幼馴染が描いた新規立ち絵が俺の女装姿だったんだがどうしよう 作:たまご
「さぁ、話を聞こうか」
『何の事?』
誰もいない放課後の教室に幼馴染を呼び出した俺の目からそっと逸らした女を見つめる。
「分かってるだろ?お前の配信活動の話だ」
『ああ、戯言のべるの話ね。アレ、一応センシティブな話で私なんだけど私じゃないみたいな。いや、待って?……あれ、君に言ったっけ。私が戯言のべるだって』
混乱した様子の幼馴染に落ち着かせる様に俺は地獄に落とす。
「いや聞いてない。でもそうだ、お前が俺に許可無く使用してネットにバラ撒いてる俺の女装姿がモデル、と言うかほぼ原文ママな姿のVtuberの話をしたいんだけど」
『何のコトかな?』
「知ったのは数日前。お前のSNSアカウント、昔唆されてフォローしただろ?それで新規衣装書くよー!!!みたいな呟きが流れてきた」
あの時の様子は今も思い出せる。ベッドに寝転がってスマホ見てたなぁ。
『忘れてた……。成程ね、確かにした覚えがある。でもそんな呟きはいくらでもするよ。私は自慢じゃないけど色々な配信者の立ち絵を担当してるからね』
「ああ、俺もその時は絵師様は大変だなぁって同情してたよ。その次の投稿を見るまではな……」
そう言って、スマホを操作してとある画像を見せる。
「これはお前のアカウント、そして"私の理想の姿で次の立ち絵です"って載せたこの立ち絵。そして、これはお前が撮った俺の女装姿。言い逃れ出来ないと思うがどう思う?」
『だって……』
「だって?なんだ。言い訳ぐらいなら聞いてやるよ。長年の腐れ縁でな」
なんでこんな事をするのか、理由が分からない。あまり言いたくはないが、コイツは顔が良い。なのに、度々俺にモデルの依頼をするのがそもそも謎だ。自分で着れば良いのに着ねえし。金払いは良いから気にせずやってたけど。
『可愛過ぎるんだもん、君の女装姿』
「は?」
コイツは何を言っているんだ?
「いや、ごめんもう一度言って?何?」
『君が好きだって言った』
「おい大事な所抜いて脚色すんな。俺の女装が好きなんだろイカれ腐れ女」
『てへぺろ』
「今までありがとう。明日からは話しかけんなよ」
『こんな可愛い幼馴染に!?』
「うん外見と中身が違ったから」
『いやいや、見た目も中身も良いでしょ』
「……なんで俺の女装をネットに晒すの?」
突然の告白で話が逸れたが、そこがまだ分からない。何でだ。
『最近してくれないじゃん』
ああ、女装ね。言葉足らず過ぎて、勘違いされるから辞めろ。
『前は呼んだらすぐに来てくれたのに、今は毎日の様に他の女のトコばかり行ってさ』
おい、風評被害が過ぎる。コイツ絶対わざとだろ。
「毎日バイト入れてるんだからそりゃあ行くだろ」
『私なら毎日なんて言わない、月一に数時間で札束握らせるのになぁ』
「怪し過ぎるから良い」
『要は寂しかったんだよ。一人でしてると飽きちゃってね(作品作り)。……だから作っちゃったんだ
「頭おかしいルビ付かなかった?今」
『認知して貰うつもりは無かったんだけど、気付いちゃったなら認知してくれるよね』
「もう何言ってるか分からない。日本語に近い独自の言語作ってる?」
本当に話にならないので要件だけ言って去る事にしよう。
「取り敢えず、あの立ち絵は悪いけど使うな。使うならせめて自分の顔でやってくれ。それから、俺にもう関わらないでくれ。以上!」
一方的に会話を切り上げて、俺はその場を後にした。昔から、俺の女装が関わると狂った様に頭がいとおかしになるんだよな。何なんだろう、俺が女装すると女を狂わせるのかな。だとしたらもう一生しないわ女装なんて。