ブルアカ×艦これ短編集   作:H2O(hojo)

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チュートリアル組×礼号組


零号作戦

「…い。…先生、起きてください。先生!!」

 

“・・・・・・・”

 

「あっ、『提督』じゃなかった…『先生』が目を覚ましたみたいですね。すみません、つい昔のくせで」

 

「・・・。」

 

“・・・・・・?”

 

この先生と呼ばれている男性は、先ほど電車に血塗れの少女と一緒に乗っていたのだが、この場所に着いた際にはそのことを忘れていた。そして先生は黒髪で眼鏡を掛けた少女2人に身体を揺すられ、ようやく目を覚ました。

 

「少々待ってくださいと言いましたのに、お疲れだったみたいですね。なかなか起きないほど熟睡されるとは」

 

「先生の寝顔、可愛かったですよ。うふふ、少し得したかな」

 

「とりあえず、ちゃんと目を覚まして集中してください」

 

“あ、はい…すみません”

 

頭に謎の輪っかがあり耳が尖っているほうの黒髪眼鏡の少女は、先生が疲れて眠っていたのを見て、呆れ顔であった。一方学校の制服らしい服を着ている黒髪眼鏡の少女は先生の可愛い寝顔が見れたことに満足そうであった。

 

「もう一度、あらためて今の状況をお伝えします。私は七神リン、学園都市『キヴォトス』の連邦生徒会所属の幹部です」

 

「艦隊旗艦として特化設計された新鋭軽巡洋艦、大淀です。搭載予定の新型水偵の失敗や戦局の変化もあって、連合艦隊旗艦としてはあまり活躍できませんでした。でも、北号作戦や礼号作戦では活躍しました。私も前線で、頑張りますね」

 

“軽巡洋艦?連合艦隊?「礼号作戦」?君は一体?”

 

「あぁ、彼女のことですね?彼女は在りし日の艦艇の魂を、その身に宿す少女、『艦娘』です」

 

“へ、へぇ~そうなんだ…”

 

先生の意識が夢から現実に戻ったところで、2人の眼鏡少女はそれぞれ自己紹介を始める。頭に輪っかのある人物は自分のことを七神リンと名乗り、『キヴォトス』の連邦生徒会所属だと述べる。そしてもう一方の少女は自分のことを「軽巡洋艦大淀」と名乗り、先生を困惑させる。先生は目の前にいる少女が艦船であるということが結びつくはずもなく、リンに彼女が「艦娘」であると補足説明を受けても、受け入れられずにいた。

 

「そしてあなたはおそらく、私たちがここに呼びだした先生…のようですが」

 

“・・・・・・”

 

「どうやら混乱されているようですね。分かります。提督も最初は…」

 

「こんな状況になってしまったこと、遺憾に思います。でも今はとりあえず、私についてきてください。どうしても、先生にやっていただかなければいけないことがあります」

 

「学園都市の命運を賭けた大事な戦いになります…頑張ってくださいね」

 

リンは目の前の人物が先生であるか確認しようとするが、本人はまだ混乱している様子であった。その様子を見て、大淀は提督という人物と先生を重ねていた。そしてリンはこのような状況でさらに先生に頼み事をしなければならないことに謝罪し、それでもやってもらわなくてはならない事があると告げる。

 

先生は学園都市の命運を賭ける戦いに向かうため、リンと大淀について行った。

 

 

 

 

 

「『キヴォトス』へようこそ。先生。キヴォトスは数千の学園が集まってできている巨大な学園都市です。これから先生が働くところでもあります」

 

「きっと先生がいらっしゃった所とは色々な事が違っていて、最初は慣れるのに苦労すると思います。私も中々慣れるのに苦労しまして…。ですが先生なら、それほど心配しなくてもいいと思います」

 

「えぇ。あの連邦生徒会長が、お選びになった方ですからね」

 

“連邦生徒会長…?”

 

先生はリンと大淀に連れられエレベーターに乗る。エレベーターからはキヴォトスの景色が見え、都会的な街並みが広がっていた。大淀はキヴォトスが先生がいた場所と違って戸惑うだろうと述べる。だが大淀もリンもそのことについてはそれほど心配はしておらず、連邦生徒会長が選んだ彼ならばすぐに慣れるだろうと思っていた。

 

「…それは後でゆっくり説明することにして」

 

リンと大淀がキヴォトスについて説明を続けていると、エレベーターが目的の階に着いた音が鳴る。彼女たちはエレベーターを出ると、レセプションルームへと向かった。

 

 

 

 

 

レセプションルーム

 

「ちょっと待って!代行!それに大淀さん!見つけた、待ってたわよ!連邦生徒会長を呼んできて!」

 

「あらあら、もう他校の生徒たちが…」

 

「…うん?隣の大人の方は?」

 

3人がレセプションルームに入ると、リンのことを見つけた1人の少女がこちらに駆け寄ってくる。彼女の名前は早瀬ユウカ。ミレニアムサイエンススクールという学校の生徒会にあたる「セミナー」の会計である。ユウカが連邦生徒会のレセプションルームにいるのを見て、大淀は少し困った顔をしていた。そしてユウカはリンと大淀の他に、見慣れない大人の姿を見つけた。

 

「首席行政官。お待ちしておりました」

 

「連邦生徒会長に会いに来ました。風紀委員長が、今の状況について納得のいく回答を要求されています」

 

「あぁ…面倒な人たちに捕まってしまいましたね」

 

「リンさん…?そういう事を言うのはよろしくないですよ。思っていても口に出さないことです」

 

そしてユウカの他にもレセプションルームに集まった生徒が2人いた。黒髪で大きな翼の付いた生徒は、トリニティ総合学園の治安維持組織「正義実現委員会」の副委員長である羽川ハスミである。そしてもう一方の眼鏡を掛けた茶髪の生徒は、ゲヘナ学園の治安維持組織である「風紀委員会」所属の火宮チナツである。3つの学校の生徒から詰め寄られたリンは、嫌そうな顔をしながら彼女たちのことを面倒な人たちと口にしたため、大淀に注意されていた。

 

「こんにちは、各学園からわざわざここまで訪問してくださった生徒会、風紀委員会、その他時間を持て余している皆さん。こんな暇そ…大事な方々がここを訪ねて来た理由は、よく分かっています。今、学園都市に起きている混乱の責任を問うために…でしょう?」

 

「そこまで分かってるなら何とかしなさいよ!連邦生徒会なんでしょ!」

 

「やれやれ…私の言葉が耳に入っていないなんて、相当頭にきているんですね」

 

大淀に注意されたにも関わらず、リンは学園の代表者たちに苛立ちを隠さず話を続ける。リンのその態度にユウカは更に苛立ちを強め、声を荒げて何とかするように要求していた。大淀はそんなリンの態度を、子供っぽいと感じ微笑ましく眺めていた。

 

「数千もの学園自治区が混乱に陥ってるのよ!この前なんか、うちの学校の風力発電所がシャットダウンしたんだから!」

 

「連邦矯正局で停学中の生徒たちについて、一部が脱出したという情報もありました」

 

「スケバンのような不良たちが、登校中のうちの生徒たちを襲う頻度も、最近急激に高くなりました。治安の維持が難しくなっています」

 

「あら、トリニティ自警団の守月スズミさんですね。お久しぶりです」

 

「戦車やヘリコプターなど、出所の分からない武器の不法流通も2000%以上増加しました。これでは正常な学園生活に支障が生じてしまいます」

 

集まった3人はそれぞれ自分たちの学園で様々な問題が起き始めていることをリンに訴える。その間にもう一人トリニティ総合学園の自警団である守月スズミが合流し、リンたちを囲む生徒は4人へと増えた。

 

「こんな状況で連邦生徒会長は何をしているの?どうして何週間も姿を見せないの?今すぐ合わせて!」

 

「・・・。連邦生徒会長は今、席におりません。正直に言いますと、行方不明になりました」

 

「…え!?」

 

「・・・!?」

 

「やはりあの噂は…」

 

「結論から言うと『サンクトゥムタワー』の最終管理者がいなくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態になります。皆さんのお手を煩わせているのは、それが原因です。代行に代わり私から謝罪させていただきます」

 

ユウカは数週間前から姿が見えなくなった連邦生徒会長に会わせるようリンに求めるが、リンは連邦生徒会長は行方不明になったと返答し、一同を驚かせる。現在キヴォトス各地で起こっている問題は、連邦生徒会長の失踪による『サンクトゥムタワー』の行政制御権消失によるものであり、そのせいで一同に迷惑をかけていることを大淀は謝罪した。

 

「サンクトゥムタワーの認証を迂回できる方法を探していましたが…先ほどまで、そのような方法は見つかっていませんでした」

 

「それでは、今は方法があるということですか、首席行政官?」

 

「はい。この先生こそが、フィクサーになってくれるはずです」

 

「!?」

 

「!」

 

「この方が?」

 

“私が?”

 

リンは今までサンクトゥムタワーを認証する方法は無かったのだが、先生がそのフィクサーになると言って先生を紹介する。一同は目の前の人物がこの事態を変えられると言われて驚いていたが、紹介された先生本人も驚いていた。

 

「はい。こちらの先生は、これからキヴォトスの先生として働く方であり、連邦生徒会長が特別に指名した人物です。ですので、皆さん失礼のないようにお願いしますね?」

 

「行方不明になった連邦生徒会長が指名…?ますますこんがらがってきたじゃないの…」

 

“ど、どうも…先生です”

 

「こ、こんにちは、先生。私はミレニアムサイエンススクールの…い、いや、挨拶なんて今はどうでもよくて…!」

 

「そのうるさい方が気にしなくていいです。続けますと…」

 

「誰がうるさいって!?わ、私は早瀬ユウカ!覚えておいてください、先生!」

 

大淀は先生が連邦生徒会長が特別に指名した人物である紹介し、失礼のないようにと釘を刺す。リンと大淀に紹介された先生はレセプションルームにいる生徒たちに挨拶をすると、ユウカが最初に彼に自己紹介をしようとするが、それをリンに遮られる。挨拶なんてどうでもいいと言っていたユウカであったが、リンの態度にカチンときたのか自分の名前を名乗り、覚えておいてくださいと強調した。

 

その後リンと大淀はその後先生が顧問を担当する「シャーレ」についての説明を始める。シャーレは連邦生徒会の建物から約30km離れた場所にあり、そこにある「とある物」を手に入れるために先生を連れていかなければならないと述べた。

 

 

 

 

 

「モモカ、シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど…」

 

『シャーレの部室? …ああ、外郭地区の?そこ、今大騒ぎだけど?』

 

「大騒ぎ…ですか?」

 

『矯正局を脱出した停学中の生徒が騒ぎを起こしたの。そこは今戦場になってるよ』

 

先生をシャーレの建物へと移動させるべく、リンは同じ連邦生徒会のモモカにヘリの手配を頼む。だがモモカはシャーレの近くは矯正局を脱出した生徒たちが騒ぎを起こしており、とても近寄れないと答えた。

 

「連邦生徒会に恨みを抱いた、地域の不良たちを中心に暴れ回っているわ。あーもう、バカばっかり!」

 

「あら…?」

 

「巡航戦車まで引っ張りだしてきてるらしいじゃない!戦場が、勝利が私を呼んでいるわ!」

 

「どうやら皆さん到着し始めたようですね」

 

リンがモモカと連絡を取っていると、またレセプションルームに新たに人が入って来る。不機嫌そうな少女の方は、体格が小学校高学年程度で、銀髪の髪をサイドテールにしていた。もう一方の上機嫌な方は、学校の生徒というよりはキャリアウーマンといった感じである。

 

「いようっ!夕雲型駆逐艦朝霜、来たぜ!今日も元気で行こうぜ!なっ!」

 

「どうも! 改夕雲型の最終艦、超強い清霜です!到着遅れたけど、よろしくお願いです!強いよ!」

 

“この娘たちは…?”

 

「彼女たちも私と同じく艦娘です。このような状況ですので、先生のお役に立つかと」

 

そして先ほどの2人から遅れて、同じ制服を着た2人の少女たちが到着する。特徴的な髪型と尖った歯を見せている少女は自分を「朝霜」と名乗る。そしてもう一人の元気そうに挨拶をした娘は、自らを「清霜」と名乗った。いきなり現れた彼女たちに先生は困惑しているのを見た大淀は、彼女たちも自分と同じ艦娘であると紹介した。

 

“あの…その…えっと…”

 

「だから何よ?用があるなら目を見て言いなさいな!」

 

“君たち随分と小さいというか、幼いけど…”

 

「はぁっ!?人を見た目で判断しないでくれる!?私は朝潮型駆逐艦の『霞』なのよ!そんなんで先生が務まると思ってるの?このクズ!」

 

“・・・。ごめんなさい…”

 

(先生になるにあたって生徒から嫌われる覚悟はしてきたけど…やっぱり面と向かってクズって言われるのはキッツイ!!)

 

小学生くらいの体躯の少女たちを見て戸惑う先生を見て、目の前にいた霞は見た目で判断するなと怒りだす。そして霞は先生に面と向かって「クズ」と罵倒し、彼の精神を消耗させていた。

 

「あらら…新任の先生には霞ちゃんは刺激が強すぎたかしらね?」

 

“あ、あはは…どうも…”

 

「重巡足柄よ。新任さんは結構可愛い顔してるのね。この一件が終わったら一杯どう?」

 

“(こっちは押しが強いな…)”

 

“いや…結構です…”

 

「あらら、残念…」

 

そして霞の隣にいた大人っぽい女性は「足柄」と言い、先生に近寄っていきなり酒の誘いをし始める。だが先生は彼女の押しの強さに引いてしまい、断られてしまった。

 

「見ろよ清霜、あれが大淀の言ってた『先生』だとよ。何かあれだな…なよなよしてんな!」

 

「うーん…『先生』って言うから矢矧さんみたいな怖そうな人かと思ったけど、お姉さんの阿賀野さん見たいな感じだね」

 

「朝霜、清霜、あまり人を見た目で判断するものではありませんよ?」

 

「「はーい!!」」

 

“(こっちは年相応な感じだな…艦娘って不思議だ…)”

 

朝霜と清霜が本人が目の前にいるにも関わらず、先生のことをなよなよしているだの阿賀野に似ているだのと言いたい放題である。そのことを大淀が注意すると、素直に言う事を聞いていたので、先生は艦娘は色々いるのだと思っていた。

 

『それで、どうやら連邦生徒会所有のシャーレの建物を占拠しようとしてるらしいの。まるでそこに何か大事なものでもあるみたいな動きだけど?』

 

「なるほど…どうやら情報が漏れているみたいですね。これも、サンクトゥムタワーの行政制御権を失った影響かしら?」

 

『まあでも、もうとっくにめちゃくちゃな場所なんだから、別に大した事な…あっ、先輩、お昼ご飯のデリバリーが来たから、また連絡するね!』

 

「・・・・・・。」

 

モモカは不良たちがシャーレの建物を占拠して何かを手に入れようとする動きがあると報告する。大淀はサンクトゥムタワーの行政制御権を失ったことにより、どこかから情報が漏れているのではと考えていた。そしてモモカはお昼のフードデリバリーが来たことを口実に通信を勝手に切ってしまった。

 

「んッ…!!フゥ~ッ!!」

 

“大丈夫?深呼吸でもする?”

 

「…だ、大丈夫です。…少々問題が発生しましたが、大したことではありません」

 

モモカの勝手な態度に、リンは青筋を立てながら小さく息を吐く。先生から見ても怒っていることは明白であった。そして先生は彼女に深呼吸を促すと、先生の言葉によって落ち着いたのか大したことはないと返した。

 

「・・・・・・」

 

「…?」

 

「な、何?どうして私たちを見つめてるの?」

 

「ちょうどここに各学園を代表する、立派で暇そうな方々がいるので、私は心強いです」

 

「えっ?」

 

そしてリンはレセプションルームに来た4人の生徒たちの方を見つめる。いきなりこっちを見だした彼女にユウカは困惑していた。そしてリンは彼女たちのことを心強いと言って、悪い笑みを浮かべたため、ユウカをさらに困惑させた。

 

「そうですね。せっかくこちらに立ち寄ってくださったのですから、仕事をしていただきましょうか…」

 

「はぁ!?私たちだけで十分よ!他人の手助けなんていらないわ。足手まといになるだけよ!!」

 

「なっ、なんですってぇ…!!」

 

“まぁまぁ落ち着いて2人とも…”

 

そして大淀もリンの言ったことに同調して、生徒たちに仕事をさせようとしていた。だが霞は彼女たちの手を借りることを反対しており、自分たちだけで十分だと吠えていた。そして足手まといと言われたことに怒ったユウカと口論になりかけたので、先生が割って入るのであった。

 

「キヴォトスの正常化のために、暇を持て余した皆さんの力が今、切実に必要です。行きましょう」

 

「それでは、皆さんこちらに」

 

「砲雷撃戦なら私に任せて!一緒に勝利を掴み取りましょう!」

 

「あたいの出番か…行くっきゃないな。水雷戦隊朝霜、抜錨するさぁ!」

 

「うん。清霜に任せて!」

 

「ちょ、ちょっと待って!?ど、どこに行くのよ!?」

 

リンはキヴォトスの正常化のためにユウカたちの力が必要だと言って、レセプションルームを退出し何処かへ向かおうとしていた。この場に集まった艦娘たちも、大淀に連れられて何処かへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

D.U.外郭地区・シャーレの部室付近

 

「おらおらおらぁ!!」

 

「死ねやゴラァ!!」

 

「な、なに、これ!?」

 

リンに連れられて建物の外に出た一同は、シャーレの部室付近へと移動する。シャーレの付近はモモカの言う通り、不良たちが暴れ回っており、爆発や銃声が絶え間なく響いていた。

 

「それでは、作戦計画概要をご説明いたします」

 

「ちょっと待ちなさいよ!なんで私たちが不良たちと戦わなきゃいけないの!?」

 

「サンクトゥムタワーの制御権を取り戻すためには、シャーレの部室の奪還が必要だって説明したでしょ?聞いてなかったのかしら?このクズ!!」

 

「なっ…!?あなた今私のことをクズって言ったわねぇ~!!私これでも、うちの学校では生徒会に所属してて、それなりの扱いなんだけど!何で私が…!」

 

「はぁ!?それで逆ギレ?だらしないったら!」

 

“まぁまぁまぁまぁ…”

 

現地に着いたことで大淀が作戦の説明を開始しようとすると、ユウカが不良と戦うことに不満を漏らす。ユウカの発言に霞が噛みつき、再び2人が一触即発の事態になるのを見て、先生は必死に2人を宥めるのであった。

 

「では作戦の説明の続きを…今は先生がおりますので、先生を守ることが最優先事項となります」

 

「大淀さんの言う通りです。先生はキヴォトスではないところから来た方ですので…」

 

「あたい達と違って弾一発で死にそうだもんな!!アハハハハ!!」

 

「うん。清霜に任せて!」

 

「という訳ですので、先生は安全な場所で指揮を執っていただきますようよろしくお願いいたします」

 

“うん、分かった”

 

大淀は先生を守ることが最優先事項だと一同に説明する。チナツは先生はキヴォトスの外から来たため、弾丸一発で死にかねないと認識しており、大淀の言う事を誰よりも理解していた。

 

「戦術指揮期待してるわよ、提…じゃなかった先生。勝利へゴーよ!」

 

「分かりました。これより先生の指揮に従います」

 

「生徒が先生の言葉に従うのは自然なこと、ですね。よろしくお願いします」

 

「私を失望させないような采配を心がけることね。せいぜい頑張りなさいな」

 

先生が指揮を執ると聞いて足柄やハスミ、チナツは先生の指揮に従うと宣言する。一方霞は先生に対しても強気の態度を取りつつ、彼女なりに励ましの言葉をかけていた。

 

「それでは先生がキヴォトスに来て最初の作戦となります。作戦名はそうですね…『零号作戦』としましょう」

 

「最初だから『零(れい)』ってこと…?それじゃあ『零(ゼロ)』のほうがいいんじゃないの?そっちのほうが一般的でしょう?」

 

「いいえ、『零(れい)』で行きましょう。そのほうが、私たちに相応しいです」

 

「そ、そう…?そこまで言うなら『零(れい)』でいいけど…」

 

作戦の説明が終わると大淀は今回の作戦を最初の作戦だと言って、『零号作戦』と名付ける。ユウカは零の読み方は『れい』より『ゼロ』のほうが一般的だと指摘するが、大淀は『れい』という読み方が相応しいと言って譲らなかった。霞、足柄、大淀、朝霜、清霜、この場に集った艦娘たちは、帝国海軍最後の戦術的勝利をおさめた『礼号作戦』に参加した者たちで構成されているのである。大淀はこの作戦の成功を祈って、『礼号作戦』同じ読みの作戦名を名付けたのである。

 

「それでは『零号作戦』開始です!キヴォトスの青空に勝利を刻んでください!!」

 

 

 

 

 

先生の生徒たちを救う戦いが、今始まる。




ストック分はこれでおしまい。
気が向いたらまた続きを書くかも。
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