主人公はとらドラ!の竜司を無愛想にした感じをイメージにしております。
原作はアニメを1、2期見ただけなので矛盾点、原作との相違も多く見られるかもしれません。
残念な文章力故に至らぬ点も多くありますが、
何卒よろしくお願いします。
「姉が有名人だと苦労するねえ。弟君?」
軽薄そうな口調で男は言った。
「まあ恨むんなら、君を見捨てたお姉さんを恨んでくれよ」
口調こそ軽いが、男が握る凶器は確かに少年に向けられている。引き金を引けば、少年の命を容易く刈り取るだろう。
「それではさよならだ、織斑□□君」
直後、火薬が炸裂する音が響いた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
季節は春。
全国の学校で新学期が始まり、学生は皆、自分がこれから過ごす一年を思い思いにイメージしている。
体育祭や文化祭、テストや校外学習、学年によっては受験勉強に頭を悩ますかもしれない。
しかし、新学期が始まる4月。新しいクラス、新しい級友を前にして考えることは一つ。
それは『自己紹介』。
下手をすればこの数分の間に、クラスでの立ち位置が決まると言っても過言ではない。
故に、全国の少年少女達は自分の学校生活を決定する数分のために知恵を搾るのだ。
そしてそれはここ、IS学園においても例外ではない。
女性にしか扱えないパワードスーツ『インフィニット・ストラトス』通称IS。現行兵器の性能をあらゆる面で凌駕するISの登場により、世界の有り様は激変した。
各国は優秀なIS搭乗者の育成に躍起になり、経済はISに関連する企業が国の援助の下、日々他の企業よりも高性能の製品を開発せんと研究に励んでいる。
そしてそれはここ日本も例外ではない。
IS開発者が日本国籍だったということもあり、各国はIS搭乗者を育成する機関の設立を日本に丸投げ、もとい委託した。このような経緯で出来たのが国立IS学園である。この学園に入学する生徒はISの性質上、皆女性である。正確には皆女性
(予想以上にキツいな、これは…………)
織斑一夏は自分を取り巻く環境に辟易していた。
見渡す限り、女女女女
自分以外の生徒が全員、物珍しそうにこちらを眺めている。人の視線が目に見えれば、彼は今針鼠のようになっていることだろう。
(動物園のパンダかよ、俺は)
それもそのはず、彼は史上初の男性IS操縦者なのだ。
奇異の視線が集まるのも無理はない。針の筵という言葉がぴったりなこの状況、しかし織斑一夏にはある希望があった。
(でも俺だけじゃない!俺以外にももう一人、男の操縦者がいるんだ!)
織斑一夏が偶然にも女性にしか扱えないISを動かしたことで行われた男性を対象にした適性検査。大半の男性が触れてもISはうんともすんとも言わなかったのだか、ただ1人、この適性検査でISを動かした男がいた。年齢もちょうど一夏と同じなのでこの学園に入学することとなっていた。
(そいつと仲良くなれば、この学園でもなんとかやっていける!だから、)
言い聞かせるように胸の内で繰り返し、現実に負けんと気を強く持つ。
(だから……早く来てくれもう一人の男!!)
HRを控え、静まりかえった教室には空席が一つ。
織斑一夏の希望の登場はもう少し後になりそうだ。
織斑一夏がまだ見ぬもう一人の男性操縦者に思いを馳せている、ちょうどその時、IS学園を疾走する人物がいた。
「ゼェ……ゼェ……このペースならギリギリ間に合うか?」
手元の時計を見るとちょうど入学式が終わる時刻。
今頃他の生徒は教室に移動して、担任の到着を待っているだろう。
(初日から遅刻って、洒落にならねえ)
人間は第一印象が全て、というのが彼の考えだ。故に新学期早々遅刻などしようものなら、不良の烙印を押されてしまう。
(ただでさえ色々と誤解されやすいっつうのに)
少年は更にペースを上げる。HRに遅刻しないために、
そしてなにより自分の学校生活の安寧のために。
結論を言おう。もう一人の男は来なかった。
「では織斑君、自己紹介をお願いします」
「…………はい」
教師に促され渋々教壇の前に立つと、これまで背中に受けてきた視線が体の前半分に突き刺さる。視線に篭る感情は様々で、純粋な好奇心から敵視に近いものまで。
改めて、俺がどれだけ珍しい存在なのか再確認させられた。
だが、逃げる訳には行かない、逃げたって状況は好転しないし、自己紹介はなくならない。
(やってやる、やってやるぞ!)
いい加減俺も男だ。覚悟は決めた。なんてことはない、やることと言えば自分を紹介するだけだ。
「織斑一夏です」
そう思ってた時期が俺にもありました。
いざ口を開くとさっきまでとは比べ物にならない視線を感じる。皆それぞれ織斑一夏という人間を品定めしている。遠慮会釈のない視線の矢を受け、思考がパンク寸前、満足に二の句を継ぐことができない。
「え、えーっと……」
視線は告げている、『これで終わりではないだろ』と
「えーっと……」
視線は告げている、『もっと何か喋れ』と。
(まずい、このままじゃ根暗な奴だと思われるッ!)
「い、以上ですッ!!」
クラス中の女子がコントのように崩れ落ちた。
俺の横からガラリとドアが開く音がした。
(ようやく来たか!)
「まったく、まともに自己紹介もできんのか貴様は」
スパンッ、と小気味のいい音とともに頭に激痛が走る。
「いってぇ!何だよ……って千冬姉?!」
「織斑先生だ、馬鹿者が」
再び走る激痛。見れば教室に入って来たのはれっきとした女性だった。すらりとした長身にメリハリのついたボディライン。黒のスーツを着こなすその女性は
「千冬姉、教師なんてやってたのか?!」
「だから織斑先生だと言っている」
小気味のいい音とともに(以下略)
頭を抱える俺を他所に、千冬ね……織斑先生は話し始めた。
「私が諸君らの担任をする織斑千冬だ。いいか!ISという兵器の扱いを学ぶ以上、生半可な覚悟でいることは許さん!私を含む教師の言うことには必ず返事をしろ。たとえ言ったことが理解できても、出来なくてもだ!いいな!」
「「「「ハイッ!!」」」」
さっきまでとはうって変わってクラス中が声を揃えて返事をした。
「憧れの千冬様~!」
「千冬様がいるからこの学校に来ました!」
「ていうか、どっちも織斑ってことは二人は家族?!」
「どっちも美形でIS乗れるって、なんかズル~い」
有名人を前にした反応は人それぞれで、純粋な尊敬の眼差しを向ける者から嫉妬する者までまちまちだ。
そんな反応をされることに慣れているのか、千冬姉は素知らぬ顔でさっきまでHRを進めていた教師に話し掛けた。
「すまない山田先生、HRを押し付けてしまって」
「あ、大丈夫です。それより織斑先生…………」
山田、と呼ばれた先生は不安そうな顔で空席に目をやった。その視線の意味に気付いたのか織斑先生が答える。
「ああ、『もう一人』のことか」
『もう一人』、それが指し示すことは唯一つ。もう一人の男性操縦者は、HRも終わりかけている今もまだ姿を見せない。
「それなら問題ない、今に来る」
そう織斑先生が言い切るや否や、背後のドアが開く音がした。
「クラスは確認した、場所も問題ない、あとは」
HRが終わってないかだけだ。
IS学園の廊下をはや歩きしながら現状を再確認する。
もしHRが終わって授業が始まっていたら最悪だ。
沈黙が支配する空間に自ら飛び混まなければならない。
ただでさえ見た目に問題がある俺にとって、それはスタートダッシュの失敗を意味する。
「成功したことなんざ、ねえんだけどな」
自嘲気味に呟くと目当ての教室が目に入る。
(1年1組、あそこか!)
時間から見て、すでにHRは終盤に差し掛かっている。
急がねばと更に脚を早める。
(自己紹介、何を話す?趣味?特技?どうする……)
苦手な自己紹介について考えている内に、件の1年1組についた。
(とりあえずなるようになるか)
気持ちを切り替えて俺は扉を開いた。
「すいません、遅れました」
「事前に連絡があったとは言え、次はないから注意しておけ」
「はい」
「では自己紹介をしろ」
千冬姉の後ろから聞こえたのは、確かに男の声だった。決して幻聴などではなく。
(ついに来たか!)
千冬姉との会話を終え入って来たその男を見て、クラス中が息を呑んだ。
身長は多分俺より高い180センチぐらいで、鍛えているのか体格は割とがっしりしている。顔立ちは整っており、世間一般で言う『イケメン』に分類されるレベルだと思う。
俺は真ん中の列の一番前なので教壇に一番近い。
教壇の前に立つと、低いよく通る声で自己紹介を始めた。
「
特筆すべき点のない平均的な自己紹介。しかし、言った人間が平均的ではない。
(こ、怖い……)
(不良……?)
(でも趣味が料理って……)
(きっとマフィア的な意味での料理よ……)
オールバックにした黒髪、猛禽を思わせる鋭い目付き、物怖じしない堂々とした態度。平均的な内容の自己紹介ながらもクラスメイトを萎縮させるには十分過ぎた。
爽やかイケメンと
不良少年(仮)が交差するとき、
物語は始まる。
感想、アドバイス等あれば、是非是非お願いします。