001
ザイレム、それはある時にキヴォトスに宇宙からやってきた恒星間入植船である。
そこに建てられている大型医療施設に彼ら、彼女らはいた。
ウォルター「二人は?」
RAD医療技術者「安静にしています、あの監視カメラの暴れっぷりが嘘のようですよ……まるで電源がオフになった強化人間です」
ウォルター「それは……まさか」
RAD医療技術者「えぇ、彼女らには改造された痕跡が……いえ、まるでツギハギになったリサイクル品のような状態です、もう元には……」
ロニー「……助けれないのか?」
エア「レイヴン……」
RAD医療技術者「あ、いえ!内臓機械に関しては我々や封鎖機構、それに各企業にも人命救助のための技術開示をお願いしています!それに脳に接合されていたナノマシン発生装置と攻撃命令を自動的に行う洗脳装置も取り外しています……ですが一つ問題が」
ウォルター「……ミリアル、か?」
ロニー「あの同時に声を発したやつか、ウォルター」
エア【こちらでもスピーカーにしてましたから聞こえていましたが、コンマのズレもない連続した言葉、まるでエコーしたかのような四重に聞こえる声、そしてミリアルという自称、通常の声帯とは思えませんでした】
RAD医療技術者「……おぞましいです、私達も一端の技術者、どんな技術であれ貴賤はありません、ですが……まるで二人の体を二つに合体した後……また二つに分けるなんて……なんのために!なんのための実験なんだ!こんなのただ興味本位で作り替えたみたいだ!なんの技術発展もない!カーラですら笑ってくださらないでしょう!!!」
ガンッ、と壁を殴る音がこだまする、それを無言で眺める三人、はぁ、はぁと肩で息をするRADの医療技術者。
RAD医療技術者「……あっ……すみません……とりあえず言えることは二人の体に内蔵された邪魔な機械類は取り除き、必要な機械類は応急処置をしました、人工皮膚技術も発展してますからね、手術痕も残りません、ですが意識の混乱を避けるために元の傷跡はそのままですが……」
ウォルター「それはなによりだ……」
RAD医療技術者「ミリアルは物理的な問題、技術的な問題ではありませんと言えるでしょう……これは精神的な問題です」
ウォルター「精神的な、だと?」
RAD医療技術者「……これだけは言えます、二つの精神体の三分の一の融合体波形、それが防衛意識ミリアルです、そして改造された装置の耐久年数から逆算すると……」
ーおそらくですが二人の年齢はおよ数百を超えています
002
二人は手をつなぎあって一つのベッドいた、こうしないと何故か心音が安定しないからだ。
ルシア「ねぇミカル、ここは地獄かしら?それとも天国かしら?やっぱり二人で真ん中だから中空をいったきたりするのかしら?」
ミカル「えー、まだ生きてるし死んだことないからわかんないや、でも私達ってあとどれくらい生きられるんだろう?」
ルシア「確か何人目だったかはわからないけど雷帝さんが言うには数百年かしら、でもそれくらい生きてるかしら?あと何か月かしらね?」
ミカル「あー、私のふるーい脳内が言うにはあと三か月らしいよ?卒業シーズンだね、みんなにバレないよ?」
ルシア「それはいいわね、絶対二人……三人?で死にましょうね、ひっそりと、みんなにお別れも言わずに、休暇にでもいってかしら?
ミカル「……ねぇ、私達ってなんでこうなったんだっけ?」
ルシア「なにそれ、走馬灯?生きてる間に言うなんて、私達らしいかしら?」
ミカル「えー、だって、二人で共有できないじゃん、走馬灯なんて、じゃあ今しちゃおうよ、ウォルターさんに牙向いたんだよ?みんなに殺されたって仕方ないじゃん」
ルシア「……それもそうかしら、じゃあみんなに言って卒業シーズンまで幽閉かしら?じゃあここは牢屋?にしては白くて綺麗」
ミカル「せいしんびょーとーってやつじゃない?キヴォトスじゃ珍しいね」
ルシア「そういえば最初はミカルはそこにいたのを覚えているかしら?」
ミカル「うー、ゲヘナ生にしては暴力も嫌だし銃も持つのも嫌だったから、頭おかしいって言われたね、そこから離れたくて、無我夢中で歩いて」
ルシア「そこで私と出会った、そうだったかしら?確かお腹すいてたのをミラクル20000あげたのが最初だったかしら?」
ミカル「あー!そうだった、あの時貰ったお菓子の値段聞いてないよ」
ルシア「いいのかしら?今の私達……ならまぁ数か月貯金したら払えるくらいのお菓子よ?」
ミカル「えー、じゃああの世までツケといてよ、きっと地獄だから一緒にはたらこ?」
ルシア「そうね、一緒にいましょうね、でもある意味離れ離れになっちゃったときもあったかしら?」
ミカル「四百三十年前だっけ?あの時は雷帝さんに自己意識を獲得する訓練って言われてずっと手を握ってお前はいないって言われ続けたっけ?」
ルシア「そうだったかしら?あの時は鏡にずっと映されてたからどっちかどっちかわかんなくなちゃったかしら?」
ミカル「あー、そうそう、それで互いの口調をずっと真似し続けろって言われて」
ルシア「それでこんな不思議なしゃべり方になっちゃったのかしら?まぁそれもキヴォトス人生かしら?」
ミカル「えー?私達ってキヴォトス人なのかな?こんな機械につながれて、半分半分なのに?」
ルシア「あら、宇宙に星外人がいるってわかったから探したらそういう人もいるんじゃないかしら?」
ミカル「あー、でも私達じゃ宇宙にいくまでいけないね」
ルシア「今からでもロケットでも開発してみる?片道切符でも楽しいかしら?」
ミカル「それじゃ雷帝さんに会えなくなっちゃうね」
ルシア「会いたいのかしら?」
ミカル「えー、一発ぶん殴ってやりたくない?この世界だって私たちが卒業する前に壊れちゃうかもよ?」
ルシア「そうしたらまた別の私達が私たちに塗り替えられちゃうのかしら?でもちょっと前に調べたけど雷帝さん、もう卒業しちゃったみたいよ?もう会えないのかしら?」
ミカル「あー、その情報って言って大丈夫なの?またキヴォトスが超巨大型実弾超振動針計測自走砲のせいで滅亡しない?」
ルシア「わかんないわね、誰も聞いてないってことにしましょ?そのせいで何度心から心配してくれた友人が目の前で蒸発したのかしら?」
ミカル「えー?六十三人でしょ?確かキヴォトス一の天才……美少女?ハッカー?だっけ、あとエンジニア部の人もだっけ?」
ルシア「ヒナちゃん、カヨコちゃん、アルちゃん、ウタハちゃん、ロトゥワさんは心から心配してくれかしら?リオちゃんとヒマリちゃんは怪しんでただけだった気もするかしら?」
ミカル「ロトゥワさんの時はすごかったねー、超巨大型実弾超振動針計測自走砲を根性で撃破し続けて、その隙を狙ったレーザー砲から庇った私達が先に蒸発しちゃったかしら?」
ルシア「そうだったねー、ねぇ、一目見るだけでも見に行かない?この世界線にはいるらしいよロトゥワさん」
ミカル「だーめ、あの人はイレギュラーでしょ?私たちを見た瞬間記憶が戻っちゃったらどうするのかしら?そうしたらまたあの人の目のまえで私達が死んじゃうわよ?」
ルシア「あー、そういえば今度はあのシロコちゃんって子に殺されたくないねぇ、泣きそうな顔でこっちを撃ってくるんだよ?こっちが罪悪感募っちゃうよねー」
ミカル「そうかしら?私達は別の世界線の私達を塗り替えちゃうから生き残るわよーざまーみろって思わないかしら?」
ルシア「だって私たちみたいに忘れる機能がないでしょ?そのせいで私達、記憶が思い出で占拠されててこれ以上なんも入んないじゃん、人間の脳味噌って取り出せないんだってよ?」
ミカル「そうね、でもあの子たち便利屋68に入ったらしいかしら?」
ルシア「あーなら、この世界線は大丈夫なのかな、平和な世界で寿命で死ねるなんて、いいね」
ミカル「ウォルターさんに見届けてほしかったけど、迷惑をかけるわけにはいかないかしらね」
ルシア「あー、そうだねぇ、じゃあ思い出話に戻ろうよ、あれ、ちょっと思ったけど仲良くなって一年くらい虐められながら会ってた時に雷帝さんになんていわれたんだっけ」
ミカル「もう、忘れたの?確か……」
ルシア&ミカル「「もっと仲が良くなりたくはないか?だっけ」」
あはは、と笑いあう二人、その様子はまるで緩やかな死に向かう百合の花の如く、美しい。
だがそんなのを許す大人がいるだろうか?ここにはいない。
部屋の外が慌ただしいなと思っている二人は無視して思い出を語らう。
四百三十年前に百鬼夜行に行った、世界は滅んだ。
四百三十年前に仲が良かったキキョウに数か月前に話しかけたらツンが出た、
三百六十五年前ヴァルキューレに行った、その時カンナの耳を触って怒られた、世界は滅んだ。
数週間前に触っても怒られた。。
二百三十年前に色彩が現れた、結構です、と言ったら悲しそうに去っていた、世界は滅んだ。
百五十年前に私達とは別の第621世界線目の雷帝さんに会った、君たちを解放する、なんて捨てセリフを吐いていたが、なんかそのあとはずっと来なかった、覚悟が決まった目をしていた。
六十三年前にハイランダーで働いていた、楽しくはなかったが、責任感を覚えている、世界は滅んだ。
二十年前に亡骸となった一人のアリウス生と出会った、花を添えた、世界が滅んだ。
十九年前にブラックマーケットで死んだ目で搾取する医者と出会った、搾取された、世界は滅んだ。
十八年前にトリニティに赤髪ロングヘアーの女帝が誕生した、慈悲はなかった、世界は滅んだ。
十七年前に山海経高級中学校で死んだ目で作業するチャイナ服の女の子を見た、楽しくなさそうだった、世界は滅んだ。
十六年前に道端でうずくまって動かなかったSRTの制服を着たピンク髪の女の子を見た、医者に連れて行った、世界は滅んだ。
十五年前、アビドスで借金を頑張って稼ごうとしてた、みんな死んだ、色彩が来て世界が黒く染まった。
十四年前、私達を悲しそうな顔をして撃ち殺した女の子を見た、世界は滅んだ。
十三年前、修羅に会った、戦った、強かった、けど悲しそうな顔をしていた、世界は滅んだ。
十二年前、ロトゥワさんと最初に出会った世界線だった、悲しそうな顔をしていたので一緒に戦ってあげた、ロトゥワさんを守って死んじゃった、世界は無事だったと信じたい。
十一年前、第621世界線目の雷帝さんに会った、次世代に託した、そう言い残した彼女は私たちの目の前で時間が切れた、彼女を元に色彩が来た、世界は滅んだ。
十年前、前に悲しそうな顔をして私達を撃ち殺した女の子のよこに灰色の燃え盛るような女の子とロボットがいた、世界は滅んだ。
九年前からハウンズに入る前まではずっと同じ生活をしていた、不良生徒だった、ずっと同じ世界線だった。
ルシア「ねぇ、私眠いや」
ミカル「えぇ、私もかしら……」
すぅ、っと電源が落ちたように眠った、心音はなり続けている、時間は残り少ない。
003
レイブン「エア!今すぐ全ハウンズに連絡を繋げ!ハウンズに存在する全資料の確認!それと全員に連絡事項を伝えろ!今すぐにだ!」
エア【はい!】
ウォルター「ミシガン、俺だ、今すぐベイラムの技術資料が欲しい、俺の部下の命が危うい、そしてそちらのACパーツ技術者にも連絡を取りたい」
RAD医療技術者「今すぐカーラを起こしてください!面白いことではないです!まじめなことです!少女二人の命が関わってくる!」
だが、それも間に合いそうだ、大人は一人では足りない、なら増やせばいい。
二人の天使と悪魔は人間を救いたかった、だから、手を差し伸べた、その手をつかんでくれる人は多かった。
人間も、神様も、イレギュラーも、手を貸してくれた。
雷帝は考えた、私では宇宙に行けない、空にもいけない、過去の技術を頼ろうにもテクストと塗り替えた瞬間に色彩が来る、計算したが外部からくるしか手はない。
だが私は私である記憶がある、あの白い連中に何か言われたが突っ撥ねてやった、そうしたら別次元の私に対して相互可能な記憶共有技術を手に入れた。
これで何度もやり直せる、そう思った、だが今度は卒業という壁にぶつかる、どうする、どうすればいい、何か強権的なものを発されてしまえばたかが技術系不良生徒である私なんて卒業されてしまう。
私はダーツを手に持った、壁にはキヴォトス地図、刺さったのはゲヘナだった。
ならば強権を手にすればいい。
そこからは簡単だった、あらゆる技術を強権で手に入れた、別次元の私にもそれを報告する。
とんとん拍子に進んだ、別次元の私がゲームもついでにちょっと進めてやったら利権とやらでVRゲームの技術と金を手に入れたらしいので真似した。
ちょっと問題だったがそれでも資金は何倍にも広がった。
私が兵器技術に興味を持っていなかったらゲーム業界にいたのであろうと思うほどだ、というより、別次元の私の数人はゲーム開発部というとこにいて弟子を可愛がっているらしい。
それは何よりだ、どうせすべてが滅ぶ、それが私の手がアリスと呼ばれる者の手によってか、色彩か、争いか、オートマタか、生徒かによってだが。
それに抵抗する組織も何百の未来の世界線で確認している、そして成功した世界線にいるのはダークバードかシャーレかハウンズと呼ばれる組織がある世界線だけだ。
あぁ、いいなぁ宇宙船、私も作りたいなぁ、だが死にたくはない、他人の命も自分の命も興味なんてないが、有意義な死に方をしたい。
そのために実験体が必要だ、私は全生徒名簿を見ながら誰がいいかなーと考える。
百鬼夜行?ヴァルキューレ?ハイランダー?連邦生徒会?レッドウィンター?その他大勢の学校を選択していく。
秀才じゃ足りない、天才でも足りない、イレギュラー、そう、イレギュラーがいい。
趣味に監視カメラを見る、そこには仲の良い相対する存在が映っていた。
成績?ほう、両者二人とも三年生で満点、性格もいい、いじめを阻止するなど思い切りもいいらしい、まぁそれで虐められているが、それでも反抗しないのか。
面白いな。
ほう!背格好から臓器の大きさまで一緒なのか!
希少性の高い血液型まで一緒!まるで双子じゃないかあはは!
……この二人がいい、むしろ実験体はこの二人以外いらんな、オートマタの実験体は全機廃棄するか、そのあたりに放っておけばいいだろう、将来なんて名乗るかな?勝手にこちらで洗脳しておくか……
適当に黒亀組などカイザーコーポレーションとか所確幸なんて名前でいいか!
あ、そうだ!最近改造した自販機型AIもいらんな!適当にその辺に放棄だ放棄!
イヤッホウ!この二人になんて言おうか!あー悩むなぁ!楽しいなぁ!
私が生から卒業する時までこの二人を実験体にしまくるぞぉ!