スレ娘転生ダービー   作:ファイン好き

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めっちゃ難産だった


第4話

 

「やっぱりエスカルゴうめぇな」

 

「わかりみ」

 

第一回レースオフ会が終わり、あのトレーナー志望のチート転生者と話してから数日経過した。俺は今旅路ニキと一緒にサイゼリヤで飯を食べている。

……別に特に何か予定を立てていたわけでもない。ただ、俺の高校通学ルートと旅路ニキの高校通学ルートが丁度被っていて、今日はたまたまばったり遭遇したというわけだ。

 

そこそこ遠距離通学ではあるが、この世界ではウマ娘の遠距離通学は特に珍しくもない。で、遠距離通学ならその分他の生徒と通学ルートが被る可能性も高くなる。

だから少々驚きはすれどそこまでではない。ウマ娘にとってはあるあるの一つだ。

 

世界は意外と狭いってやつだ。

特にウマ娘にとっては。

ネット上でしか会えないと思っていた奴に、意外とリアルで会えたりする。

 

 

 

 

 

 

「なぁ、メア。俺から一つ提案なんだが。」

 

 

舌を何度か火傷しながらも前菜のエスカルゴを食べ終わり、後はメインのカルボナーラとディアボラ風ハンバーグステーキを待つばかり。

そんな手持ち無沙汰な時間に、旅路ニキは話し掛けてきた。

 

「その、チート転生者トレーナーとの顔合わせ、レース当日じゃなくてもっと早くにしないか?」

 

 

 

「───え、ええっと、レース当日じゃ駄目だった?」

 

いや、駄目ってわけでもないんだが、と一瞬言葉を濁しつつ旅路ニキは続ける。

 

「ほら、まだ二回目のレース場所とか日時とかも決まってないし……そんなんじゃチー転トレニキと顔合わせできる日がいつになるかわかんないからな。」

 

「それとも全員の予定が合う日とレースできる場所を見つけられたのか?」

 

「……あ゛っ」

 

───そうだった。

管理人ニキや聖人イッチニキに加え三人もレースメンバーに加わったのだ。全員の予定合わせもしなくてはいけない上に、場所も探さなければいけない。

 

昭和記念公園があると言ったって、如何に広くても流石に十人も一気にレースしていたら目立つし、迷惑にもなるかもしれない。

一回のレース人数を分けるにしたって時間が掛かる。ウマ娘用レーンは普通のウマ娘も使うのだ。いつまでも野良レースの為に使っていたら怒られるに決まってる。

 

そのために他にレースする場所を見つける必要があるのだが、中々無料で1日使えるデカイ場所が見つからないのが現状だ。

 

その為、二回目のレースオフ会の日程は……まだ、じぇんじぇん決まっていません……でした……

 

「アカン」(アカン)

 

なんてことだ、もう助からないゾ♡(絶望)

ノリと勢いだけではなんとかならない世の中なのであった(哀愁)

このままじゃ俺らの走りに輝きを見てくれたトレーナーニキに申し訳が立たない。

 

そんな俺を見て、旅路ニキは呆れたように苦笑している。どこか予想通りというかなんというか、『分かってたぜ』みたいな雰囲気の笑い方だ。

 

「……だろ?だからしようぜ、レースとは別のスレ娘オフ会。勿論例のトレーナーも混ぜてな。」

 

「別の?」

 

「ああ。映画を見たりとか、一緒に飯を食うとか、カラオケ行くとかなんでもいい。トレーナーの人となりとか能力が聞けて、ついでに仲良くなる機会を作ろう」

 

そうか、そういう手があったか。

別に顔合わせだけやるならレースしなきゃいけないなんてことはないもんな。ええやん!!旅路ニキやるやんけ!!

 

「取り敢えずアイツらには予めレースじゃないオフ会をやることは伝えておいたから、その辺は安心しろ」

 

何?崇めればいいんですか?神様仏様旅路様?

旅路ニキ……神。

浮かれていて頭がお花畑になっていた俺とは比べものになんねーよ。

 

「……でもレースじゃないオフ会だからまず何をするのか決めないとなぁ」

 

さて、今やっている通りサイゼで一緒に飯を食うか?それともカラオケで歌いまくるのか?はたまたゲーセンで乱獲するのか?

どれも良いな、楽しそう。中々決められない。

 

「おいおい、俺たちは掲示板の民だろ?こういう時こそやってみたくねぇか───」

 

「───安価スレ」

 

 

「草ァ!!おけ、DMで他の奴らに許可とってくるわ」

 

 

うおおおおおおっっ安価だああぁぁぁっっ!!!

 

 

◇◇◇

 

【スレ娘】レース参加転生者オフ会スレ【転生】

 

1:メアメアバンバン

───という感じで、もう知っている者が多いかもしれんが転生者オフ会を開催することをここに宣言するゾ

 

そしてトレーナー含め参加者全員に許可を貰ったので……お前ら喜べ、安価の時間だ

 

 

2:名無しの転生者

安価キタ━(゚∀゚)━!

 

3:名無しの転生者

マジかよ!!イェイ!!!

 

4:名無しの転生者

メアバンニキタビジニキ愛してる

 

5:名無しの転生者

安価スレ!!安価スレじゃないか!!

 

6:名無しの転生者

何やってんだよ早くお題を出すんだよあくしろよ

 

7:名無しの転生者

え!?今日は安価をしても良いんですか!?やったー!!

 

8:メアメアバンバン

めっちゃ盛り上がってて草ァ

ちな安価を提案したのは旅路ニキやから感謝するべきは旅路ニキとそれを許可した他のメンバーやで

ほな、安価とるでぇ

 

転生者オフ会の場所

>>15

 

9:名無しの転生者

速っ

 

10:名無しの転生者

ksk

 

11:名無しの転生者

トレーナー宅

 

12:名無しの転生者

カラオケ

 

13:名無しの転生者

鳥貴族

 

14:名無しの転生者

ボーリング場

 

15:名無しの転生者

中央トレセン

 

16:名無しの転生者

安定のサイゼ

 

17:名無しの転生者

スシロー

 

18:名無しの転生者

ファッ!?

 

19:名無しの転生者

何を四天王!?

 

20:名無しの転生者

よりによって中央トレセンは芝枯れる

 

21:名無しの転生者

ウララちゃんを放てっ

 

22:名無しの転生者

と、トレセンにも一般人が入れる場所はあるから……(震え)

 

23:ヒラメキ管理人

まさか中央トレセンが選ばれるとはこのリハクの目をもってしても

 

24:BUNBUN

節穴定期

 

25:名無しの転生者

お前の目が何かを見抜けた事があったか?(辛辣)

 

26:名無しの転生者

というかさらっとコテハン勢増えてない?

管理人ニキはアレだけどもう一人は?

 

27:メアメアバンバン

BUNBUNニキはワイらにスレを乗っ取られた上許して下さったイッチやで

平伏しろ

 

次 中央トレセン(周辺)で何する?

>>35

 

迷惑行為とかは勘弁してクレメンス(切実)

 

28:名無しの転生者

練習風景観察

 

29:名無しの転生者

ゴルシちゃんに会えるまでかえれまてん

 

30:名無しの転生者

三女神像前で因子継承祈願

 

31:名無しの転生者

カイチョーに勝負を挑む

 

32:名無しの転生者

周囲のゲーセンでテイオーのスコアを越える

 

33:名無しの転生者

ファルコのゲリラライブでオタ芸披露

 

34:名無しの転生者

それとなくターフに入って勝手にレース

 

35:名無しの転生者

グッズショップでレンタル勝負服着て撮影会

 

36:名無しの転生者

オグリの出禁店巡り

 

37:メアメアバンバン

あっっっぶなっ!!!勝手にレースて

迷惑行為は無しと言ったやろがい(半ギレ)

 

38:名無しの転生者

他のもちょくちょく怪しいのあってワロタワロエナイ

 

39:Hニキ

(トレセン侵入は)いかんでしょ

 

40:BUNBUN

安価スレって命懸けやったんやね……

 

41:ヒラメキ管理人

もし本当にこの流れでトレセン侵入しようものならこのスレ爆破してましたわ

 

42:名無しの転生者

すまん勝手にレース書いたのワイや

本当にすまんかった

安価スレでテンション上がってやってもうた

半年ROMるわ

 

43:名無しの転生者

同じく因子継承書いてすまんかった

三女神像はトレセンの敷地内やったな

ごめんなさい

 

44:名無しの転生者

謝れてえらい

 

45:メアメアバンバン

まあ安価スレやし、特に制限かけてなかったこっちも悪かったわ すまんな

……しゃあけど、流石にトレセン侵入はあかんわ!!

ROMらなくていいから以後気を付けてくれ

まだワイはお前らとバカやりたいんや

 

46:名無しの転生者

ありがとうメアバンニキ

 

47:名無しの転生者

これから気を付けるわ

 

48:名無しの転生者

優しいせかい

 

49:転生チートレ

それで、日時とか場所とかはどうするん?

僕は一応土日祝ならオッケーやけど

 

50:メアメアバンバン

おけ、取り敢えず集合場所はトレセン前駅の駅前広場のフードコートや。

日時は土曜日の───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

「どうも、転生チートトレーナーもどきの雲母大地です。これからよろしくお願い申し上げます」

 

そして おふかい が はじまった!!

 

安価スレから2日経ち、俺達は無事中央トレセン前の駅の集合場所に集まる事ができた。レースをしないので場所を考えず日時を合わせるだけでいいのはかなり楽だった。

 

トレーナーの自己紹介の後にスレ民のコテハンと本名を新規二人とトレーナーに共有する。

 

因みにトレーナーはクソイケメンでした(血涙)

十代後半からニ十代後半くらいのお兄さんって感じだった。小中学生の初恋奪ってそう(偏見)

あと趣味は野球観戦らしい。お前……やきう民だったのか……?

 

「お前らカッコいい名前もらってますわねぇ!私はあの掲示板の管理人かつコテハン名ヒラメキ管理人ニキ、本名はヒラメキオズレックっていうんですわ!よろ~」

 

「あ、自分はコテハンBUNBUNニキで、本名はレッドゾーン、です……レースでは全員周回遅れにするつもりで飛ばすので、よろしくです。」

 

BUNBUNニキは言葉の端々から掲示板内の優しさからは想像できないほどの荒々しさを感じました(小並感)

トレセンに入りたくない理由は単純に筆記があれなのとライブが恥ずかしいからだそう。わかる。

 

因みにオズレックニキ、掲示板の管理人という肩書き持ちなので薄々分かってはいたが、普通に社会人だった。

どうやら某大手ソシャゲの運営会社に勤めているらしい。なんか普通に社会的地位高い……高くない?

 

最近は自分が企画して始めたソシャゲの緊急メンテによく駆り出されて『おファッ○ですわ!!』しか言えない体にされているとのこと。

曰く、『初期のFG○よりはマシ』。

……それ大分不味くないですかね(名推理)

お嬢様口調はなんとなくですってよ奥さん。

 

 

そうして一通り自己紹介が終わったところで、スレに報告しつつ駄弁りながら近くのマックに入る。

結構人数が多いので注目されてしまうかと思ったが、特にそんなことはなかった。やっぱこういうチームミーティングみたいなのよくあるのかな……

 

初のレースオフ会の時とは雰囲気の和らぎようが全く違う。初対面でも愉快なキャラの管理人ニキのお陰もあるのだろうが、やはりスレでの掛け合いはリアルでの話しやすさに繋がっているらしい。

みんなもやろう掲示板!!

 

 

さて、冗談はさておきここからが本題。

 

トレーナーのチートについて、それがどんなチートなのかの確認だ。

別にチートの質でやっぱトレーナーになるの無しなんて言うわけではないが、やっぱり単純に気になるのだ。

アバレウマニキなんかもう目をキラキラさせてるし。前世ではそういうのに憧れる時期だったのだろう。

 

「まず一つ、アプリみたくウマ娘のステや適性がCとかDとかで表示されます。その代わりステに関しては正確な数値はあまり出ません」

 

「二つ、調子とバステの有無が分かります。アプリとは違いバステは練習ベタとか肌荒れとか以外にもかなり細かく分かります」

 

「三つ、多少の骨折や怪我なら僕のトレーナーとしての技術とチートの合わせ技で大抵なんとかなります。具体的にはテイオーの骨折レベルなら一週間で治せるくらいです」

 

「四つ、固有を含めたスキルの確認ができます。スキルPTの概念はありませんが、それは各々で身につけて下さい」

 

……なんだこのチート野郎!?

 

これにはスレ娘メンバーも驚き。特に三つ目を聞いた時は閃光ロリの言葉からwが抜け落ちるくらいには驚いていた。

 

曰く、保健室に行ったらすぐバステが治るアレとトレーナーとしての医療技術をガッチャンコしてできるらしい。できてたまるか(真顔)

 

俄には信じられない現象だがまあ事実なんだろう。これで劣化アルダンニキの脆い足もどうにかなるかもしれない。ありがたい。

 

 

そして、暫く話していると、どうしてトレーナーになってくれるのかと閃光ロリニキから質問が飛んだ。どうやら改めて本人の口から聞きたいらしい。

 

 

トレーナーは、意を決したようにこちらの方に向き直った。その表情には一切おふざけの色は無く、自然に俺らも静かに彼の方を向いていた。

 

 

 

 

「貴女達は、様々な事情でトレセンに行っておらず、それでも走りたいと完全には腐らずに自分達で居場所を作り上げようとしている。」

 

「チートを持て余しトレーナーを諦めて腐っていた僕にとって、そんな貴女達が不慣れながらも楽しみながらレースをする姿は、あまりに眩しかった。」

 

「今までアプリの延長線上でしかウマ娘を見れなかった僕に、レースの『熱』を教えてくれた貴女達の走りを、怪我や体質や病気なんかで失わせたくはない。」

 

 

 

 

「───僕は、貴女達の走りに『夢』を見たんです」

 

 

 

 

 

 

「……これは、あくまで僕自身の一方的な感情なので、もしアレだったら、その───」

 

────自分で言っていて恥ずかしくないのだろうか。

 

やれ熱だとか、やれ夢だとか。

 

ネット上ではいくらでも言える類の大仰な言葉だけど。

 

リアルでそんなカッコつけた事を言える奴なんて前世ではいなかったぞ。

 

バカみたいだ。俺達、俺の自己満足の為の走りなんかにそんな感動しちゃって。

 

転生者だから。ネームドじゃないから。

 

そんなネットの掲示板に張り付いているようなウマ娘の走りなんて、誰にも何にも残せないと思っていたのに。

 

ああ───視界が滲んでいく。

擦っても、擦ってもしつこいくらいに解像度が粗くなっていく。

 

訳がわからない。どういう事なんだ。

 

 

───おい、メア、お前泣いてるのか?

 

 

遠くから、声が聞こえた。

 

 

そうか、俺は、今、泣いているのか。

 

 

ああ駄目だ、泣いてちゃだめだ。きっと勘違いされてしまう。

 

 

でも止まない。雨が止まない。涙とはここまで不自由なものだったか。

 

 

だったら、せめて。

この雨が悲しみからくるものではないことを、伝えなきゃ。

 

「────トレーナー。」

 

 

 

「メア、さん。その、大丈夫ですか───」

 

 

 

 

 

「───これからよろしく、な!!」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「……その、コスプレ撮影会は……」

 

 

「馬鹿野郎お前やるに決まってんだろ安価は絶対やぞ」

 

 

「私はマックイーン着てみてえですわ!!パクパクですわ!!」

 

「自分は、マルゼンスキーが着たいです……イメージカラー的には合ってるんで……いつか追い抜けるくらい速く……

 

「じゃ、俺はフサイチパンドラ……はねぇからネオユニヴァースネキでええかw髪色似てるしw」

 

「俺は……まあシンパシー感じるしナカヤマフェスタだな。降水確率90越しているのに晴れに賭ける精神は理解できんが……」

 

「おれはまあツインターボだな!!当然!!」

 

「オレの体型にぴったり合うのスーパークリークの勝負服しかないじゃないか。まあいいけどね。エッチだし。」

 

「アルダン姉様以外あり得んやろオレは……良かった、トレーナーのお陰でまだ走れそうで……

 

「まあ俺は……順当にオグリだな。俺芦毛だし。赤緑のメッシュは入ってるけどまあ似合うだろ!!」

 

「よし、じゃ、撮影会開始だ。みんななんかいいポーズとって───」

 

 

 

 

 

 

 

「きゅう……コスプレウマ娘ちゃん達尊みヤバ……トレーナーとの関係性も推せりゅ……」

 

 

───その日、ひっそりと物影で鼻血を出して倒れている『勇者』がオフ会後に見つかった───

 

 

 




ステータスとかは設定ガバが怖いからもうちょい練らせて……
次回は公園にいた一般人達の掲示板とか書きたいなぁ

追記:ヒラメキニキの本名が八文字超過してたので直しました
者が全体的に旧字体になっていたという大ポカをかましていたので直しました 指摘してくれた人ありがとうございます
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