに持ち上げられてもがくクワッス。それでも拘束が解けることはなく、暴れたら暴れただけ強く縛られているようだった。

 

 そんな様子に何が起きたんだと言葉を失っていると、メタモンがクワッスを見ていないことに気づいた。その視線はツルが伸びてきた先にあり、俺もつられてそちらを向く。

 

「ニャオ」

 

 そこには2本のツルを身体から伸ばし、呆れた様子でクワッスを拘束しているニャオハの姿があった。




・メタモン
クワッスにはすぐ出ていく旨を伝えたけど信じてもらえなかった。優しいお姉さんムーブで教えてあげたのに嘘つき判定され、内心クワッスのことを「なんだこのクソガキ!?」と思っていたりする。でも表には出さない。

・クワッス
普段は群れの中で暮らしている。群れのリーダーの息子であり、単独行動が許される程度には強さを認められている。
いつものように親友と一緒に作った秘密基地へ遊びに行くと、そこには見知らぬ生き物(主人公たち)がいてパニックを起こした。
追い出そうとしたら親友に取り押さえられた。

・ニャオハ
普段はマスカーニャが治めるニャオハたちの縄張りで生活している。ボスであるマスカーニャの娘。かくれんぼが上手。
いつものようにクワッスと作った秘密基地へ遊びに行くと、馬鹿が見知らぬ生き物と面倒事を起こそうとしている場面に出くわした。捕縛した。

・ウェーニバルとマスカーニャ
縄張りが隣り合っており、度々紛争を繰り返すくらいには仲が悪い。どちらもまさか自分の子供が相手の倅と仲良しなんて夢にも思っていない。

・欠片も本編を想像できないクソ旧あらすじ
ポケモンの寝顔図鑑を作成したいネロリ博士。
ある日、彼は特別文化保護区“ワカクサ本島”に特殊なカビゴンが生息していると知った。このカビゴンの力を借りることができれば、効率よく様々なポケモンの寝顔をカメラに収めることができるだろう。
しかし、ワカクサ本島には古くから2人の原住民が住んでおり、文化保護の観点からワカクサ本島上陸には厳格な審査と膨大な手続きが必要だった。
それでもなお熱意のままに申請したネロリ博士は、気の遠くなるような交渉の先で、上陸許可と現地での研究許可をもぎ取ることができた。
来たる日、ネロリ博士は船に乗り、ワカクサ本島へと足を踏み入れる。そこで彼が目にした者は──。
「ハァイ、コンニチハ」
かつてポケモンスリープユーザーだっただけの、この島の原住民の姿であった。
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